ふだんは捨ててしまう野菜のヘタや根っこ部分を使って再生栽培を行なう「リボベジ」。エコ&経済的なだけでなく、野菜が育っていく姿を手軽に楽しむことができ、見た目もおしゃれでSNSでも話題になっています。
今回は、リボベジについて特集!リボベジ入門者向けに以下の内容を見ていきます。
【本記事の内容】
・リボベジとは
・6種類の野菜のリボベジ方法&再生栽培実例
・リボベジできるおもな野菜一覧
・リボベジのデメリット
・リボベジを成功させるコツ
筆者が実際に試したリボベジの栽培実例(人参、キャベツ、玉ねぎ、豆苗、小松菜、長ネギ)も紹介しながら解説するので、「どの程度で成長してくるの?」「失敗しないコツは?」など気になっている方もぜひ参考にしてくださいね!
リボベジとは 話題のリボベジって何?メリットは?
リボベジとは「リボーンベジタブル(Reborn Vegetable)」の略で、再生野菜のこと。ふだん調理の際に切り落として捨ててしまう野菜のヘタや根の部分を水に浸けたり土にさしたりして再び野菜を育てる方法です。
リボベジは廃棄する部分を使うため、ゴミの削減につながりエコ!また、種や苗を買う必要がないことや、生えてきた葉っぱや茎を食べられることから節約にもなりますし、かわいい小皿やビンに入れてインテリアとして楽しめるのも魅力です。
家庭菜園で野菜を育てようと思うと場所や道具の用意が大変ですが、リボベジなら家にある容器と水を使ってキッチンの片隅でできるのでとても手軽。おうち時間の新しい趣味や子どもの食育として初心者でもすぐにはじめられますよ。
リボベジできる6種類の野菜の再生栽培に挑戦!
話題のリボベジを実際に試してみました。挑戦したのは人参、キャベツ、玉ねぎ、豆苗、小松菜、長ネギの6種類。実際に育ててみると「こんな風になるの?」という驚きがあったり、かわいい姿に癒やされたりと想像以上に楽しめましたよ。
それぞれの育て方や注意点なども合わせて紹介していくので、ぜひ参考にしてくださいね。
リボベジ(再生栽培)できる野菜1:人参 人参のリボベジ方法&再生栽培記録
人参のリボベジで再収穫できるのはヘタから伸びる葉の部分。じつは、人参はふだん食べている根よりも葉のほうが栄養豊富だと言われていて、健康面でもプラスの効果が期待できますよ。
人参のリボベジの基本をチェック ■人参の再生栽培の方法
【人参の再生栽培の方法】
2~5cmくらいの厚みでカットした人参のヘタを容器に入れ、切り口が浸かる程度の水を入れて栽培する
【収穫時期】
数日で葉が伸びはじめ、1週間ほどで収穫が可能
【人参のリボベジの注意点&ポイント】
・ヘタを少し厚めにカットする
・根と葉のあいだにある成長点が少し盛り上がった人参を選ぶ
・水が多いと腐る原因になるので注意
人参の再生栽培を実践 ■人参のリボベジに実際に挑戦してみた!
今回リボベジに使用したのは、生ゴミとして処分する寸前だった人参のヘタ。ヘタの部分が黒ずみ、厚みも1cmと薄めです。そのため、なかなか芽が出てきませんでしたが、7日目になってようやく緑色の小さな芽が出はじめました。
その後は順調に成長し、10日目には人参らしいかわいい葉っぱが見られるように。2週間育てたところで5cmくらいまで葉が伸びました。しかし、だいぶヘタ部分の黒ずみも気になるようになってきたので、このタイミングで収穫をしました。
収穫した葉っぱは刻んでスパゲッティーの具に。収穫量はわずかですが、パセリを入れたように料理の彩りがよくなり「定期的に育ててもいいかも」と思いましたよ。少量なので味も気にならず食べられました。
リボベジ(再生栽培)できる野菜2:キャベツ キャベツのリボベジ方法&再生栽培記録
キャベツのリボベジの基本をチェック ■キャベツの再生栽培の方法
【キャベツの再生栽培の方法】
芯部分を容器に入れ、底面だけ水に浸るようにして栽培する
【収穫時期】
・水耕栽培のみで育てる場合、2~3週間ほどで新しい葉を収穫できる
・ある程度葉が出たらプランターなどに植え替えるとさらに成長し、丸々一玉収穫できることもある
【キャベツのリボベジの注意点&ポイント】
芯を切るときに根元や小さな葉が少し残した状態だと再生しやすい
キャベツの再生栽培を実践 ■キャベツのリボベジに実際に挑戦してみた!
