キャンプやバーベキューなど、アウトドアで使った炭の捨て方や、火の始末、炭や灰の再利用方法を解説します。
キャンプやバーベキューは楽しいけれど、片付けが面倒だな…と感じる方におすすめの、安全で楽に処理できるアイテムも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
バーベキューなどで使った炭の捨て方 使用後の炭は、灰捨て場へ or 持ち帰り
使用後の炭は、適切な方法で消火して捨てるのがマナーです。その理由としては2つあります。
■環境面への配慮
炭は自然にかえることがありません。そのまま放置すると地面が汚れたり、自然環境への汚染につながるので、適切に捨てましょう。
■次に使う人への配慮
炭のごみが残っていると、次に使う人に迷惑がかかります。お互い気持ちよくアウトドアを楽しめるように、炭のごみはきちんと処理しましょう。
バーベキューなどで使った炭の捨て方は、主に2種類あります。
①「灰捨て場」へ捨てる
②持ち帰って「家庭ごみ」として捨てる
詳しくみていきましょう。
使用後の炭の捨て方① ■「灰捨て場」へ捨てる
一般的なバーベキュー施設やキャンプ場には「灰捨て場」があることが多いです。施設内に「灰捨て場」がある場合は、そちらに捨てましょう。(炭は必ず消火後に捨ててください。)
「灰捨て場」の場所は、施設の受付所や管理棟の近くにあることが多いです。事前にマップで確認しておくと、スムーズに利用できますよ。
施設にある「灰捨て場」には、コンクリートブロックで作られたものや、ドラム缶タイプのものなど、形状はさまざまです。
使用後の炭の捨て方② ■持ち帰って「家庭ごみ」として捨てる
河原でのバーベキューや海辺のキャンプでは、灰捨て場がないこともあります。そのような場合は持ち帰って「家庭ごみ」として捨てましょう。
炭のごみ分別は、お住まいの自治体によってルールが異なります。自治体のホームページ等で「炭が何ゴミになるか」や「どのように捨てるか」をまず確認しましょう。「炭 ごみ分別 〇〇市」などのインターネット検索でも、情報を得ることができます。
自治体によって、炭が「燃えるゴミ」として出せるところもあれば、「燃えないゴミ」の日に出すルールのところもあります。出すときの注意点も自治体ごとに違うので、チェックしておきましょう。
安全に炭を捨てるための準備 バーベキューなどで使用後の炭の消し方
炭を捨てる前には必ず「消火」をしましょう。消火が不十分だと、火事やヤケドの原因になります。また、炭を消火するときは、正しい方法で行うことも大切です。
【炭の正しい消し方】
・水の中に入れて消火する
・空気中の酸素を絶って鎮火する
それぞれの手順やメリット・デメリットをみていきます。
使用後の炭の正しい消し方1 ■炭を水の中に入れて消火する
炭を水に浸して、確実に消火する方法です。
【手順】
①(できれば金属製の)バケツに水をはる
②使用後の炭を1つずつ、ゆっくりと入れていく
(まとめて入れると、水が沸騰して危険です!)
③10分~15分ほど放置する
④大きめの炭を1つ取り出して割ってみて、火が消えているのを確認できたらOK
【メリット】
・特別な道具がいらない
【デメリット】
・炭の再利用がむずかしい
炭の消火におすすめの金属バケツをご紹介します。
炭の消火におすすめの金属バケツ ■トタンバケツ 10型 (約8.4L)
耐久性に優れたトタンバケツです。安心の日本製。
使用後の炭は高温なので、プラスチック製のバケツよりも、耐熱性のある金属製のバケツがおすすめです。
使用後の炭の正しい消し方2 ■空気中の酸素を絶って、炭を鎮火する
炭が燃えるには酸素が必要です。「火消し壺」を使って密閉すると、酸素がなくなり炭を鎮火できます。
【手順】
①火消し壺に使用後の炭を入れる
②20分~30分ほど置く
③持ち運ぶ場合は、「火消し壺」全体が熱くなっているので、持ち手をもつようにする
【メリット】
・炭を再利用できる
【デメリット】
・熱くなった「火消し壺」でヤケドをする恐れがある
(小さいお子さんなどが触らないように、置き場所に注意が必要)
おすすめの火消しグッズ、防火グッズをご紹介します。
炭の消火におすすめの火消し壺 ■炭火起こし兼用 火消し壺
「火起こし」と「火消し」がこれ1つでできる二刀流の火消し壺です。
■火起こし
煙突効果で楽に火起こしできます。
■火消し
上下のフタで密閉して炭を消火します。消火後の炭は、再利用OKです。
炭の後片付けが楽になる防火バッグ ■ZEN Camps 灰処理袋 Lサイズ
コンパクトにたためて便利な灰処理袋です。耐熱性生地で作られているので、まだ少し熱をもった炭や灰を安全に持ち帰ることができます。
3サイズ展開で、ソロキャンプにおすすめなSサイズ、複数人数のアウトドアにおすすめなMサイズ、連泊や焚き火シートにも使えるLサイズがあります。
【使用方法】
①ほぼ鎮火した炭や灰を袋に入れる。
※火消し壺ではないので、炎が上がっている高温の炭は入れないでください。破損の原因になります。
②袋の口をしめて内部を酸欠状態にし、鎮火を促す。
炭の消火におすすめの防火シート ■防火シート【ICHIFUJIスパッタシート】
外でバーベキューをするときに、後片付けが楽になる防火シートです。たき火台やコンロの下に敷いて使います。高温の炭がこぼれ落ちても、防火シートがキャッチするので安全です。使用後はシート上の炭や灰を集めて楽に片付けができ、地面も汚しません。
火の始末・炭を捨てるときの注意点 間違った消し方・捨て方に注意!
