床にできた小さな傷やへこみを作ってしまい、どのように対処したら良いか分からないという人も多くいるのではないでしょうか。適切な方法を用いることで小さな傷やへこみは修繕することが可能です。
本記事ではフローリングの種類から、そのフローリングについたへこみや傷の正しい直し方まで詳しく紹介します。本記事を参考に自宅のフローリングを正しく手入れし、キレイな状態を保ちましょう。
フローリングのへこみ・傷の原因
現代では多くの家庭で使用されているフローリングですが、薄い木の板を張り合わせた複合フローリングが主流となっています。畳よりも手入れが楽で、硬すぎないフローリングは大変人気があります。
そんなフローリングは木製のため軟らかく、硬い物を落としたり重い物を長時間置いておくとへこんでしまいます。へこみの原因で一番多いのは重たい家具を同じ場所へ長期間置いておくことです。特にソファなどは人が座ることで加重があるため余計にへこみを作り出します。
フローリングの傷は家具を移動させたりした場合に発生します。傷はへこみと違って浅く広範囲に渡って付いてしまうことも多くあるでしょう。フローリングは傷やへこみが付きやすいと覚えておきましょう。
補修の前にフローリングの種類をチェック!
フローリングの材質によって適切な補修方法が変わります。こちらでご自身のフローリングの種類をチェックし、最適な方法を確認しましょう。
■無垢フローリング
無垢フローリングの無垢とは、垢が無いことから転じて混じり物の無い、素材そのものという意味です。つまり無垢フローリングとは一枚板を加工して作られたフローリングのことを指します。
木独特の模様を見ることができ、重厚感があり生命力を感じることができます。また無垢材は大変丈夫で使い込めば使い込むほどその豊かな表情を感じ取れるでしょう。
無垢フローリングは保湿性や断熱性に優れており、その温かみを感じることができるでしょう。その高い調湿性によって夏場はべたつかず、冬は静電気を発生させにくくしてくれます。しかし一部の気候などの中で使用していると、そのシンプルな作りから反りや割れが生じる可能性もあります。メンテナンスをしっかりとするようにしましょう。
■複合(合板)フローリング
複合フローリングとは、複数の合板を合わせた下地材に化粧材を貼り合わせたものです。化粧材の中には天然材やシートを張り付けたものがあります。またその張り付けた材料によって名前が変わります。2mm程度の厚さがある天然材を使用したものを挽き板フローリングと呼び、0.3〜1mm程度の薄い天然材を使用したものを突き板フローリングと呼びます。
シートフローリングというものもあり、これは表面に木目がプリントされたシートを使用した複合フローリングのことです。表面に使用された化粧材によって価格が変わり、挽き板フローリングが最も高価です。シートフローリングは実際の天然木を使用していないので、天然木の質感を感じることはできませんが、安価でメンテナンスも容易です。
■クッションフロア材
クッションフロア材とは、住宅用や店舗用によく使用される塩化ビニル系シート状の床材のことです。厚さもその用途によってさまざまなものがあり、厚みのある衝撃吸収タイプが広く使われています。
デザインも木目調や石目調もあり、使用する場所に適したデザインを選ぶことができます。またこちらはフローリングとは違いつなぎ目が出にくく水を通さないのが特徴です。
クッションフロアが衝撃吸収性に優れている理由は、4層構造になっているからです。表面からクリア層、プリント層、発泡層、不織布という構造になっています。このような構造になっているため重たい家具を乗せるとすぐにへこみができてしまうでしょう。傷付いてしまったりへこんでしまった部分は取り換えなくてはいけないというデメリットもあります。
無垢フローリングのへこみをアイロンで直す方法4ステップ
無垢フローリングにできてしまったへこみは適切な方法で元通りに戻すことが可能です。こちらではそのステップを細かく紹介します。
■ステップ1:無垢フローリングを削る