キャベツ1玉を日持ちさせるコツとして、キャベツの芯を包丁でくり抜き湿らせたキッチンペーパーを詰めるというものがあります。今回は鮮度を保つためにくり抜いた芯を使ってキャベツのリボベジに挑戦しました。
はじめはあまり変化が見られなかったのですが、しばらくすると葉が徐々に伸びはじめ、7日目になると小さな結球が。「こんな風に再生するの?」と驚きました。
葉も3cmほどとだいぶ大きくなったので14日目に再収穫。通常食べる白い部分ではなく緑の部分なので味や食感が心配でしたが、スープの具材にしてしまえばとくに苦い、固いと感じることもなく子どもも気にせず食べてくれました。
リボベジ(再生栽培)できる野菜3:玉ねぎ 玉ねぎのリボベジ方法&再生栽培記録
玉ねぎのリボベジの基本をチェック ■玉ねぎの再生栽培の方法
【玉ねぎの再生栽培の方法】
丸ごと、または芯部分を容器に入れ底面だけ水に浸るようにして栽培する
【収穫時期】
・1週間ほどで青い芽が伸びてくるのでカットして収穫可能
・根も充実してくるため、土に本植えして育てることも可能
【玉ねぎのリボベジの注意点&ポイント】
・玉ねぎの芽には毒性がなく、ほかのネギ同様食べることが可能
・実の部分まで水が浸ると腐りやすくなるため水量の調節に注意する
玉ねぎの再生栽培を実践 ■玉ねぎのリボベジに実際に挑戦してみた!
玉ねぎのリボベジに使うのは芯部分。玉ねぎの中心部分が全体的に残るよう縦長にカットして栽培している実例もありましたが、今回は可食部をなるべく多く確保するために根元を中心に小さな四角形にカットしてリボベジに挑戦しました。
カットしたての頃は黄色だった芯の部分が、2日目には緑色に。その後芽がグングンと伸び、7日目には5cmほどの長さまで成長しまるで小ネギのようです。かなり小さな欠片からのスタートでしたが、植物の再生力の高さに驚かされました。
ただ、少し水量が多かったのか10日を過ぎたあたりから切り口部分にヌメリが強く感じられるように。傷んだ部分を少しずつ取り除きながら栽培を続けましたが、これ以上の継続は難しいと判断し、14日目に収穫をしました。
長いもので13cmの長さの青い芽8本を収穫。小ネギ代わりにチャーハンに入れていただきました。玉ねぎの芽を食べたのははじめてでしたが、味もとくに気になりません。彩りアップになって育てたかいがあったと感じましたよ。
リボベジ(再生栽培)できる野菜4:豆苗 豆苗のリボベジ方法&再生栽培記録
豆苗のリボベジの基本をチェック ■豆苗の再生栽培の方法
【豆苗の再生栽培の方法】
根っこから3cmほど上の部分でカットし、容器に入れて根が浸る程度の水を張る
【収穫時期】
・7~10日で収穫可能
・順調にいけば2回ほど収穫できる。
【豆苗のリボベジの注意点&ポイント】
・豆部分は腐りやすいので水に浸さない
・脇芽を残してカットすると収穫量が多くなる
豆苗の再生栽培を実践 ■豆苗のリボベジに実際に挑戦してみた!
