肌触りも良く吸湿性に優れたコットンは、肌着やベビー服に欠かせない身近な素材です。ですが、長持ちさせるための正しい洗濯方法は意外と知られていないのではないでしょうか?
この記事では、コットンの縮みや傷みを最小限に抑えるために知っておきたい洗濯方法を6つのステップに分けてご紹介しています。
コットンの正しい洗濯方法6ステップ
コットンは比較的扱いやすい素材ですが、特性を把握していないと縮んだり傷みを引き起こすことがあります。素材を長持ちさせるには、正しい洗濯方法を知ることが欠かせません。
ここでは、コットンの正しい洗濯方法を6つのステップに分けてご紹介しています。
■①初めて洗うコットンの服は気をつける
買ったばかりのコットンの服は、最も縮みやすい状態です。縮みやすいだけでなく、染料も落ちやすくなっているので、他の衣類と一緒に洗うことは避けましょう。
特に、藍染等の天然素材等で染めてあるものはほぼ染料の色が落ちると思って良いでしょう。デニム生地等は、場合によっては洗濯機の中にまで色が移るものがあるので要注意です。
また、縫製前に水通しをしていない洋服も、最初の洗濯で一番大きく縮む傾向にあります。これを防ぐためには、できれば着用前に水通しをしておくことをおすすめします。水通しの方法は、後の項でご紹介しているので参考にして下さいね。
■② ネットに入れて洗う
洗濯機でコットンの服を洗った時に縮んでしまう大きな原因のひとつに、布のよじれが挙げられます。よじれたまま水流に晒されることで、形が崩れるだけでなくボタン等が破損してしまうことも。
また、ダブルガーゼのように薄い布を重ねた素材は、表地と裏地の大きさが違ってしまうこともあります。
これらを防ぐためには、たたんでネットに入れるのがおすすめです。たたんだまま洗えるので、布のよじれを最小限に抑えることができます。
襟元や袖口等の汚れやすい部分を表に来るようにたたむことで、洗浄力は維持しつつ衣類を守ることができます。シャツ等ならば、裏返してたたむのも効果的です。襟や袖が自然と表に来ますし、表地の色あせも防ぐことができます。
ネットは、大きすぎても小さすぎてもその効果を発揮できません。衣類に合ったサイズのものを選びましょう。
■③コットンはドライコースで洗う
洗濯機で洗えるものが多いのがコットンの魅力ですが、薄手の衣類を洗濯するときはドライコースを選びましょう。
ドライコースは、衣類の傷みや縮みの原因になる摩擦を最小限に抑えるように設定されたコースです。水流や脱水をソフトに行うので、繊細な衣類の洗濯にぴったりです。
ただし、通常コースに比べて洗浄力の部分では若干劣る傾向にありますので、汚れの気になる部分は洗濯前に手でつまみ洗いをしておくと良いでしょう。また、通常の洗剤より泡切れの良い「おしゃれ着用洗剤」を使うのもおすすめです。
■④ 脱水を短時間に抑える
洗濯機で衣類のよじれが発生する原因の多くは、脱水時に強い力がかけられることです。よじれた繊維は硬くなってしまい、縮みだけでなく風合いが失われる原因にもなります。
これを防ぐためには脱水時間を最低限に抑える必要があります。
ドライコース以外で洗う場合は、洗濯機の設定を変更して脱水時間を30秒~1分に変更しましょう。大量の洗濯物を入れていなければ、短時間の脱水でも水分を取り除くことは可能です。洗濯機によってベストなタイミングは異なりますが、水が垂れない程度に脱水が出来ればOKです。
■⑤コットンは熱を加えず乾燥させる
コットンの衣類を乾燥機にかけるのはNGです。乾燥機は脱水以上に布のよじれが生じやすいものです。また、薄手のコットンには深いシワが入りやすいので風合いも失われてしまいます。
脱水が終わった衣類は、できるだけ早く洗濯機から取り出して干すようにしましょう。軽く叩いて大きなシワを伸ばしてやったり、パンパンとはたいて形を整えます。ダブルガーゼのように層になっている素材は、空気を含ませるようにはたくとふんわりと仕上がります。
できるだけ風通しの良い場所に干して、水分を飛ばすようにするのがポイントです。水分を多めに含んだ衣類は、ハンガーに干すとタテに伸びて形が崩れてしまいます。ハンガーを2本使ったり平干しにする等の工夫も必要です。
