自作のパソコンはどのように処分すれば、なるべくお金がかからないで済むのでしょうか?以前は、パソコンは粗大ゴミとして捨てることができました。しかし、現在はパソコンはそのままでは粗大ゴミとして出すことはできません。
パソコンの中には貴重なレアメタルが入っており、別名「都市鉱山」とも言われています。そのため、ゴミとして捨てるのではなく中の部品をリサイクルすることが義務付けられるようになったのです。メーカーが制作したパソコンであれば、製造メーカーが処分してくれますが、自作パソコンは誰に頼めば回収してくれるのでしょうか?
ここでは、自作pcの処分方法について調べてみました。
① 自作PCとは?中に何が入っている?

自作パソコンと言っても、自分で作ったのではなくメーカーに自分が希望するスペックをリクエストして作ってもらった自作pcもあるでしょう。その場合、自分で実際に作ったわけではないので、中に何があるかわかりませんよね。中に何が入っているかわかれば、分解して必要な部分だけ買い換えることもできます。
パソコンの中には、下記のパーツでできています。
・PCケース
・マザーボード
・CPU
・メモリー
・電源
・ハードディスクもしくはSSD
・光学ドライブ
・グラフィックボード
・PCケース
パソコンのパーツ全体を入れているケースです。何も入っていないPCケースであれば、粗大ごみとして捨てることができます。しかし、光学ドライブや電源など、どれか一つでも中に入っていると回収する側は「パソコン」と判断して、粗大ごみとしては回収してもらえない場合があります。必ず外側だけの状態であることがわかるようにして、粗大ごみとして捨ててください。
・マザーボード
パソコンの中心とも言える部分で、性能はマザーボードによって決まっています。パソコンの中に入っている部品は、全てマザーボードにつながっています。マザーボードは性能の他にサイズも種類があるので、入るPCケースと大きくて入らないPCケースがあります。半導体でできているチップセットという部分や、CPUと取り付けるソケットや、メモリーを取り付けるメモリースロットなどが入っています。
・CPU
パソコンが動く速度はCPUによって決まります。「Core i7」「Core i5」「Core i3」「Pentium」「Celeron」という単語を聞いたことがあると思いますが、このように性能によってランクが分かれています。
・メモリー
OSやプログラムが動作する速さに関わる部分です。よく「机」に例えられます。広い机だと、いっぺんにいくつもの仕事をすることができます。しかし、小さな机だと、一つの仕事をしている時に次の仕事をしようとすると、前の仕事を片付けてからでないとできません。どれだけ大きな机を持っているか、つまりメモリーが大きいかによって、一度に処理できる仕事量が決まってくるのです。
・電源
電源ユニット本体と、電源を各所に通すためのケーブルでできています。コンセントとつながっている部分の奥では、ケーブルによってマザーボードやハードディスク、光学ドライブ、グラフィックボードといったパーツに電気が通っています。電源部分は熱を持つので、ファンも内蔵しています。
・ハードディスクもしくはSSD
ハードディスクもSSDも、ソフトや文書や画像、動画などの作ったものなどを入れておく部分です。
大きければ大きいほど、たくさんのものが入ります。ハードディスクには、3.5インチ、2.5インチ、1.8インチの3種類がありますが、自分でパソコンを組む場合には3.5インチが主流になっています。SSDは近年注目されてきた次世代のハードディスクに代わる記憶媒体です。ハードディスクは高速で回転して記録しますが、SSDは回転したり動いたりしないので、コンパクトで音もしない上、発熱も控え目なので注目されています。
・光学ドライブ
CDやDVD、ブルーレイなどを読み込んだり、種類によっては書き込んだりする部分です。
・グラフィックボード
画面の出力や動画の再生をスムーズにする部分です。無くてもパソコンとして成り立つパーツですが、動画を編集したり、ゲームをなめらかな状態で再生するには必要なパーツです。
② 小型家電リサイクル認定事業者に回収してもらう

「小型家電リサイクル認定事業者」というのは、国、つまり環境省が認めているリサイクル業者のことです。日本全国で50社以上が環境省より認定されており、業者によって活動が認められている範囲が決まっています。
一つの県だけの業者もあれば数県にまたがって活動できる業者もあります。その中でもパソコンの回収を全国規模で行っているのが「リネットジャパン」という会社です。
■国認定事業者「リネットジャパン」で回収

