古くから春を告げる花として親しまれてきた木蓮。高貴な雰囲気と上品な香りが魅力ですね。木蓮は丈夫で育てやすいことから、ガーデニング初心者にも人気があります。
成長スピードの速い木蓮は、定期的な剪定が必須です。当記事では、
・木蓮の正しい剪定方法とコツ
・専門業者に依頼するときのポイント
・これから育てる方におすすめの苗木や植え付け方法
について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
木蓮の基本情報 木蓮(モクレン)とは?
まずは木蓮の基本情報をみてみましょう。
【分類】庭木・花木
【樹高】4~5m(10mを越す品種もある)
【開花時期】3~5月
【特徴】
・成長スピードが速い
・暑さや寒さに強く、育てやすい
次に、木蓮の代表的な種類を4つご紹介します。
木蓮の種類 その1 ■紫木蓮(シモクレン)
紫木蓮は、外側が紫で内側が白い花を咲かせます。一般的に木蓮といえばこの紫木蓮をイメージすることが多いですが、最近は白木蓮を見かける機会も増えています。
木蓮の種類 その2 ■白木蓮(ハクモクレン)
白木蓮は、名前のとおり白い花を咲かせます。白木蓮のなかには、10mを超える大木になる品種もあります。
そのため、家庭で育てる場合は比較的コンパクトな「スノーホワイト」の品種がおすすめです。(記事の後半でご紹介しています。)
木蓮の種類 その3 ■更紗木蓮(サラサモクレン)
更紗木蓮は、シモクレンとハクモクレンの交配種で、ピンク色の花を咲かせます。
木蓮の種類 その4 ■黄木蓮(キモクレン)
黄木蓮(キモクレン)は、黄色い花を咲かせます。蕾のときは緑色で、花が咲くと黄色くなるのが特徴です。
木蓮を剪定する前に① 木蓮の剪定はなぜ必要?
木蓮は成長スピードが速く、放っておくと枝がどんどん伸びてしまいます。枝が伸びるすぎると、落葉や日当たりの問題で近隣の家から苦情がくることも。木蓮を庭木として育てる場合、剪定は必須です。
木蓮を剪定する前に② 木蓮の剪定時期は冬がベスト!
木蓮の剪定は冬(11月~2月ごろ)がベスト!その理由は次の2つです。
①冬は木蓮の休眠期なので、剪定してもダメージが少ない
②花も葉も無い時期のほうが、剪定する箇所がわかりやすい
剪定する際は花芽を避けてカットしていくのが基本です。でも間違って切ってしまうのが心配…という方もいらっしゃいますよね。
そんなときは、花が咲き終わった6月~7月ごろに剪定する方法も。ただし木蓮の成長期なので、切りすぎには枯れる原因になります。特に太い枝は切らないように注意しましょう。
木蓮を剪定する前に③ 木蓮を剪定するときに準備するもの
木蓮の剪定に必要な道具や服装をご紹介します。
剪定に必要なもの その1 ■木蓮の剪定に必要な道具
木蓮の剪定に必要な道具は、次のとおりです。
・剪定バサミ
・剪定ノコギリ
・脚立
・新聞紙やゴミ袋
木蓮の枝は太いものもあるので、剪定バサミだけでなく剪定ノコギリもあるとよいでしょう。
脚立は低いものだと天板に立って作業することになり、落下の危険があります。高さに余裕のある脚立を用意しましょう。新聞紙やゴミ袋は切った枝を片付けるときに使います。
木蓮の剪定におすすめの道具をご紹介します。
木蓮の剪定におすすめのアイテム その1 千吉 剪定鋏 SGP-28R 剪定バサミ ラチェット式
ラチェット式なので1/3の力で楽に切断できます。生木切断目安は20mmです。
【使用方法】
1: 枝を刃の奥にしっかり挟み、ハンドルを握って切り込みます。
2: 切り込めなくなったところでハンドルを軽く開くと、カチッと音がしてギアが切り替わります。
3: 1と2の手順を繰り返して、太い枝を切断します。
木蓮の剪定におすすめのアイテム その2 一番(のこぎり・ノコギリ・鋸)【刃長:330mm】
・プロ職人も絶賛する、特許技術を使った曲刀ノコギリです。
・肩より高い位置にある枝を切るときも、まっすぐ引くだけで楽に切れます。
木蓮の剪定におすすめのアイテム その3 脚立 7段 はしご 兼用 アルミ脚立 7尺 K-210D
・7段 使用最大高さ1.68m
・耐荷重100kgと丈夫ながら、アルミ製で軽く持ち運びやすいハシゴ兼用脚立です。
剪定に必要なもの その2 ■木蓮の剪定に適した服装
木蓮の剪定に適した服装は次のとおりです。
・長袖・長ズボン
・軍手や手袋
・帽子
・保護メガネ(ゴーグル)
