ためこみ症と聞くと「だらしないだけでしょ?」という気持ちになる人もいるかもしれませんが、それは誤解です。どんな性格・年齢・環境の人も発症するリスクがある病気、それがためこみ症なのです。
本記事では、ためこみ症の特徴、原因、解決法を解説しています。既にゴミ屋敷化してしまった時のための記事も紹介しているので、ぜひご覧ください。
ためこみ症とは?
ためこみ症とは、必要なものも必要でないものも集め、捨てることができなくなってしまうことが特徴の神疾患の一種。
生活空間が物であふれ、ゴミ屋敷の原因になったり、火災の原因になったりします。

ゴミ屋敷というと中高年の問題のようですが、実は10代で発症する人が多い病気です。10代でなければ安心というわけでもなく、ありとあらゆる年齢で発症リスクがあります。
判断基準は複数あり、セルフチェックも可能です。
しかし、自分では気づくことができないことが多い症状なので、誰かが指摘しなければ改善できないことも困ったところ。
もし身近に「物を捨てられず、生活できない」といった家族や知人がいる時は、下記の判断基準を参考に観察してみましょう。
具体的にどんな状況になるのかは、次の見出しで解説していきます。
ためこみ症の症例・具体例
ためこみ症とは、物を集めることで生活が困難になる症例です。もし身近な方の生活が物やゴミで阻害されているときは、ここで紹介する具体例をチェックの参考にしましょう。
ためこみ症の症例・具体例1
価値がないものを捨てられない・集めてしまう
ためこみ症の人にとって、価値のないものでも捨てることが苦痛になってしまいます。
ためこんだ所有物に執着してしまい、明らかに不要な物でも「いつか使う」「まだ使える」といった気持ちで捨てられなくなってしまうのです。

古すぎる服や汚れの落ちない食器、弁当の空き箱でも捨てられなくなってしまうのがためこみ症です。
ためこみ症の人にとっては「物を集めて手元に留めること」そのものが目的になってしまうのです。
大量に集めてしまうので、どんどん物が増えていきます。
中には「掃除に必要だから」と大量の洗剤・ブラシを収集してしまうような「キレイ好きのつもり」のケースもあります。

読まない古新聞・チラシや郵便物をためこんでしまう症状も代表的です。
ためこみ症の症例・具体例2
家が物であふれてしまう
ためこみ症の人は所有物に執着してしまうので、家の中が散らかっていきます。
とはいえ、物置・倉庫などの物を貯めるための場所に物が多い分には「ためこみ症」とは言えません。
生活空間まで物で溢れ、部屋を本来の目的で使えなくなることがこの症状の特徴です。

ただ物を集めるだけではなく、ためこんだ物のせいで、台所が使えなくなったり、居間で食事ができなくなったりしてしまうことが問題なんですね。
これを放置すると害虫の発生や火災の原因になるので、早めの専門医の助け・カウンセリングが必要になります。
ためこみ症の症例・具体例3
世話をしきれないほどのペットを飼ってしまう
ためこみ症の対象は、物だけではなく生き物になってしまうこともあります。
自分では世話をしきれないほどの多くのペットを飼ってしまい、ペットの衛生状態・健康状態を損ねてしまう症状です。
ペットが弱って行っても病院につれていくこともできず、悲惨な状況になってしまうこともあります。
ためこみ症の原因
ためこみ症の原因は大きく分けて3つ。気質や性格・環境要因・遺伝要員です。ここでは、その内容を解説していきます。
優柔不断な人が多い
気質要因
ためこみ症になりやすい人は、優柔不断である傾向があります。
面倒なことを先延ばしにしたり、避けたりする人が多いです。注意散漫だったり、計画を立てて行動するのが苦手なこともあります。
反対に、完璧主義者の人もなりやすいようです。物事の真実にこだわりやすいので、無価値なものも「情報収集に必要」と意味付けしてしまい、物が捨てられなくなってしまうのです。
ストレス・トラウマが引き金になることがある
環境要因
ためこみ症になった人の中には、強いストレスを感じていたり、トラウマを抱えているパターンが多いです。
特に、既にためこみ症を発症している人にはストレスが原因で悪化するパターンが見られます。
家族にもためこみ症の患者がいる人が多い
遺伝要員
ためこみ症と判断された方々実にの約50%は、ためこみ症の親族がいるという報告があります。
ためこみ症はすべての年齢に発症するリスクがあるので「他の家族に比べたら私は平気」と思っているうちに悪化してしまうパターンもあるかもしれません。
ためこみ症の解決方法
ためこみ症を放置していると、状況は悪くなるばかり。家が物で埋め尽くされてしまえば、周囲からも孤立してしまいます。
そうなるためには治療が必要ですが、精神疾患の一種なので自然に治るものではありません。
「ためこみ症かもしれない」と悩んでいる方や「家族・知人がためこみ症かもしれない」という方は精神科医・心療内科に相談しましょう。

ためこみ症は「だらしない性格」ではなく、病気です。誰かに注意された程度では治らないので、長く、困難な治療になるのを覚悟しましょう。
家が既にゴミ屋敷化してしまい、倒壊や火災のリスクがあるのであれば、片付け業者に依頼するのも大切な対処です。
業者を選ぶ際のポイントを下記の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。

ためこみ症のQ&A
- 物を集めていたら、全員ためこみ症なの?
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そうとは限りません。「集めた物で生活空間が阻害されている」ことが基準の一つで、倉庫に物をたくさん集めている、というパターンはまた別の話になります。
- だらしない性格なだけだし、注意すればいいよね?
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誤解です。精神病の一種なので、家族・知人の注意程度では治りません。どんな性格・年齢の人でも発症するリスクはありますし、完璧主義な人がかかりやすいという報告もあります。
- どうやったら解決できるの?
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精神科医・心療内科の協力が必要になります。気の持ちようで解決できるものではありません。
- 自分がためこみ症かもしれないと不安です…
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ためこみ症に自力で気づける人は少ないですが、いないというわけではありません。 不安なのであれば、精神科医や心療内科を受診してみましょう。