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刺す(咬む)虫の種類別対処法と刺されないための予防法

刺す(咬む)虫の種類別対処法と刺されないための予防法

人に被害をもたらす虫として、蚊やハチなどが挙げられます。しかし、実際には刺したり噛んだりする虫には様々な種類がおり、刺されたときの症状にも違いがあります。そこで、刺す虫の種類と、刺されたときの対処法を紹介します。


「虫に刺される」というワードからは、蚊やハチをイメージするという人も多いのではないでしょうか。しかし、人を刺すのは蚊やハチだけではなく、様々な種類の虫が存在します。虫に刺されることによって痛みを伴う、痒くなるなど、人体に現れる症状も様々です。

そこで、刺したり噛んだりする虫の種類や、症状別の対処方法や治療方法、注意点について紹介します。また、虫に刺されないようにするための予防方法についてもあわせて確認しておきましょう。

人を刺す(咬む)虫の11種類と特徴

虫のなかには、刺す虫だけではなく血を吸う虫や噛む虫など、様々な種類の虫が存在します。痒みや痛み、ショック症状など人の健康を害する虫にはどのような種類がいるのか、刺されるとどのような症状が起こるのでしょうか。

そこで、刺す虫や噛む虫など、虫の種類ごとに特徴を紹介します。

①蚊

蚊は、メスの産卵に向けた栄養素を摂取するために人の血を吸うことが特徴です。人が蚊に刺されたことに気づかないように、麻酔に似た毒の成分を排出します。

毒素成分が原因で、刺された後に炎症や痒みが起こることが多いです。蚊に刺された場合の反応としては、刺された直後に痒くなる即時型反応と、数日後に痒みや炎症が起こる遅延型反応の2種類に分かれます。

蚊に刺された場所をこすったり掻いたりすると,傷跡が残るため注意しましょう。また、細菌によって感染症を引き起こす場合もあるため注意しなければなりません。

掻かないようにすることが大切ですが、痒みを我慢できない子供には市販薬を使用する方法が有効です。蚊に刺された場合の塗り薬は沢山の種類が販売されているため、子供用、大人用など分けて準備しておくと良いでしょう。

②ブヨ(ブユ)

ブヨ(ブユ)

ブヨは山や高原で多く見られる虫であり、蚊と同様にメスが産卵に向けて人の血を吸い、栄養を蓄えます。ブヨは、刺す虫ではなく皮膚を噛んで破り吸血する虫です。

蚊と同様に毒素成分を排出するので、噛まれた際の痛みはほとんど感じません。しかし、数時間経つと発疹が現れ、強い痒みを伴うことが特徴です。

③アブ

アブ

アブは、馬や牛、豚の血を吸うことが特徴であり、ブヨや蚊と同様にメスが産卵に向けて血を吸い、栄養を蓄えます。馬や牛がいない場合には、人間の血を吸うことが特徴です。

ブヨや蚊は2mmほどの大きさですが、アブは3cmと大きいため、見た目が不快な虫でもあります。アブは毒素成分を出さないので、噛まれた際に痛みを伴い、数時間後に強い痒みの症状が現れるため注意しましょう。

④ダニ

イエダニ

人を刺す種類のダニはツメダニとイエダニと呼ばれる種類であり、布団や絨毯、ぬいぐるみに生息します。人の体の部位の中でも、柔らかい部分の太ももや二の腕を刺すことが特徴です。ダニに刺されると赤い発疹ができ、数日間痒みが続きます。

⑤ノミ

ノミ

ノミは、猫や犬に寄生することが特徴であり、公園や庭といった植物がある場所に多く生息しています。また、身体の一箇所だけを指すのではなく、全身を刺すことが特徴です。

ノミは一般的に地面に生息しており、獲物にジャンプして体に飛びついて刺すため、下半身を刺されることが多いでしょう。ノミに刺された数日後に痒みの症状が出て、刺された場所に水ぶくれができることがあります。

