コートやニットなどに穴があいていた経験はありませんか?長期保管することが多い衣類によくあることで、お気に入りの服に穴があくとガッカリするでしょう。
コートやニットなどの衣類に穴が開いている場合は、カツオブシムシの仕業かもしれません。他にも、シーツなどを食べて穴をあけるため厄介な害虫として有名です。カツオブシムシは繁殖力が強く、駆除しないで放置していると大量発生します。
中には、カツオブシムシが密集してうごめいている光景を見る方もいるでしょう。カツオブシムシによる被害を最小限にするためには早めの駆除が大切です。今回は、カツオブシムシが発生する原因、駆除方法、予防策などをご紹介していきます。
カツオブシムシとは?
カツオブシムシはカツオブシを好む虫として認知されていますが、洋服を食べる虫としても有名です。では、カツオブシムシの特徴などをご紹介していきます。
【日本に生息しているのは主に2種類】
日本に生息しているカツオブシムシは主に、『ヒメマルカツオブシムシ』と『ヒメカツオブシムシ』です。それぞれ見た目は違いますが、生態はほぼ同じと考えていいでしょう。
【ヒメマルカツオブシムシの特徴】
幼虫の体長は4約mm~5mmで毛虫のような見た目をしており、短い毛で覆われているのが特徴です。幼虫のカツオブシムシは衣類やカーペットなどを食べる他、動物性の乾物(干しエビや煮干しなど)も食べます。
成虫の体長は約2.5mmで楕円型の甲虫になり、白色や茶色が混ざった模様が特徴です。成虫になると衣類を食べなくなり、淡い色の花やキク科の花に付いて栄養を摂るようになります。ただし、白いチューリップなどキク科以外の花にも付くため、淡い色の花に付くと思いましょう。
【ヒメカツオブシムシの特徴】
幼虫の体長は約7mm~10mmで細長く、ヒメマルカツオブシムシよりもかなりスリムです。成虫になると体長は約3.5mm~4.5mmになり、黒い見た目をしています

ヒメマルカツオブシムシの成虫

ヒメカツオブシムシの成虫
カツオブシムシが大量に発生する原因4つ

本来、カツオブシムシは屋外に生息している虫で、自宅の庭やベランダなどで大発生していることもあるでしょう。カツオブシムシが大量発生する原因は4つあり、屋外に限らず室内でも発生するケースは少なくありません。
■①淡い色の洗濯物を屋外に干している
室内でカツオブシムシが発生する原因としてよくあるケースが洗濯物です。カツオブシムシは淡い色に惹かれる害虫で、白いYシャツなどを屋外で干していると付く可能性が高くなると思いましょう。
成虫のカツオブシムシは衣類などを食べませんが、花を探している最中に淡い色の洗濯物を見つけると誘引されて付きます。一方、黒や赤などハッキリした色は好みの色ではないため、屋外に干していても付くことはないでしょう。
また、明るい場所を好むのも洗濯物に付きやすい原因です。幼虫のカツオブシムシは暗い場所を好みますが、成虫は日中に活動して栄養源となる花の蜜や花粉を探します。
■②淡い色の服を着て外出する
外出時の服も室内にカツオブシムシが大発生する原因です。外出時の服も屋外へ洗濯物を干す時と同じ理由で、成虫のカツオブシムシは淡い色の服に惹かれて付きます。
また、花がある場所に行った時や服に花の蜜や花粉が付いている時も、カツオブシムシが服に付きやすいです。カツオブシムシの体長はミリ単位で小さいため、服に付いていても気が付かないことはよくあります。
■③白い花やキク科の花がある
成虫のカツオブシムシは特に白い花やキク科の花を好むため、花がある家は要注意です。例えば、部屋に白い切り花を飾っている、庭でキク科の花を栽培している家は、成虫のカツオブシムシを誘引します。
室内に白い花やキク科の花がなくても安心することはできません。庭や屋外に置いてある植木鉢などに、成虫のカツオブシムシが好む花があれば室内への侵入リスクが高くなります。窓や玄関を開けた時、ガーデニングの作業をしている時などに招き入れることもあるでしょう。
■④5月~6月に成虫のカツオブシムシが室内へ侵入
成虫のカツオブシムシが大量発生する原因は季節も関係しており、5月~6月は室内に侵入しやすい時期です。特に15度以上で晴れている日はよく飛び、窓を開けた時などに室内へ飛んでくることもあるでしょう。
5月~6月の成虫のカツオブシムシは薄暗い場所で産卵します。室内の場合は、クローゼットの中や衣装ケースの中にある服などで産卵することが多いです。ヒメマルカツオブシムシの産卵数は20個~100個、ヒメカツオブシムシは40個~90個もの卵を産みます。
カツオブシムシの卵の大きさは1mmもなく、とても小さいため見つけるのは難しいでしょう。また、成虫のカツオブシムシは栄養状態が悪くても、幼虫のエサになる衣類や動物性の乾物などがなくても産卵することができます。そのため、大量発生につながってしまいます。
なお、幼虫のカツオブシムシもしぶとく、約6ヶ月~1年エサを食べなくても生命を維持することが可能です。また、幼虫期間を2年~3年先まで延ばして生命を維持することもできます。
カツオブシムシの駆除方法4つ

