畑や森林などを、鹿が荒らして困っている方もいるのではないでしょうか?鹿は可愛らしい姿から親しみやすく、キャラクターに起用されたり絵本などにも登場しています。しかし、見た目とは裏腹に実は厄介者で有害鳥獣に指定されている動物です。
以前は鹿による被害はあまり報告されていませんでしたが、近年は増加傾向にあり、地域によってはかなり深刻な状況になっているでしょう。損失額も無視することができず、地域だけでなく国を挙げて駆除対策を行っている自治体もあるほどです。
そこで今回は鹿の駆除についてご紹介していきます。自分でできる鹿の撃退方法、予防策、駆除した場合の報奨金、プロに依頼した時の費用目安などをまとめました。
鹿の生態
鹿はほぼ日本各地に生息しており、北海道~九州で確認されています。まずは鹿の生態からチェックしていきましょう。
【性格や行動】
臆病な性格で警戒心が強い一方、安全であることがわかると定着します。昼夜関係なく活動し、オスとメスはそれぞれ群れで行動する動物です。
【外見】
体長は約110cm~170cm、体重は約40kg~110kg、角が生えているのはオスのみです(毎年生え変わる)。毛色は春~夏になると白い斑点が現れ、秋~冬は全身がこげ茶色になります。
【身体能力】
跳躍が得意で約150cmの柵を飛び越えることも可能です。また、1日の移動距離は数km〜数十kmと言われています。
【食性】
草食で樹皮や枝葉などを食べ、1日に3kg〜5kg以上食べる動物です。
【繁殖】
繁殖期は8月~10月の2ヶ月間しかありませんが、繁殖力が強く4年間で2倍に増えます。メスは1年に1頭出産し、双子を出産するケースも珍しくありません。
鹿による被害とは?
鹿による被害は深刻で、森林業や農業の他に一般家庭にも影響を及ぼすことがあります。鹿が増え過ぎて過密状態の地域は、死活問題に発展するケースもあるため軽視することができません。鹿被害による代表的なものは以下の3つです。
■①自然界にエサがなくなると家庭菜園などを食べる
鹿は草食動物のため、駆除や対策をしなければ植物が被害に遭います。基本的に森や山に生息しており草木を食べていますが、以前に比べて自然が少なくなり食料困難の状態です。
鹿は森や山に草木がなくなると下山して人間の生活圏に入り込み、庭の樹木や家庭菜園を荒らすこともあります。
■②樹木の皮を食べられると枯れたり病気になる
鹿が食べる植物は草木だけでなく、食料困難に陥ると樹木の皮まで食べる動物です。鹿が食べる植物の種類は1,000種類以上と言われており、特にスギ、ヒノキ、ミズキ、リョウブなどを好みます。
樹木の皮を食べられてしまうと生育不良や病気になるなどの被害に遭い、特に森林業や農家は大打撃を受けることもあるでしょう。
■③土砂崩れが発生する可能性もある
鹿が森や山の植物を食べると最悪の場合は土砂崩れが発生します。森林は地面に植物があることで雨による土壌流出などを防ぐことが可能です。
しかし、鹿による被害で植物がなくなると土壌は雨をダイレクトに受けやすく、地盤が緩み土砂崩れなどが発生しやすくなります。特に傾斜がある土壌や傾斜がキツい土地は、台風や梅雨時などに土砂崩れを起こしやすいでしょう。
鹿の駆除方法によっては狩猟免許が必要
鹿被害は死活問題になることもあるため、駆除を検討している方もいるのではないでしょうか?しかし鹿の駆除には狩猟免許や市町村の許可が必要です。資格や許可のない一般人が鹿を駆除したいと思っても勝手に駆除することはできません。
鹿の駆除方法は罠や銃を使い、駆除すると手当がもらえる地域もあります。手当の金額は駆除数や市区町村によって異なるため、気になる方は自治体のホームページや電話で確認しましょう。
自分でできる鹿の撃退・対策方法3つ
今すぐに鹿をに駆除することができなくても、3つの方法で撃退したり予防することができます。なお、全て自分で対処できる方法のため、ひとまず早急に鹿対策を取り入れたい方にもおすすめです。畑などを荒らされているなどの被害に遭っている方は、ぜひ参考にしましょう。
■①天敵であるオオカミの尿を設置する
鹿を撃退して予防策もしたい方は、天敵であるオオカミの尿を使うのも手です。野生の動物はマーキングをして縄張りをする習性があり、オオカミの尿を使うと鹿が寄り付きにくくなります。また、天敵のニオイは慣れにくいと言われており、鹿の撃退や予防策としても効果的です。
設置方法は、専用容器にオオカミの尿を入れて数メートル間隔に吊り下げます。すると、風が尿のニオイを運び、鹿にオオカミの縄張りであることを認識させる仕組みです。忌避効果の期間は商品にもよりますが、約1ヵ月ほど続き、継続して対策する場合は専用容器に尿を継ぎ足しましょう。
■②音や光を放つ機械を設置する
多くの動物は音や光が苦手で鹿も例外ではありません。鹿の駆除ができずに困っている方、対策をしたい方などは、音や光を放つ機械を設置してみてはいかがでしょうか?