⑥シラミ

アタマジラミ

人を刺すシラミは、アタマジラミやケジラミが挙げられます。アタマジラミはその名の通り頭に寄生し、ケジラミは陰毛に寄生することが特徴です。いずれの場合も、噛まれると痒みを伴う症状が現れます。

アタマジラミは子供の頭皮に寄生するケースが多く、幼稚園や保育園で集団発生し症状を起こすことも少なくありません。シラミに規制された場合は、同じタオルを使わないことや、シラミ用シャンプーを使用するなど、家庭内でシラミをうつさないように注意しなければなりません。

なお、シラミに寄生された人が不潔ということではない点に注意が必要です。清潔にしている人でも、シラミが寄生することはあります。

⑦毛虫

アオイラガの幼虫

毛虫のなかでもマツカレハ、ドクガ、イラガという種類による被害が多く、毛虫は春から夏の暖かくなる時期に発生します。毛虫に刺されると赤い斑点や強い痒みを伴い、毛虫の種類によっては痛みを伴う場合があるでしょう。

注意しなければならないのは、毛虫から抜けた毛に触っただけでも皮膚炎を起こすことです。特に、ドクガの毛を触った場合には、皮膚についている毛を取って石鹸で洗い流さなければなりません。

イラガやマツカレハの針は目視で確認できるため、ピンセットを使用して抜きましょう。毛虫の毛に触れた場合の痒みの症状は長引き、全身に炎症を起こすこともあります。

⑧ハチ(蜂)

ハチは、スズメバチやミツバチなど様々な種類が存在しています。ハチに刺された場合、刺された箇所に激しい痛みを伴い赤く腫れ上がります。ハチの毒は水に溶けるので、刺された直後に水でしっかりと洗い流すことが大切です。

腫れや痛みの症状が軽い場合には、市販薬を塗って様子を見ます。ただし、アナフィラキシー症状が見られる場合には救急搬送をしてもらい、病院で治療を受けなければなりません。

なお、ミツバチに刺された場合、刺された場所に毒針が残っているため、毒針を圧迫しないようにしながら可能な限り早めに毒針を除去します。指で取らずに、ピンセットを使って丁寧に針を取り除くことが重要です。

⑨クモ(蜘蛛)

蜘蛛

クモは、家や植物など様々な場所に生息しており、クモに噛まれると激しい痛みと腫れの症状が現れます。多くのクモは毒を持っていますが、国内では命に関わる症例は確認されていません。

しかし、猛毒を持つクモもいるため、万が一クモに刺された場合にはすぐに病院で治療を受けることが大切です。

⑩ヒル

ヤマビル(山蛭)

ヒルは、噛む際に「ヒルジン」と呼ばれる血を固まらせないための成分を出すことが特徴です。そのため、ヒルに噛まれた後は、噛まれた傷口から出血が止まりません。ヒルは毒を持っていませんが、皮膚がかぶれたり、痒みを伴ったりする場合があります。

⑪ムカデ

ムカデ

ムカデに刺されると、強い痛みや腫れの症状が現れます。ムカデは、人の皮膚を噛む際に毒素を出します。そのため、痛みや皮膚の炎症を起こすので注意が必要です。ムカデに噛まれた後は、すぐに毒素を洗い流しましょう。

虫に刺された時の症状別対処法

毒を持つ虫に刺されると水ぶくれや腫れ、しこりなど様々な症状が現れます。そこで、症状別に対処法や治療法を確認しておきましょう。

水ぶくれの症状と対処法

毒を持つ虫に刺された際、虫が持っている毒素成分によって皮膚の細胞が壊れ、火傷をした時と同じ状態になります。そのため、水ぶくれができるのです。

また、虫が血を吸った際に虫の唾液がつくことによって、アレルギー反応を起こすことも少なくありません。アレルギー反応を起こすと体液が皮膚の下に溜まり、水ぶくれができます。

水ぶくれができている状態とは、皮膚に炎症が起きている状態です。そのため、炎症を放置していると強い痒みを伴ったり水ぶくれの症状が治らなかったりするため、早めに治療をしましょう。