カツオブシムシの被害に遭った時は、かなりの数が繁殖していると考えていいでしょう。一方でカツオブシムシの駆除は難しいと言われており、駆除を成功させるためには早めの対処が重要です。では、カツオブシムシの駆除方法を4つご紹介していきます。
■①殺虫剤を使用
カツオブシムシの駆除方法では、エアゾールや燻煙タイプの殺虫剤を使うのが一般的です。エアゾールとは殺虫スプレーのことで、カツオブシムシに吹きかけて駆除します。ただ、エアゾールだけで全てのカツオブシムシを駆除することは難しく、燻煙タイプと併用するとよいでしょう。
幼虫のカツオブシムシは隙間などの暗い場所に潜んでおり、エアゾールが届かないことがあります。一方、燻煙タイプは殺虫成分入りの煙を出すのが特徴で、部屋全体にまんべんなく届くのがメリットです。高い駆除効果が期待できるのと、効率良くカツオブシムシを駆除することができます。
■②熱を加える
殺虫剤を使わないでカツオブシムシを駆除する場合は、65度以上の熱で退治しましょう。カツオブシムシは高温に弱く、スチームアイロンや乾燥機などの熱を利用して駆除することができます。
特にコインランドリーの乾燥機は容量が大きいため、カーペットなど大型サイズのアイテムも問題ありません。また、衣類などもたくさん入るため、まとめて乾燥機にかけたい時もコインランドリーの乾燥機が便利です。
ただし、スチームアイロンや乾燥機でカツオブシムシを駆除する時は、洗濯表示を見て確認しましょう。素材によっては高温の熱に耐えきれず、縮みや劣化の原因になることがあります。
■③成虫の駆除には直接スプレー
成虫のカツオブシムシを見つけた時は、直接エアゾールをスプレーして駆除しましょう。成虫のカツオブシムシをエアゾールで駆除するポイントは、少し距離を置いて噴射することです。カツオブシムシは小さくて軽いため、近距離から噴射すると吹き飛んでしまいます。
離れたところからエアゾールをスプレーして噴射力を調整し、成虫のカツオブシムシが飛ばないようにしましょう。
■④害虫駆除業者に依頼
カツオブシムシは生命力が強く、素人が完全駆除を行うのは難しいケースもあります。幼虫や成虫のカツオブシムシを確実に駆除したい方は、害虫駆除のプロへ依頼してみてはいかがでしょうか?プロなら駆除が難しいカツオブシムシも豊富な知識で対応してくれます。
お子さんがいるご家庭やペットを飼っている場合、殺虫成分が気になる方もいるでしょう。害虫駆除の業者は様々な殺虫剤を扱っており、安全な殺虫剤で駆除することもできます。料金やサービス内容などは業者によって違うため、数社見積もり依頼をして比較しましょう。
カツオブシムシを寄せ付けないための対策・予防法3つ

カツオブシムシを発生させないためには、寄せ付けない環境を作ることです。特に室内への侵入は注意が必要で、カツオブシムの侵入を許すと繁殖して大量発生します。カツオブシムシを寄せ付けない予防策を3つチェックして、室内への侵入や繁殖を防ぎましょう。
■①収納する前に洗って防虫剤や防虫シートを使う
淡い色の衣類、シーツ、カーペットなどを収納する時は、洗濯やクリーニングを行い清潔にしてからしまいます。
収納する前に洗濯やクリーニングをすると、成虫のカツオブシムシを駆除することができるため卵を産みつける心配がありません。なお、洗濯した場合は、取り込む時に成虫のカツオブシムシが付いていないか確認してください。
また、衣類などを収納する際は防虫剤や防虫シートを使い、カツオブシムシが付かないようにましょう。設置後は使用期限が切れていないか定期的に確認することも大切です。
『おとりかえ』などの表示がある場合は交換時期で、新しい防虫剤や防虫シートに交換しましょう。防虫効果の期間は6ヶ月や1年間など種類によって違い、使用状況によっても防虫効果の期間が変わります。
使用期限が切れた防虫剤や防虫シートは効果がなく、成虫のカツオブシムシが卵を産み増殖するため注意しましょう。
■②部屋は掃除して花は持ち込まない
カツオブシムシが発生する条件に、部屋の掃除が行き届いていないことも考えられます。カツオブシムシは不衛生な環境も好むため、定期的に掃除をしてキレイにしましょう。
カツオブシムシはホコリや食べカスも栄養源にすることがわかっており、不衛生な環境は寄せ付けることになります。特に部屋の隅やベッドの周りは、ホコリや小さなゴミなどがたまりやすいです。部屋の隅々まで掃除をしてカツオブシムシのエサを排除しましょう。
また、室内に淡い色の花やキク科の花を持ち込まないことも、カツオブシムシの予防につながります。
室内に切り花や植木を置きたい場合は、カツオブシムシが好まない花が望ましいです。淡い色の花やキク科の花を置く場合は、成虫のカツオブシムシがいないか虫メガネなどでよく確認しましょう。
■③乾物は密閉容器に入れて保存する
開封済みの乾物は密閉容器に入れて保存し、カツオブシムシの侵入を防ぎます。体長が小さいカツオブシムシでも密閉容器に侵入することはできません。どうしても密閉容器に入れることができない乾物は、野菜室や冷蔵庫に入れて保管しましょう。
まとめ
カツオブシムシが衣類などに卵を産みつけた場合、気が付いた時にはかなり増殖している可能性があります。発生状況によっては、プロの害虫駆除業者へ依頼して完全駆除をしないといけません。カツオブシムシを駆除した後も肝心で、防虫剤や防虫シートなどの予防策を取り入れましょう。