ダウンジャケットは防寒着として重宝する一方、汚れがたまりやすいものです。でも、高価なクリーニングに出すのはちょっともったいない気がしますよね。
この記事では、ダウンジャケットを家でスッキリ洗うコツをご紹介しています。
ダウンジャケットの洗濯で失敗する原因
ダウンジャケットの洗濯で失敗するパターンとして、最も多く発生するのは羽毛の偏りです。ジャケットの中で羽毛が偏ってしまったり、塊のようになってしまったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この羽毛の偏りが起きる原因として挙げられるもののひとつに、洗濯後の干し方があります。普通の洗濯物のように細いハンガーにかけることで、水を吸って重くなったダウンジャケットが下へ移動してしまい偏りが生じるのです。
また、水を含んだ状態の羽毛は非常に絡まりやすくなっています。そのまま乾燥すると、ゴワゴワの塊になってしまいます。羽毛の偏りと同時に変なニオイが残ってしまったというケースも、大抵はきちんと乾燥しきってないために起こるものです。
また、洗剤のチョイスにも失敗の原因が潜んでいることがあります。
ダウンジャケットの羽毛は、素材由来の油分でコーティングされています。普通の洗濯洗剤で洗うと、その油分が溶け出して羽毛が劣化してしまいます。羽毛の油分は熱いお湯でも溶け出してしまいます。汚れを早く落としたいからといって、ダウンジャケットをお湯で洗うのは絶対に避けましょう。
ダウンジャケットを洗う時に必要な3つのもの
ここでは、ダウンジャケットを洗濯する前に揃えておきたいものを3つご紹介しています。毎日の洗濯にも活躍するアイテムばかりなので、この機に揃えるのもおすすめですよ。
■①スポンジ
ダウンジャケットを洗う時は、スポンジを使ってやさしく汚れを落としていきます。
このときに使用するスポンジは、研磨剤の入っていない安価なスポンジたわしが良いでしょう。ネットスポンジでも代用できますが、ダウンジャケットの表面に傷をつけないよう、柔らかい素材のものを選ぶのがポイントです。
■②石鹸
袖口やポケット周りといった汚れが目立ちやすい部分は、全体を洗う前に石鹸で下洗いをするのがポイントです。固形石鹸は中性なので羽毛を傷めないだけでなく、汚れた部分に直接塗りつけることができる扱いやすさが魅力です。
衣類の汚れを落とすのにも向いているので、日頃は固形石鹸を使わないという方でもひとつは持っておくことをおすすめします。
■③おしゃれ着用中性洗剤
ダウンジャケットを洗う時は、必ずおしゃれ着用の洗剤を選びましょう。どちらも衣類を洗うためのものですが、普通の洗濯洗剤とおしゃれ着用洗剤には明確な差があります。
洗剤は、ph値によって洗浄力の強さが異なります。一般的にはアルカリ性に近づくほど洗浄力が高くなる一方、衣類や手肌への負担も高くなると言われています。
市販されている洗濯洗剤は弱アルカリ性がほとんどですが、繊細な羽毛に負担がかかり傷みやすくなってしまいます。また、強い洗浄力で羽毛の油分まで取り除いてしまうと、型崩れや保温能力の低下を起こすことも。
一方、おしゃれ着用洗剤は中性なので、洗浄力は洗濯洗剤に若干劣りますが、羽毛に負担をかけることがありません。ダウンジャケットを洗う時は、必ずおしゃれ着用洗剤を用意するようにしましょう。
ダウンジャケットの洗い方14ステップ
ダウンジャケットを自分で洗うというと、ちょっと身構えてしまいますよね。でも、きちんとポイントを守って洗えば自宅でもキレイに洗えるんです。
ここでは、ダウンジャケットを洗う手順を14つのステップに分けて解説しています。
■①ダウンが洗濯できるか表示をチェック
自宅で洗濯できるかどうかを知るために、まずは洗濯表示をチェックしましょう。
この二つは、洗濯機もしくは手洗いができることを示しています。他にも、洗う温度やアイロンの可否について等、洗濯表示には衣類に関する情報が詳細に記載されています。洗濯前に、必ず表示を確認するようにしましょう。
■②ダウンに洗濯できない素材がついていないかチェック
