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遺品整理の前の確認ポイントは?トラブルの原因・業者に頼む目安って?

相続のトラブルを防ぐためには、遺品を整理し、正しく把握しておく必要があります。とはいえ、遺品整理はある日突然必要になってしまうことも少なくありません。本記事では、突然の遺品整理の際に慌てないための整理のポイント、トラブルを予防するための注意点を紹介していきます。遺品整理業者の選び方も紹介しているので、ぜひご参考ください。

遺品整理は、原則として相続人全員で行うべきもの。

相続・形見分けを通してトラブルになりやすいので、事前の準備が必要になります。

タスくん

民法において相続人は故人の配偶者と子供・親・兄弟姉妹と定められています。
ただし、遺言状で指定された受遺者がいる場合は民法より優先されるので、遺品整理の前に遺言状の内容をしっかりと把握しておきましょう。

本記事では、遺品整理をする前に押さえておくべき手順・ポイントや、何を残すべきかを紹介していきます。

遺品整理業者の選び方と頼む目安も解説しているので「遺品が多くて迷っている」という方にもおすすめできる記事になっています。

目次

遺品整理の準備のポイント

遺品整理でトラブルを起こさないためには、準備が肝心です。ここでは、準備のポイントを7ステップに分けて解説していきます。

STEP
親族・関係者間で話し合う

遺品整理で初めに必要になるのは、親族同士での話し合いです。状況によっては連帯保証人大家さんとの話し合いが必要になるパターンもあります。

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借家であれば大家さんと原状回復費用について話し合う必要がありますし、もしも孤独死の後に遺品整理を行うのであれば、ご遺体の状況によっては特殊清掃業者との話し合い・見積もりも必要になる可能性もあります。

遺品を整理する前に、故人の関係者を集めてしっかりと話し合っておきましょう。

特に、親族間では相続問題や遺品との向き合い方でトラブルになるケースがよく見られます。遺品整理のスケジュール、残すべき遺品の基準など、最初に決めておくことが大切です。

STEP
遺言書を把握する

遺品整理を始める前に、まずは遺言書を探します。

立ち合い人の元で作られたものでしたら、公証役場に確認すればOK。故人との血縁を示す戸籍謄本と身分証など、必要書類を揃えれば検索してもらえます。

自分ひとりで書いた自筆証書遺言の場合は、ご自宅をくまなく探すしかありません。本格的な遺品整理の前に、重要書類がありそうな場所を探しましょう。

自筆証書遺言でも貸金庫や法務局に預けているパターンもあるので、一度確認しておくのがおすすめです。

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流れとしては公証役場→貸金庫・法務局→自宅の捜索と探していくのがおすすめ。もし遺品整理の後に遺言状が見つかった場合は、相続人同士でもう一度話し合うか、弁護士などの専門家を挟んでの協議が必要となります。

エンディングノートは遺言状と違い、法的な効力はありませんが、もし見つけた場合は関係者で確認しましょう。

故人の意思を確認することは、遺品整理のトラブルを避けるのに役立ちます。

STEP
貴重な遺品を把握する

遺品整理の前に、貴重な遺品を把握しておくことも大切です。

【重要な遺品

  • 家の鍵
  • 通帳・印鑑・身分証明書

解説不要に重要な品物です。お家の状況によっては、見つけにくいので注意しましょう。

【相続に必要な遺品】

  • 各種契約書類
  • 支払通知書

遺品とはプラスの遺品ばかりとは限りません。各種契約は契約者が亡くなった後も手続きが済むまで続行されます。この場合、故人の通帳や相続人が支払うことになるので、早めに各種契約を把握する必要があります。

【金銭トラブルに発展しやすい遺品】

  • 貴金属
  • 美術品・骨董品
  • レンタル品

こちらは相続人や遺族の間で金銭トラブルになりがちな品物です。この他、思い入れがあるものは金額に関わらずトラブルになりやすいので、何を残すのかの基準を事前に話し合っておきましょう。

宝石や美術品・骨董品は鑑定が必要なものもあるので、安易に売りに出すのもNG。売却したい時は専門家を挟むのがおすすめです。

STEP
役割分担を決める

遺言書、貴重品の把握が終わったら、整理すべき道筋が見えてきます。誰がなにを整理するのか、役割分担を決めましょう。

例えば「タンスの整理はお洋服の整理が得意な方」「重いものは健康で腕力が強い方」といった風に、各々の担当する分野を決めていきます。先に誰がなにを相続するのか決まっているなら、その部分を担当するのもよいでしょう。

