「去年や一昨年に買った灯油が残ってるけど使えるかな?」
「灯油って使用期限あるの?」
昨シーズンに使いきれなかった灯油があっても、古い灯油を使って健康面や暖房器具に影響がないのか気になるところです。
実は灯油には明確な使用期限の定めがありません。しかし不良灯油による被害報告は実は後を絶たず、国民生活センターからも昨シーズンの灯油は使わないように注意喚起されています。
このことから灯油の使用期限は「買ったシーズン中」と言うことができますね。
また灯油を燃料とする暖房器具は、不良灯油で起こった不具合は保証期間であっても有料での修理です。
灯油は他の燃料と比べ酸化しやすく、シーズン中の保管方法も超重要。本記事では使用期限以外にも灯油に関する以下の内容を徹底解説します!
- 灯油の適切な保管方法
- 劣化した灯油の見分け方
- 使用期限を過ぎた灯油の廃棄方法
本記事を読んで、今年の冬も安全に暖を取りましょう。
使用期限を過ぎた灯油で起こった被害実例
国民生活センターに寄せられた「昨シーズンの灯油を使って起こった被害」の実例を紹介します。
- 新しく購入した石油ストーブに昨シーズンの残りの灯油を使用。
- 灯油を入れたその日は使用できた。
- しかし灯油を入れた次の日は点火できなくなった。メーカーからは「灯油が古かったからではないか」と返答あり。
明確な使用期限が定められていない灯油ですが、保管中の日光や熱で変質・水などの混入で「不良灯油」となることがあります。
不良灯油を使うと今回の実例のように暖房器具が正常に作動しなくなるばかりでなく、緊急消化ができないなど重大な事故につながる可能性も。
昨シーズンの灯油は使わないようにしましょう。
灯油の使用期限が短くなる 灯油が劣化する要因5つ
灯油は以下の5つの要因で変質がすすみます。
- 日光
- 紫外線
- 空気
- 温度
- 水分
灯油の劣化がすすむ主な例を知っておきましょう。
【1】灯油は直射日光や紫外線に弱い物質です。灯油入りの容器を直射日光が当たる場所で保管していると、紫外線や温度などが原因で劣化します。
【2】気温差が激しい場所や高温になりやすい場所で、灯油入りの容器を保管するのも劣化する原因です。気温差が激しいと結露が発生して水滴が灯油に混入し、高温の場所は灯油を酸化させます。
【3】灯油に水が混入しやすいケースは結露だけではありません。灯油入りの容器を雨に当たる場所へ置いている、容器のフタをきちんと締めないで屋外へ保管すると、水混入のリスクが高まります。
【4】容器の中の灯油が半分など満タンにしていない場合も要注意です。容器内の空気が灯油を劣化させます。
【5】灯油が入っている容器の中にゴミなどが入る、軽油やガソリンが混入するのも劣化する原因です。
シーズン中でも使用NG!期限切れ灯油の見分け方3つ
灯油が必要な製品を安全に使用するために、『劣化していないもの=使用期限が切れていないもの』を見極めましょう。灯油の使用期限が切れているものは特徴があり、燃料に詳しくない方でも簡単に調べることができます。
シーズン中でも使用NG!期限切れ灯油の見分け方|その1 ■①黄色や茶色の灯油
灯油の使用期限が切れているかを確認する時は色に注目しましょう。正常の灯油は無色透明ですが、使用期限が切れている灯油は黄色や茶色に変色しています。
なお、変色している灯油のことを『不良灯油』と言い、成分が変質して酸化している状態です。日光、紫外線、温度などが原因で変色する事象です。灯油の変色は目視で簡単にできるため、古い灯油など使用期限が怪しいものはチェックしましょう。
【灯油の色を確認する方法】
ペットボトルを半分くらいにカットするか、プラスチック製の使い捨てカップを用意します。灯油をこぼさないようにゆっくり容器に注いで色を確認しましょう。色が判断しにくい場合は、容器の後ろに白い紙を置くとわかりやすいです。
※透明のプラスチック容器に灯油を入れて、使用期限を確認するやり方は他の方法でも使います。灯油の使用期限を判断する基本的なチェック方法のため、覚えておきましょう。
シーズン中でも使用NG!期限切れ灯油の見分け方|その2 ■②異臭がする灯油
