孤独死の後に残された部屋の原状回復をしなければいけません。賃貸住宅で孤独死が発生したときの原所回復費用の負担は、誰がするのかを知っておかないと大変なことになります。今回、孤独死現場での原状回復費用の債務者は誰になるのか、原状回復費用相場はどのくらいかかるのかもケース別に紹介します。
また、身内で高齢者の1人暮らしの方がいるような場合、できるだけ孤独死を避けるには何をすれば良いのか、孤独死後の原状回復費用で、トラブルにならないようにするための情報についても紹介します。
孤独死とは?原状回復の必要性も解説
孤独死という言葉を知っているという方は増えてきています。孤独死とは、1人暮らしをしていて誰にも看取られることなく住居内で亡くなられることを言います。
最近、高齢者の1人暮らしが増えてきて、死後発見が遅れるというケースも増えてきています。孤独死の1つのケースです。最近多いのが、この高齢者の孤独死になります。
孤独死されて残された部屋は、悪臭や汚れ、最悪なのが害虫なども発生しているケースがよくあります。このように、孤独死後の部屋の状態は人が住めるような状況ではないケースが多いです。そこで、必要になるのが、原状回復作業になります。
孤独死の原状回復費用の支払い責任者は?4ケースを紹介
孤独死をしたあとに残された部屋の特殊清掃を行うときにかかる費用は、一体誰が支払うのでしょうか?しっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。孤独死をした後の部屋の特殊清掃をしたときに、その費用を負担しなければいけなくなる人は4通りあります。
賃貸契約者(借り主・遺産・保険金)・遺族や親族(相続人や連帯保証人)・保険会社・保証会社・大家や不動産業者の4者の支払い義務などについて紹介します。
■1. 賃貸契約者(借り主・遺産・保険金)
孤独死後に特殊清掃や原状回復をしたとき、費用を支払う最初の義務者は、賃貸契約者(借り主)になります。故人に預貯金や保険金などの財産が残っているときは、その中から支払わなければいけません。
一般的に、故人が残した財産や保険金などで支払われるケースがほとんどです。故人に預貯金や保険金などがない場合は、次の支払い義務者へ債務が移行することになります。
■2.遺族や親族(相続人や連帯保証人)
家族が負担する場合の注意点を踏まえる。連帯保証人が費用を負担する場合は、事前に定められた「極度額」以上の金額を請求できません。
故人の財産では、原状回復費用の支払いができないというケースがあります。その場合、相続人・賃貸契約時の連帯保証人が支払わなければいけなくなります。最近は、保証人なしで賃貸住宅の契約ができるケースが増えています。
しかし、高齢者が借りるときは、健康的な問題が発生する確率が高くなります。そういう点を踏まえて、契約時に連帯保証人が必要になります。高齢者が賃貸住宅を契約するときは、連帯保証人は必須となっているケースは増えてきているのです。
■3.保険会社・保証会社
故人の財産がない、連帯保証人や相続人もいないというケースでは、保険会社・保証会社に支払い義務が発生してきます。この2つの中でも優先的に支払い義務が発生するのは、保証会社です。保証会社は、連帯保証人の役目を果たすので、このような場合は、保証会社に先に支払い義務が発生します。
■4.大家や不動産業者
前述までの3ケースでは支払えないようなケースは、不動産の持ち主である大家や不動産を管理している不動産会社が支払わなければいけません。このケースはほとんどありませんが、大家や不動産会社が支払うケースの場合、不動産価値が下がるうえに、特殊清掃費用や原状回復費用までも支払わなければいけなくなりダブルパンチとなります。
借り主が費用を負担できない場合は? 4つの対処法
孤独死した後に、汚れた部屋の特殊清掃・原状回復作業を行った費用に関しては、賃貸契約者(借り主)が支払う義務ですが、遺産や保険金がなく、支払えない場合があります。その場合の4つの対処法を説明します。
相続人・連帯保証人がいる場合
相続人が相続放棄をした場合
相続人と連帯保証人が同じで相続放棄をした場合
死亡者が生活保護受給者の場合
それぞれのケースについて詳しく説明します。
■1. 相続人・連帯保証人がいる場合
相続人や借りた住居の契約時に連帯保証人が要るときは、相続人または連帯保証人に原状回復費用の支払い義務が発生します。借主が亡くなったからと言って、賃貸契約自体が自動消滅するわけではありません。
