サツキは、家の庭や道路沿いの生垣としても見かけるポピュラーな樹木です。また、盆栽としても人気があります。
色鮮やかで綺麗な花を咲かせるサツキに、魅了される人も多いのではないでしょうか。そんなサツキは、きちんと剪定をすることで、長く美しい姿を楽しむことができます。
逆に剪定をしなければ、害虫が付いたり病気になってしまうことも。
そこで今回は、サツキの上手な剪定方法を「庭植え編」「盆栽編」に分けて動画を交えながら解説します。
また、日々のお手入れ方法や病害虫の種類と予防策についても紹介しまます。併せてチェックしてみてください。
サツキの基本情報 サツキとは?
まず、サツキがどんな植物なのか基本的な情報をお伝えします。
【植物名】サツキ・皐月・さつき
【科名・属名】ツツジ科ツツジ属
【開花時期】4~5月頃
【樹高】30~100cm
【花の形状】ろうと型
【花の色】白・赤・ピンク・紫・混色など
【品種の数】1500種類
【原産地】日本
【特徴】寒さ・暑さに強く育てやすい
サツキの名前は、5月という開花時期に由来します。
耐暑性・耐寒性があり、厳しい環境下に置かれていてもたくましく生育する樹木です。そのため初心者でも育てやすいでしょう。
また、サツキとよく似た花にツツジがありますが、混同されることがあるので違いについて解説しますね。
ツツジとの違い ■見た目と開花時期に違いあり
サツキとツツジの違いは花や葉の見た目と開花時期にあります。
サツキ…開花は5~7月・葉は小さめでツヤがある・花は小さめでおしべが5本
ツツジ…開花は4~5月・葉は大きめで少し丸い・花は大きめでおしべが5本以上
サツキとツツジは花や葉を見るのが分かりやすい見分け方です。育て方や剪定方法には、ほとんど違いはありませんが、開花時期が違うため剪定時期は異なります。
サツキに剪定が必要な理由4つ
サツキに剪定が必要な理由は4つあります。
・見た目が悪くなる
・成長を妨げる
・害虫が付いたり病気にかかりやすくなる
・新しい花芽が出にくくなる
サツキは非常に成長が早いため、剪定をしないとモサモサとした状態になり見栄えが悪くなります。
また、伸びてしまった枝が成長を妨げたり、風が通らなくなることにより害虫や病気の被害に合ってしまうことも。そうなると、新しい花芽が付きにくくなってしまうのです。
ではここからは、きれいな花を咲かせるための剪定方法をお伝えします。
剪定方法に少し違いがある庭植えと盆栽に分けて解説するので、参考にしてください。
【庭植え編】サツキ剪定に適した時期
サツキの剪定に適している時期は、開花したあと次の花芽が付くまでです。
開花時期は4~5月頃。そのあと数週間で花が落ち翌年の花芽が付くのは6~7月頃です。次の花芽が付く数週の間に剪定をする必要があります。
タイミングを逃してしまうと、剪定する際に翌年の花芽が付いた枝まで切り取ってしまう可能性が。
そうなると、翌年は花が咲かなくなってしまいます。ですから花が枯れ始めたら注意深くタイミングを見計らい、剪定しましょう。
【庭植え編】サツキの剪定方法(動画あり
庭植えのサツキの剪定方法を紹介します。まずは、準備物をチェックしましょう。
・剪定ばさみ:太い枝や細い枝の剪定に便利
・刈り込みばさみ:丸い形に仕上げたいときに便利
・園芸用ばさみ:形の微妙なラインを調整するときに便利
・バリカン:電動式で剪定の量が多いときに便利
・園芸用手袋:ケガを防止するため
・シート:剪定した枝をまとめるため
・掃除道具:剪定後の後片付けに使用するため
剪定に便利な準備物は、上記のとおりです。では剪定方法を紹介します。
①剪定後のサツキの樹形や大きさをイメージする
②トップを平らに刈り込む
③トップの刈込位置が決まったら周りを刈り込んでいく
③ある程度イメージする形になったら太い枝を切って整える
サツキ剪定のポイントは、表面に枝の切り口が見えないように切っていくこと。
イメージする形に刈り込んだら、太い枝をなるべく内側で切りましょう。その際、枝の根元ではなく中間で切ると、その後芽吹く葉によってきれいな形になってゆきます。
また、芽吹いてきたときにちょうどいい大きさにするために、イメージより少し(3cm提訴)小さく刈り込むといいですよ。
【庭植え編】サツキの剪定動画 ■細かい部分は動画を見ながら挑戦しよう