使用期限が切れているかを確認する時は臭いも重要です。使用期限が切れている灯油は、鼻につくような刺激臭や酸っぱい臭いがします。なお、灯油の臭いがおかしい時も、黄色や茶色に変色している不良灯油のケースが多いです。
灯油が黄色や茶色でも色が薄く、使用期限の判断がつきにくくても臭いが判断材料となります。ポリタンクなどの容器に直接鼻を近付けて臭いを確認することもできますが、確実なのは灯油を透明なプラスチック容器に移す方法です。
透明のプラスチック容器に灯油を注ぐと、変色と臭いのダブルチェックができます。使用期限の判断がより明確になるため、面倒でも透明のプラスチック容器に灯油を入れて臭いを確認しましょう。
シーズン中でも使用NG!期限切れ灯油の見分け方|その3 ■③2層に分離している灯油やピンク色の灯油など
灯油の使用期限は変色や臭いで判断することができますが、水が混入している灯油はわかりません。水が混入している灯油は無色透明の液体が2層にわかれており、『不純灯油』と言います。
目視以外では確認することができないため、必ずプラスチック製の容器に灯油を注いでチェックしましょう。
ただし、軽油と灯油が混ざっている場合は2層にわかれません。目視で確認することは難しく確実な判断ができないため、軽油の混入の疑いがあれば使用を避けましょう。
なお、ガソリンと灯油が混ざっている場合も2層にわかれませんが、少しピンク色に変色します(灯油50%、ガソリン50%の場合)。見た目の変化があるため、灯油が劣化しているかの判断がつきやすいです。
寿命を過ぎた灯油を使用すると起こる問題4つ
ストーブやファンヒーターなど灯油が必要な製品に、寿命を迎えた灯油を使用するとどうなるのでしょうか?寿命を迎えた灯油を使用した時の問題点を4つご紹介します。
【1.】ストーブ×不良灯油:着火不良や消化不良が起こる
タールが原因で芯全体が黒くなっており灯油の浸透率が悪い状態です。さらに、タールは硬くなると芯の動きを制御するため、緊急消火ボタンを押しても火が消えないこともあるでしょう。なお、緊急消火ボタンを押しても火が消えないこともあります。
【2.】ファンヒーター×不良灯油:煙や刺激臭が発生する
吹き出し口から、目、鼻、のどを刺激する煙が発生しやすいです。灯油を気化する部分にタールが蓄積されると、正常に点火されず煙や刺激臭が発生します。
【3.】ストーブ×不純灯油:火力調整つまみなどが正常作動しない
芯が灯油以外の物質を吸収すると、火力調整つまみなどが動きません。灯油受け皿に不純物が残りサビたことが原因です。
【4.】ファンヒーター×不純灯油:安定して燃焼しない
灯油に軽油など異物が混入していると、安定して燃焼することができません。ファンヒーターは異常を感知して消火センサーが作動し、エラー表示されることがあります。
寿命で使えない古い灯油の処分方法4つ
寿命を迎えた灯油の廃棄方法をご存知でしょうか?灯油は廃棄物処理法に該当しており、4つの方法で処分しないといけません。
【1.】ガソリンスタンドへ持って行く
灯油はガソリンスタンドへ持って行くと引き取ってくれます。ただし、店舗によっては灯油の廃棄を受け付けていないため確認しましょう。また、廃棄費用は有料と無料があり、ガソリンスタンドによって違うため確認してください。
【2.】灯油販売店へ持って行くか廃棄依頼をする
灯油販売店も灯油の廃棄を行っており、店舗へ持って行くと廃棄してくれるでしょう。灯油販売店も事前に廃棄について確認した方が確実です。また、自宅付近に移動販売車が来た時に声をかけると灯油を回収してくれるかもしれません。
【3.】不用品回収業者へ廃棄依頼をする
不用品回収業者は灯油の廃棄を行っており、依頼すると自宅まで取りに来てくれます。廃棄費用は業者によって違うため、何社か聞いてから決めましょう。
【4.】燃えるゴミなどへ出す
自治体によっては灯油を燃えるゴミなどで出すことが可能です。ただし、少量の灯油は布などに染み込ませるなどのルールがあります。灯油の廃棄はゴミ出しブックや自治体に確認しましょう。
灯油の劣化を防ぐ保管方法やポイント
灯油は劣化しやすいため保管方法の重要性がわかった方もいるでしょう。灯油の正しい保管方法は4つあり、普段行っている灯油の保管方法は間違っているかもしれません。灯油の正しい保管方法と照らし合わせて、答え合わせをしてみましょう。