洗濯表示上は問題がなくても、ダウンジャケットにレザーやファーの飾りがついていないかをよく確認しましょう。レザーやファー、表面に特殊な加工が施されている布等は水で洗うことができません。特に、天然素材は水にぬらすことで素材が変質してゴワゴワになってしまうことも。
洗う前に全体を細かくチェックして、外せる飾りは全て取り外しておきましょう。どうしても取り外せない場合や、一部でもレザー等が使われているダウンジャケットは、自分で洗わずにクリーニングに出すことをおすすめします。
■③ファスナーやボタンを全て閉める
ダウンジャケットの洗濯を綺麗に仕上げるには、できるだけ洗いや乾燥の過程で形を崩さないことが重要です。
ポケット等の中が空になっていることを確認したら、ファスナーやボタンを全て閉めておきましょう。部分洗いの時に開けたとしても、すすぎの時には最初と同じ状態にしておくのがポイントです。
特に、前ボタンをきちんと閉めておくとコンパクトにまとまるので、扱いも楽になります。脱水時に力が偏ってかかることも防げますので、忘れずに閉めておくようにしたいですね。
■ ④特に汚れている部分が無いかチェック
洗濯前に、全体の状態を細かくチェックしましょう。特に汚れている部分は全体を洗う前に下洗いをする必要があります。どこが汚れているかをよくチェックしておくことで、布地を必要以上に傷めることなく洗えます。
袖口や首回り、ポケット周辺は特に汚れが付着しやすい部分です。他にも、ファスナー周辺や内ポケット、肩にカバンを掛けることの多い方はカバンの当たっている場所等もチェックしておきましょう。
その際、破れやほつれができていないかも一緒にチェックしておくことをおすすめします。破れをそのままにして洗うと、羽毛がはみ出してしまい大きな破損に繋がることがあります。洗ってから気づくと大変ですので、事前にきちんとチェックしておきたいですね。
■⑤ダウンの汚れている部分を濡れたスポンジで湿らす
ダウンジャケットを平らに広げたら、先ほどチェックした汚れている部分を濡らしたスポンジでまんべんなく湿らせましょう。
強い水流を当てる必要はありません。あくまで、スポンジに含まれている水分を使って湿らせていくイメージです。汚れを落としたいのは表面の布なので、まんべんなく表面に水分が浸透すればOKです。
■⑥汚れている部分に固形石鹸をつける
ダウンジャケットの正面がしっかり湿ったら、汚れている部分に直接石鹸を塗りつけていきます。石鹸をスポンジを使ってすり込むイメージで、汚れの度合いに合わせて力加減を調節しながらこすりましょう。
よほどひどい汚れでなければ、石鹸をつけてこするだけで充分キレイになります。ただし、摩擦で布が傷んでいる時は強くこするのは厳禁です。摩耗しやすいポケットや首回りをこするときは、布の状態にも気を配りながら作業を進めましょう。
■⑦おしゃれ着用洗剤を薄めてスポンジにつける
汚れがある程度落ちたら、さきほどのスポンジに薄めたおしゃれ着用洗剤を含ませましょう。量の目安は、ぬるま湯1ℓに対して小さじ一杯程度の洗剤で充分です。
この時、熱いお湯を使うのはNGです。確かに、温水は衣類の汚れを落とすのに効果的です。しかし、羽毛に本来備わっている油分の被膜まで取り除いてしまうので、ダウンジャケットのふんわり感がなくなり、ぺったりと薄くなってしまいます。
洗剤を溶かすときは、40度以下のぬるま湯を使うことを心がけましょう。
■⑧外側をスポンジでこする
スポンジに含ませたおしゃれ着用洗剤を全体に行き渡らせるように、ダウンジャケットの外側をこすります。ひどい汚れは事前に落としているので、ここでは強い力をかける必要はありません。洗うというよりは、磨く感覚でこすりましょう。
■⑨内側をスポンジでこする
内側は外側に比べると汚れが目立ちませんが、それでも汗や皮脂がつきやすいものです。表面と同じようにスポンジでていねいにこすりましょう。脇や袖口部分等の汗をかきやすい部分は特に念入りに洗剤を浸透させましょう。
■ ⑩シャワーでダウンについた洗剤を取る
全体に洗剤が浸透したら、ぬるま湯で全体をすすぎます。羽毛が必要以上に動かないよう、シャワーで流すのがベストです。水道で流す場合も、羽毛が重みで下に下がらないよう、平行を保ちながら洗い流しましょう。泡が完全に出なくなるまで、しっかり流すのがポイントです。