民法でも、被相続人の一身に専属したものを除き、財産に属した一切の権利義務が相続人に継承されると明記されています。これは、負の財産も継承されるということで、賃貸契約も相続人又は連帯保証人に継承されるということです。貸主は、相続人または連帯保証人に残家賃や原状回復費用を請求できます。
相続の開始により、相続人は、相続開始の時から、被相続人の一身に専属したものを除
き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(民法896⦅相続の一般的効力⦆
出典:国税庁 民法の相続制度の概要
■2. 相続人が相続放棄をした場合
故人が支払えない時は、次に支払う義務があるのが相続人になりますが、相続人が故人の資産よりも負債の方が多いと思ってから相続放棄をすることがあります。その場合、故人の部屋の特殊清掃・原状回復費用の支払い義務はなくなります。
この場合は、賃貸契約で相続人とは別の人が連帯保証人になっているケースでは、連帯保証人がそれらの費用を支払う義務があります。
■3. 相続人と連帯保証人が同じで相続放棄をした場合
故人が支払えない時は、次に支払う義務があるのが相続人になりますが、相続人が故人の資産よりも負債の方が多いと思ってから相続放棄をすることがあります。その場合、故人の部屋の特殊清掃・原状回復費用の支払い義務はなくなります。
この場合は、賃貸契約で相続人とは別の人が連帯保証人になっているケースでは、連帯保証人がそれらの費用を支払う義務があります。
■4.死亡者が生活保護受給者の場合
特殊なケースとして、賃貸契約者が生活保護受給者の場合はどうなるのでしょうか?生活保護受給者の場合でも、特殊清掃や原状回復費用の支払い義務は、相続人や連帯保証人にあります。
生活保護受給者の場合は、親族などとの連絡が取れなくなっているケースがよくあります。この場合は、賃貸契約をしたときの保証会社に原状回復費等の支払い義務が発生するのです。
孤独死の原状回復費用にかかる相場は?
賃貸住宅で孤独死が発生したとき、どのような費用が必要になるのでしょうか。孤独死現場で必要な費用には、残置物処理費用・原状回復費用・家賃保証費用の3つがあります。
それぞれにどのような費用が発生するのか、費用相場を下記にまとめました。
|
残置物処理費用 |
原状回復費用 |
家賃保証 |
平均損害額 |
235,839円 |
381,111円 |
307,876円 |
平均支払保険金 |
235,487円 |
334,411円 |
なし |
最大損害額 |
1,781,595円 |
4,546,840円 |
なし |
最小損害額 |
1,080円 |
5,200円 |
なし |
最大支払保険金 |
990,000円 |
3,000,000円 |
なし |
最小支払保険金 |
1,080円 |
5,200円 |
なし |
出典:2022年11月第7回孤独死現状レポート
孤独死の原状回復の作業種類4個
孤独死をしてから残された故人の部屋を原状回復するときに、必要な作業にはどういう作業があるのでしょうか。原状回復をするために必要な作業としては、次の4つの作業があります。
特殊清掃
遺品整理
ハウスクリーニング
リフォーム
上記4つの作業詳細を説明します。
■1.特殊清掃
孤独死をした後に残された部屋は、強烈な臭い・汚れなどが残っている状態になっていることが多いです。まずは、その部屋の悪臭やひどい汚れなどを取らなければいけません。この作業のことを特殊清掃と言います。
孤独死現場では、臭いや汚れ以外にハエやうじ虫などの害虫も発生している可能性があります。ここまでひどくなると、一般的なハウスクリーニングではきれいにすることはできません。まずは、特殊清掃を専門にしている業者へ依頼して、悪臭の除去やうじ虫などの害虫の駆除作業を行ってもらわなければいけません。
■2.遺品整理
孤独死現場の特殊清掃が終われば、残された遺品整理をしなければいけません。残された遺品の中には、貴金属類や通帳など財産になるものと、処分しなければいけない不用品が混ざっています。
これらの遺品を相続人自ら整理することも出来ますし、相続人に時間がない時や、遠方に住んでいるようなケースでは、遺品整理を専門に行っている業者へ依頼して、遺品整理を代行してもらうことも可能です。