豆苗のリボベジには、食品保存用のプラスチック容器がぴったり。料理に使った残りの部分を容器に入れ、豆部分が水に浸からないよう水量を調節して明るい窓辺に置いて栽培を行ないました。
4日もすると、グングン伸びてカットした部分より7cmくらい高いところ豆苗の頭が並ぶように。7日目には最初にカットしたところより10cm上の高さまで成長し、購入時の7割くらいの量を収穫できました。
収穫した豆苗は刻んでチャーハンの具材に。固さなども気にならず食べることができました。再収穫の際も脇芽が残るよう意識してカットを行ない、現在2回目の収穫に向けて栽培を続けています。
リボベジ(再生栽培)できる野菜5:小松菜 小松菜のリボベジ方法&再生栽培記録
小松菜のリボベジの基本をチェック ■小松菜の再生栽培の方法
【小松菜の再生栽培の方法】
根元を3cmくらい残した状態でカットし、容器に入れ根元が浸かる程度の水量をキープし栽培する
【収穫時期】
数日で葉が伸びはじめ、2週間ほどで収穫可能
【小松菜のリボベジの注意点&ポイント】
・倒れやすいため、細長い容器を使うかスポンジで固定するのがおすすめ
・葉が大きくなってきたら成長を促すために周囲の不要な茎を取り除く
小松菜の再生栽培を実践 ■小松菜のリボベジに実際に挑戦してみた!
今回使ったのは根元が完全にカットされた状態で売られていた小松菜。下から4cmほどの長さでカットし、容器に入れて栽培しました。
栽培スタートからわずか2日で中心から緑の葉っぱが顔を出し、7日目には葉っぱの大きさもだいぶアップ。10日目には長さ3cmの葉っぱが3枚の状態まで育ちました。しかし、ここで周囲の古い茎の傷みが目立つように。
腐らないよう傷んだ茎を手で取り除き、水加減も少なめにしました。ところが、今度は水が少なかったようで水切れを起こしてシナシナに!
失敗かと思ったのですが、水を足して一晩すると復活し、その後は新しい葉のみの状態でイキイキと成長しました。14日目には5cmほど小松菜の葉3枚を収穫。味噌汁の具としていただきました。
リボベジ(再生栽培)できる野菜6:長ネギ 長ネギのリボベジ方法&再生栽培記録
ネギのリボベジの基本をチェック ■ネギの再生栽培の方法
【ネギの再生栽培の方法】
根元から5cmくらいのところでカットしたネギを容器に入れ、根元が浸かる程度の水量をキープし栽培する
【収穫時期】
数日で上の方が伸びはじめ、1~2週間で再収穫できる
【ネギのリボベジの注意点&ポイント】
・5cm以上残した状態でカットする
・倒れやすいため、細長い容器を使うかスポンジで固定するのがおすすめ
長ネギの再生栽培を実践 ■長ネギのリボベジに実際に挑戦してみた!