■⑥コットンのしわをアイロンで伸ばす
ある程度乾いたら、アイロンでシワを伸ばして形を整えましょう。正しく干していれば大きなシワは伸びているはずなので、どちらかというと形を整える目的でアイロンをかけることになります。
このとき、少し湿り気が残っている状態でアイロンをかけるほうがキレイにシワが伸びます。生乾きのニオイも防げるので、是非試してみて下さいね。
アイロンをかけるときは、あまり力を入れずにすべらせるようにかけましょう。生地は布目に沿って伸びていくので、あまり力を入れると形が崩れる原因になります。大きなシワは干すときに伸ばして、あとはスチームをあてながら仕上げるようにすると良いでしょう。
コットンが縮むのを防ぐ洗濯方法
お気に入りの服は、できるだけ長く着たいものです。コットンは経年による風合いの変化も楽しめるものが多いですが、縮んでしまうとそうもいきません。ここでは、できるだけ服を縮ませないために知っておきたいことや、縮みを防ぐ洗濯の方法をまとめてみました。
■素材のことを知ることから始めよう
コットンは、綿花の実から作られた天然繊維です。
極細の繊維を織って作られているので、通気性や肌触りが良く、吸湿性も高いので赤ちゃんから高齢者まで着ることができます。デニム生地もほとんどが綿ですし、ベビー服等に使われる「ダブルガーゼ」も綿から作られた生地です。
加工の仕方によって、丈夫で長持ちする布にも柔らかく繊細な布地にもなります。基本的には肌への負担が非常に少ないので、皮膚の弱い方でも着やすいのが特徴です。
ただし、綿は天然素材ゆえのデメリットもあります。まず、日光による色褪せや汗汚れからくる黄ばみに弱いという特徴があります。漂白で落とすことも可能ですが、繊維を傷めやすいので最小限に留めるほうが良いでしょう。
また、極細の繊維を織って生地にするのでシワになりやすいという特徴も。熱や圧力で容易に形がついてしまうので、洗濯や収納にはひと工夫が必要です。
■コットンが縮む要因とは
コットンに限らず、布を織るときは糸をピンと張った状態で織りあげていきます。このようにテンションをかけて織りあげられた布は、水を含むことで元に戻ろうとする力が働きます。
また、水を含むと繊維が膨張して太くなります。横が太くなった繊維は、そのぶん長さが短くなります。この状態で乾くと「縮んだ」という状態になるのです。
これは布を織ったあと、初めて水に通した時に最も強く出る現象です。つまり、布の状態で水に通してから服に仕立てれば、服になってからの縮みを防ぐことができます。
しかし、大量生産の一般的な衣類ではそこまで期待できないことがほとんどです。服として仕立ててから布地が縮むと、全体的な大きさが変わってしまうだけでなく、縫い目の部分がよれてしまいます。
このまま無理に着用すると型崩れだけでなく服自体が破損することもあります。後の項でもご紹介していますが、袖を通す前に水通しをすることで、縮みや型崩れを最小限におさえることも可能です。
■最初の洗濯は手洗いで
先にもご紹介したように、コットンは初めて水に通す時が最も縮みやすいものです。このため、最初の洗濯は単品で手洗いするほうが良いでしょう。様子を見ながら洗うことができますし、染料の色落ちにも対処できます。
洗濯洗剤を溶かした水に衣類を浸してやさしく押し洗いしたら、軽く水気を切って洗濯ネットに入れ、30秒~1分だけ脱水にかけましょう。
また、服を買った直後に水通しの目的で洗剤を使わずに水洗いするのもおすすめです。
この場合は、洗うというよりは水にしっかり浸けることが目的です。ガーゼ生地なら30分、普通の綿生地ならば1時間程度浸けておけば良いでしょう。水に浸けた服は、軽く脱水してから直射日光を避けて陰干しにします。水通しをすることで、余計なノリ等が落ちて着やすくなる効果も期待できます。
■干し方と場所にも注意
コットンの縮みを防ぐには、干し方の場所にも注意が必要です。