■3.ハウスクリーニング
特殊清掃、遺品整理まで終われば、その後に通常のハウスクリーニングを行ってから、住居を大家さんや不動産会社に引き渡さなければいけません。ただし、一般的な住宅のハウスクリーニングと違って、清掃作業は大変な作業です。ハウスクリーニング業者によっては、通常の費用よりも高い金額を請求されることもあります。
■4.リフォーム
孤独死現場では、悪臭・汚れがひどいときは特殊清掃やハウスクリーニングでは除去できないケースも出てきます。その場合は、床や壁などを一度はがして張り替えたりすることもあるのです。
このようなケースでは、リフォームも視野に入れる必要が出てきます。
孤独死の原状回復費用の見積もり例 3ケースを紹介
原状回復を行ったときに掛かる費用は、亡くなった場所によって費用が大きく変わります。孤独死された部屋の原状回復費用は、平均が39万円で、最大400万円かかると言われています。ここでは、孤独死された場所別の原状回復費用がどのくらい必要なのかを次の3つのケース別に紹介します。
浴槽で孤独死したケース
トイレ・洗面所で孤独死したケース
リビング孤独死したケース
■1. 浴槽で孤独死したケース
浴槽で孤独死をした場合の費用を見てみましょう。間取りが1Kの浴槽で孤独死をしているときの原状回復をすると、最初に特殊清掃を行なわなければいけなくなるケースが多いです。浴槽の特殊清掃作業は時間がかかるため、費用も高くなります。
1DKの場合の基本料金は45,000円となり、作業員2人で行うので人件費が20,000円×2人=40,000円となります。これはあくまでも基本料金なので、実際の浴槽の状況に合わせた料金が別途加算されることになるのです。
浴槽に水が溜まっているときの清掃料金は100,000円で、水が溜まっていない時の清掃料金は80,000円かかり、浴槽の消毒作業に15,000円かかり、浴槽の消臭作業に30,000円かかり、最後に行う水質検査費用が30,000円かかります。
浴槽に水が溜まっている場合の総費用は、260,000円で、浴槽に水が溜まっていない場合の費用は240,000円かかることになるのです。
ここで、浴槽内の体液などを作業員が手作業で汲み取る作業を行うから、浴槽内に水が溜まっているときの清掃料金が高くなります。
■2. トイレ・洗面所で孤独死したケース
トイレで孤独死をした後の原状回復作業は安いのではと思うかもしれませんが、広さよりも便座の着脱などをしなければしけないため、作業が複雑で時間がかかります。その分お金がかかるということです。
1LDKの場合の基本料金は80,000円となり、作業員2人で行うので人件費が20,000円×2人=40,000円となります。これはあくまでも基本料金なので、さらに実際のトイレ実作業に料金が別途加算されることになるのです。
便座着脱作業に9,800円かかり、洗面台等撤去作業に15,000円かかり、床切断作業に35,000円かかり、床下洗浄コーティング作業に35,000円かかり、オゾン燻蒸作業に30,000円かかります。
上記作業がなぜ必要かというと、トイレ内は狭いため、床に体液などが流れ出していることがほとんどなので、その除去作業が必要になるからです。これらの作業費用を合計すると、トイレで孤独死された場合は、229,800円かかり、洗面台で孤独死された場合は、235,000円かかることになります。
■3.リビング孤独死したケース
孤独死をした場合の費用を見てみましょう。間取りが1Kの浴槽で孤独死をしているときの原状回復をすると、最初に特殊清掃を行なわなければいけなくなるケースが多いです。
1DKの場合の基本料金は60,000円となり、作業員2人で行うので人件費が20,000円×2人=40,000円となります。これはあくまでも基本料金なので、実際のリビングの状況に合わせた料金が別途加算されることになるのです。
床切断作業に35,000円かかり、特殊コーティング作業は1か所に5,000円で必要な個所数分かかり、オゾン燻蒸作業に30,000円かかり、床下洗浄コーティング作業に35,000円かかります。これら費用を合計すると、210,000円かかります。
ただし、あくまでもリビング内だけの原状回復をするときで、その他の部屋に臭いが充満していたりした場合は、別途作業をしなければいけないので、追加で費用が発生します。
孤独死の原状回復で大家さんが請求できる上限は?