誰がなにを整理するかを決めても大切なことは、処分するものは関係者全員が把握しておくこと。ゴミとして処分したり、売りに出したりする前に必ず全員で確認しましょう。

費用の分担方法についても、この辺りで早めに話し合うことがおすすめです。

STEP
不用品の処分方法・搬出ルートを決める

遺品の中で残すべきものと、整理を担当する人が決まったら、不用品の処分方法を決めておきます

自分達でゴミに出すのか、売却するのか、業者に頼むのかということです。

自分達で処分する場合は、まず「売れるもの・売れないもの」を分類します。売れないと判断したものは分別していきます。

自治体の各ゴミの回収日を確認し、それに合わせて遺品を整理していくのがおすすめの流れです。

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一気にゴミを処分したいなら、「自分達で整理して回収だけ不用品回収業者に頼む」といった形もおすすめ。
もし整理の段階から業者を呼ぶ場合は、不用品回収業者ではなく、遺品のついての知識が豊富な遺品整理業者の方にした方が安心です。

大型の家具・家電も自分達で処分するのであれば、先に搬入ルートを確保しておくことが大切になります。大きい品物を動かすと騒音が予想されますので、近隣の迷惑にならない時間帯を選びましょう。

仏壇・神棚はどうすればいい?
仏壇・神棚など宗教に関わるものをゴミに出してはいけないという法律はありません。各自治体のルールに従い、ゴミに出すことも可能です。

ただし、大型ですので処分は大変ですし「ゴミに出すのは抵抗がある」という方は多いでしょう。

菩提寺や神社に頼んで処分してもらったり、専門の業者を挟む方法が一般的ですので、自分に合った方法を選んでいきましょう。特殊清掃業者遺品整理業者も、遺品の整理だけではなく供養まで行ってくれる業者も存在します。

STEP
計画を立てる

不用品の処分方法と処分する日が決まったら、遺品整理の計画が立てやすくなります。

原則としては相続人が全員そろった日に作業するのがおすすめ。全日は無理でも不用品を処分する日は、最終確認のために立ち会うようにしましょう。

この時大切なのは、終わりの日を最初に設定しておくこと。相続放棄のできる3か月以内~相続税の申告期間である10か月までをおすすめします。

遺品整理は辛い作業ですので、目標を決めないと長引いてしまいます。いつ何をするのかを決め、メリハリをつけて作業しておくことが大切です。

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立てた計画は関係者全員で把握しておきましょう。遺品を勝手に持ち出したり、処分したりすると後々トラブルになります。

STEP
当日の準備をしておく

遺品整理を自分達で行うのであれば、整理・掃除に必要な道具は当日までにそろえておきましょう。

不用品と必要な品を分別するための段ボールや、汚れてもいい服装・軍手・マスクなどが必要になります。

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大掃除に必要なものをイメージして準備しておけば安心です。

特に、地域指定のゴミ袋は多めに用意しておきましょう。

遺品整理の注意点

遺品整理のスケジュールを決めたら、実際の作業に移ります。ここでは、その際の注意点とトラブルの事例を紹介していきます。

遺言状とエンディングノートは異なる

エンディングノートに相続や形見分けについて書き残すことは可能ですが、遺言状と違い法的拘束力がありません

ただし、見るために家庭裁判所の検認が必要な遺言状と違い、気軽に確認することができます。

ご自身の資産状況や貴重品の在処をまとめている方がいる他、ご葬儀や遺品整理の希望が書いていることも多いので遺品整理の前に目を通しておくと役立ちます。

ご家族・ご友人へのメッセージが書かれていることも多いので、ぜひ皆さんで目を通しましょう。


デジタル遺品(サブスクの契約等)に注意する

デジタル遺品とは、デジタル機器・その内部情報の他にも、各種SNSやネットのサービスの契約のことの総称です。

デジタル機器は、ゴミに出す前に初期化をしないと個人情報の漏洩リスクがあるので、専用ソフトか業者に依頼してからゴミに出しましょう。種類によってはリサイクル品として回収されます。

