夾竹桃(キョウチクトウ)という花を知っていますか。街路樹として植えられていたり、公園で見かけたりして、名前は知らなくとも見たことがある方も多いでしょう。
梅雨から夏の終わりまで次々に開花し、色とりどりの花を楽しませてくれる夾竹桃。丈夫で育てやすいことから、園芸用としても人気の植物です。一方で強い毒性があり、育てるときはさまざまな注意が必要です。
そこで当記事では、次の点についてわかりやすく解説します。
・夾竹桃の基本情報
・夾竹桃の毒性と注意点
・夾竹桃の育て方のポイント
・夾竹桃の剪定・伐採について
夾竹桃を育ててみたい方、夾竹桃の毒性が気になる方の参考になれば幸いです。
夾竹桃の基本情報 夾竹桃(キョウチクトウ)とはどんな植物?

夏に色鮮やかな花をたくさん咲かせる夾竹桃、まずはどんな植物なのか特徴をみてみましょう。
【科名/属名】キョウチクトウ科キョウチクトウ属
【形態】中高木(3~6m)
【原産地】インド・中近東
【花言葉】「注意」「危険」「用心」
【特性】
・開花期が長い(6月下旬~8月)
・常緑性
・暑さに強い
・毒性がある
・丈夫で育てやすい
詳しくみていきます。
夾竹桃の基本情報 その1 ■夏に美しい花を咲かせる
夾竹桃は、6月下旬~8月にピンク、白、赤、オレンジなどの色鮮やかな花を咲かせます。4~5cmの小ぶりな花ですが、満開時はとても華やかで見ごたえがありますよ。
それぞれ枝の成長スピードにより時間差で開花していくので、比較的長く花を楽しめるのも魅力です。
夾竹桃の基本情報 その2 ■名前の由来は「桃の花」と「竹の葉」
夾竹桃の名前は、花が「桃の花」に、葉が「竹の葉」に似ていることに由来します。「夾」の字は、混ぜるという意味があり、竹と桃が混じり合った姿を表現しているといわれています。
【花】
・5枚の花びらがフリル状になっている(4~5cm)
・一重咲き(一部、八重咲きもある)
【葉】
・長楕円形で先が尖っている(10~30cm)
・光沢あり
夾竹桃はインドや中近東が原産で、日本へは中国を経由して伝わりました。華やかながら、どこか和の雰囲気があるのも人気の秘密かもしれませんね。常緑樹のため、冬も美しい緑色を保ちます。
夾竹桃の基本情報 その3 ■夾竹桃の花言葉
夾竹桃の花言葉は「注意」「危険」「用心」。少しドキッとする言葉が並んでいますね。これは、キョウチクトウに強い毒性があることを意味しています。
夾竹桃の基本情報 その4 ■丈夫で育てやすい
夾竹桃は雨水のみでも育つくらい丈夫な植物です。庭木であれば、肥料がなくてもぐんぐん成長します。一方で日陰や湿気には少し弱い部分もあります。
夾竹桃の基本情報 その5 ■有害物質に強い
夾竹桃は、有害物質や排気ガスに強いという特徴もあり、その丈夫さを活かしてさまざまな場所に植えられています。
【夾竹桃が植えられている場所の例】
公道・高速道路、工場地帯、公園、学校など
夾竹桃の基本情報 その6 ■夾竹桃を「市の花」に制定している市もある
広島市では、夾竹桃を「市の花」に制定しています。原爆のため70年以上は草木も生えないだろうといわれた焦土に、いちはやく美しい花を咲かせたのが夾竹桃です。市民へ復興への希望を与えてくれたというエピソードから、広島市の市の花になりました。
夾竹桃の基本情報 その7 ■キョウチクトウ科の植物が、薬の研究に
毒性のある夾竹桃ですが、薬用としての研究対象でもあります。2021年にはミャンマーで採集したキョウチクトウ科の植物から、抗がん剤への活用が期待できる成分が見つかったというニュースもありました。
〈参考〉
ミャンマーの植物に抗がん成分、新薬開発に期待 名市大など発見:中日新聞Web
ただし、夾竹桃は毒をもっています。専門家以外の方は安易に薬として使うのは危険なので避けましょう。次は、夾竹桃の毒性の強さについて解説します。
夾竹桃の毒 夾竹桃の毒性はとても強い
強い毒を持っている夾竹桃。その毒性は、猛毒の代表である青酸カリをはるかに上回ります。
【毒の成分】オレアンドリン・ストロファンチンなど
【毒をもつ部分】花・葉・枝、根・実のすべて
【人への被害】嘔吐、発汗、下痢、不整脈、四肢のしびれ、心肺停止、皮膚炎
詳しくみていきましょう。