無垢フローリングのへこみを直すためにはフローリングに十分な水を染み込ませる必要があります。しかし無垢フローリングの表面には樹脂ワックスが塗られているのが一般的です。樹脂ワックスが塗られていることで表面を透明で光沢のあるフィルムを作り、水分の吸収を防ぐ役目もあります。そのためまずはそのコーティング部分をサンドペーパーで削る必要があります。
サンドぺーパーで削るのは表面のコーティング部分だけで充分です。コーティングが削れたら、水を適量垂らします。基本的にコーティングのある部分には染み込まず、サンド―ペーパーで削った部分のみに染み込みます。そのまま30分ほど待ってしっかりと水分を吸収するのを待ちましょう。
■ステップ2:アイロンを当てる
無垢フローリングのへこみ部分にアイロンをかけます。この時濡れた布をへこみ箇所に当てておくことを忘れないように注意しましょう。布が分厚すぎると無垢フローリングに熱が伝わらない可能性があるので、布の厚さは調節しましょう。
基本的に一度では十分な熱を与えられないため、水分を含ませアイロンを当てる作業を何度か繰り返すようにしましょう。またアイロンにスチーム機能がある場合は、布を使わずにスチームを直接へこみに当てて熱を加えましょう。
■ステップ3:無垢フローリングをならす
無垢フローリングのへこみが直る原理はフローリングの膨張です。へこんだ部分が熱で膨張し、へこみが直っているように見えます。その膨張は調節するのが難しいので、まずは表面の高さ以上に膨張させるのが良いでしょう。その余っている部分をサンドペーパーなどで削ってならしましょう。サンドペーパーで削った部分は色が白っぽくなりますが、そのままで問題ありません。
■ステップ4:ワックスで仕上げる
サンドペーパーでならした部分は現在表面コーティングが無い状態です。この状態ですと、水分を吸収してしまうので汚れが落ちにくくなります。また削った部分は他の無垢フローリングとは色合いが違うので、それを合わせるために蜜蝋ワックスなどを塗り込みます。
蜜蝋ワックスを塗る場合は、食品トレイなどのような捨てても良い容器に必要な分だけ出します。乾いた雑巾などに少量ずつ蜜蝋ワックスを付け、ワックスを塗りたい箇所に塗り込みます。色が馴染むまで何度も塗り込みましょう。
複合フローリングの小さなへこみや擦り傷には補修剤
複合フローリングの小さな擦り傷はフローリング専用の補修キットを使用することで、自分で補修することができます。大きなえぐれ傷には使用できないので注意が必要です。
【補修キットを擦り傷に塗り込む】
補修キットで最も一般的な物は「かくれん棒フローリング用ハードタイプ」です。この製品はフローリング色のクレヨンのような形状をしています。ドライヤーなどで先端を暖め、小さな擦り傷に塗り込みます。丁度良い色が無い場合は複数の棒を使用して色を調節しましょう。
傷が深い場合は包丁などでかくれん棒を切り取り、傷部分に埋めましょう。その際にはドライヤーを当てながら押し込むとしっかりと傷を埋めることができるでしょう。
【傷部分をならす】
「かくれん棒フローリング用」には専用ヘラが付属しています。こちらで傷部分に付着した余分なかくれん棒をすき取ります。周辺のフローリングに付着したかくれん棒を拭き取ります。このとき傷部分を埋めたかくれん棒を拭き取ってしまわないように注意しましょう。
賃貸でフローリングを凹ませた時にかかる費用
賃貸住宅の場合退去時に入居時と同じ程度の状態に戻さなくてはいけない、という原状回復義務があります。そのためフローリングに傷をつけてしまったりへこませてしまった場合には、それらを元の状態のレベルに戻さなくてはいけません。目につかない程度の擦り傷や、ちょっとしたへこみ程度の場合は修繕キットなどで目立たないようにすることができるでしょう。
しかし大きなえぐれたような傷や、深いへこみの場合は自分で修繕することができないため、業者に頼んで修繕してもらう必要があります。その場合、フローリングの張り替えでは1畳辺り3~6万円ほど掛かります。重ね張りができる場合は2~5万円ほど必要になります。
