冬の間に使い切れなかった灯油をどのように処分したら良いか分からなくて困った、という経験をしたことがある人も多くいるのではないでしょうか。間違った方法で処分してしまうと人に迷惑を掛けたり、環境を破壊したりと大変リスクがあります。
本記事では、あまり知られていない灯油の使用期限から、実際にどのような方法で処分すれば良いかなど正しい処分方法を詳しく紹介しています。実際にしてはいけない灯油の処分方法を併せて確認し、これからのシーズンで役に立てましょう。
灯油の使用期限・劣化のリスク

一般的に灯油には使用期限が定められていません。しかし石油ストーブの取り扱い説明書などには、1シーズン以上の持ち越しはしないようにと注意書きがされています。そのため灯油を次のシーズンまで持ち越すということの無いように、使い切ると良いでしょう。灯油を長期間保存することで変色などの劣化の可能性があり、場合によっては臭いがしてくる場合もあります。
劣化の主な原因は、灯油を紫外線に当てていることです。それによって元々透明に近い色をしていた灯油が黄色みがかってしまったり、変質してしまう恐れがあります。この変質してしまった灯油を使用したことが原因で異常燃焼や機器の故障といったことになりかねません。そのため灯油は使い切る方が良いというように言われています。
灯油を大量に処分する方法3つ

少量であれば使い切ることも可能ですが、大量に灯油が残ってしまった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。こちらでその対処方法を紹介します。
■ガソリンスタンドに引き取りを依頼する
自宅の近くに灯油を引き取り可能な業者がいないという場合には、
ガソリンスタンドで引き取りを依頼しましょう。エネオスなどの大手ガソリンスタンドでは引き取ってもらえることが多くあります。費用も場所によっては無料であったり、高くとも500円程度しか掛からないのでおすすめ です。お近くのガソリンスタンドでまずは聞いてみましょう。
また店舗によっては、そのガソリンスタンドで購入した灯油かどうかというのも、引き取りを行うかの判断に利用される場合があります。そのためもし近所のガソリンスタンドで灯油を購入した場合は、レシートも保存しておくと良いでしょう。レシートがある場合は無料で引き取るが、無い場合は有料になるというガソリンスタンドも存在します。
■ホームセンターに引き取りを依頼する
購入したホームセンターに限り引き取りを行っている場合がありますが、基本的にホームセンターでは余った灯油の引き取りまたは処分を行っていません。主要なホームセンターでは基本的にそのホームセンターで購入した灯油以外は引き取っていないので注意が必要です。店舗によってルールが変わってきますので、お近くのホームセンターに問い合わせしてみると良いでしょう。
ホームセンターで引き取りを行わない理由としては、通常のゴミとして処分をすることのできない古い灯油は不用品回収業者に依頼する必要があります。運搬費と業者による引き取り費用を負担するとなると採算が合わなくなるため、ホームセンターでは無料引き取りをしていないのが一般的になります。
■不用品回収業者に引き取りを依頼する
ガソリンスタンドに持ち込みが難しいほど大量に灯油が余っている場合、不用品回収業者に依頼して軽トラックなどで回収してもらうと良いでしょう。評判の良い不用品回収業者で一番小さなパッケージでも2万円~2万5千円ほどしますので、わずかな灯油の引き取りでは少々高く付くことがあります。まずは電話などで無料見積もりを依頼すると良いでしょう。
また不用品業者に依頼する場合は灯油だけでは無く、その他の不用品も併せて引き取りを依頼することで家の片付けも行うと良いでしょう。灯油の回収をきっかけに大掃除を行うのも一つの方法です。町内をスピーカーで宣伝しながら回っているような業者は、無許可で行っている場合もありますので注意が必要です。
灯油を少量だけ処分する方法2つ

少量だけ残った灯油はわざわざガソリンスタンドへ持って行くまでもなく、処分したほうがいい場合もあります。自分で処分するための最適な方法をこちらで紹介します。
■残りを石油ファンヒーターなどで使い切る
石油ファンヒーターを数回フルで使用したら無くなる程度の残量であれば、石油ファンヒーターを使用して使い切ってしまうのも一つの方法です。普段雨の日などに洗濯物がなかなか乾かずにファンヒーターで乾かしている人も多くいるのではないでしょうか。実際にそれを行うと意外と早く灯油を使い切ってしまうので、普段は気が引けますが使い切りを目的としていれば気にせず使えます。
また空焚きをしても灯油を使い切ることができます。空焚きはファンヒーターなどで、少量の灯油を使い切ることを目的として備わっている機能の一つです。灯油タンク内に残っている灯油が完全になくなるまで燃焼することができます。空焚きをする場合は最後の方タール臭が強まる場合もありますので、しっかりと換気をしながら行いましょう。
■新聞紙・布で吸収してゴミに出す
お住いの自治体によっては、正しい方法で処分する場合は可燃ごみとして出すことを許可している場合もあります。正しい方法とは、新聞紙や布などに灯油を染み込ませて、適切な日に可燃ごみとして通常のごみと同じように出すという方法です。しかし自治体によってはこの方法を許可していない場合もありますので注意が必要です。
また使用後の調理用油を固めて可燃ごみとして出すという製品は、灯油の処分には使用できません。こういった製品は熱した調理用油を固めるための物で、灯油を加熱することは事故を招く可能性がありますので厳禁です。住んでいる市や区の案内に従って処分するようにしましょう。
灯油を処分する時のNG事項3つ

余ってしまった灯油を間違った方法で処分しようとすると、大事故につながる危険性もあります。場合によっては人に迷惑をかけて懲罰や罰金刑になる可能性もあるので注意が必要です。
■タンクごとゴミに出す
残った灯油をポリタンクごとゴミとして出すことをしてはいけません。まずゴミとして野外に出している間に灯油が気化して火気に引火してしまう可能性があります。またゴミ収集業者が誤って回収してしまった場合にも、可燃処理をされ爆発を引き起こしてしまうという可能もあります。どのような場合に着火するかも分からないので、一般ゴミとして出すことは避けましょう。
■土に埋める
土に埋めた灯油は水に流した場合よりも浄化されるまで時間を要します。また自然に浄化することはほぼ無く、専門の業者によって微生物剤を用いた作業を行う必要があります。灯油が土に混ざって留まることでその土地の生態系を壊す原因になりかねません。加えて、庭などに灯油を流した場合、たばこのポイ捨てなどで着火して爆発するなどの危険性もはらみます。
■川・下水に流して捨てる
川や下水に余った灯油を捨てることで、多くの問題が発生する危険性があります。単純に下水道管などに灯油が流れることで、灯油が気化しガスが充満した挙句に下水管の中で爆発する可能性があります。もしこのような爆発で下水道管が破損した場合は、修理などの責任を全て追う必要があります。費用としては数百万円、加えて罰金などでさらに数百万円などということも考えられます。
また灯油が川まで到達してしまった場合には、川にいる生物の生態系に悪影響を与えてしまう可能性も十分に考えられます。そして灯油は水に混ざらずにそのまま残るので悪臭被害などの公害となってしまいます。これらの状態を引き起こしてしまった場合にも、条例に従って罰金や懲役を受けてしまうことも考えられますので、決して川・下水に捨てる事はしてはいけません。
まとめ
冬の間に使い切れなかった灯油の処分方法は、しっかりと理解していれば適切な方法で処分をすることが可能です。本記事を参考に適切な方法を確認し、人に迷惑を掛けないように処分しましょう。