お部屋に彩りを与えてくれる観葉植物。しかしふと見ると白いフワフワしたものが…。「まさか、カビ!?」
大切に育てていたはずの植物にカビが生えるなんてショックですよね。しかし、良かれと思ってやっていることがカビの原因となっている可能性もあります。
今回は観葉植物にカビが生えてしまう原因とその対処法、カビを予防する方法も紹介。もしカビが生えてしまっても正しく対処することで観葉植物を育て直すことは可能です。ぜひ参考にしてください。
観葉植物にカビが生える原因4つ
観葉植物の場合、栄養と湿気が豊富な土にカビが生えることが一般的です。カビの生育はとても早く放置すると土全体に広がりカビ臭いニオイの原因となることも。まずはカビが生える原因を知っておきましょう。
観葉植物にカビが生える原因その1|室内環境 ■①室内がジメジメしている
観葉植物を置く部屋自体が湿っぽくはないですか?カビの原因菌は空気中のどこにでも漂っています。そして生育条件である「温度」「湿気」「栄養」がそろうと一気に増殖。
最近の住宅は室内の快適さを保つため機密性の高いものが一般的です。そのため1年中快適な温度で湿気も逃げづらい。特に冬場などは風邪やインフルエンザ予防のため、加湿器をつけっぱなしにしているという方も多いのではないでしょうか?観葉植物を置く室内自体が実はカビの育ちやすい環境になっている可能性があります。
カビが育つのに必要な湿度は70%以上。「そこまで部屋はジメジメしていない」と思うかもしれません。しかしポイントは、カビが生育するため使うのは空気中の水分ではなく付着したものの水分ということ。観葉植物の土はもともとある程度の保水性があります。室内の湿気が多いとカビの好きなジットリとした状態になりやすいのです。
観葉植物にカビが生える原因その2|植木鉢や土 ■②鉢や土の水はけが悪い
観葉植物の土や鉢を選ぶとき、どのような基準で選んでいるでしょうか。室内で育てる観葉植物はお気に入りのインテリアとして飾りたいもの。植物を入れる鉢にもこだわりたいですよね。
しかし鉢の素材には注意が必要。ガラス製の鉢や底穴のない鉢を使っている場合、根が吸いきれなかった水の逃げ場がなくなります。結果として土に湿気が残りカビの生えやすい環境に。
また観葉植物を入れている土は買ったときのままではないですか?観葉植物用の土は元々、根がしっかり呼吸できるようたくさん空気を含んでザラついています。しかし土には経年劣化があり、時間とともにだんだん細かく粘土質になっていくもの。ベットリした土は水はけが悪くカビにとっては最高の生育環境なのです。
観葉植物にカビが生える原因その3|水・肥料 ■③水や肥料のやりすぎ
元気よく育てたいからといって水や肥料をやりすぎるのは禁物。人間の体と同じで植物の根が吸収できる水や肥料の量にも限界があります。
根や土が乾いていない状態で水やりを続けると、行き場を失った水で鉢の中が常に湿っている状態に。また弱った観葉植物を回復させたり、元気な状態を保ったりするために肥料を使う方も多いと思います。しかし多すぎる肥料は余るだけ。土の中や表面に残った肥料はカビにとっても嬉しい栄養源です。湿った土と豊富な栄養分でカビはどんどん生育します。
さらに肥料のやりすぎで土中の肥料成分が濃くなると、浸透圧の影響で根から水分が出ていきます。結果として根が萎れたり枯れたりする「肥料焼け」をおこすことに。肥料をやるには十分な注意が必要です。
観葉植物にカビが生える原因その4|ウッドチップ ■④ウッドチップで湿気が逃げれない!
