近しい人が亡くなったとき、お葬式と並んで気になるのが遺品の整理です。ご遺族にとっては、手間もさることながら精神的に非常に負担がかかることでもあります。
しかし、きちんと整理して送ってあげることも故人へのご供養のひとつです。
ここでは、遺品整理に適した時期や気を付けたいことについてご紹介したいと思います。
遺品整理に適した時期

遺品の整理には決まった時期はありません。ご遺族の気持ちが落ち着いてから取り掛かるのが一番です。しかし、相続や形見分け、部屋の契約上、どうしても期間を区切らなければならないケースもあります。また、遺品を整理することで、気持ちに区切りをつけるという考え方もあります。
ここでは、遺品整理に適したタイミングについてお話ししたいと思います。
葬儀が終わった後
葬儀が終わった後は、相続権のある親族が全員揃っていることも多く、遺品整理には都合の良いタイミングと言えます。特に親族と遠く離れてひとりで住んでいた方の場合、遺品整理のために再度集まるのは難しいこともあります。遠方のご遺族の負担を考えると、葬儀の直後に全員そろって整理するのもひとつの手です。
四十九日を迎えた後
四十九日は、亡くなられた方の来世での行き先が決まる最も重要な日と考えられています。そして、遺族にとっては、「忌明け」として日常生活へと戻る節目となる日でもあります。
この日に故人の遺品整理を始めることは、気持ちの整理をつけて次のステップに進んでいくという意味で、意味のあることと言えるでしょう。
亡くなった月末や翌月末
親族と離れておひとりで賃貸住宅に住んでいた方の場合、ご本人が亡くなられても家賃を支払わなくてはいけません。特に公営住宅では、亡くなってから14日後までに部屋を引き払わないと、延滞金等が発生するところもあります。
お部屋の契約が有効なうちに、できるだけ早く遺品を整理する必要があります。
相続税のかかる時期を知っておく
故人の偲ぶ時間としてゆっくり遺品整理をしたいのが人情ですが、絶対に守るべき期限があるものもあります。それは、相続税の申告と納税です。
預貯金や貴金属、不動産等の相続税の課税対象になるものは、10ヵ月以内に申告・納税をしないと重加算税がかかってしまいます。
時間をかけて遺品整理をする場合でも、課税対象になるものだけは先に相続人全員で確認しておくほうが良いでしょう。「10ヵ月」というリミットがあるということを、常に頭に入れておくことをおすすめします。
後悔しない遺品整理の7つのコツ

遺品整理は、一生のうちでそう何度もあることではありません。ご供養のひとつと思って、丁寧に整理したいと思われる方も多いことでしょう。
ここでは、遺された方が後悔しない遺品整理のコツを7つに分けてご紹介しています。
まず気持ちの整理を
亡くなった直後は葬儀や埋葬の忙しさで悲しむ余裕もないものです。しかし、ふとしたきっかけで喪失感や寂しさにさいなまれてしまうという方は多いと思います。
気持ちが整理できないまま、故人の遺品整理をするのはとても精神的に負担が大きいものです。
部屋の契約等で時間的な制約があることも多いものですが、ご遺族が気持ちの整理をつけることを最優先にして動くことをおすすめします。
できるだけ相続人全員で整理する
故人の遺品のなかには、宝飾品や骨董品等の価値の高い品物が含まれる場合があります。また、金銭的な価値は低くても、その品物に思い入れのある親族がいることもあるでしょう。
そういった場合に、相続人全員で遺品の整理と確認をしないと、その扱いについてトラブルに発展するケースがあります。
やむを得ず遺品整理に参加できない相続人がいる場合も、経緯を相続人全員で確認しあい、必要に応じて第三者の立ち合いも検討するようにしましょう。
税金や契約関連の書類は真っ先に探しておく
人がひとり亡くなるというのは、思った以上に煩雑な手続きが必要なものです。
死亡届等の役所関連だけでなく、生命保険や銀行口座、ガスや電気等のインフラや携帯電話の解約等、本当に多くの手続きをしなくてはなりません。
これには期限が決められているものも多いですし、銀行口座のように相続人全員の承認が必要なものもあります。亡くなった直後から始めても、驚くほど時間がかかってしまったというケースも珍しくありません。
遺品整理をいつ始めるかは別にしても、こういった契約関連の書類は真っ先に探し出して、手続きを開始するようにしましょう。
整理に迷うものは、いったん後回しにする
捨てるには忍びないけど、誰も引き取り手が見つからないという品物は扱いに困ってしまいますよね。そういうものは、あまり悩まずにいったん後回しにしてしまいましょう。後回しにした品物を置く場所を決めて、ひとまとめにしておくのがおすすめです。
遺品整理は、確実に捨てていいものをまず選り分けて、部屋にある荷物を減らしていくのが先決です。
荷物が減ってすっきりした部屋で品物の行く先を考えたほうが、良いアイデアも浮かびますよ。
作業スケジュールをきちんと作る
数人で整理をすると、誰がどこを片づけたのかが分からず、作業効率が悪くなりがちです。
整理を始める前に、「誰が」「どこを」「どこまで」作業するのかをきちんと決めておきましょう。ゴミの捨て方や貴重品の置き場所も、その時に決めることをおすすめします。
休憩時等に進行状況を確認しあうことで、あとどれくらいで作業が完了するのかがわかりやすくなります。
作業スケジュールを決めることとその状況を把握することは、効率よく作業を進められるだけでなく、遺品や書類の紛失を防ぐためにも非常に有効です。
思い出の品はデータで残しておく
金銭的な価値は低くても思い出がたくさん詰まった品物は、なるべく手もとに残しておきたいものです。しかし、大きくてかさばるものをいくつも置いておくのは難しいですよね。
そういったときは、写真や動画にしてデータを残しておきましょう。全体像だけでなく、傷や汚れ等の使用感を感じられる部分も撮っておくのがおすすめです。
故人の生活していた雰囲気が伝わるように撮っておけば、節々の法事等で故人について語り合う良いきっかけにもなります。
ご高齢で遺品整理に参加できないご親族に見て頂くのも良いでしょう。
住所録や手紙類はしばらく残しておく
故人の住所録や手紙は、しばらく残しておくほうが良いでしょう。ひとりで住んでいた方の場合、交遊関係が把握できていないことが多いものです。また、お供えを頂いた際のお返しにも住所録等が活躍します。
住所録や手帳、手紙類はすぐに処分せずにしばらく残しておきましょう。かさばる場合は、スキャナー等でデータ化してしまうのもおすすめです。
遺品整理で注意すべきこと