サツキの剪定は、大胆に刈り込む部分と、微調整しながら繊細に刈り込む部分があるため、動画を見ながら行うと分かりやすいでしょう。
プランツアドバイザーとしてお仕事をされている方が、実際に刈り込みをしながらコツなどを解説されている動画があります。参考にしてみてくださいね。
【庭植え編】サツキ剪定後のお手入れ方法
剪定が終わったあとも、お手入れをしましょう。お手入れの仕方は下記をチェックしてください。
・栽培環境を整える
・適度な水やりをする
・必要に応じて肥料をあげる
サツキは、日当たりが良く水はけのよい土を好みます。
植え付けの際は「直射日光は当たらないが日当たりはいい」といった場所を選びましょう。水はけが悪い場合は、火山灰のひとつである「鹿沼土(かぬまつち)」を混ぜて土壌改良してみてください。
またサツキは暑さ寒さに強く、庭植えのサツキでは水やりにそれほど敏感になる必要はありません。ですが、乾燥には弱いので雨が降らない日が続いたら必ず水やりをしましょう。
その際暑い日中では水が熱くなり根が傷んでしまうので、涼しい朝と夕方に2回程度水やりをしてください。寒い日は、暖かい日中2~3日に一度のペースであげるといいですよ。
肥料については、花が落ちてから7月頃までは月に1回「緩効性化成肥料や固形の油かす」を与えましょう。ゆっくりと吸収されていき徐々に効果が出るタイプの肥料です。
こまめに花や木の様子観察する必要がありますが、お手入れ自体はそれほど難しくありません。きれいな花を咲かせるべく、挑戦してみてくださいね。
庭植えのサツキは挿し木で増やせる! ■挿し木の手順とポイント
サツキを増やしたいときは、挿し木をしましょう。
挿し木に適した時期は、梅雨の時期です。挿し木の場合は10℃以下にならないようになど、温度管理が必要な場合があるため。また、秋だとすぐ寒くなって根が成長しないためです。
花が落ちて剪定をするときが、ちょうど梅雨時期にあたります。挿し木用の枝を確保するなら剪定のときがおすすめ。
では、挿し木のやり方を解説します。
①新しく伸びて生き生きした枝を10~15cmカットする
②発根を促す活力剤を混ぜた水に30分程つけておく
③鉢植えギリギリまで鹿沼土や培養土を入れてたっぷりの水をかけておく
④植物成長調整剤を溶かした溶液を作っておく
⑤水につけておいた枝を切り口が斜めになるように切り挿し穂を作る
⑥作っておいた溶液をたっぷり切り口に付ける
⑦鉢植えのふち周りの土に差し込み周りを固定する
⑧たっぷりの水をやる
ここまでできれば、直射日光の当たらない場所で管理します。土が乾かないように水やりをしっかりしましょう。
お手入れ方法や挿し木の方法は、手順どおりに行えば難しくありません。下記でおすすめの苗や植木を、紹介していますのでぜひ挑戦してみてくださいね。
おすすめのサツキの苗 真っ白の花が印象的なサツキ
【博多白】サツキ 4号ポット苗
真っ白で可憐な花を付けるサツキの苗です。
花の大きさは約4cmほどと小ぶりで、あまり大きくならない矮性(わいせい)品種。また育てやすく強健なので、初心者にもおすすめです。
和風・洋風どちらにも良く合い雰囲気の良い庭を演出してくれます。
おすすめのサツキの植木 ■桃紅色の美しい花を咲かせる
庭木サツキ(さつき・大盃)大株
大盃というサツキの中でも、ポピュラーな品種です。道を歩いているときや公園などでもよく目にします。
7~8cmの桃紅色の花が付く品種。大きく立派な地植え苗で届くため、植え付け後からボリュームのあるサツキが楽しめます。
【盆栽編】サツキ剪定に適した時期
盆栽のサツキも庭植えのサツキ同様、基本的には開花後の花芽が付く6月がベストな時期です。理由も同じく、開花したあと数週間で次の年の花芽が付き始めるから。
翌年も花を咲かせたい場合は、花が咲き始めたらこまめにサツキを観察しましょう。
ただし、庭植えのサツキから鉢植えに鉢上げした場合や、盆栽を一回り程度小さくしたい場合は開花前の3~4月に剪定をします。
春の剪定をしたその年は花が咲くことはありませんが、樹形を作り直す場合に適した時期です。
その他にも盆栽のサツキは、伸びて飛び出した枝を切ったり古い葉を取り除いたりすることがポイント。その時々で必要な剪定を行いましょう。
【盆栽編】サツキの剪定方法(動画あり)
盆栽のサツキの主な剪定方法を2つ紹介します。まずは、準備物です。
・園芸用ばさみ:花柄や枝を切るのに便利
