カメムシは棒や新聞紙で叩いたりすると、危険を感じ悪臭の分泌物を出します。そのため掃除機で吸い込む、などの方法で駆除してしまうと、掃除機ごと買い換えなくてはいけないくらい掃除機が臭くなってしまいます。ですから、カメムシには他の虫とは違った駆除方法が必要です。
家の中でカメムシを見る場合は、見つけて殺すだけでは根本的な解決方法にはなりません。入り込まないようにさせる対策も必要です。また、子どもやペットのことを考えると、殺虫剤はあまり使いたくないという家庭も多いと思います。そのような場合はどのようにしてカメムシ対策をすれば良いのでしょうか。
本記事ではカメムシ駆除の方法5つや、確実にカメムシを死滅させる殺虫剤の選び方などをご紹介します。
カメムシの効果的な駆除方法5つ
■1 家の外壁にカメムシ駆除用殺虫剤をスプレー
カメムシ駆除の第一歩は、カメムシが来たくない家、建物にすることです。カメムシが中に入ってこないように、家の外壁に殺虫剤をスプレーしましょう。玄関や窓を中心にスプレーすることでより効果が得られます。
殺虫剤の成分には、一瞬でカメムシを退治できる即効性が高い薬と、長い時間殺虫成分を持たせる持続性が高い薬があります。殺虫剤の中でも、シフェノトリンやペルメトリン、シラフルオフェンは効果が長持ちするのでカメムシを寄り付かせない効果が期待できます。
多くの殺虫剤の場合、外壁にスプレーしてから1週間から2週間は効き目が持続します。雨が降った場合は効き目が薄れるので、晴れてから再びスプレーしてください。殺虫剤は人間やペットにはなるべく害が少ないように作られていますが、一部ネコや魚など動物に害があるものもありますので、説明をよく読んで調べてから使ってください。
■2 玄関の隙間や窓枠、排気口にカメムシ駆除用まちぶせスプレー
カメムシは温かい家の中で冬を越す習性があるので、カメムシが入り込んでこないよう、寒くなる前に窓のサッシや玄関、排気口にカメムシ駆除用まちぶせスプレーを撒いておきましょう。
また、ミントの香りは害虫が寄らなくなるハーブとして知られています。すっとした香りが苦手なのは、カメムシだけでなくゴキブリなど害虫に共通していますので、無農薬の忌避剤を使いたい時にはミントのアロマオイルを水で薄めて使用してください。
■3 洗濯物の近くにカメムシ駆除の忌避剤を置く
カメムシは洗濯物に寄り付いてきますが、洗濯物には殺虫剤が使えないので困ってしまいます。そのような場合は、殺虫剤を使わないタイプの「カメムシ用忌避剤」でカメムシ予防をしましょう。忌避剤とは、近寄らせないようにする薬のことを言います。天然成分で作られたものもあれば、殺虫剤で作られたものもあります。
代表的な忌避剤には、ヨモギや唐辛子といったカメムシが嫌いなエキスが入っている家庭化学の「カメムシいやよ~」、カメムシが寄り付かないインドセンダンのエキスが入っている花ひろば「ニーム核油粕」等があります。
カメムシが大量発生する時期は忌避剤では追いつかず、においや糞が洗濯物についてしまうことがあります。そのためできるだけ部屋の中に洗濯物を干したほうが良いでしょう。
■4 カメムシが洗濯物についたら急激な温度変化で駆除する
カメムシが大量発生することによる一番の悩みは、洗濯物にくっついてしまうことではないでしょうか。追い払おうとしても、洗濯物にカメムシのにおいがついてしまうことがあります。
カメムシやゴキブリなど、昆虫は急激な温度変化が苦手です。そのためカメムシを見つけたら熱湯をかけたり、「フマキラー 殺虫スプレー 凍殺ジェット」のようなスプレーを使用したりして、急激に温度変化させ退治しましょう。
洗濯物に熱湯をかけることは服が駄目になる危険性があるのでおすすめしませんが、マイナス85度になるスプレーであればダメージも少なくて済みます。殺虫剤は使われておらず、噴射後も殺虫剤独特の嫌なにおいやベタつきが残りません。