■⑪ダウンを洗濯機で脱水する
洗剤を完全に洗い流したら、形を整えて畳みます。袖のないベストはそのままで良いですが、長袖のダウンジャケットは、大き目の洗濯ネットに入れるのがおすすめです。形を保てるので、羽毛が移動して型が崩れるのを防げます。
洗濯機に入れたら、3分間脱水します。一気に3分かけるのではなく、1分ごとに取り出して形を整えてから入れ直すのがベストです。回転で片寄った羽毛の位置を直すことで型崩れを防ぎ、ふんわりした状態を維持することができます。
■⑫ダウンを干す太いハンガーを用意する
脱水が完了したダウンジャケットを干すときは、できるだけ肩部分が太いハンガーを使うことが重要です。肩にかかる力を分散させるので、型崩れを最低限で抑えることができます。
スーツやコートをかける時に使うハンガーを使うのがおすすめですが、手持ちにない場合は、普通の細いハンガーを数本束ねてもOKです。平干し台があるのなら、そちらを活用しても良いですね。
干すときに、しっかり形を整えておくことで、シワや片寄りを防ぐことができます。
■⑬2、3日、風があたる場所に置く
できるだけ風通しの良い場所に干しましょう。浴室乾燥機や除湿機があれば、そちらを使うのも効果的です。直射日光は羽毛を痛める原因になりますので、屋内か日陰になる場所を選ぶのがポイントです。
浴室乾燥機等を使う場合も、あまり熱風が当たる場所に干すのは避けましょう。高温も羽毛には良くありません。ある程度の温度を保ちつつ、直射日光を避けられる風通しの良い場所を選びましょう。
■⑭時々、ダウンジャケットの中の羽毛をほぐす
干している間も、羽毛が片寄らないように時々上下に動かしたり軽く叩いたりしましょう。羽毛が動きづらいのは、中にまだ水分が残っている証拠です。
上下に揺すったときに、羽毛が動く感触が感じられるまできちんと乾燥させましょう。生乾きのままでは、変なニオイがしたりふんわり感が失われてしまいます。
乾燥機能のある洗濯機ならば、仕上げに乾燥機で短時間乾かすのもおすすめです。水分を完全に取り除いて乾燥させたら完成です!
ダウンをクリーニングに出した場合の料金相場
洗濯表示を確認したときに、洗い桶にバツがつけられているのは「洗濯処理はできない」という意味です。この場合は専門のクリーニング業者に依頼することになりますが、いくらくらいかかるものなのか見当がつきませんよね。
ここでは、ダウンジャケットをクリーニング業者に出した時の相場をまとめてみました。
■クリーニングに出した時の一般的な相場
ダウンジャケットをクリーニングに出した場合の一般的な相場はいくらくらいなのでしょうか。大手クリーニング店に依頼すると、一着当たり2000~3000円が相場のようです。レザーやファー等のデリケートな素材がついているジャケットは、追加料金として1000円ほどプラスされることも。
また、店舗によっては手洗いで仕上げるコースもあります。衣類の負担を最小限で抑えるようソフトに洗いあげてくれるので、お気に入りの一着はこういったコースを選ぶのもおすすめです。
■宅配クリーニングを利用する方法も
ダウンジャケットのクリーニング料金は決して安いものではありません。そんな時は、宅配クリーニングを検討してみるのもひとつの方法です。
多くの宅配クリーニング店は、定額制をとっていることがほとんどです。点数に対して金額が決められているので、ダウンジャケットやコート等の高額な衣類でも1点あたりの金額は変わりません。
業者によっては、1点あたり1000円を切るようなプランを提供しているところもあります。衣替えの時期に合わせて家族全員の衣類をクリーニングに出す際は、宅配クリーニングも選択肢の一つとして考えてみると良いでしょう。
まとめ
防寒着として大活躍のダウンジャケットは、いつもキレイにしておきたいものです。この記事を参考にして、今年は「おうちクリーニング」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?