今回は長ネギでリボベジに挑戦しました。一般的にネギの再生栽培では5cmくらいの長さを残すといいと言われていますが、ふだんの調理では5cmも残しません。3cmほどと短めで再生栽培に挑戦し、短いとどうなるのか検証してみました。
2日ほど経つと中心部が少し盛り上がりはじめ、7日目になるとまるでタワーのように段々に伸びたユニークな姿に。しかし、思ったように成長せず、新しく伸びた緑の部分も固く食用として再収穫できる状態にはなりませんでした。
リボベジ(再生栽培)できるおもな野菜一覧
リボベジできる野菜のおもなものを一覧にまとめました。リボベジはおうちにあるものだけでスタートでき、お金も手間もほとんどかからないため失敗を気にせず挑戦できます。ご紹介する野菜が家にあったらぜひ気軽に楽しんでみましょう。
【根元を使う野菜】
豆苗、小松菜、チンゲンサイ、ほうれん草、水菜、ネギ、セロリなど
<リボベジの方法>
根元から少し上のところでカットし、水を張った容器に入れて栽培する
【ヘタを使う野菜】
人参、大根、かぶなど
<リボベジの方法>
2~3cmほどの厚みでヘタをカットし、水を張った容器に切り口を下にして入れ栽培する
【芯を使う野菜】
キャベツ、白菜、レタス、ブロッコリー、玉ねぎなど
<再生栽培の方法>
芯の部分の底の方だけ水に浸かるようにして栽培する
※ブロッコリーは再収穫は難しく観賞用向き
【茎を使う野菜】
ハーブ類(ミント、バジルなど)
<再生栽培の方法>
数枚の葉が残った10cmていどの茎を容器に入れ、茎部分だけ水に浸かるようにして栽培する
【タネを使う野菜】
アボカドなど
<再生栽培の方法(アボカドの場合)>
タネにつまようじを3~4本さした状態で容器のフチに引っ掛け、タネの下半分ほどを水に浸す
※アボカドは大木に育てないと果実の収穫ができないため観賞用向き
リボベジのデメリット 魅力いっぱいのリボベジにデメリットはある?
リボベジを水耕栽培だけで行なう場合、収穫できる野菜の量はわずかです。家庭菜園ほど収穫量が期待できない点がデメリットと言えるでしょう。
ただし、リボベジはとても手軽にはじめられるため、本格的な家庭菜園への入門として挑戦してみるのもいいですね。また、せっかくならある程度の収穫量がほしいという場合は、少し育ったら土に植え替えるとより大きく可能性があります。
そのほかの注意点として、リボベジで収穫した野菜は生食には不向きだという点があげられます。お店で売られているもののように衛生管理が十分ではないため、加熱調理して食べるようにしましょう。
リボベジを成功に導くコツ リボベジで失敗しないための6つのコツ
リボベジ成功のコツ1 ■リボベジは鮮度が高い野菜で行なう
リボベジに使うのは野菜の切れ端ですが、使用する野菜の鮮度も重要です。根を使う野菜の場合は、できれば根がカットされていないものがベター。また、人参などヘタを使う野菜の場合はヘタが乾燥していないものを選びましょう。
リボベジ成功のコツ2 ■大きめにカットした切れ端を使用する
リボベジに使う野菜のヘタや根元は少し大きめにカットしましょう。小さく切りすぎると、成長するための養分が不足して失敗しやすくなります。
リボベジ成功のコツ3 ■毎日水を取り替える
1日に1回はかならず水を取り替えましょう。こまめに替えないと、雑菌やカビが繁殖する原因になります。容器や野菜の切り口、根っこもチェックし、ヌメリがついていた場合は水できれいに洗い落としましょう。
リボベジ成功のコツ4 ■水の量に注意する
水の量が多すぎると、腐って失敗する原因になります。容器の水は切り口や根が軽く浸かる程度にするのが上手に栽培するポイントです。
ただし、日当たりが良い日は思った以上に水の蒸発が早いこともあるため、水切れにも注意しこまめに水分量をチェックしましょう。
リボベジ成功のコツ5 ■日当たりの良い場所で育てる
リボベジは日当たりが良い場所で管理するとよく育ちます。ただし、葉が日焼けして変色することがあるため直射日光は避けましょう。また、夏場は日当たりが良すぎると水温が上がって腐りやすくなるため注意が必要です。
リボベジ成功のコツ6 ■倒れやすい野菜はスポンジを使う
小松菜やネギなど倒れやすい野菜をリボベジする際は、高さがあるコップを使ったり、スポンジの中央に切れ込みを入れて差し込んだりするのがおすすめ。倒れにくくなり栽培しやすくなりますよ。