■5 カメムシを厚紙2枚でそっと取り、中性洗剤の中に入れて駆除
カメムシを見つけても、叩いてしまうとにおいを発し、掃除機で吸おうとするとこれも危険を察知して悪臭を出します。そこで、においが出ないような捕獲方法を紹介します。
まず、止まっている所を厚紙2枚でそっと捕まえて空のペットボトルに入れ蓋をします。ペットボトルは、あらかじめ四角いペットボトルを半分にカットしておき、上半分を逆にして下半分の中に入れます。ペットボトルの下半分の中に、台所の中性洗剤を入れておけば中にカメムシを入れると溺れて確実に死滅させることができます。
カメムシ駆除のおすすめ殺虫剤TOP10
■1 花ひろば ニーム核油粕
ダイコー ニームケーキ
土に撒くだけで、カメムシが来なくなる有機肥料です。元々は農薬を減らすために開発された肥料であり、植木鉢やプランター、花壇の土などに混ぜて使用できます。農薬は一切使用していないので、子どもやペットがいる家庭のカメムシ対策として安心して使えます。
ニームはインドセンダンとも言われている植物の一種です。インドでは昔からニームのオイルを昆虫の忌避剤として使ってきました。ニームの中に含まれている「アザディラクチン」は、昆虫の食欲を減退させたり、羽化や脱皮ができないようにさせる効果があります。一方で、厚生労働省が食品添加物として認めているほど安全性があります。
カメムシの他、ダニや蚊など他の害虫にも効果があるので、家の周辺に土がある場合は撒いてみてはいかがでしょうか。
■2 フマキラー 殺虫スプレー 凍殺ジェット
[Amazon限定ブランド] フマキラー 冷凍ジェット 450ml 殺虫成分不使用
昆虫は高温や低温が大の苦手、という性質を利用して作られたのがフマキラーの「殺虫スプレー 凍殺ジェット」です。マイナス85度という超低温スプレーで、殺虫剤を一切使わずにカメムシを退治できます。
カメムシを見つけたら、20秒程度スプレーするだけで簡単に退治できます。HFO-1234ze(冷触媒)とDME(ジメチルエーテル)でできており、殺虫成分ゼロなので食器や寝具のまわりでも安心して使えます。
マイナス85度のスプレーなので、野菜や花にかかってしまうと枯れてしまう危険性がありますし、パソコンや精密機械が変形する恐れもありますので、噴霧する場所には気をつけてください。
■3 サンケミファ プロ専用カメムシ退治プラス忌避防除剤
カメムシ退治プラス忌避防除剤 420ml 殺虫剤虫よけスプレー
サンケミファの「プロ専用 カメムシ退治プラス忌避防除剤」は、カメムシを一瞬で退治できる「プラレトリン」と「フタルスリン」、そして効き目が長持ちする「シフェノトリン」という3つの有効成分がミックスされた殺虫剤です。
強力噴霧タイプなので、他社製品のスプレーよりもカメムシに近寄らずに済むため、カメムシに気付かれて臭いにおいを出される危険性も少ないのが特徴です。
窓のサッシに使用するときには、サッシから50センチ以上離してスプレーします。一度に大量の殺虫剤が出るようになっているので、サッシ以外の場所に噴霧してしまわないよう気をつけてください。
■4 家庭化学工業 カメムシいやよ~
家庭化学 カメムシ いやよ
家庭化学工業の「カメムシいやよ~」は、カメムシが洗濯物につかないようにするグッズです。殺虫剤を振りかけられない洗濯物へのカメムシ対策として多くの方に愛用されており、普通サイズの5袋入りとお徳用サイズの12袋入り、薬剤を染み込ませたテープの3種類が販売されています。
中身はヨモギや唐辛子のエキスなど天然成分が多く含まれており、殺虫効果はありませんがカメムシが来なくなる忌避効果があります。
洗濯物の間にぶら下げたり、玄関や窓の外に下げておくだけで、約2ヶ月間効果を発揮します。大量飛来する場合には1mごとにぶら下げてください。
■5 住友化学園芸 カメムシエアゾール
住友化学園芸 カメムシエアゾール 480ml