色や形が豊富なウッドチップ。置くだけでオシャレ感が増すため人気のアイテムです。防虫などの嬉しい効果がある反面、意外にもウッドチップがカビの原因になることも。
元々ウッドチップは土の乾燥を防ぐために使用されるもの。土の上に撒くことで表面からの水分蒸発を防止します。そのためウッドチップが効果を発揮するのは、夏場の高温になる庭などで使用する場合。室内で育てる観葉植物に対しては実は逆効果で、カビが育ちやすい湿気の多い環境を作ることになってしまいます。
またウッドチップを敷いていることで、土に日光が当たりづらくなります。しっかり光を当てていたとしても、ウッドチップの下は常に日影と同じ。手入れをおこたると「ウッドチップの裏側を見るとカビがビッシリ…!」なんて恐ろしいことにもなりかねません。
観葉植物にカビが生えたときの対処法3つ
観葉植物にカビが生えてしまっても、鉢ごと捨てるのは考えもの。きちんとカビを除去すれば再び観葉植物を楽しむことができます。
観葉植物をカビから復活させる方法その1 ■①土カビは土の入れ替えが必要
土カビは放置していると土全体に広がっていきます。見つけた段階で土を入れ替えるのがベスト。
観葉植物を大きく育てたい場合は今の鉢より一回り大きい鉢を選びます。
部屋のスペース的に今より大きくしたくないときは、伸びすぎた根や枝・葉を除去してから土を入れ替えましょう。ここでは根を除去してから土を入れ替える方法を紹介します。
【土の入れ替え方法】
1. 鉢から根ごと観葉植物を引き抜く。
2. 土や根を下から3分の1ほど、手でほぐしてから切り取る。この時腐った根を見つけたら一緒に取り除く。
3. 新しい鉢の鉢底にネットを敷きその上に軽石をのせる。
4. 新しい土を鉢の3分の1程度入れ植物を入れる。
5. 植物が傾かないよう隙間にしっかりと土を入れる。
6. 最後に水やりをして完成。
※注意※土はゴミとして処分できないことが多いです。家庭ゴミと一緒に袋に入れてゴミに出すのはNG。処理の仕方は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
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観葉植物をカビから復活させる方法その2 ■②土表面ならアルコールスプレーでもOK
土の表面にカビが生えてまだ間もない状態なら、カビの生えた部分だけをアルコールやお酢で殺菌できます。「新しい土を買いに行く時間がない」という方にもオススメの方法。簡単にできますが、カビの胞子が舞う可能性があるため屋外でマスクをつけて行って下さい。
【準備するもの】
・消毒用アルコールorお酢
(消毒用アルコールは台所用など普段使っているものでOK。無水エタノールを使う場合は70%に希釈しましょう。お酢を使う場合は調味酢ではなく醸造酢を使用してください。水500mlに対して小さじ1程度のお酢スプレーを作っておきます。)
・汚れてもよいビニールシートや新聞紙
【殺菌方法】
1. まずは土表面のフワフワしたカビを取り除く。
(取り除いたカビは袋に入れ、しっかりと封をして捨てます。)
2. カビが生えていた表面の土をビニールシートなどの上に広げる。
(この時できるだけ土がくっつかないように薄く広げましょう。)
3. 土が軽く湿る程度に消毒用アルコールかお酢スプレーを散布。そのまま日に当てて乾かす。
4. 乾いたら鉢に土を戻す。
もっと手早く作業したいときは鉢の土カビに直接スプレーしてもOK。ただし植物に液がかからないよう、キッチンペーパーやラップを植物に巻いてからスプレーしましょう。
観葉植物をカビから復活させる方法その3 ■②葉や茎のカビは専用のカビ取り剤を
土ではなく植物にカビが生えるケースもあります。葉が粉をまぶしたように白くなっている場合「うどん粉病」を疑いましょう。うどん粉病になっている場合、植物用のカビ取り剤を使用します。
◆うどん粉病とは
うどん粉病の原因は糸状菌というカビ。土の中や落ち葉の下に隠れているカビが植物に付いて広がっていきます。白くなっているのが一箇所の場合でも要注意。放っておくと植物全体が白くなるくらいカビが広がります。
葉に白い部分を見つけたらすぐにカビをやっつけましょう。植物用のカビ取り剤は食品原料から作られています。野菜や果樹へ使用できるくらい安全性も高いため、化学薬品を使いたくないという人でも安心して使用できますね。
カビ取り剤にはスプレータイプと希釈して使用する原液タイプがあります。気づいたときにすぐ使えるスプレータイプを1本持っておくのが良いでしょう。
観葉植物のカビ予防対策5つ
