苛性ソーダは強アルカリ性の劇物。取り扱いには手袋・ゴーグル・マスクが必要です。
しかし、油汚れの掃除や石けん作りに便利なアイテムであり、個人で購入する例もあります。
本記事では、苛性ソーダの使い方や購入方法、処分方法を解説しています。
苛性ソーダの代わりに使える似たアイテムも紹介していますよ。
苛性ソーダの特徴と毒性・危険性
苛性ソーダとは毒物劇物取締法の「劇物」に該当する危険な薬物。強アルカリ性を持ち、洗浄力は家庭用のカビ取りスプレーの50倍。化学繊維・紙・パルプ・化学薬品・食品工業・石けんなどに使われています。
ただし、購入する際には、薬局に身分証明書や印鑑を持参する必要がある危険な薬物です。
飲むと胃が炎症を起こす他、手に触れると皮膚がただれ、目に入れば失明の恐れがあるので小さなお子さんやペットのいる家庭にはおすすめしません。蒸気が口や鼻から入るのも危険なので、使用時はゴーグル・マスク・手袋の装着が必須です。
苛性ソーダ取り扱いの注意点
苛性ソーダは危険な薬品なので、取り扱いには注意が必要。ここでは、そのポイントを解説していきます。
苛性ソーダの取り扱い方法 ■使用時はゴーグル・マスク・手袋必須
苛性ソーダとは正式名称が水酸化ナトリウム。強アルカリ性の劇物です。手に触れただけでも肌がただれるので、必ず手袋が必要になります。
目に入ると視力の低下・失明のリスクがある他、蒸気が入るだけでも危ないのでのでゴーグルをつけましょう。喉から蒸気・粉塵・ミストが入った場合も気道に炎症などの傷害が発生します。マスクでしっかりと保護することが大切です。
もし誤飲すると口腔、咽喉、食道、胃などに炎症が起こるので、お子さんやペットの手の届かない場所に保管するようにしてください。
苛性ソーダの保存方法 ■ビン詰めにするのはNG
苛性ソーダを保存する時、ガラスのビンに詰めるのは危険です。苛性ソーダは水分に触れると発熱するので、ビン内部に残った水分の所為で熱を持ち、溶解するケースがあります。
そうなると、密閉された内部で熱が膨張し、ビンの破裂・底抜けを招きます。
保存の際はプラスチック(ポリエステル系以外)やゴム製容器に密閉して保存しましょう。
苛性ソーダとは蒸発する劇薬 ■水に注ぐのはNG
苛性ソーダに水を注ぐのはNG。苛性ソーダは水分にすると少量でも発熱するので、とても危険です。
発熱時には蒸気も発生し、鼻・口の粘膜を傷つけるリスクがあります。必ずマスクをした上で慎重に取り扱いましょう。
苛性ソーダでの掃除方法
苛性ソーダは強アルカリ性なので、油汚れに効果的。皮脂汚れ・血液の汚れにもおすすめです。つけ置き洗いは強力ですが、つけ置き中にお子さんやペットが触れると危険なので、ここでは拭き掃除の方法を紹介していきます。
配管のつまりにも効果がありますが、素人では危険なので業者に依頼した方がいいでしょう。
【苛性ソーダの拭き掃除の手順】
1:手袋・ゴーグル・マスクをつける
2:バケツに水を5L用意する
3:大さじ1杯の苛性ソーダと5Lの水を混ぜて洗浄液を作る
4:洗浄液を雑巾などにしみこませて汚れを拭き取る
5:汚れを落としたら別の雑巾で拭き上げる
この時注意したいのは、アルミ製品に使わないこと。アルミは強アルカリに触れると変色してしまいます。
酸性の洗剤・酸性の製品と混ぜるのもNG。苛性ソーダが中和されてしまい、熱と飛沫が発生します。この飛沫が人体につくと非常に危険なので、掃除中に混ざらないようにしましょう。
苛性ソーダでの石けんの作り方
苛性ソーダは石けん作りにも使えます。使用済みの油・水を使用済みの牛乳パックにつめて作ります。
【石けんの作り方】
1:手袋・ゴーグル・マスクをつける
2:洗って乾かした牛乳パックの上の部分だけを開ける
3:水100mlに対して苛性ソーダ50gを入れて混ぜる
4:廃油を350~450ml入れる
5:連続して10分以上かき混ぜる
6:最初の半日は時々かき混ぜる
7:半月~1か月後に完成
石けんが固まった後は、牛乳パックから取り出して切り取って使います。
乾かすのは風通しがいい場所がおすすめです。
苛性ソーダの購入方法
苛性ソーダを購入するためには身分証明書や印鑑を持参する必要があります。薬局の店員さんに声をかけ、記入用紙に記入しましょう。
記入用紙は住所・職業などの基本的なものですが、使用用途をハッキリさせる必要があります。掃除ならば掃除、石けん作りなら「石けん作り」と記入しましょう。
取り扱いには販売許可が必要な劇薬なので、知人・家族に買ってきてもらうのもNGです。
苛性ソーダの処分方法
苛性ソーダとは、劇薬なので家庭ごみには出せません。掃除や石けん作りで使い切るか、業者に依頼する必要があります。販売店で引き取ってくれるケースもあるので、確認してみるのがおすすめです。
劇物の販売許可を持たない人が他人に譲ることは禁止されているので、知人に譲渡するのもNG。アルカリ性の薬品なので酸性の薬品で中和することはできますが、素人が中和処理をするのはまず無理です。
中和させるのは危険ですし、失敗したものを排水溝に流すと穴があるリスクもあるので、専門業者に任せましょう。
苛性ソーダの代わりに使えるアイテム
苛性ソーダの購入・取り扱いが不安なら、キッチンハイターで似た効果を得ることもできます。キッチンハイターには油汚れを落とすための苛性ソーダが含まれているので汚れが良く取れるというわけです。