強力なジェット噴射で、カメムシを一瞬にして退治できるスプレーです。他社製品よりも噴射力が強く、押し続けているとすぐに一缶無くなってしまいますので、カメムシの出没数が多い時には何本か用意しておくようにしましょう。
住友化学園芸の「カメムシエアゾール」は、蚊取り線香の成分ピレトリンとペルメトリンでカメムシの神経を破壊して退治するスプレーです。人間への毒性は低いのですが、ネコと魚に対しては毒性が高いため、ネコや熱帯魚、金魚、鯉などを飼っている場合には近くで噴霧しないようにしてください。
■6 住友化学 スミチオン乳剤
住友化学 スミチオン乳剤
「スミチオン乳剤」は40年近くロングセラーを続けている殺虫剤で、カメムシだけでなくアブラムシやテントウムシダマシなどにも効果を発揮します。野菜や果物、牧草に広く使われていて、農業のプロも愛用しています。
「スミチオン乳剤」はカメムシの体内に取り込まれると、神経の伝達をストップさせる中毒症状を起こして死滅させる有機りん系殺虫剤です。一般に販売されているピレスロイド系殺虫剤よりも強力なので、いくつも殺虫剤を試してきたけれどもどれもダメだったという場合に試してほしい殺虫剤です。
カメムシが出そうな出入り口や窓のサッシ、玄関などに、1000倍から2000倍に薄めてスプレーしますが、噴霧器が無ければ霧吹きでも代用できます。原液は濃いので、安全のためにマスク、ゴーグル、ゴム手袋を忘れずにしましょう。
■7 住化エンビロサイエンス カメムシコロパー
カメムシコロパー
発見したカメムシに直接スプレーして退治でき、また、窓枠や玄関に吹き付けておくことで家の中への侵入防止もできるカメムシ駆除スプレーです。
また、「カメムシコロパー」は針のように細いノズルが付属しているのでサッシの隙間にもスプレーできます。
有効成分の「イミプロトリン」は、とにかく速く効く殺虫成分で、従来の殺虫剤に比べて何十倍もの威力がある薬品です。ゴキブリ用殺虫剤としてベストセラーになっているアース製薬「ゴキジェット」にも使われています。
もう一つの成分である「シフェノトリン」は、コウモリやコバエ、クモやムカデなどの殺虫剤としても使用されているもので、駆除成分が強力で、しかも効果が長続きする薬品です。
1本で2つの効果があるので、これだけでカメムシ駆除と予防ができます。
■8 イカリ消毒 ムシクリン カメムシ用エアゾール
イカリ消毒 ムシクリン カメムシ用エアゾール
イカリ消毒の「ムシクリン カメムシ用エアゾール」(旧名スーパーカメムシジェット)は、見つけたカメムシをすぐに殺せる即効性があります。また、カメムシが侵入しそうな出入り口に噴霧しておくことで予防もできるので、1本で殺虫と予防2種類の使い方が可能です。
パッケージが新しくされたのと同時に中身も改良されました。新たに加えられた成分「モンフルオロトリン」は速効性が高い殺虫成分で、そのためスプレーした後のカメムシは歩き回らずその場で死滅します。
壁や窓のサッシにスプレーしておけば、1週間から2週間程度はカメムシの侵入を予防できます。強い殺虫剤のため材質によってシミになることがあるので、必ず端でテストしてから広範囲に振りかけるようにしましょう。
■9 ビッキー株式会社 天然ハッカ油使用「カメムシブロック」
カメムシブロック 10個セット 吊り下げタイプ【天然ハッカ油使用】【カメムシ対策にはカメムシ忌避剤】【安心の日本製】
カメムシは、網戸のわずかな隙間からや、人の出入りと一緒に家の中に入ってきてしまうことがあります。カメムシが家の中に入らないようにするには、カメムシが嫌いなにおいを出入り口に置きます。
ビッキー株式会社の「カメムシブロック」は、殺虫剤を一切使わずに天然素材だけで作られたカメムシ用の忌避剤です。成分はカメムシが嫌いなにおいであるミントやヒバの木から取れる油で、2ヶ月間の効き目があります。
