※本記事での『追い払う』は、猿をなるべく傷つけずに、人間や農作物に危害が及ばないように遠ざける対策をとる、という意味でご紹介しています。野生の猿であっても、殺したり傷つけたりしないようにしましょう。
日本だけに生息しているニホンザルは、海外から訪れる観光客から人気を集め、長野県の温泉は「猿が浸かる温泉」として観光名所になっています。野生の猿が現れる日光といったの観光地で観光客から注目を集めていますが、住んでいる人にとっては迷惑な存在だという場合もあるでしょう。
猿は非常に学習能力が高いため、エサをくれる人やエサがある場所を覚えます。猿の嗅覚や視覚、味覚、触覚は人間とほとんど同じといわれており、目で情報を収集するので明るい時間帯に活発に動くことが特徴です。
そこで、猿の生態やどのような被害が起こっているのか、また、猿が出ないようにするための対策方法について紹介します。
猿の生態と特徴
猿は雑食性であり、虫やフルーツを好む傾向にありますが、基本的に魚や肉は食べません。味覚や触覚、聴覚、嗅覚は人間と同じですが、触覚については寒さや痛みに強いことが特徴です。
また、人間にすると幼稚園児ほどの学習能力があります。人に慣れると食物や農作物に被害を及ぼしたり、住宅地に降りて来ることもあるので注意しなければなりません。
猿は、複数のオスとメスからなる数百匹の群れを作る動物です。メスザルが中心となって群れを作り、メスは生まれた群れから出ずに一生を過ごします。
成長したオスは3~8年程度で群れを出る場合があり、他の群れと共に移動したり、1匹で行動することが特徴です。
繁殖は1年に1回、秋から冬に行い、春から夏に出産します。3年程度に1度の割合で出産することが一般的ですが、エサがたくさんある場合には1年に1度生むこともあります。
猿による被害
猿は群れで行動するため、数時間で大きな被害が起こります。その一番の被害が、農作物を食い荒らすことです。雑食性のため、葉っぱや昆虫、フルーツなど様々なものを食べますが、栄養価が高く甘くて美味しいものを好んで食べることが特徴です。
学習能力が高いため農作物の味を覚えてしまい、トウモロコシといった穀物、豆や芋、茄子といった野菜、桃、苺といった甘い果物などの美味しい部分のみをかじることもあります。
農作物を荒らすだけでなく、猿が食べ残したフルーツや野菜も散乱することになり、農家に非常に大きな被害をもたらすのです。
猿の対策方法7個
猿の対策方法としては主に7つ挙げられます。
■①ニオイで対策をする
猿は、天敵である狼のニオイがすると民家や農地に近づかなくなります。そのため、猿対策グッズとして販売されているオオカミの尿を使用しましょう。
使用方法は、容器にオオカミの尿を入れて3~6m程度の間隔を空けて吊るすだけです。30g入れることで1ヶ月程度効果が持続します。ただし、オオカミの尿は人工物ではなく自然排泄されたものであり、人間にとっても不快なニオイがする点がデメリットです。
■②電気柵を設置する
通電式の電気策でも良いですが、乾電池で動く電気柵であれば手軽に使用できます。電気柵を設置した後は「電気柵に注意」といった看板を取り付けるのを忘れないようにしましょう。
■③物理柵を設置する
物理柵は、電気柵と合わせて使用することがポイントです。物理柵のみでは猿が乗り越えてしまう場合があるため、電気柵もあわせて使用しましょう。
■④ロープ状の対策ネットを張る
猿の侵入口になっている箇所に対策ネットを張る方法も有効です。ただし、乗り越えられないようネットを張る位置に工夫をする必要があるでしょう。
■⑤電気ネットを張る
電気ネットは、ネット全体ではなく一部分にのみ通電する商品です。また、電気ネットに使用する杭を柔らかいポールにすると、猿が登る際にボールが不安定で登れず、猿よけ効果が期待できます。
■⑥猿のエサになるものを置かない
猿に直接エサを渡していなくても、結果的に猿にエサを与えているような行為がないか見直しましょう。例えば、バーベキューで使わなかった食材やお墓のお供え物を片付けずにいると、猿のエサになってしまいます。
また、生ゴミを外に放置していても猿がニオイを感知して寄ってくるため注意が必要です。ほかにも、庭の「木や植物を伐採することも検討しましょう。庭の木になった果物は猿のエサになり、同時に周辺の田畑の農作物も食べられてしまいます。
■⑦追い払うことが大切
猿を1匹でも見かけた場合には、大人数で追い払うことが大切です。猿が恐怖を覚えるように、1人ではなく大人数で追い払いましょう。電動ガンやロケット花火などを使用して恐怖心を与え、「怖い場所だ」と学習させることがポイントです。
ただし、猿が反撃する場合もあるため体力がない人は注意しましょう。農作物の収穫が終わった後も、猿を見かけたら追い払う必要があります。特に、群れの中心であるメスザルはしっかりと追い払うことが大切です。
猿の対策にヘビは効く?
猿対策にヘビが有効であるという噂を耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし、多くの自治体で配られている対策マニュアルには「猿の対策にヘビが効く」といった記述はありません。
猿は、見たことがないものに対して拒否反応を示すこともありますが、動かないものに対してはすぐに慣れます。本物のヘビであれば動くため有効な可能性はありますが、小さなおもちゃのヘビなどは効果がないと考えて良いでしょう。
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犬で猿対策はできるのか?
猿対策に犬を活用する方法は、効果的だといえます。地方自治体ではモンキードッグと呼ばれる害獣対策を行っていることが特徴です。
モンキードッグを活用している地域では、50頭程度の群れで農作物を荒らしていた猿がモンキードッグ導入2ヶ月後に激減したという結果があります。モンキードッグを使い猿を追い払う対策を継続していたことによって、農作物の被害も激減しました。
モンキードッグは一般家庭で飼っている犬でも参加できる制度があり、訓練所で適性チェックを行い、基礎訓練や現地訓練を受け、損害保険に加入することでモンキードッグになれるのです。
モンキードッグの訓練は、猿を追い払うこと、猿以外の動物や人間に危害を加えないように訓練すること、猿を追い払った後は戻ってくるなどの訓練が行われます。
猿がこないための予防対策
猿が来ないようにするためには、集落内のやぶを伐採し、猿が隠れられる場所をなくすことが大切です。山林と集落の間は見通せるように整備し、猿が木を使って近くに侵入できないように工夫する必要があります。
猿は、人間が木を登れないことを知っているため上に向かって逃げることが特徴です。そのため、猿が逃げるための木をなくすことで、猿が寄り付かなくなる可能性があります。
まとめ
猿対策は、諦めずに継続して行うことが大切です。猿の生態を研究して対策を行っても、予想外の方法で猿が農作物を荒らす場合があります。
猿の群れにいるメスが子ザルにエサの場所を教えてしまうため、まずはメスの猿に農地やエサになるものの場所を知られないようにすることが大切です。猿の被害を受けたら、猿の行動や侵入した原因を確認し、再度被害を受けないように対策を検討しましょう。