ステロイド外用剤を使用し、水ぶくれの原因である炎症を抑える必要があります。水ぶくれを掻いてしまい化膿すると、伝染性膿痂疹と呼ばれる感染症につながる場合があるため注意が必要です。水ぶくれの症状が悪化する前に、ステロイド外用剤を活用して治しましょう。

しこりの対処法

虫に刺されたり噛まれたりした跡がしこりになっている症状は、急性痒疹と呼ばれるものです。蚊やチャドクガなどに刺されると起こりやすい症状でであり、子供が刺された場合は大人と比較してアレルギー反応の症状が出やすいでしょう。

そのため、しこりができた直後に治療を行う必要があります。なお、大人が刺されても虫に刺された跡がしこりになり、強い痒みが続くことがあります。しこりになっている部分を掻いてしまうと結節性痒疹と呼ばれる症状が起こり、数年間しこりが治らない場合もあるため注意しましょう。

しこりは、虫に刺されたり噛まれたりした直後に痒みを伴いしこりができる場合と、数日後に水ぶくれとしこりができる場合の2種類があります。

同じ虫に刺されたり噛まれたりした場合でも、人それぞれアレルギー反応に違いがあることが特徴です。いずれの場合も、ステロイド外用剤や抗アレルギー剤の内服薬を使用して対処します。

痒みの対処法

虫に刺されたり噛まれたりした後に痒みの症状が出るのは、アレルギー反応を起こしているためです。年齢や体質によって虫に刺された直後に痒みが出るケースと、ある程度の時間が経過してから痒みが出るケースに分かれます。

症状が軽いのであれば、自然に痒みが収まるのを待つ方法でも問題はありません。また、虫刺され専用の市販薬を使用するのも良いでしょう。ただし、痒みが悪化し、水ぶくれができるなど症状が治まらないのであれば、病院を受診することが大切です。

虫に刺された後、数日後に痒みが発生し、赤く腫れたり翌日より痒みが強くなったりする場合もあります。痒みが慢性化する場合には、ステロイド外用薬を塗って痒みの原因である炎症を抑える必要があるでしょう。

蕁麻疹の対処法

蕁麻疹の症状は、毛虫の毛に触れた場合に起こることが多いです。毛虫の毛そのものに毒があるというイメージを持っている人も多いですが、毛虫の種類によっては毒を持っていないものもあります。

毒を持っていない毛虫に触れた場合には痒み程度の症状で収まる可能性が高いでしょう。しかし、毒を持つ毛虫に触れると蕁麻疹が起こる場合があり、チャドクガ、ヒロヘリアオイラガ、イラガなどには注意が必要です。

蕁麻疹を引き起こす毛虫の毒針は0.1mm程度のものですが、1匹で数万本以上生えているので毛に触れると蕁麻疹のような症状が現れます。抗ヒスタミン剤を使用し、蕁麻疹の症状を抑えることが一般的です。

軽度のアナフィラキシー症状の対処法

虫に刺された唇、まぶたが腫れが起こるといった軽度のアナフィラキシーショックを起こしている場合は、蕁麻疹を治療するときと同様に抗ヒスタミン剤を使用します。ただし、蕁麻疹とは異なり、アナフィラキシー症状は治るまでに時間がかかります。

数日間で治療を終わらせず、2週間は薬を使い続けなければなりません。また、トラネキサム酸を使用した治療も並行する場合があります。気道や口の中が腫れている場合には、ステロイドを全身投与したり、エピネフリンを投与したりするケースもあります。

重度のアナフィラキシー症状の対処法

虫に刺された後、強い痛みと腫れがあっても1日で治る場合もあります。しかし、腹痛や呼吸困難、蕁麻疹といった全身症状が出ている場合には注意が必要です。また、意識がなくなったり、血圧が低下している重度のアナフィラキシー症状は、数時間で命を落とす可能性があります。