音を出す機械はセンサータイプが一般的で、鹿が通過したり近寄ると嫌がる音を発します。例えば、オオカミの声、うなり声、サイレン、銃声など、鹿が慣れないように様々な音が鳴る機械が多いです。
光も音と同様に、鹿を察知すると自動で青色LEDが点灯し撃退や対策することができます。特に強化したい場合は音と光を両方取り入れるといいでしょう。鹿が嫌がるものでダブルで同時攻撃するとより効果的で、不快に感じて近寄りにくくなります。
■③敷地を電気柵で囲む
電気柵は、鹿の撃退や対策に高い効果があると言われているためおすすめです。オオカミの尿、音や光で効果が実感できない場合なども、電気柵を設置するといいでしょう。
ただし、電気柵を設置する際は鹿が跳躍することができない高さにする必要があり、最低でも2m以上にしないといけません。
せっかく電気柵を設置しても高さが低いとあまり意味がなく、跳躍力に優れている鹿は簡単に飛び越えてしまいます。また、小鹿が侵入することも考えて、電気柵ワイヤーの間隔を狭くするのもポイントです。
鹿駆除の報奨金はどのくらい?
鹿を駆除して報奨金が出るなら、自分で捕獲しようと考える方もいるのではないでしょうか?鹿の駆除を行うと、報奨金をもらうことはできますが地域によって金額が違います。報奨金の例を下記にいくつかまとめました。
【地域別:報奨金の例】
・神奈川県小田原市:1頭につき7,000円が上限
・高知県土佐町:1頭につき18,000円~20,000円
・徳島県三好市:1頭につき1,000円
・愛知県豊田市:1頭につき4,000円
鹿駆除の報奨金は地域だけでなく国からも出ることがあるため、かなりバラつきがあります。報奨金が高い地域は鹿1頭につき数万円になることから、ちょっとした小遣い稼ぎに捕獲する方もいるようです。
自分で鹿を駆除できない場合はプロに依頼を
鹿の駆除はコツがあり自分で仕留めるのは難しいケースもあるでしょう。以下の内容に該当する方は、プロに鹿の駆除を依頼することをおすすめします。
【プロに依頼した方がいいケース】
・自分で鹿の駆除を試みたが失敗した
・忌避効果があるグッズを使っても効果がない
・確実に鹿を駆除したい
・罠や狩猟免許がない
・狩猟申請をするのが面倒
・駆除したい範囲が広い
・鹿駆除の期間外(駆除期間は原則11月15日〜2月15日まで)
鹿の駆除をプロに依頼する場合は、地域の猟友会か有害鳥獣駆除を行っている業者のいずれかです。猟友会に属している方は減少傾向にあるため、地域によっては難しいかもしれません。一方で、有害鳥獣駆除を行っている業者は、東北や九州地方など様々な地域にあります。
【費用の目安】
費用の目安は約100,000円~200,000円です。あくまでも目安であり、鹿の頭数、範囲、場所などによって変動すると考えましょう。
まとめ
鹿による被害は、猟友会メンバーの減少や高齢化、畑や森林などが荒れているなどの理由も関係しています。鹿に効果的な忌避グッズを試してから駆除を考えるのもアリですが、改善されない時は被害を食い止めるために駆除しましょう。