しっかりとカビを除去したらカビ防止の対策をしましょう。オススメの方法を5つ紹介します。
観葉植物のカビ予防その1|室内環境 ■①室内をカビにくい環境にする
まずは室内をカビが生えにくい環境に変えるのが先決。1日に1回は必ず窓を開け部屋の空気を入れ替えます。このとき観葉植物を風の通り道に置くと、葉や土に風が通りカビ予防になります。
また部屋の中で観葉植物を置く場所の見直しも必要です。風通しの良い場所や多少日当たりのある場所がベスト。たくさん日光が当たる窓際がいいと思うかもしれませんが、観葉植物は直射日光が苦手。レースのカーテンやガラスシートなどでほどよい光になるよう工夫しましょう。
さらに注意しておきたいのが、窓際は夜間の冷え込みで外気の影響を受けやすい場所ということ。日中との寒暖差が大きくなり植物にストレスを与える可能性もあります。窓際に置く場合、夜間は室温の安定しやすい部屋の中央に移すように心がけてください。
観葉植物のカビ予防その2|日当たりも大事 ■②観葉植物を外に出す時間を作る
室内で育てている観葉植物でも、たまにはベランダやお庭などの屋外に出してあげるのが正解。屋外であれば葉にも土にもしっかりと風が通ります。また室内よりも十分に光合成できるため植物も生き生きするでしょう。
観葉植物を屋外に出すときの2つのポイントをまとめました。
◆屋外の日影に置くこと
今まで部屋の日影にばかり置いていた場合いきなり外に出すのはNG。まずは室内の光が差し込む程度の明るさに1週間くらい置き、徐々に光に慣らすことが重要です。
屋外でも直射日光に当てるのは厳禁です。屋外は日影でも室内と比べものにならないほどの光量。風通しの良い日影に置くようにしてください。
◆季節によって屋外に出す時間を変える
季節によって屋外に出す時間は調節する必要があります。夏は昼間の暑い時間帯だと植物が弱ってしまいます。太陽が登り切る前の午前中だけがベスト。逆に冬の場合、昼間を過ぎると気温が急激に下がります。冬場は太陽が高い12時〜14時のあいだにしましょう。
観葉植物のカビ予防その3|水やりのタイミング ■③水やりはしすぎない
水やりは鉢の中に酸素を送り老廃物も流し出す、鉢の中の新陳代謝を行う役割もあります。土が乾いていない状態で頻繁に水をやっていると、酸素が行き届かず老廃物も貯まることに。溜まった老廃物はカビのエサにもなります。
観葉植物には水やりが欠かせませんが大事なのはそのタイミング。水やりは「乾いてからたっぷりと」が原則です。
【水やりのタイミング】
土は乾くと白っぽくなってきますが、表面が乾いても土の中が湿っていることは多いです。指の第1関節までを土の中に入れ土が乾いていることを確認しましょう。そして葉の先が少し垂れていたらたっぷりと水をやります。茎まで垂れ下がってしまうと枯れてしまう可能性があるため、土の乾きと葉先の垂れ具合を目印にしてください。
観葉植物のカビ予防その4|鉢と土も重要 ■④水はけのよい鉢や土を選ぶ
鉢や土の水はけが良ければ湿気も溜まりにくいもの。「どうしても部屋の風通しが悪い」という場合、鉢や土の種類を変えて対策しましょう。
【鉢を選ぶポイント】
素焼きの鉢やテラコッタ製の鉢は通気性バツグン。これらの素材は表面に微細な穴が空いているため、鉢全体から湿気を逃がすことが可能です。
「素焼きの鉢だと少し味気ない」という方には木製の鉢やペーパークレイの鉢もオススメ。素焼きの鉢よりデザイン性が高いものが多く湿気も逃がしやすい素材です。
【土を選ぶポイント】
最近では肥料などが配合され「観葉植物用」として売られている土が多いですよね。自分で土を配合する手間が省け、知識がなくても観葉植物を育てやすいので非常に便利。しかしどの土でも同じではなく保水性が高い土から乾燥しやすい土まで種類は様々です。
カビ予防に適しているのは水はけと通気性の良い土。パッケージの表示をしっかり確認してから購入しましょう。中には元々カビがつきにくいよう加熱処理をしている土もあります。どうしても湿気が逃げにくい部屋などの場合は防カビ加工済みの土を選ぶと良いですね。
観葉植物のカビ予防その5|薬を使う方法もアリ ■⑤観葉植物用の防カビ剤を使う
「対策はしっかりしたけどまだ少し心配」という方は、観葉植物専用の防カビ剤がオススメ。
どれだけしっかり対策をしても観葉植物の土からカビの原因菌を取り除くのは不可能です。一般的な家ならば室内に360種類ほどのカビが生息しているのが普通の状態。またカビは元々土の中にいるものなので、栄養豊富な観葉植物の土が大好き。
しかし防カビ剤を使えばカビが増殖する確率をグンと低くすることができます。オススメは観葉植物専用の化粧石タイプ。石に浸透させている防カビ剤が土表面のカビの成長を阻害します。