まずは、孤独死など残された部屋の原状回復費用を次のようになっています。
最小損害額は5,400円で、最大損害額は1,528,329円で、平均損害額は389,594円となっています。
大家さんにしてみれば、故人の残した部屋の原状回復費用は全額支払ってもらいたいところです。原状回復にかかった費用を全額請求できないケースがあります。
部屋で自然死や病死をした場合、減価償却という考えをもとにして原状回復費用を賃貸者に対しては支払ってもらわなければいけません。そうなると、故人には汚染していない部分の請求は出来ません。
ただし、自殺の場合は、病死や自然死と違って故意に行われたケースになるので、基本的には全ての原状回復費用を借主に請求できます。また、ゴミ屋敷の場合も、借主の責任になるので、原状回復費用のほとんどを請求できます。
大家さんの費用負担を減らすための予防策3つ
孤独死をした後の原状回復費用を、大家さんが負担しなければいけなくなる時3つの対策を紹介します。
そうなる前の事前準備
入居者が原状回復費用を支払わない時
大家さんが原状回復費用を支払わなければいけない時
■1.そうなる前の事前準備
原状回復費用をできるだけ大家さんが払わないで済むようにするためには、何を準備しておけば良いのかを紹介します。
① ガイドラインに沿った契約書にする
賃貸契約に関しては、国土交通省がガイドラインを定義しているので、そのガイドラインに沿った契約書を作成することが重要です。ガイドラインとかけ離れた内容の契約書だと、賃借人どちらのためにもなりません。
② 弁護士などの専門家に契約書を確認してもらう
賃貸契約書の内容は、賃借人のどちらも、しっかりと理解しているケースは少ないのです。そこで、トラブルが起きやすくなります。原状回復費用の支払いに関しても、契約書内にしっかり明記しておくことで賃借人の双方のためでもあります。
作成した賃貸契約書は、事前に弁護士に依頼して内容を確認してもらっておきましょう。そうすれば、何かあった時に正式な契約書として有効です。
③ 入居者への契約書をしっかり説明する
一番大切なのが、賃貸予定者に原状回復も含めて、しっかりと説明することです。これを怠ると、後々トラブルのもとになってしまいます。契約前に、しっかり賃貸予定者に説明して署名捺印を行ってもらいましょう。
■2.入居者が原状回復費用を支払わない時
入居者が原状回復費用を支払わない時、入居者に支払う財産がない場合は、相続人や連帯保証人が支払わなければいけませんが、それも支払わないようなケースでは、最終的に大家さんが支払わなければいけなくなるケースがあります。
その時に、入居者や連帯保証人、そして相続人に請求するためにできることがあります。その方法を2つ紹介します。
① 内容証明書類を送付する
電話や郵便で通知をしても支払ってくれない場合は、内容証明を送付することで支払っていただけるケースもありますし、その後の訴訟を起こした時の証拠にもなります。送付した文書の内容と送付日が証明される郵便のことを内容証明郵便と言います。
内容証明を送付することで、相手方に心理的なプレッシャーを与えることができます。ただし、内容に関しては、自分に不利になるケースも出てきますので注意しなければいけません。
② 弁護士の相談する
内容証明を送付しても期限までに支払いがないケースは、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。そうすることで、弁護士が内容証明などの内容を精査してくれて、最終的には訴訟の準備に取り掛かれます。
正式に弁護士から内容証明を送付することで、支払ってもらえる可能性もあります。
③ 訴訟を起こす
弁護士からの支払い請求を行っても支払ってもらえないような場合は、訴訟をすることになります。調停は、第三者を介して話し合いの元解決する手続きになります。合意に達すれば、強制執行も出来るのです。調停でも解決しない場合は、訴訟を提起することもできます。
■3. 大家さんが原状回復費用を支払わなければいけない時
孤独死した入居者に支払い能力がなく、相続人が相続放棄をした場合などは、大家さんや管理している不動産会社が原状回復費用を支払わなければいけなくなります。その場合、少しでも費用を抑えたいときは次の6つを行うことがポイントになります。
