オフィス内の作業スペースと倉庫は、1度片付けても再度散らかってしまうケースも少なくありません。沢山の従業員が利用する場所であるからこそ、片付ける際には工夫が必要です。そこで、倉庫内を整理する方法と、整理することによって得られるメリットについて解説します。
倉庫を整理するポイントと効果・メリット
- 物の定位置を決める
- 定位置に収納するアイテムまで細かく決定する
- 定位置は従業員と整理担当者の間で情報共有する
【倉庫を整理する効果とメリット】
物を紛失する可能性があったり物を探すのに時間がかかったりと、倉庫内が散らかっているためにトラブルが起こっているのであれば、物の定位置を決めて管理する方法が有効です。従業員全員がそれぞれの物の収納場所を把握することによって、物を探す時間が短縮され、業務効率が良くなるといったメリットを得られます。
物の定位置が決まっていれば自然と物が整理されるので無駄な空間がなくなり、整理整頓された状態を維持できる効果もあります。
倉庫の整理整頓5ステップ
- 必要な物と不要な物を仕分ける
- 従業員全員が使う物の配置を決める
- ラベルをつけて分かりやすくする
- カテゴリー分けをして物を置く場所を決める
- 取っ手が付いた持ち運び可能な収納ケースに入れる
順序立てて倉庫の整理整頓を行うことによって物を紛失するリスクを軽減し、1日で作業を終えることにもつながります。
また、片付けの手順は1人の従業員が把握して指示を出すのではなく、全員で共有することも忘れないようにしましょう。それぞれのステップについて紹介します。
■①必要な物と不要な物を仕分ける
倉庫は非常に広いスペースであり、加えて様々な種類の物が収納されているため、整理整頓をする前にどのような物を収納しているのか物の仕分けをすることが大切です。
何をどこに収納するのか、使用頻度はどの程度か、誰が使用する物なのかをバランス良く検討しながら整理整頓のスケジュールを練り、実際に片付けを進めましょう。
倉庫はオフィスデスクとは異なり、個人が使用する空間ではなく従業員全員が共有する空間であるため、まずは従業員が全員が使用する可能性が高い物をリストアップすることから始めます。
次に、リストアップした物を使う頻度や使うシーンを検討し、収納する場所を決めるという流れです。必要な物と不要な物を仕分け、不要な物は処分することから始めましょう。
■②従業員全員が使う物の配置が重要
倉庫は広い空間であるため、使用する人の目線を意識して物の位置を決定する必要があります。従業員全員が使う物は目に付きやすく出し入れしやすい場所に置かなれけばなりません。
また、引き出し付きの収納ボックスなどを使用する際には、引き出しを開けた際に一目で中身が確認できるように収納方法も工夫しましょう。
人の手が届きやすい位置には、限られた従業員だけではなく全員が共通して使用する物を置くことが大切です。使用頻度が低い物や一部の従業員しか使用しない物は、高い場所や低い場所、奥まった場所に収納します。
■③ラベルをつけて分かりやすくする
物を収納する際に重要なポイントは、ラベルを付けることです。倉庫内のすべてのボックスや引き出しにラベルを作成して貼り付ける作業は手間がかかりますが、使用する従業員の人数が多かったり使用頻度にばらつきがある場合には、を貼っておくと物を探しやすくなるため非常に便利です。
物がある場所を質問されることが無くなり、物を取り出して元に戻す作業などが非常にスムーズになるため、業務を効率化することにつながります。整理整頓と同時に、ラベルを貼る作業は必要不可欠だといえるでしょう。
■④カテゴリー分けをして物を置く場所を決める
引き出しやボックスを使用して物を整理整頓する際には、収納する物のサイズ、出し入れのしやすさを重視し、カテゴリー分けすることがポイントです。書類などは深さがない引き出しに立てて収納し、大きなサイズの物については引き出しやボックスに収納して取り出しやすい位置に置きましょう。
いずれの場合も、収納する物を更に細かなカテゴリーに分けたい場合は、引き出しやボックスに仕切りをつけることがポイントです。
サイズや種類、物の大きさによって引き出しやボックスの中で仕分けて収納しましょう。特に、小物類を収納する際には仕切りが重要であり、場合によっては引き出しやボックスの中に小さな箱を入れるといった方法も有効です。
■⑤取っ手が付いた持ち運び可能な収納ケースに入れる
ボックスや引き出しなどの収納アイテムだけではなく、持ち運び可能な取っ手が付いたキャリーケースや台車に物を収納するのも良いでしょう。