使い方は簡単で土の表面が隠れる程度に敷きつめるだけ。オシャレな見た目でインテリアの邪魔をしないのも嬉しいですね。
防カビ剤は化粧品にも使用される成分を使用しているため安全面もクリア。毎日の水やりや日光に当たることで防カビ剤が溶け出す心配もありません。他の対策と合わせて防カビ剤を使用すると効果的にカビ予防ができます。
観葉植物のカビによる影響2つ
見た目が悪くなるだけでなく、観葉植物のカビは私たちの健康や植物そのものの生育にも影響する場合があります。被害が出る前にきちんと対処することが何よりも重要です。
観葉植物のカビによる影響その1 ■①アレルギーの原因になる場合もある
カビを構成するのは菌糸と胞子。菌糸は栄養を吸収するために張り巡らされ、胞子は生育範囲を広げるため飛散します。菌糸も胞子もアレルギーの原因物質です。
特に胞子は非常に小さく空気中に浮遊しやすいため要注意。知らないうちに皮膚に触れたり鼻粘膜や気管支に定着しやすいと言われています。そのためカビが原因でぜん息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を発症することも。
アレルギー体質になってしまうと少ない刺激でも症状が出やすくなります。「部屋に帰ると咳や鼻水、目の痒みが出る」という方は観葉植物にカビが生えていないか確認し、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
また室内のダニもアレルギーの原因物質として有名ですよね。ダニはカビが大好物です。そのためカビを放置しておくとダニも増殖してしまう、非常にやっかいな相乗効果が生まれてしまいます。
観葉植物のカビによる影響その2 ■②観葉植物が枯れてしまうかも
一般的にカビは土表面で増殖していきますが「うどん粉病」のように植物に付着して増殖するケースもあります。発見や対処が遅れてカビが葉の大部分に回ってしまうと植物が枯れる原因に。
カビが増殖して白くなっている部分では光合成ができません。植物の栄養源は根からの吸収と光合成によって作られた有機物。光合成ができない状態だと栄養不足となり枯れてしまいます。うどん粉病のほかに「すす病」という病気もカビが原因。放置すると同じように植物を枯らします。
また、土の表面にカビが生えているときは根も被害を受けている可能性大。土の表面が湿っているということは、土の中にも水分がたまっているということ。常に湿気のある環境に置かれ続けた根は酸素不足となり「根腐れ」を起こしてしまいます。
植物そのものに悪影響が出て枯れる前に、カビを見つけたときはすぐに対処してあげることが大切です。
「観葉植物の葉が白い」のはカビじゃないかも
葉が白くなっているときは害虫であるハダニの被害も考えられます。
◆ハダニの特徴
名前にダニとはつくものの実はハダニはクモの仲間。雑草が茂っている場所によく生息し、風にのったり衣服に付いたりして家の中入ってきます。どんな植物にも生育しやすく体長は1mm未満と非常に小型。加えて葉の裏や葉と葉の重なっている部分のような発見しづらい場所に潜むため見つけるのが困難です。
◆ハダニによる観葉植物への被害
ハダニは植物の葉から栄養を吸汁して生育します。被害にあった葉は葉緑素を抜かれ、最初は白い点々が発生。少数のハダニであれば被害は少ないですが、繁殖能力が高く増殖するのはあっという間。日に日に葉緑素が減り、光合成ができなくなることで枯れてしまうことも珍しくありません。
◆ハダニへの対処方法
ハダニの数が少ないうちに見つけた場合、セロハンテープで取り去ることが可能。すでに繁殖してしまっている場合は市販の殺ダニ剤を散布して駆除しましょう。
とはいえ、ハダニの被害に遭わないためには日頃からの予防が大切。ハダニはカビとは逆で湿気を嫌います。そのため葉の両面を定期的に水ぶきしたり、水やりのときに霧吹きで葉水をしっかり行ったりすることで予防できます。日頃のお手入れにカビ予防だけでなくハダニの予防も一手間加えてあげましょう。
観葉植物のカビ対策|まとめ
今回は観葉植物にカビが生える原因と対処法、予防法を紹介しました。あなたの日頃のお手入れ方法や室内環境は問題なかったでしょうか?
元々栄養豊富な観葉植物の土に湿気がたまると、一気にカビの生えやすい環境が整います。室内にも観葉植物の土にも湿気がたまらない環境を整えていきましょう。
お部屋に観葉植物が飾ってあるだけで癒しの効果があり、インテリアとしても秀逸です。正しくお世話をして観葉植物のある素敵な暮らしを楽しんで下さい。