灯油の劣化を防ぐ保管方法やポイント|その1 ■①ポリタンクで灯油を保管する場合は灯油専用を使用する
ポリタンクで灯油を保管する場合は、必ず灯油専用のものを使用するのが基本です。灯油専用のポリタンクは赤色や青色で、『灯油用』と刻印してあるものあります。なお、安心して灯油を保管できるのがJISマークがあるポリタンクです。
JISマークは、登録認証機関から認証を受けている製品に与えられる称号で、性質が良く灯油の劣化防止につながります。
灯油専用以外のポリタンクを使用すると、劣化スピードが早まるためおすすめしません。
灯油専用以外のポリタンクは白いものが多く、早いと約半月、遅くても約2ヵ月~3ヶで灯油が変色して異臭が発生します。
また、灯油が容器やフタを変形させるなどして破損する場合もあり、異物や雨水が混入する可能性が高いです。灯油専用以外のポリタンクは灯油の保管に不向きで、使用期限が短くなるため使うのはやめましょう。
灯油の劣化を防ぐ保管方法やポイント|その2 ■②ポリタンクは直射日光が当たらない屋内で保管するのが基本
灯油を入れたポリタンクは直射日光が当たらない屋内で保管して、日差しや紫外線を当てないようにします。
屋外で保管する場合は、日差しや紫外線対策の他に雨に濡れないようにしましょう。できれば物置きなどの収納庫で保管するのがいいですが、ポリタンクに雨よけカバーをかけてもかまいません。
灯油の劣化を防ぐ保管方法やポイント|その3 ■③ポリタンクは約5年おきに交換する
灯油用のポリタンクは定期的に新しいものに交換しましょう。日本ポリエチレンブロー製品工業会では、灯油用のポリタンクを約5年で交換することをすすめています。約5年で交換することを推奨している理由は、灯油の劣化を防ぎながら安全に保管するためです。
なお、交換時期である約5年はあくまでも目安であり、保管状況によっては交換時期が前後することがあります。
灯油の劣化を防ぐ保管方法やポイント|その4 ■④ホームタンクを使用する方法もある
灯油の劣化を防ぐならホームタンクを検討してもいいかもしれません。ホームタンクは灯油を入れる専用の容器で、屋内や屋外に設置することができます。灯油の劣化を防ぐことを考えるなら屋内へ設置しましょう。
サイズも豊富で100ml~1,000L以上灯油を入れることが可能です。デザインはスッキリしたタイプもあり、屋内型は場所を取りにくいものもあります。
ホームタンクの素材は耐久性を考慮して、ステンレスや亜鉛メッキが施された鋼板が主流です。ただし、屋内用の小型タイプはプラスチック製のものもあり、地下へ埋設する場合は繊維強化プラスチック製を使用します。
使用期限内に灯油を使いきる方法2つ
買ったシーズン内に灯油を使い切ろうと思っても、タイミングによっては難しいこともありますよね。
使用期限内に灯油を使い切る方法を知っておけば、来年まで持ち越すこともなくなります。
使用期限内に灯油を使いきる方法|その1 ■乾燥機代わりに利用する
6月や7月頃まで(梅雨時期までを目安に)であれば灯油も酸化している可能性が低いです。
梅雨時期といえば洗濯物が乾きにくい嫌な季節。しかし乾燥機代わりに灯油燃料の暖房器具を使えば、約3時間で洗濯物を乾かすことも可能なのです。
この方法なら、使用期限内に使いきれなかった灯油も無駄なく使いきることができますね。
使用期限内に灯油を使いきる方法|その2 ■空焚きをする
設定温度を一番高くして、風が通る場所で灯油燃料の暖房器具を点けっぱなしにしておく方法です。
人や空間を温めるために使うわけではないので少々もったいない気もしますが、使用期限を超えた灯油を「不良灯油」にしてしまうよりはマシですね。
空焚きをする場合は換気扇がある部屋か、屋外で行いましょう。設定温度が最も高い状態なら1日もかからない程度でタンクは空になると言われています。
まとめ
灯油に使用期限はありませんが1シーズンで使い切るのが基本です。劣化するリスクを考えて、1シーズンで使い切るように計算して補充しましょう。また、購入した灯油や余ってしまった灯油は、室内の日陰で保管して劣化を防ぐことも大切です。灯油は正しく保管して安全に使用しましょう。