故人の財産を整理するのは、相続等の難しい問題が関わってきます。後々トラブルに発展することのないよう、気を付けたいポイントをふたつお話ししたいと思います。
タンスや引き出しは全部確認する
古いタンスや小物入れはまとめて処分してしまいたくなりますが、必ず中がカラになっているかを確認しましょう。万が一、高額な遺品や重要書類を紛失した際に、確認していない箇所があるとトラブルに発展する可能性もあります。
小さな引き出しや鍵のかかっているタンス等も、きちんと全部開けて中身を確認しておくようにしましょう。
所有者不明の遺品が出てきたら
明らかに個人所有のものではない遺品が出てきた場合は、処分したり形見分けにしたりするのは慎重になる必要があります。
もし、後になって所有者が名乗り出た場合に現物がないと、余計な手続きが必要になったりトラブルの原因になる可能性があります。
所有者不明の遺品はいったん誰かが保管して、第三者を交えて扱いを検討することをおすすめします。
迷ったら遺品整理業者を選ぶのもあり

故人の想いが詰まった遺品は、丁寧に時間をかけて整理したいものですが、ご遺族の生活環境等でそれが叶わない場合もあります。
その場合は、遺品整理を専門に請け負っている業者に依頼するのもひとつの方法です。ご遺族の気持ちに寄り添った丁寧な仕事をする業者を見つけるために、知っておきたいことをお話ししたいと思います。
遺品整理業者に依頼するメリット
遺品整理業者に依頼する一番のメリットは、なんといっても時間を節約できるということです。人ひとりが生活していた場所を片づけるのは、本当に大変な作業です。
プロの業者に依頼すれば、大きな家具や不要品を一気に処分できますし、お金に換えられるものは買い取ってくれるところもあります。
整理のために何度も通えなかったり、相続人全員が揃うタイミングがなかなかないという方は、業者に依頼することを考えてみるのも良いでしょう。
遺品整理業者を選ぶポイント
インターネットで検索するとたくさんの遺品整理業者がヒットしますが、どういう基準で業者を選べば良いでしょうか?
業者の信頼度を知るひとつの手段として、比較見積もりを取ってみるというものがあります。明瞭な料金体系はトラブルにつながりにくいものです。極端な値下げをしてくる業者は避けたほうが無難でしょう。
また、遺品整理に携わる資格として「遺品整理士」というものがあります。業者の信頼度に直接関わってくるものではありませんが、この資格を持っている人がいる業者は遺品整理に力を入れていると考えられますので、業者を選ぶ際のひとつの目安にできます。
地元の口コミは重要
遺品整理業者はインターネットで探すのも効率的ですが、周りの口コミも非常に重要です。
口コミでは、業者のサイトからは知ることのできない対応の良し悪しや細かい気配りを知ることができます。
業者への依頼を考えるのであれば、周りの人にもそのことをお話ししてみることをおすすめします。意外なところから、有益な情報が得られるかもしれませんよ。
まとめ
遺品整理は、亡くなった方にしてあげられる最後の餞でもありますが、ご遺族にとっては負担が大きな作業でもあります。
決して無理をせず、時にはプロの手を借りつつ送ってあげたいものですね。