その他注意したいのは、ネット口座やサブスク契約の有無

特に、サブスクは「契約が続いていたサブスクなどから急に高額の請求が来る」などのトラブルにつながるので、ご遺族が把握しておく必要があります。

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ネットのサービスの契約を消すために、口座やクレジットカードを停止するのはとても簡単。
しかし、この方法はサブスクなどを一気に処理できる代わりに、遺族に延滞料金の請求が来るリスクがあるようです。

「契約しているサービスは把握できたけど、パスワードはわからない」といったケースも多々あるようです。この場合、ご遺族による代理ログインを認めているサービスも多いので、一度サポートセンターに連絡しましょう

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遺品整理業者の中にはデジタル遺品を専門にしているところもあるので、不安な場合は依頼するのもおすすめです。

相続放棄は3か月以内に決める

故人に莫大な借金があった場合、相続放棄を選ぶ方もいらっしゃいます。家庭裁判所に必要書類を提出することが可能です。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

民法第915条

3か月以内に放棄しなかった場合は、原則相続することになります。やむを得ず放棄したいのであれば、弁護士などの専門家に相談しましょう

この時注意したいのは、相続を放棄しても、遺品整理は必要になること。次の相続人や相続財産管理人が決まるまで、現在の相続人が遺品を管理する義務があるためです。

ただし、相続を放棄した場合、金銭に関わる遺品に手をつけることはできなくなります

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「遺品管理の期間が長いので、色々不安」という方は、遺品整理士が在籍する遺品整理サービスの利用も検討しましょう。

遺品整理は複数人で行う

遺品整理で大切なことは、関係者全員が納得する結果になるということ。一人で遺品を整理すると「あれがない、誰かが持って行ったのでは?」といった風にトラブルの元になります。

写真や賞状、お手紙などの品物は、誰かにとっては価値がなくとも、他の誰かには大切な思い出かもしれません。

だからこそ、整理は原則関係者が全員集まれる日に行うのがベスト。それが無理でも、複数人で行うようにしましょう。

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四九日法要など、親族が集まる日は遺品整理・形見分けにおすすめです。

近隣への騒音トラブルに注意する

遺品整理の際、家具や家電を動かす段階になりますと、騒音やホコリが大量に出てしまいます。お家の状況によっては、臭いが問題になることもあります。

どれもご近所トラブルに発展するリスクがあるので、整理に入る前にあいさつをしておきましょう

作業は早朝・深夜は避けるのがおすすめ。大声での会話も迷惑になります。

なるべくドア・窓をしめたままの作業を心がけるなど、騒音を漏らさない工夫をしましょう。

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遺品整理業者に頼めば騒音や作業時間についても配慮してくれるので「細かいものは自分達で片づけ、大型のものは業者を呼ぶ」といった依頼をすることもおすすめです。

遺品整理で残すべきものの選び方のポイント

遺品整理で必ず残すべきものは大きく分けて下記の2種類です。

  • 相続に必要:各種契約書類・支払い通知著・故人の身分証明書・通帳・印鑑など)
  • 貴重品:貴金属・美術品・骨董品などの鑑定が必要なものなど

この他にも、レンタル品がありましたら、個別に保管しておきましょう。

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歩行器・歩行車・杖などを介護用品のレンタル会社から借りている方もいるので、一度確認しておくと安心です。

この他に残すべきものは、思い出の品。遺品整理で判断に迷うものでもあります。

スムーズに作業を進めるために、事前に「残す思い出の品」の基準を関係者全員が集まれる日に決めておくことが大切。どうしても迷うようであれば残し、考える時間をとることもできます。

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迷う・迷わないに関わらず遺品の処分・売却を決める時は関係者全員で実物を確認した方がよいでしょう。

写真・ハガキなどの「邪魔になるけど、捨てにくい」というものは、デジタル化して残すというのもおすすめ。

家庭用コピー機のスキャナーやスマートフォンのアプリを使えば自宅で作業ができますし、写真用スキャナーをお持ちならなら、よりキレイな画質で取り込めます。

自分達では難しいと感じる場合は、専門業者に依頼すればOKです。

遺品整理の不用品処分のポイント

遺品整理で残すものが決まったら、不用品を処分していきます。

捨てるべきものは自治体のルールに従い、供養したいものは神社・お寺・専門業者にお任せしましょう。

まだ使えるものがあるようでしたら、売却するのもおすすめです。

売却を選ぶ時に注意したいのは、貴金属・美術品・骨董品は専門の業者を呼んで鑑定してから売却すべきだということ。通常のリサイクルショップでは知識が足りず、本来の価値より低く買い取られてしまうリスクがあります。