炭の間違った消し方や捨て方の例を紹介します。
■炭に直接水をかける〈NG〉
⇒燃える炭に直接水をかけると、水蒸気や灰が舞い上がりとても危険です。また、バーベキューグリルや七輪にダメージが出る可能性もあるのでやめましょう。
■炭が燃え尽きるまで放置する〈NG〉
⇒長時間かかる上に、消火が不十分なこともあります。火事やヤケドの原因になるので、確実な方法で消火しましょう。
■使用後の炭をそのまま土に埋める〈NG〉
⇒炭を土に埋めても消火はできません。また土の中では分解できないので、環境汚染にもなります。お子さんがヤケドを負う事故も発生しているので、土には絶対に埋めないようにしてください。
〈参考〉
BBQ“炭”でヤケド…砂に埋めて消える?(日テレニュース)
次の章では、使用後の炭の再利用方法について解説します。
使用済みの炭の再利用 「消し炭」を着火用の炭として再利用
水に浸して消火した炭は再利用がむずかしくなりますが、火消し壺などで鎮火した炭は再利用できます。
使用後の炭は「消し炭」と呼び、未使用の炭よりも着火しやすい特徴があります。次回のアウトドアで、火起こしが楽になるでしょう。
【消し炭の作り方】
①炭が完全に冷めてから、天日干ししてしっかり乾燥させる。
②保存容器に乾燥剤と一緒に入れて保管する。
いくつか種類のある炭の中で、再利用しやすいのは白炭(備長炭、オガ炭など)です。白炭は価格が高めで着火しにくい特徴がありますが、そのぶん長持ちするので再利用に向いています。
おすすめの白炭をご紹介します。
バーベキューにおすすめのオガ炭 ■1級オガ備長炭 10㎏
オガ炭は、おがくずを圧縮加工して作られた木炭の一種です。備長炭と同じ性質(火力が強く、火持ちが良い)を持ちながら、費用が抑えられるのがメリットです。
消し炭は、着火用の炭として再利用できます。
続いて、余った炭をアウトドア以外に使うアイデアを紹介します。
未使用の炭・余った炭を活用するアイデア 余った炭をアウトドア以外で活用
未使用の炭や余った炭は、アウトドア以外でも使えます。汚れが気になるときは、水洗いと天日干しをしてから使うのがおすすめです。
【余った炭の活用例】
・消臭剤(脱臭剤)として
・除湿剤として
・入浴剤に
詳しくみていきましょう。
余った炭の活用例1 ■消臭剤(脱臭剤)として使う
炭の吸着採用が、生活の中の嫌なニオイを取り除きます。
■冷蔵庫の消臭に
炭をキッチンペーパーにくるんで冷蔵庫に入れておくと、消臭剤替わりになります。効きが悪くなってきたときは、天日干しすると効果が戻ります。
■車内の消臭に
車の中はニオイがこもりがちになります。炭を綺麗な布にくるんで車内に置くと、消臭効果がありますよ。
余った炭の活用例2 ■除湿剤として使う
炭には「細孔」という小さな穴があり、湿気を吸いとります。
■押入れの除湿に
不織布やキッチンペーパーにくるんで押入れに置くと、除湿効果があります。効きが悪くなってきたときは、天日干しすると効果が戻ります。
余った炭の活用例3 ■入浴剤にする
炭の吸着力が、ふろ水の塩素や不純物を取り除きます。また遠赤外線効果で、体が温まりやすくなりますよ。
尚、入浴剤に向いているのは白炭です。(黒炭はもろく溶けやすいので、お風呂にはおすすめではありません。)
【炭の入浴剤の作り方】
①1kg程度の備長炭を水洗いする。
②洗濯ネットに備長炭を入れる。
③湯舟に入れて入浴を楽しむ。
最後に、炭から出た灰を再利用するアイデアをご紹介します。
炭から出た灰の再利用 炭から出た灰を再利用するアイデア
炭から出た灰も再利用する方法があります。粒度をそろえるため、ふるいにかけてから使うのがおすすめです。
【灰の再利用の例】
・畑の肥料に
・洗剤として(油汚れ落とし)
・山菜のあく抜きに
順番にみていきましょう。
炭から出た灰の再利用方法1 ■畑の肥料にする
灰に含まれるカリウム・カルシウム・リン酸などが、土壌を改良したり、農作物の生長を助けます。
灰を肥料として活用する方法については、こちらのYouTube動画も参考になります。
炭から出た灰の再利用方法2 ■洗剤として使う(油汚れ落とし)
灰のアルカリ成分と研磨作用で、バーベキュー機材や食器などの油汚れを落とします。
【手順】
①灰をふるいにかけて粉状にする
②灰を水に溶かす
③スポンジに灰をつけて、油汚れの部分をこすって落とす。
灰を洗剤として活用する方法については、こちらのYouTube動画も参考になります。
炭から出た灰の再利用方法3 ■山菜のあく抜きに活用する
灰のアルカリ性質が、ワラビのアクの成分である「チアミナーゼ」を中和します。
【ワラビのあく抜きをするときの手順】
①鍋にお湯を沸かし、沸騰したら一握りの灰を入れる。
(色だしのために、銅鍋を使う or 20cm程度の銅線を入れてもOK)
②火を止めて、ワラビを入れて落し蓋をする。
③一晩置くと、あくが抜けて水の色があずき色に変わる。
灰をあく抜きに使う方法は、こちらのYouTube動画も参考になります。