① 不動産オーナー向けの孤独死保険に加入しておく
最近は、不動産オーナー向けの孤独死保険というものもあります。これは、賃借人が孤独死をしてから身内がいないので、オーナーが原状回復費用を支払わなければいけなくなった時にその費用を負担してくれるサービスです。
こちらの保険に加入すれば、最大300万円程度の原状回復費用を支払ってくれます。保証の内訳には、遺品の整理費用・修理費用(原状回復費用)・家賃損失額などが含まれています。この保険は孤独死だけではなく、ゴミ屋敷にも適用されるので安心です。
② 1回目の見積もりで決めない
原状回復工事費用の見積もりをしてもらって、1回目の見積もり金額は、ほとんどの場合、高めに設定されています。見積書の内容を見て、こちらの要望をお話しして再見積もりを出してもらうか、別の業者に見積もりを依頼して、複数業者から相見積もりを出してもらうようにしてください。
そうすることで、1回目の見積もり金額よりも安くなることが多いのです。これをやらないで1回目の見積もり金額で決めるのはあまりおすすめできません。
③ 原状回復工事の内容を確認しておく
見積金額に見合った原状回復工事なのかを把握する必要があります。そのためには、原状回復工事の詳細をしっかり聞いてください。見積書には工事内容が細かく書かれていないケースも良くあるので、詳細を出してもらうように依頼しましょう。工事内容をはっきりさせることが費用を抑えることにつながります。
④ 原状回復を行う作業員の人数を確認する
実際に原状回復工事を行う作業員の人数を把握することです。見積書内に人件費として記載されていなかったり、作業員一括などと作業人数をはっきりと書かれていないケースもあります。この場合は、作業人数が何人かかるのかを明記してもらいましょう。
⑤ 原状回復の工事範囲を確認する
一番重要なのが、工事は何をどこまでやるつもりなのかです。これによって人件費も変わるので、見積書内に書かれていない場合もあるので、しっかり確認しておきましょう。概算で工事範囲を計測したりして、実際の工事面積よりも広い範囲で見積書内に記載されていないかどうかも、依頼者がしっかり確認しておきましょう。
原状回復費用の見積もり方法3つ
原状回復工事を依頼する業者の探し方でも、見積もり金額が大きく変わります。ただ、見積もり金額だけで見るのもあまりよくないので、サービスと料金の両方を総合的に見てから、一番自分に合った見積もり方法で見積もってもらって依頼する業者を決めましょう。
ここでは、次の3つの見積もり方法を紹介します。
■1. 知人・知り合いの業者へ依頼する
原状回復工事の見積もりを依頼する業者を探す時に、友人や知人がいれば、そちらに見積もりを出してもらって、依頼するかどうかを決めましょう。友人や知人に依頼する場合、料金面では安いか、高いかはあまりわかりにくくなりますが、安心して依頼できるというメリットがあります。
■2. 一括見積サイトを利用する
一括見積もりサイトを利用すると、複数業者の見積もりを一気に取り寄せられます。原状回復費用の相場を把握することができて、あまりにも高い業者と低い業者を外してからそれ以外の業者の中か選ぶことも出来ます。一括見積サイトを利用した場合は、原状回復費用の適正価格が分かるのです。
■3. 自分で調べて業者を見つける
自分で原状回復業者を探す方法があります。これであれば、自分で探すので、良くも悪くも納得して選ぶことになり、費用が高くても納得してから入りすることになります。ただし、原状回復の適正価格が分からないというデメリットもあります。
■原状回復費用を安くするコツ3つ
孤独死をされた部屋の原状回復費用は、孤独死後にどのくらいの期間放置されたかで大きく変わってきます。放置期間が長ければ長いほど、原状回復費用は高くなるのです。そこで、原状回復費用を少しでも安くするためには何をすれば良いのかを知っておくと、費用面で助かります。
孤独死をした部屋の原状回復費用を安くする4つのコツについて紹介します。
定期的に声掛けをして安否を確認する
自治体などの見守りサービスを利用する
自治体などの高齢者向けの集いの場
■1.定期的に声掛けをして安否を確認する