上述したようにフローリングには多くの種類があります。その種類によって可能な修繕方法が変わります。張り替えなどをせずに一部修繕が可能な場合はより安価になります。小さな傷・へこみの補修費用は、施工範囲が1㎡以下であれば8千~3万円程度で依頼が可能でしょう。
フローリングをへこませない対策・防止法
フローリングを一度へこませてしまうとその対処や修繕に手間や費用が掛かります。そうならないためにもこちらで紹介する方法を活用して、フローリングがへこまないように対策を取りましょう。
■椅子に脚カバーを付ける
椅子やソファなどは既にある重量に加えて、人が座ることでさらに大きな重量がフローリングへのし掛かります。その上椅子やソファの足は細く、フローリングと接している面積が狭いため大きな圧力が掛かるでしょう。そのような場合にもっとも簡単にできる対策が脚カバーを付けることです。
近頃は多くのデザインの脚カバーが発売されているため、こだわっている部屋の景観を崩さないおしゃれな物を探しましょう。ナチュラルなデザインからキャラクターが描かれている物まで幅広くあります。また汚れたら簡単に洗濯が可能という点でも、衛生的です。
■緩衝材を使用する
家具用の緩衝材は脚カバーのように椅子やソファーを覆いかぶせるものではなく、フローリングに接している部分に張り付けてフローリングへ傷を付けないようにする対策方法です。緩衝材は基本的にフェルトなどの素材でできており、重量のある家具から大切なフローリングをしっかりと守ります。必要に応じてフェルトの硬さを選ぶことができるので、適切な物を選びましょう。
またフェルトタイプの緩衝材は、シールタイプで張り付けることができます。そのため簡単に取り付けられ、劣化したり汚れたりしたら簡単に外すことも可能です。家具の接地面の大きさに合わせて切り取って調節することもできるので便利です。
■チェアマットを敷く
家具の加重によって発生するフローリングのへこみを防ぐためには、チェアマットを使用すると良いでしょう。ダイニングテーブルなどの下をカバーするように敷いておけば、食事などの汚れもさっと拭き取ることができます。食べ残しや飲み残しの汚れもフローリングを劣化させる原因になりますので、チェアマットは大変便利です。
また滑り止め効果もあるのでダイニングテーブルや椅子の滑り止めとしても活躍します。レイアウトに応じて好きなようにカットして使用することが可能です。そのためどのような家具の広さでも対応できるのです。耐熱性もあるので床暖房などを使用している家庭でも問題なく使用できます。
■カーペットを敷く
フローリングの上にカーペットなどを敷くことに抵抗が無い場合は、カーペットやラグを敷くことでフローリングを傷つけないで済みます。例えばリビングルームに置くソファーやテーブルなどの下にカーペットを敷けば、家具による傷をフローリングから防ぐことができます。またカーペットがあることで地べたに直接座ることも容易になります。
カーペットは滑り止めが付いていないことが多くあります。そのため滑り止めシートをカーペットの下に敷くと良いでしょう。また火の始末のことを考えて不燃性のカーペットを選ぶことをおすすめします。
大きなへこみや穴は業者に依頼するのがおすすめ
フローリングに付いた大きなへこみやえぐれを自分で補修使用すると現状よりも悪化してしまうということがあります。やはり素人が自分で補修できるへこみには限界があります。
自分での補修が難しい場合には専門業者に依頼するのが一番でしょう。フローリングの材質やその傷の状態などで価格は変動しますが、1万5千円程度から5万円程度が相場です。
専門業者に依頼することで、へこみやえぐれを目立た差無くするのではなく、しっかりと補修した後に木目まで再現してくれます。まずは専門業者に見積もりを頼んでみると良いでしょう。
まとめ
フローリングについたへこみや小さな擦り傷は適切な方法を用いれば修繕することも可能です。本記事を参考に正しい方法を学んでフローリングをしっかりとお手入れしましょう。