【国認定】パソコン無料回収・処分・廃棄『リネットジャパン』
リネットジャパンでは自作PCでもパソコン本体があればダンボール1箱分無料で回収。モニターなど周辺機器だけの場合はダンボール1箱につき1,650円(税抜き:1,500円)での回収です。
どれだけ古いパソコンでも、壊れていても回収してくれるので心強いですよね。
ダンボールは1箱につき3辺の合計140cmで、重さは20kg以内。このサイズに入ればパソコン以外に周辺機器や小型家電を何点でも回収してくれます。
申し込み方法もとても簡単。以下のリンクからリネットジャパンのウェブサイトにアクセスして住所など必要事項を記入すれば完了です。その後ダンボールに詰めて集荷希望日を待つだけなので自分がどこかに申し込みや振込みに行く必要もありません。
さらに回収申込みをすればデータ消去ソフトが無料で使用可能。自分で新たに消去用のソフトを準備する手間もなくなります。
自宅から出ることなく自作PCを手軽に処分できるおすすめのサービスです。
③ メーカーで回収してくれるPCの種類

パソコンを捨てる時は、粗大ごみとしては捨てられません。製造したメーカーがわかるもので「PCリサイクルマーク」がついているパソコンについては、製造メーカーが無料で回収する決まりになっています。
「PCリサイクルマーク」がついていない、2003年10月よりも前に販売されたものは、各メーカーが有料で回収してくれます。
しかし自作のパソコンは、パーツを購入して製造したのは自分になるので、回収してくれるメーカーもありません。メーカーでは、自分の所で製造販売した製品しか回収しませんので、メーカーで製造したディスプレイと自作のパソコンを一緒に送っても、自作のパソコンは送り返されてしまいます。そして、場合によっては手数料を取られてしまいますので、自作パソコンはメーカーに送らないようにしましょう。
■自作PCの処分はどこで?
自作のパソコンの場合はメーカーでは回収してもらえないので、
・「パソコン3R推進協会」に回収してもらう
・各自治体の小型家電回収ボックスに入れて処分する
・パソコンのリサイクルショップに回収してもらう
・小型家電リサイクル認定事業者に回収してもらう
・家具などの不用品買取業者に引き取ってもらう
・オークションで売る
といった方法が考えられます。
■分解できたら小型家電回収ボックスも可能?!
各自治体の小型家電回収ボックスですが、自治体によって回収ボックスの投入口の大きさが違いますが、おおよそ30cm×10cm前後です。ハードディスクだけ、パソコンの各パーツだけの状態にきちんと分解していれば、小型家電回収ボックスに入れられる自治体もあります。
お住いの地域のゴミの処分方法を検索してみてください。
④ パソコン3R推進協会とは?

パソコンを捨てる時に検索すると、「パソコン3R推進協会」という協会の名前が目につくと思います。この「パソコン3R推進協会」は、パソコンメーカーと協力し、環境のためにパソコンの再活用を推進させるための協会です。
この協会が目指す3Rは、
リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)です。
つまり、
リデュース:必要な部分に供給過多にならないよう資源を抑制する。
リユース:全体あるいは一部の再利用。
リサイクル:回収されたものを再資源化して、新しい製品にする。
を目指しています。
■パソコン3R推進協会の回収料金は?
パソコン3R推進協会での回収料金は以下のようになっています。
・デスコトップパソコン 1台 4,000円(税抜)
・ノートブックパソコン 1台 4,000円(税抜)
・液晶ディスプレイ 1台 4,000円(税抜)
・液晶ディスプレイ一体型パソコン 1台 4,000円(税抜)
・CRTディスプレイ 1台 5,000円(税抜)
・CRTディスプレイ一体型パソコン 1台 5,000円(税抜)
予想以上に高額で、少し驚きますよね。
小型家電リサイクル認定事業者で処分してもらえる場合は、無料もしくは送料のみの負担で済みます。もっと安く処分できる方法もあるので、パソコン3R推進協会に頼むのは、最終手段と考えたほうが良いかもしれません。
⑤ 自作PCのデータを消去する