・回転台:盆栽をのせて回転させながら剪定できて便利
・シート:切った枝を集めるのに便利
園芸用ばさみは、盆栽の剪定にはマストなアイテムです。切れ味がいいものを準備してくださいね。
それでは、剪定方法解説します。
【大きくしたい場合…2芽2葉残し】
①新しい芽が3股以上出ている枝を見つける
②外側の2芽だけ残してv字になるように切る
③残した2外側の芽は元気な2枚の葉を残して切る
これで密集が解消され、のびのびと新しい芽が吹くため大きな樹形を作ることができます。
【大きさを維持したい場合…元葉切り】
①今年伸びた分の新芽を探す
②その新芽を前年の葉の部分で切る
今年伸びた分の新芽をすべてカットします。そうすることで、再び新芽が出ても伸びる位置が今年とほぼ同じに。
これで大きさがキープできます。
【盆栽編】サツキの剪定動画 ■2つの剪定方法は動画でチェック
動画内で実際に「2芽2葉残し」「元葉切り」を行いながら、2つの剪定方法を詳しく紹介されています。
どの部分をカットするかは実際の映像を参考にしながら、トライしてみてください。
【盆栽編】サツキのお手入れ方法
ここでは日ごろのお手入れ方法を紹介します。
・栽培環境を整える
・水やりをする
・花柄はこまめに取り除く
・必要に応じて肥料をあげる
・植え替えをする
盆栽のサツキは、直射日光の当たらないい当たりのいい場所に置きましょう。夏の暑い日には、半日陰が最適です。必要に応じて移動させてくださいね。
また寒さに強いサツキですが、マイナス5℃を下回る日は室内に入れるなどして管理しましょう。
水やりは土の状態をよく観察することがポイント。乾いていたらたっぷり水をあげます。しかし水のあげ過ぎも良くないため適度な調整をしながらお手入れしてください。
肥料は、土の表面部分には固形の肥料を与えます。そして週1回液体状の肥料「液肥」を与えるといいでしょう。
さらに、サツキは数年に1回植え替えをすることで健やかに成長します。根が伸びて根腐れを起こさないよう植え替えを行いましょう。
植え替えは、まず鉢から取り出し根を切ります。それから土をしっかり落とし、ひとまわり大きな鉢に植え替えて完了です。
このように、剪定と合わせてお手れをしておくと元気で綺麗な花を見ることができます。
下記でおすすめの盆栽も紹介するので、盆栽としてのサツキも楽しんでみてくださいね。
おすすめのサツキの盆栽 ■プレゼントにもぴったり
小品盆栽:皐月はなびん(さつき・瀬戸焼深鉢)
艶やかな花の色と曲線美が美しい幹模様が特徴。「はなびん」という品種です。
鉢はモダンな印象の瀬戸焼鉢でサツキの花とのコントラストが楽しめます。
プレセントにもぴったりですね。
サツキを病気や害虫から守る方法
サツキは、風通しの悪さや水のやり過ぎなどで病気になったり、害虫による葉や茎の食い荒らしが起きることがあります。
サツキがかかりやすい病気と害虫です。
【病気】
・褐斑病:カビ感染で起こる。葉に褐色や黒い斑点が出現する。
・もち病:カビ感染で起こる。若葉がもちのように膨れ上がる。
・うどん粉病:カビ感染で起こる。うどんの粉を振りかけたようになる。
・炭疽病:葉や茎に発生。灰色や黒色の病斑が出現する。
【害虫】
・ツツジグンバイムシ:葉の汁を吸う。葉の裏が黒く汚れるのが特徴
・ハダニ:葉の汁を吸う。葉の裏が白くなるのが特徴
・ベニモンアオリンガ:花の芽を食べてしまう
・ハマキムシ:葉や芽を食べてしまう
これらの病気や害虫によって、サツキが弱ってしまいます。そのため花が咲かなくなったり、枯れてしまったりという事態が起こることも。
対策としてはまず、風通しを良くしたり乾燥に気を付けましょう。また薬剤を散布することも有効な方法とされています。
対策をしても改善しない場合は病変部分を切り取ったり、最悪の場合は伐採しなければならないこともあるので注意してくださいね。
サツキの剪定が難しい場合はプロに頼む
自分で剪定するのが難しい場合は、剪定のプロである業者の方に依頼するといいでしょう。
プロに依頼する場合の代金は「時間制で設定」「サツキの本数で設定する出来高制」という2パターンが多いようです。
・時間制…1時間当たり2000~3000円
・出来高性…サツキ1本(大きさによる)3000~15000円
料金形態は会社によっても違うので、依頼する前に何社か見積もりを出してもらうと安心です。