例えば、従業員が倉庫内から持ち出す場面が多い物については、取っ手やキャスターが付いた台車に収納したり、台車の上に段ボールごと置いたりする方法が有効です。
倉庫のレイアウトの考え方
倉庫内のレイアウトを考える時には、倉庫内でどれだけ多くの物を収納できるかを重視してしまうケースが多いです。しかし、収納力を重要視したレイアウトにすると物を乱雑に収納してしまい、作業効率が悪くなる可能性があります。
収納効率を考えた倉庫内のレイアウトは、最初に「倉庫内で、どの従業員が、どのような動きをするのか」をチェックし、どのくらいの広さの作業空間が必要か、従業員が使用するスペースがどの程度なのかといった情報を共有します。
倉庫に入ってから作業を開始し、必要な物を取り出して倉庫を出るまでの動きについても重要視する必要があり、動線をを考えてスムーズに動けるようにラックの配置や物を置く場所を検討しましょう。
倉庫の整理整頓・片付けアイディア15個
片付けの大まかな手順に沿ったうえで、細かなコツやアイデアを取り入れることが大切です。そこで、倉庫内を整理整頓し、片付けするためのコツを15個紹介します。紹介するアイデアを参考にして、自社の倉庫に適した整理整頓方法を取り入れましょう。
■①倉庫の利用法に適した整理をする
倉庫は物を保管するための空間であるため、物の出し入れがしやすいように整理・収納することが基本です。
ストレスなく物を出し入れできる倉庫のポイントは、倉庫の通路を歩く人や機械に適したスペースを確保することと、使用頻度が高い物が奥に収納されていないかどうか、カテゴリー分けができており物を探しやすいかどうかの3つのポイントを押さえましょう。
■②倉庫の整理整頓はチームで行う
倉庫の広さによってチームの人数は異なるものの、基本的には数人でチームになって整理整頓を行うことによってスムーズに作業を進められるでしょう。
1人1人、得意な作業と不得意な作業があるため、数人で作業を行うことによってそれぞれの不得意な作業をカバーし合えるので、スムーズに片付けの作業を行えます。また、重い物を移動させたり収納したりする際にも、数人で行った方がスピーディーに運べるでしょう。
■③引き出しタイプのケースを使って効率化
倉庫の整理収納にはダンボールを使うケースが多いですが、引き出しタイプの収納アイテムを使用することによって、どこに何を収納したのかスムーズに分かるようなり、作業時間そのものを短縮することにつながります。
ダンボールをいくつも使用すると、手前のダンボールを取り出し奥のダンボールから物を取り出すといったいくつもの作業をしなければなりません。物を探している人にとって効率が悪いといえます。
そのため、半透明の引き出しタイプの収納アイテムに物を入れ替えてラベルをつけることで、使い勝手の良い倉庫になるでしょう。
■④取り出しやすいように工夫して収納する
使用したい時に必要な物をすぐにスムーズに取り出せなければ、整理をしても無意味です。スムーズに使用できる状況にしなければ、使用頻度そのものが下がったり特定の物を使う作業を後回しにしたりすることにもつながるでしょう。
特に倉庫に保管する書類に関しては、使用頻度が低かったとしてもいずれ使用する場面が訪れます。その際にスムーズに出し入れできるようにラベルを貼り、取り出しやすいように整理することが大切です。
■⑤壁面のスペースも有効活用する
収納ボックスや引き出しに収納しきれない物については、壁やラックに立てかけておくケースも多いでしょう。しかし、物の形状によっては不安定になり危険なため、壁面のスペースを収納場所として活用する方法が有効です。
壁面用のスチールラック、大きなサイズの突っ張り棒といった壁面用の収納アイテムも販売されています。多少の工具を使わなければならないアイテムもありますが、壁面を有効活用することで空間に余裕が生まれ、動線を確保しやすくなるでしょう。
■⑥整理整頓するスケジュールを決めておく
倉庫を整理する際には、人員と時間がかかるものです。準備をせずに整理を始めると散らかった状態のままで中断しなければならなかったり、物を移動させるといった大規模な整理は行えなくなったりするケースがあります。
倉庫全体を整理整頓する日は、最低でも1日確保してスケジュールを決めておくことによって、スムーズかつ確実に整理を終わらせることにつながるでしょう。
また、倉庫の整理は2ヶ月に1度程度の頻度で行うことによって綺麗な状態をキープすることが可能です。整理整頓をこまめに行うことによって、チームワークが良くなるといったメリットも得られるでしょう。