自分のパソコンを処分する時に一番気になるのが中のデータです。自分の手で、しっかりと情報を消去しておきたいという方のために、オススメのデータ消去ソフトを紹介します。有料ソフトと無料ソフトがありますが、あまり性能に差は無いのが現状です。
《補足》
消去ソフトで上書き方法は、何段階かに分かれています。一度だけ上書きする方法、何度も上書きする方法、上書きする文字が複雑なものなど、いくつか消去する規格が定められています。
・世界標準データ消去規格
米国国防省方式、米国国家安全保障局(NSA)方式、米国陸軍方式、米国海軍方式、米国空軍方式、北大西洋条約機構(NATO)方式、米国コンピュータセキュリティーセンター(NCSC)方式、グートマン方式
これらの方法で上書きした後も、普通にパソコンは使用することができます。破壊しているわけではないので、普通にパソコンが使えるのです。データを上書き消去すれば、昔のデータは見られませんので、そのパソコンをオークションで売ったり、中古パソコンショップで売ったりしても安心安全です。
■【有料ソフト】ターミネータ10plus データ完全抹消

ターミネータ10plus データ完全抹消 BIOS/UEFI版
AOSテクノロジーズによるソフト。OSが無くて立ち上げることができない状態でも、このソフトが入ったCDもしくはUSBメモリからパソコンを立ち上げてデータを消去できます。消去に必要な時間は、1TBで28時間、160GBで約200分、50GBで約80分ほどです。
■【有料】完全ハードディスク抹消

ジャングル 完全ハードディスク抹消16
ジャングルによるソフト。「0」だけでデータを消去する高速モードや、官公庁や企業で採用されているグートマン方式まで、6種類の消去方法を選べます。消去スピードは世界最速で、1GBを約7.8秒で消去できます。
■【無料】DESTROY
日本人が個人ベースで作ったソフトです。個人の使用に限り無料で使うことができます。有料無料の各種ソフトがダウンロードできるWEBサイト「ベクター」から入手することができます。消去方法は9種類から選べます。
■【無料】wipe-out
日本人が作ったフリーのデータ消去ソフトです。ハードディスクだけでなく、USBメモリのデータも抹消することができます。複数回(2回から15回まで)の上書きも可能です。
⑥ 自作PCをパソコン回収業者で処分する

パソコンの回収を専門で行っている業者であれば、無料もしくは送料だけの負担で処分できます。パソコンの回収業者で人気のある業者をいくつかご紹介します。
■パソコンファーム
埼玉県にある業者で、東京と大阪にも支店があります。最初はパソコン教室や、中古パソコン販売を行っていましたが、現在ではパソコンの処分や回収で注目されている会社です。
パソコンファームは、いらないパソコンをクロネコヤマトの着払いで送るだけでパソコンが処分できます。粗大ゴミとして捨てなくてはいけない他の不要家電も、パソコンと一緒に入れて送ってもかまいません。パソコンやディスプレイだけでなく、カメラやゲーム機、楽器の回収も行っています。
また、パソコンファームが指定する商品が回収するダンボールの中に入っていれば、期間限定で送料も無料になるサービスも行っています。何が対象になるかは時期によって変わるので、ホームページをチェックしてください。
また、ハードディスクの中身を外付けハードディスクに全て移行してくれるサービス(1台につき7,560円)なども行っています。パソコンファームは、プライバシーマーク認定を受けている会社なので、データの扱いについては責任を持って行っています。
■パソコンダスト
東京都にある業者で、全国から送られてくるパソコンの回収を行っています。東京都内であれば、出張回収も可能です。パソコンダストは、佐川急便か、ゆうパックの着払いで送るだけでパソコンが処分できます。送料もかけたくないという場合は、パソコンダストが指定するパソコン、高機能のゲーム機、スマートフォンなどが同梱されていれば、送料も無料になります。
ブラウン管のモニターやテレビなどは扱っていないので注意してください。
パソコン内のデーターも無料で消去を行っていて、希望者には消去証明書が発行してもらえます。(証明書は有料になります。)
■パソコン回収.com
埼玉に本社がある会社で、こちらも全国から送られてくる不要になったパソコンを回収しています。事前連絡も、事後連絡も何も必要ありません。思いたったら、ダンボールやビニールに不要になったパソコンを梱包して、クロネコヤマトの着払いで送るだけです。送料もかからないので、本当に手軽にパソコンを処分することができます。
注意しなくてはいけないのが、壊れていたり、大きなヘコみやキズがあるパソコンについては回収できない点です。どれ位こわれていたら回収してもらえないのか、自分のパソコンの状態では不安な時は、直接パソコン回収.comに相談すると良いでしょう。
品物の程度によって、送料だけ負担すれば回収してもらえるケースもあります。
⑦ 自作PCをオークションで売る時の注意