高齢者の1人暮らしは、周りとの交流をあまりとらないことで起こります。周りから少しでも多く交流を持つようにすれば、孤独死の軽減にもつながりますし、もし亡くなった時には、早期発見につながります。
できる限り声掛けを行ってから、健康状態などを周りが知っておくことが重要です。定期的な声掛けが孤独死を防ぐことになり、孤独死後の早期発見につながります。孤独死を少しでも減らすには周りの協力も必要なのです。
■2.見守りサービスを利用する
見守りサービスと言って民間企業で高齢者の1人暮らしのための、状況把握をするようなサービスがあります。住居にセンサーやカメラを導入して、日ごろの生活になにか変化があった時に知らせるようなサービスで、これを導入することで、孤独死の早期発見につながります。
サービス事例として、居室センサーを設置するサービスがあります。これは、センサーを室内に設置して、室内の動きや火災、温度・湿度異常などを感知したときに携帯やパソコンに連絡をするサービスで、遠方に住んでいる家族でも、1人暮らしの親に何かあれば、通知が来るので、孤独死後の発見までの期間を短くできます。
そうすることで、亡くなった後の部屋の原状回復費用も安くできるということです。
■3.自治体などの高齢者向けの集いの場を利用する
自治体の方で、高齢者向けの以後や将棋を無料で行えるような場所を提供したりしているところもあります。高齢者の1人住居の方が複数人いれば、孤独感も減少できますし、毎週通っていれば、来なくなった時になにかあったのではと早期発見につながるのです。
これは、自治体毎でやっているところとやっていないところがあるので、1人暮らしの高齢者が進んで参加することを願います。また、家族の方でも進めるのもいいでしょう。
孤独死の原状回復費用でよくある質問5つ
■自分や身内が連帯保証人に…孤独死原状回復費用の支払い義務はある?
「孤独死した人の連帯保証人になっている」というだけでは原状回復費用の支払い義務は生じません。まずは孤独死した本人の預貯金や保険金などから原状回復費用を支払うからです。
しかし預貯金や保険金などがなく孤独死した本人に原状回復費用の支払い能力がない場合、連帯保証人に支払い責任が移ります。
詳しくは孤独死の原状回復費用の支払い責任者は?4ケースを紹介をご覧ください。
■孤独死の原状回復費用|適応できる保険があるって本当?
不動産オーナー向けの孤独死保険というサービスがあります。やむを得ず不動産管理者が孤独死の原状回復費用を支払わなければいけなくなった場合、負担を軽減してくれる保険です。
詳しくは大家さんの費用負担を減らすための予防策3つをご覧ください。
■孤独死の原状回復費用|相場はいくら?
2022年第7回孤独死現状レポートによると、孤独死の原状回復費用の平均損害額は381,111円、最大損害額は4,546,840円となっています。
また孤独死現場では原状回復費用以外にも残置物処理費用、家賃保証費用が必要です。
詳しくは孤独死の原状回復費用にかかる相場は?をご覧ください。
■孤独死の原状回復費用|保証会社が支払うケースとは?
孤独死した故人に支払い能力がなく連帯保証人や遺産相続人がいない場合(相続人が相続放棄した場合も含む)、保証会社に原状回復費用の支払い義務が生じます。
詳しくは孤独死の原状回復費用の支払い責任者は?4ケースを紹介をご覧ください。
■生活保護受給者が孤独死…原状回復費用は誰に請求すれば?
孤独死した故人が生活保護受給者だった場合でも、原状回復費用は連帯保証人や遺産相続人に支払い義務が生じます。
とはいえ生活保護受給者の場合、親族などと連絡が全く取れないケースも珍しくありません。この場合は賃貸契約をしたときの保証会社に原状回復費等の支払い義務が生じます。
まとめ
孤独死をした後に残された部屋の原状回復をするときに掛かる費用は誰に責任があるのか、その優先順位などについて紹介してきました。
また、孤独死後の原状回復費用にはいくら必要になるのか、原状回復費用以外に必要なものに関しても費用相場を紹介してきました。孤独死の原状回復費用に関して、わからないこと不安に思うこと、は多いと思います。
事前にしっかりとした知識を持つことで、現状回復の費用を抑えることができます。