ブヨは日陰と水辺を好む昆虫です。キャンプ・登山の際によく出没するものの、目視できないため退治し辛いのが厄介です。特に6~9月の夏場は活発で、注意しなければなりません。
刺されてしまうと翌日から激しい痒み・痛みが1~2週間続くため、少しでも早い対応が大切になります。この記事では、刺されないための予防策と刺された後の対処法を解説していきます。
ブヨ(ブユ・ブト)の特徴やアブとの違い
ブヨとはハエ目カ亜目ブユ科に属する昆虫の総称で、地方によってはブユ・ブトと呼ばれています。大きさは3~6㎜程度で、似たような扱いを受けるアブと比べると小さいのが特徴です。
蚊と同じく人間から吸血する虫ですが「皮膚をかみちぎって吸血する」という点が異なり、痒さ・痛みも蚊より激しいです。
アブに刺された時も強い痒みと腫れが発生しますが、噛まれた時に痛むアブと違い、ブヨは翌日に症状が出るので気づきにくいことも特徴です。
ブヨは湿度を好む虫で、発生する時期は3~10月頃です。特に6~9月は活発に活動します。全国の渓流などの川辺が生息地です。日光が届かない場所を好み、キャンプ場や登山コースなどが絶好の住処になっています。最近は郊外だけではなく、水がキレイならば街中の公園に発生することもあるので、注意が必要です。
ブヨの刺されたときの症状とは?
ブヨは人の皮膚を噛み切って出てきた血を吸い、唾液から毒素を注入します。噛まれた時は痛みがないので、気づきにくいです。点状の出血・内出血や水ぶくれがあったらそれが刺されたサインです。
刺された翌日には患部が熱を持って腫れあがり、激しい痒み・疼痛などの症状が1~2週間続きます。この症状は時間が経つほど強くなる傾向があり、赤いしこりや色素沈着が残る場合もあります。
膝の裏や足首などが刺されると、腫れた部分がどこかに触れたり、関節を曲げ伸ばしする度に痛んでしまいます。
とはいえ、この症状は個人差が大きく、我慢できないほどに痒い方も気づかない程度で済む方もいます。
ただし、ブヨの持つ毒素は、アレルギー反応を起こすと炎症・痒さだけでなく呼吸困難のリスクがあります。登山・キャンプをする際には、刺されないための対策をとって安全を確保しましょう。
ブヨに刺されないための対策4つ
ブヨは多くの虫除けスプレーや蚊取り線香が効かない厄介な害虫です。目視できなほど小さいので、見つける前に駆除しなければいけません。ここでは、刺されないための対策を4つに分けて説明していきます。
■ブヨに効果のある虫よけスプレーを使う
ブヨ退治のためのスプレーを選ぶ時注意したいのは、市販の虫除けスプレーでは効果が薄いことです。「ブヨ(ブユ・ブト)の忌避」と記入されていたり、ディートと呼ばれる成分が含まれるスプレーならば、ブヨに効果があります。ただし、ディート入りのスプレーは発疹や痒みの副作用が起きるリスクがあるので、お子さんには不向きです。
スプレーを使う時は腕・足首・手の平などブヨに刺されやすい部分を重点的に吹きかけるのがおすすめ。顔・首筋も刺されることがあるので、手の平にスプレーして肌に直接塗ってください。汗で流れてしまうので、小まめにスプレーしましょう。
■ハッカ油スプレーを使う
ブヨ対策用のスプレーは、ハッカ油を使って自作することもできます。ディート入りのスプレーと違い、濃度を調整すればお子さんにも安心して使えます。
市販のスプレーと違い、持続時間は30分程度なことには注意してください。
【ハッカ油スプレーの材料・作り方】
・ハッカ油…3滴~
・エタノール…5ml
・精製水…45ml
・スプレーボトル(ポリスチレン(PS)以外)
上記の材料をスプレーボトルに入れて混ぜれば、ブヨ対策用スプレーが完成します。ハッカ油の量は実際に使って肌に負担がない濃度を探していきましょう。