肌を露出した状態で剪定をすると、ケガの恐れがあります。しっかり保護した上で作業しましょう。木蓮の剪定におすすめの装備品をご紹介します。
木蓮の剪定におすすめのアイテム その4 作業用 軍手 防刃 手袋 滑り止め付
刃物でも切れにくい強度をもち、すべり止めのついた耐切創防刃手袋です。伸縮性にすぐれた超高強度ポリエチレン糸を採用しています。
・庭木の剪定作業や草むしりに
・DIYの作業時に
・刃物やガラスを扱う作業用軍手として
・防犯用品として
木蓮の剪定におすすめのアイテム その5 保護メガネ ゴースペックス4
フレームクッションにより、ゴーグルのような密閉性があります。メガネタイプでありながら、抜群のフィット感です。
・DIY、工事、園芸、花粉対策に
・曇り止め、防傷コート、UVプロテクト仕様
木蓮の剪定方法 木蓮の剪定方法とコツ
木蓮の剪定では、花芽を避けて不要な枝を切っていきます。主な手順は次のとおりです。
【木蓮の剪定の手順】
1: 枝が密集しているところを探す
2: 1の中から、葉芽がついている枝を探す
3: 2の枝が分かれている根本の部分を切る
次に、木蓮を上手に剪定するコツを解説します。
木蓮を上手に剪定するコツ その1 ■花芽と葉芽をしっかり見分ける
まちがって花芽がついた枝を切ってしまうと花が咲かなくなってしまいます。花芽と葉芽をしっかり見分けて剪定しましょう。
【花芽の特徴】
・蕾が大きく膨らんでいる
【葉芽の特徴】
・蕾が長細くて小さい
木蓮を上手に剪定するコツ その2 ■葉の生い茂る初夏に、写真を撮っておく
木蓮の葉が生い茂る初夏の時期(6月ごろ)に、剪定する箇所の写真を撮っておくといいでしょう。写真を参考に剪定できるので、花芽がたくさんついた枝をまちがって切るのを防げます。
木蓮を上手に剪定するコツ その3 ■徒長枝(とちょうし)を切る
徒長枝(とちょうし)とは、横に伸びた枝の途中からまっすぐ上に伸びている枝のことです。徒長枝を切る理由は3つあります。
①他の枝や花芽への栄養を奪ってしまう
②雨風により折れやすく、木の形が乱れる
③害虫が住みつきやすい
木蓮は、短い枝の先端に花芽をつける傾向があるので、長く伸びる徒長枝は切っても大丈夫です。徒長枝を切ることで、花芽へ栄養が届きやすくなります。キレイな花を咲かせるために、徒長枝をメインに切っていきましょう。
木蓮を上手に剪定するコツ その4 ■ヤゴ(ヒコバエ)は根本から切る
ヤゴ(ヒコバエ)とは、木蓮の根元から勢いよく生えている細い枝のこと。ヤゴも栄養を吸い取りやすく、木蓮全体の成長を妨げます。木蓮の花が咲かない原因にもなり得るので、ヤゴがあるときは根元から切りましょう。
木蓮を上手に剪定するコツ その5 ■強剪定と弱剪定を使い分ける
剪定には強剪定と弱剪定の2種類あります。
・強剪定
剪定ノコギリなどで太い枝を切ることです。木蓮への負担が少ない冬がおすすめです。
・弱剪定
枝の混み合った部分のみ、剪定バサミで切って整える剪定方法です。剪定は冬がおすすめですが、やむを得えず冬以外の時期に剪定するときは、弱剪定にとどめておきましょう。
木蓮を上手に剪定するコツ その6 ■剪定後は切り口に癒合剤をぬる
木蓮の剪定後は、切り口にハケを使って癒合剤をぬるとよいでしょう。癒合剤をぬる目的は、木の水分や養分を留めることと、雑菌の繁殖を防ぐこと。
とくに太い枝は切り口も広く、雑菌が入り込みやすいです。癒合剤をぬって、しっかりケアしましょう。おすすめの癒合剤をご紹介します。
木蓮の剪定におすすめのアイテム その6 トップジンMペースト 1kg ハケ付き 樹木用切口癒合剤 農薬 日本曹達
・幹や枝の傷口、剪定の切り口の保護、癒合の促進に。
・傷口や剪定の切り口などにぬると、殺菌保護皮膜ができて、雑菌・雨水の侵入を防ぎます。
・癒合組織の形成を促し、病害の感染を防ぎます。
・便利なハケ付きです。
木蓮を上手に剪定するコツ その7 ■害虫を見つけたら、すぐに駆除する
木蓮に付きやすい害虫は、カミキリムシとカイガラムシです。剪定中に害虫を見つけたら、すぐに駆除しましょう。放置すると食害を起こして、木蓮にダメージを与えます。
・カミキリムシ
木蓮の茎や幹に卵を産み、幼虫が木の内部を食害します。木蓮の幹に小さな穴があいていたり、木の根元にオガクズのようなものが落ちていたら、カミキリムシがついている可能性があります。見つけた場合は、殺虫剤で駆除しましょう。
・カイガラムシ
見た目が白く、木蓮の幹の表面にびっしりと発生していることがあります。カイガラムシは樹液を吸って木蓮を弱らせるだけでなく、すす病というカビが原因の葉の病気を引き起こすこともあります。