特にハチに刺された場合に起こりやすいので、刺された場合には周囲の人にハチに刺されたことを伝えておきましょう。ハチに刺された部分を押さえたうえ、安静にしてハチに刺された箇所を冷やします。

膿んでいる場合の対処法

毒を持つ虫に刺されたり噛まれたりすると、強い痛みと皮膚の腫れの症状のほか、傷が膿むことがあります。

また、膿んだ場所から感染症を起こす場合もあるため注意が必要です。膿が出ている場合には、ステロイドの内服薬や抗ヒスタミン薬を使用する必要があるため、皮膚科医の診察を受ける必要があるでしょう。

色素沈着の対処法

虫に刺されたり噛まれたりした跡が茶色くなったり、黒くなったりする場合があります。炎症後色素沈着といわれる症状であり、虫に刺されたり噛まれたりした後にメラニン色素が沈着して肌が黒ずんだ状態です。

虫刺されが原因で皮膚の細胞が壊されると、身体が新しい細胞を再生することで傷を直そうとします。傷を治そうとする際、メラノサイトという細胞が刺激されメラニン色素が生成されるという仕組みです。メラニン色素が肌の表面付近に蓄積し、肌の黒ずみや茶色い色素沈着につながります。

一般的に虫に刺された後1年ほどで完治しますが、メラニン色素が皮膚の奥にまで蓄積している場合には、改善まで1年以上の時間がかかるでしょう。

虫に刺された跡の色素沈着を可能な限り早めに直したいのであれば、ビタミンCやへパリン類似物質油性クリーム、Lシステインといった市販薬やサプリメント使用する方法が有効です。

毒虫にさされた場合

毒がある虫に刺された場合には、虫がいない場所に移動し、刺された箇所を水で洗い流しましょう。毒針はピンセットを使い、可能な限り毒を絞り出すことが大切です。

市販の痒み止めや炎症を抑える薬を塗った跡、刺された箇所を冷やします。応急処置をしてから、病院で診察を受けましょう。

なお、毒を口で吸い出す方法は、口の中に傷がある場合、全身に毒が回ってしまうリスクがあります。そのため、口で毒を吸い出そうとせず、刺された場所の周辺を指で押して毒を絞り出すことが大切です。

また、毛虫に刺された際には粘着テープを使用しましょう。毛虫に刺された箇所に粘着テープを貼ってゆっくり剥がすと、毛虫の毒針を取り除くことが可能です。

虫に刺されないための予防方法

虫は玄関から室内に侵入する場合があるため、ゼラニウムやレモングラスといったアロマを使用し、網戸、窓、玄関から虫が侵入しないようにしましょう。

また、吊り下げタイプの防虫剤を活用する方法も有効です。虫は人の体に付いて室内に入る場合もあるため、家に入る前に持ち物や服を手で払ったうえで、玄関からの侵入を防ぐために素早く家に入ることが大切です。

人を刺したり噛んだりする虫の中には、非常に小さな種類の虫も存在します。風で飛ばされたり室内に侵入できなかったりするため、扇風機を使う方法も有効です。屋外で使用できる扇風機も販売されているため、アウトドアの際には屋外用扇風機を活用しましょう。

さらに、虫の中には細菌や汗の匂いに反応して寄ってくる種類もいます。そのため、汗をかいた際にはタオルでこまめに汗を拭き取ることも大切です。

ほかにも、夕方や夜明けなど、虫が活発に活動する時間の外出を避けることや、自然が多い場所や虫がいそうな場所に出かける前には長袖、長ズボンを着用して肌を守ることも重要です。

まとめ

虫に刺されたり噛まれたりしないようにするためには、虫を寄せ付けないことがポイントです。
室内では殺虫剤を使ったり、アウトドアで遊ぶ際には肌を守ったり虫除けスプレーも持参したりと、虫を寄せ付けない工夫をします。人を刺す虫の種類を把握したうえで、万が一噛まれた時は正しい方法で対処しましょう。

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