ポリスチレンの容器に入れると、ハッカ油が容器を溶かしてしまうので、必ず他の種類のプラスチック容器に保存してください。
■露出を控えた服装を心掛ける
手軽なブヨの対策は、肌を見せないことです。蚊と違い服の上から刺されることはないので、肌を見せなければ安心して歩けます。
水辺・キャンプ場・登山コースなどのブヨが好む場所を歩く際には、長袖長ズボンなどの肌の露出を控えた服装で行動しましょう。タイツや長めの靴下で足首を守ることも大切です。
しかし、ブヨが活発なのは6~9月の夏なので、暑がりのお子さんなどが我慢できないかもしれません。その場合、ブヨが多い朝晩だけは長ズボンを履くなどの対策を徹底するのがおすすめです。
黄色・オレンジなどの服を嫌う習性もあるので、そちらも意識して服を選びましょう。
■水辺には注意する
服装・装備に気を付けなくとも、水辺に近づかないだけでもブヨ対策になります。ブヨが生息するためには、キレイな水と日陰が必要です。水辺に近づく時には、上記で説明した対策・服装を心掛けてください。特に曇りの日や気温の低い日は活発に活動するので、注意が必要です。
【ブヨが水辺に多い理由】
血を吸うブヨはメスのみで、産卵に備えて栄養をつけるためです。産卵は春から夏にかけてキレイな水辺で行うため、その時期に近づくと血を吸いたいブヨがうようよといるというわけです。
ブヨに刺されたときの対処法3つ
ブヨに刺されて痒くても、掻いているだけでは治りません。できれば痒みが出るより早く噛み跡を見つけて、すぐに対処しましょう。その方法を3つに分けて解説していきます。
■水・ポイズンリムーバーで毒素を洗い流す
ブヨに刺されたと気づいたら、すぐに傷口を水で洗いましょう。水道がない場所に行く時は、水の入った500mlペットボトルとシャワーヘッドを持ち歩くと安心です。
洗う際に意識したいのは、刺された患部を指でつまんで毒素を絞り出すことです。透明・あるいは血が混じった液体が出てこなくなるまで、しっかりと絞り出して洗うことが重要です。
指で絞り出すより簡単なのは、ポイズンリムーバーを使うことです。患部にリムーバーを押し当てて操作するだけで簡単に毒素を出すことができます。
ポイズンリムーバーはAmazonなどの通販やドラックストア・ホームセンターで購入することができます。
■患部を温める
ブヨに刺されて腫れた場合は、冷やすと痛み・痒みが和らぐと言われています。
しかし実はブヨの毒素には、43℃以上の熱で中和できるという性質があります。タオルに包んだカイロで温めたり、シャワーを当てたりすればそれ以上症状が進むことはありません。
とはいえ、患部を冷やすこと・温めることに関しては医学的な根拠は薄く、一時的な対処にすぎないとも言われています。
刺された傷口を見つけたら清潔な水で洗い流して毒を絞りだすのが一番です。それでも痒み・炎症が起きてしまった場合は、薬を使いましょう。
■ステロイド系外用薬を塗る
ブヨの傷口を洗い流したら、市販の虫刺され用のクズリを塗るのがおすすめです。ムヒアルファEXなどのステロイド系外用薬(抗ヒスタミン系軟膏)を用意しておきましょう。
かきむしってしまうと炎症が慢性化してしまうので、伴倉庫などで患部を保護することも大切です。
市販の薬で痒みが引かないようでしたら、早めに皮膚科を受信してください。そのままにしておくと慢性的なかゆみがある他、結節性痒疹という状態まで悪化し、長期間通院することになります。
まとめ
ブヨに刺されると蚊よりも強い痒みと痛みが続きます。刺されないためには、露出を控えてブヨ除け用スプレー・ハッカ油スプレーを使って行動するのがおすすめです。
もし刺されてしまったら、指やポイズンリムーバーで毒素を吸い出し、水で洗い流した後に薬を塗ることが必要です。症状が続く場合は皮膚科を受診しましょう。