■⑦整理は可能な限り1日で済ませることが重要
倉庫は、企業ごとに様々な広さが異なります。整理整頓には日数が必要であったり人員も必要であったりしますが、基本的には1日で 整理整頓を終わらせることを目標にしましょう。日にちを分けることによって、共有した整理整頓のルールが変わってしまう、ルールを忘れてしまう人が現れたり、収納する物が乱れてしまう可能性があったりと、片付けの効率が悪くなるでしょう。
1日では片付けられないほどの広さや、散らかっている状態である場合には、倉庫の中を区画に分けて1カ所ずつ終わらせるという方法が有効です。
■⑧倉庫内に収納してある物の情報を共有する
倉庫内を整理した際に、処分されては困る物を処分されたというケースも多いです。トラブルを回避するためには、倉庫内を整理する前に必要な物と不要な物を仕分ける際、処分する前にチェックしなければならない物、捨てられては困る物を置くためのスペースを確保しておきます。
収納する物や処分する物の情報を共有することによって、トラブルを回避できるでしょう。スペースを確保するのが難しい場合は、一旦ダンボールなどに入れ、ラベリングをしてから整理整頓を進めます。
■⑨倉庫が機能していない場合の整理整頓のコツ
倉庫の整理を長期間行っておらず、倉庫として機能していない状態の場合は、倉庫そのものの機能を回復させることが先決です。倉庫の整理整頓にかかる時間は長く、作業に充てる人員も多くなるので入念な計画を練る必要があります。
■⑩無駄な空間をなくすためのコツ
倉庫内を整理する際には、可能な限り広い収納空間を確保すれば良いというわけではありません。収納する物の量や、現場に適したスペースを確保することが重要です。現場に不適切な空間や、倉庫に適していない大きさの物を置くことによって空間を有効活用できずデッドスペースが生まれます。
さらに、不要なラックやボックス、引き出しなどを使用することによって、本来は倉庫に収納するべきではない物も収納されることにつながり、倉庫内が散らかる原因になるため注意が必要です。
■⑪スペースを縮小するためには共有化が大切
収納する物を、従業員1人1人ごとのスペースに分けるのではなく、スペースを共有する方法が有効です。例えば、個々に文房具や書類、工具など作業に必要な物を分けるのではなく、書類・文具・道具や工具などはそれぞれ種類ごとに収納した方がスペースの節約につながり、整理もしやすいでしょう。
消耗品の数が多い場合はラベルを使って収納している場所を共有することによって、必要以上のストックを発注することも防げます。
■⑫キャスター付きの収納アイテムを活用する
重い物やサイズの大きな物を収納する場合には、キャスターが付いている台や収納ケースに乗せたりと、簡単に移動させられる状態にしておくことがコツです。また、物の大きさを問わず倉庫外に持ち出す場面が多い物についても、キャスターが付いた収納アイテムに入れます。
キャスターが付いていれば物を持ち上げなくても掃除を行えるため、倉庫内を綺麗に保つことにもつながるでしょう。
■⑬収納アイテムは統一する
様々な収納アイテムを活用して整理すると、見た目に均一感が生まれず乱雑な印象を与えてしまいます。そのため、収納アイテムは同じデザインやブランドのもので揃えて、見た目もすっきりとしていて使い勝手の良い状態にすることがポイントです。
また、収納する物ごと、1つのボックスに1種類の物だけを収納してラベルを貼れば、よりまとまりがあり使い勝手の良い倉庫になるでしょう。
■⑭隠す収納も大切
収納力の高い収納アイテムやラックを使用して、使用頻度の低い物を奥の方に「隠す収納」をすると、倉庫の使い勝手が良くなるだけではなく余計な物が視界に入らず物を探しやすくなるでしょう。
■⑮何も置かない場所を作る
倉庫内で物を収納するスペースは70%程度にして、残りの30%は何も置かないスペースを作ることがコツです。最初の段階で物を詰め込んでしまうと出し入れしにくいだけではなく、急遽収納する物が増えた場合に対応できない可能性があります。
まとめ
倉庫の整理整頓と収納方法に関するコツを押さえ、従業員全員が物を取り出しやすいように工夫することが重要です。倉庫は、多くの従業員が使用する場所であり、物を出し入れするため、空間を整理整頓した際に得られるメリットも非常に大きいといえます。
しっかりとスケジュールを決めて計画的に行うことで、整理整頓の作業そのものも効率良く行えるでしょう。