これまでは、自分でお金を払って回収してもらう、もしくは無料で回収してもらう方法を解説しましたが、オークションでの販売は落札されればお金になります。
自作パソコンをオークションで売る時の注意点ですが、データを消去しておくことと、あまり最初から高望みをしないことです。現在では、高スペックのパソコンが安価で販売されています。
また自作パソコンは、購入後の保証も無いので落札者のほうとしても不安です。出品のための写真を掲載する時には、スペックの記載はもちろん、できればモニターと接続してきちんと動いている時の画像を1枚は載せたほうが落札率も高くなります。パソコンケースにキズやヘコみがある場合も、正直に商品説明として記載しましょう。キズやヘコみを知っていながら説明として書かないと、後々トラブルになってしまうからです。
いくら「ノークレーム、ノーリターン」で、と説明書きの所に書いても、正しく商品情報を掲載しないのは問題になってしまいます。良い点も悪い点も、全て説明として書くことが必要です。
出品する時に面倒なのが送料です。
落札者に着払いで送ってしまいたいところですが、着払いにすると落札率が悪くなります。
面倒でも、梱包したサイズや重さをきちんとはかって、宅配料金をきちんと書いておきましょう。
⑧ 不用品回収業者に回収してもらう

引っ越しでパソコンを処分したい場合、他の家具や家電と一緒に不用品回収業者もしくは不用品買取業者に回収してもらう方法かもしれません。不用品回収業者は、軽トラックに不用品を詰めるだけ詰めて1万円といった値段設定をしている所も多く、一緒にパソコンも入れてしまえば片付きます。
この場合、気をつけておかなくてはいけないのが、個人情報の流出です。
不用品回収業者のほうではデータの消去はしてくれませんので、個人情報が入ったまま誰かに売られてしまうことも考えられます。自分の知らないうちにクレジットカードが悪用されてしまったり、出会い系サイトに自分の写真を使われてしまったりというようなことが無いように、自分のデータは上書きソフトなどできちんと処分しておきましょう。
また、不用品回収業者で気をつけなくてはいけないのが、ホームページやチラシでは「無料」と言っておきながら、実際には手数料などと言って高額な料金を徴収する悪徳業者もいる点です。チラシなどを見てすぐに頼んでしまうのではなく、自作のパソコンでも手数料なしで回収してくれるのか、回収する時の出張費などは必要なのかなど、事前に気になる点は聞いておきましょう。
そして、業者を選ぶ時には最低でも3社には電話して値段や条件を聞いておくことが大切です。電話だけでもきちんとした業者なのか、だらしない業者なのかが伝わってきます。タダで持っていってもらえるからと言って、安易に飛びついてしまわないようにしましょう。
まとめ
自作パソコンの処分方法について解説しましたが、自分に最適な処分方法は見つけられたでしょうか。どの方法で処分する場合でも、自分のパソコンの中の個人情報は自分で消去するのが基本です。
パソコンを初期化しただけでは簡単に第三者にデータが見られてしまいますので、今回ご紹介したデータ消去用ソフトでデータが見られないようにしておきましょう。
時間がある場合は、自分で中のデータを消去してオークションに出品するのが一番お金になる方法です。商品説明にスペックを一つ一つ書いたりと面倒ですが、細かく書くほど落札額アップにつながります。オークションは売れないと、ずっと品物が家の中にあるので邪魔ですが、収入にもなるのでオススメの処分方法です。
次にオススメなのが、お金のかからない処分方法です。リネットジャパンや、パソコン回収.com、パソコンファーム、パソコンダストなどは、ダンボールにつめてパソコンを送れば送料だけ、あるいは無料で処分してもらえます。業者によっては、パソコンと一緒に他の家電も無料で処分してくれるので、部屋の整理などで家電や楽器の処分方法に困っている方は各業者のウェブサイトをチェックしてみてください。