一見して価値がなくとも、故人がコレクションしていたものも鑑定に出した方がいいでしょう。カジュアルな品物は、ネットオークションで相場を調べる方法もおすすめです。

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古い切手、ラジコン、ミニカー、カード…等々、興味のない方にはゴミやオモチャのように見えるものでも、同じ趣味を持つ方々の間では宝石のように高値が付くケースがあります。
故人がコレクションしていたものは、捨てる前に価値を確認した方がよいでしょう。

もしも不用品が多く、自分で整理したくないという方には遺品整理業者がおすすめ。不用品回収業者と違い、遺品についての知識があるので供養してほしいものを供養してくれますし、買取の知識も豊富です。

故人の思い出の品も、丁寧に扱ってくれます。

タスくん

「粗大ごみ・家電をゴミに出すのが大変。誰がどう見てもゴミなものだけを処分したい」といったケースならば不用品回収業者でもいいかもしれませんが、遺品の整理に関することは遺品整理業者に頼んだ方が確実です。

遺品整理業者の選び方

遺品整理のためには、不用品回収業者に頼むより遺品回収業者に頼むのがおすすめです。

遺品を丁寧に扱ってくれますし、買取に関しても知識が豊富です。こちらの記事で紹介している遺品整理士が在籍している業者は、より安心して頼むことができます。

その他にも、良い遺品整理業者を選ぶ時には、相見積もりを取りましょう

【相見積もり時のチェック事項】

  • 代表者の氏名や会社の連絡先が明確
  • 専門資格(一般廃棄物収集運搬許可証・古物商許可証など)を取得しているか
  • 料金体系が明確か
  • サイトに実績を載せているか

見積もりを取っている間に担当者の対応・相性を確認することができますし、悪質な業者ほど料金体系・見積もりの作成が曖昧な傾向があります。

一般廃棄物収集運搬許可証という許可がないままにゴミを回収したり、古物商許可証を持たないままに遺品を買い取る業者は違法ですので、死角を持つ人がいるかどうかも確認しておきましょう。

業者の選び方の詳細は、下記の記事でも紹介しています。

遺品整理でよくある質問

遺言状があるかどうかわからない

公正証書遺言であれば、遺言検索システムを使って探すことができます。戸籍謄本と身分証明書を持って、公証役場に確認にいきましょう。自筆証書遺言の場合は、保管されていそうな場所を探すしかありません。見つけた後は、家庭裁判所に手続きを頼みましょう。

遺品整理はいつやるべき?

決まりはないので、気持ちが落ち着いた時に始めるのがおすすめです。

葬儀や四九日の後亡くなった月末や翌月末に始める方が多いようです。

ただし預貯金や貴金属、不動産等の相続税の課税対象になるものは、10か月以内に整理する必要があります。10ヵ月をすぎると、重加算税が発生してしまうので注意しましょう。詳細は下記の記事で解説しています。

遺品整理と生前整理の違いは?

遺品整理は残されたご家族が故人の死後に行い、生前整理はご本人が先に行うという点が違います。

作業内容は大きく変わりませんが、生前整理をすれば相続のトラブル予防や、ご家族の負担軽減に役立ちます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

遺品整理と形見分けの違いは?

形見分けの前に遺品整理が必要になります。

遺品整理で残すもの・残さないものを分類し、形見分けを行うという形になります。相続は遺言状が無い限り親族で行いますが、形見分けは誰でも参加できることが特徴です。

ゴミ屋敷で遺品を整理できない時は?

ゴミ屋敷は特殊清掃業者に依頼して整理・処分してもらいましょう。ゴミ屋敷は伝染病の菌や害虫が発生し、素人が対処すると危険なこともあるので、専用の薬剤で対処してもらうことになるのです。詳細は下記の記事で解説しています。

大家なら住人の遺品を整理できる?

遺品を整理・処分する権利があるのは相続人だけです。明らかな不用品でも勝手に捨てることはできないので、遺族や連帯保証人に連絡をとりましょう。

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