カイガラムシはその名のとおり貝殻のような丈夫な皮で身を守っています。もし殺虫剤が効きにくい場合は、ブラシなどでこすり落として駆除しましょう。
カイガラムシの駆除については下記の記事でも詳しく解説しています。
植物につくカイガラムシの駆除方法7個!マシン油が効果的!?予防方法5つも紹介! | タスクル
おすすめの殺虫剤をご紹介します。
木蓮の剪定におすすめのアイテム その7 カミキリムシ 殺虫剤 住友化学園芸 園芸用キンチョールE 420ml
木の中に住みつきやすいカミキリムシの幼虫を退治します。専用ノズル(3方向噴射式)で、木の穴にスプレーしやすい仕様です。
・有効成分:ぺルメトリン
木蓮の剪定におすすめのアイテム その8 フマキラーカダンK庭木のカイガラムシに450ml
有効成分アレスリンとマシン油のW効果で1年中使える殺虫剤です。夏場の幼虫も冬場の成虫もしっかり駆除します。
・アレスリン…夏場のカイガラムシを駆除
・マシン油…冬場のカラをかぶったカイガラムシの成虫を窒息死させる
木蓮の剪定のコツ7つを解説しましたが、自力で剪定するのはハードルが高いと感じた方もいるのではないでしょうか。次は、木蓮の剪定を業者に依頼するときのポイントを解説します。
木蓮の剪定がむずかしいと感じたら 業者に依頼するメリット
木蓮は樹高が高く、枝も広範囲に伸びるため、剪定作業にはある程度危険が伴います。まちがった剪定で、花が咲かなくなったり、木を枯らしてしまうこともあります。
剪定がむずかしいと感じたら、専門業者へ依頼しましょう。剪定は、植木屋さんや造園業者が請け負っています。
【業者に依頼するメリット】
・キレイに仕上げてもらえる
・自分でするより時間短縮になる
・ケガの心配がない
デメリットは、剪定費用がかかることです。日給制の場合、職人さん1人あたり1.5万円~3万円程度かかります。また、単価制の場合は木の高さで変わりますが、数千円〜2万円程度です。
木蓮の剪定をプロに依頼 ■業者に依頼するときのポイント
木蓮の剪定を業者に依頼するときのポイントは、次の3つです。
①冬の時期に依頼する
冬の時期は木蓮へのダメージが少ないこと、また葉がないのでゴミの量が少なくなり手間と費用が抑えられます。
②3社以上から見積もりをとる
複数の業者から見積りを取り、料金とサービス内容を比較しましょう。インターネットで探す場合は口コミも参考になります。
③質問にしっかり答えてくれるか
気になる点は予約前に確認しておきましょう。回答の早さ、誠実さも業者選びのポイントです。
最後に、これから木蓮を育ててみたいという方へ、苗木の植え付け方法や、おすすめの苗木・鉢植えをご紹介します。
これから木蓮を育ててみたい方へ おすすめの苗木と育て方
木蓮は丈夫で育てやすいので、初心者の方にもおすすめですよ。木蓮の種は市販されていないので、苗木を購入するのが一般的。苗木の植え付けに適した時期は12~3月です。
【鉢植えにする場合】
1: 7~10号鉢に鉢底石を1/4ほど入れる
2: 苗木と土を入れる
3: 苗木の横に支柱を立てて安定させる
【地植えにする場合】
1: 日当たりと水はけのよい場所に、50cmほどの穴を掘る
2: 土を耕してから、苗を植え付ける
3: 苗木の横に支柱を立てて安定させる
【育てるときのポイント】
・土に腐葉土を2割程度まぜておくと、よく育ちます。
・土の表面が乾いたら水やりをしますが、地植えの場合は植え付けから2週間経つと不要になります。
・鉢植えの場合は2〜3年に一度、大きい鉢へ植え替えが必要です。(根詰まりを防ぐため)
これから木蓮を育てる方へ ■おすすめの木蓮の苗木
おすすめの木蓮の苗木をご紹介します。
おすすめの木蓮の苗木 その1 木蓮 スノーホワイト 白花 木蓮大苗
スノーホワイトという品種のハクモクレン。 花の花弁や枝が細く、繊細な印象です。
おすすめの木蓮の苗木 その2 木蓮 ジェニー 苗木 7号
ジェニーは、ワインカラーの希少品種です。2011年にドイツで行われた国際園芸見本市で受賞しました。花の形はカップ咲きで、背丈が低いうちからよく開花します
おすすめの木蓮の苗木 その3 木蓮(マグノリア)サンライズ4号ポット
サンライズは、クリームがかった白に赤紫の模様が入り、日の出のような優美さがあります。最終的な樹高は約2mほどでお庭には最適なサイズ。鉢植えにもおすすめです。