細い針金ハンガー等にそのまま干してしまうと、肩に重みがかかって型崩れの原因にもなります。また、直射日光も縮みや色あせの原因になるので、日陰に平干しにするのがベストです。
脱水した服を軽く叩いてしわを伸ばして形を整えたら、平干し台の上に干しましょう。平干し台がなければ、ハンガーを2本使いしたりピンチハンガーを使うのもおすすめです。一か所に重みがかからないようにすることと、できるだけ風通しの良い場所に干すことを心がけましょう。
コットンが縮んだ時に伸ばす方法
うっかり乾燥機にかけてコットンの服が縮んでしまったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。縮んだからと言って捨ててしまう必要はありません。ここでは、縮んだ服を伸ばす方法を二つご紹介しています。
■柔軟剤を使って伸ばす
縮んだ衣類を柔軟剤の力を使って伸ばしていく方法です。
ぬるま湯に柔軟剤を少量入れてよく混ぜたものを用意します。衣類全体をしっかり浸して、30分ほど放置しましょう。
そのあと、軽くすすいだらしっかり伸ばして干すだけです。この時に気をつけたいのは、伸ばしすぎないようにすることです。生地は縦方向に伸びる力があるので、引っぱりすぎると逆に伸びすぎてしまいます。
ある程度伸ばしたら、平干しで力が掛かりすぎないようにするのも良いでしょう。縮みが発生するのは乾いていく過程です。生乾きの状態でアイロンをかける等して、縮みを最低限に抑えるようにしたいですね。
■型紙を使って直す
これはトートバッグやTシャツにおすすめの方法です。まず、伸ばしたい寸法にダンボールを切って型紙を作りましょう。濡れないようにラップ等で包んでおくとベストです。
一度しっかり水に浸した洗濯物を型紙に沿わせてセットして、洗濯ばさみで留めればOKです。型紙を作る必要があるので、複雑な形の衣類には向いていませんが、しっかり形を作れるのでキレイに縮みを伸ばすことができます。
洗濯できないコットンを洗うには?
服には必ず洗濯表示がついていますが、いつも注意しながら洗濯しているという方は意外と少ないのではないでしょうか。コットンは比較的丈夫な素材ですが、中には「水洗い不可」の表示がされているものもあります。ここでは、こういった服はどのように洗えば良いのかをご紹介しています。
■洗濯できないコットンとは
基本的に、ほとんどのコットンは家庭の洗濯機で洗うことができます。
しかし、しわ加工やプリーツ加工が施されたコットンの衣類は家庭の洗濯機にかけるのはNGです。水流等で加工が取れてしまうだけでなく、形が崩れたり風合いが失われてしまいます。
他にも、スパンコールやビジューが縫いつけられている服、薄手のガーゼを重ねたような服は水流でねじれが大きく出やすい傾向にあります。また、縫いつけられたスパンコールの塗装がはげてしまうこともあるので気をつけましょう。
目の粗いコットンニットは、繊維が荒いぶん、すき間が詰まったような縮み方をしてしまいます。手触りが硬くなってごわついたり、伸縮性が失われることもあるので洗濯機で洗うのは避けたほうが良いでしょう。
繊細なコットン生地はそれだけ水流や圧力に弱いので、洗う前の慎重な見極めが大切です。
■ドライコースなら洗ってもいい?
洗濯に向かないコットンでも、ドライコースなら洗えるのでしょうか?
結論から言うと、たとえドライコースでも洗濯機で洗うと縮んだり風合いが失われる可能性は避けられません。
確かに、「水洗い不可」の表示があっても洗濯機で洗える衣類がたくさんあるのは事実です。しかし、ものによっては一度洗っただけで取れないようなシワがついてしまったり、繊維が硬くなってしまい縮んでしまうことも珍しくありません。
こういった事態を避けるためにも、絶対に失敗したくないお気に入りの服は、洗濯表示に従ってドライクリーニングに出すことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?コットンはきちんと手入れをすれば長く風合いや着心地が変わっていくのを楽しめる素材です。正しい洗濯方法を知って、お気に入りの一着を大切に着られるようにしたいですね!