使い方は簡単で、玄関や窓、天井といったカメムシが家の中に入ってきそうな場所に置くだけ。カメムシはわずかな隙間から家の中に侵入してくるので、日がよく当たる南側のドアや窓は特に用心しましょう。
■10 金鳥 カメムシキンチョール
金鳥 カメムシキンチョール
見つけたカメムシをすぐに殺したい場合は、スプレー式殺虫剤が便利です。カメムシは叩いても掃除機で吸っても臭いにおいを発するので、金鳥の「カメムシキンチョール」のように触らずに退治できるグッズは大変重宝します。
カメムシが来ないように家の周辺に忌避剤を置いて、それでもカメムシが来てしまったらスプレー式殺虫剤で対処するといった二重の対策が有効です。
中に入っている成分は、蚊取り線香で使われている有効成分を改良して作られた「シラフルオフェン」と「フェノトリン」です。昆虫の神経細胞を破壊して、動けなくすることで死滅させる殺虫剤ですが、人間や犬や猫といった哺乳類のほか、魚や鳥には影響をあたえにくいのが特徴です。
カメムシが洗濯物につく理由
カメムシは一年中目にしますが、大量発生するのは秋になります。寿命は1年位ですが、夏や秋に卵からかえったカメムシが、冬を越すための場所を探しにあちこちに飛び回ります。
人間の住む庭やベランダは鳥や小動物が来にくいので、カメムシが好きな越冬場所なのです。木がある場所では葉の裏にカメムシが止まるので、カメムシには洗濯物が大きな葉のように止まりやすく感じるのかもしれません。
カメムシの生態や種類。歩く宝石と言われることも?!
■カメムシは2mmのすき間に入り込む
マルカメムシは5ミリ程度、クサギカメムシは15ミリから20ミリ程度の大きさがあります。しかしどちらのカメムシも2ミリ程度の隙間があれば入り込むことが可能です。
玄関と床の部分の隙間や、網戸と柱の間の隙間からカメムシが入ってくるようであれば、市販の虫除けすき間テープを貼ってカメムシが中に侵入してこないようにしましょう。
槌屋 網戸用 すき間モヘアシール ブロンズ 幅6X高さ9.5mmX長さ2m
■カメムシは春に産卵。あたたかい場所で越冬。
カメムシは暖かくなった梅雨前から初夏が産卵期で、この時期は洗濯物にカメムシの卵をつけられてしまう恐れがあります。一度に20個から30個、まとめて卵を生む習性があります。
カメムシは1年から1年半ほど生きるのですが、冬は温かい場所でまとまって越冬します。暖房の効いた部屋の近くや、玄関の軒先などに固まって春を待ちます。
■カメムシの種類
駆除したい代表的なカメムシ
臭い虫をカメムシという名前で呼んでいますが、実は「カメムシ」という名前の昆虫はいません。我々がよく見るカメムシは2種類いて、黒くて丸い「マルカメムシ」、角ばっているものが「クサギカメムシ」。
どちらのカメムシも、秋は冬眠のために家の中に入ってこようとします。カメムシが大量発生した年は大雪とも言われていますが、2017年のカメムシ大量発生と2018年の記録的な大寒波を見ると、関係があるかもしれません。
「マルカメムシ」はマメ科の植物が好きなので、エンドウやねむの木、アカシア、オジギソウ、シロツメクサなどが生えている場所に、「クサギカメムシ」は果物がなる木が大好きなので、枇杷や柿、ミカンなどがなる木のそばに注意が必要です。近くに洗濯物を干すなど、カメムシが寄り付くようなことをするのはやめましょう。
クサギカメムシ
その他の臭いけど綺麗なカメムシ
これ以外は、本州中部より南に生息するオレンジ色の「オオキンカメムシ」、近年、和歌山県や愛知県、兵庫県、岡山県などで発見されている稲の害虫「ミナミアオカメムシ」、沖縄県でまれに見る「アカギカメムシ」、ナス科の植物によくくっついている「ホオズキカメムシ」、松の害虫である「マツヘリカメムシ」、ネムの木につく「オオクモヘリカメムシ」、大豆や豆類につく「ホソヘリカメムシ」などもいます。
オオキンカメムシ
本州南部に生息する赤いカメムシ。
ミナミアオカメムシ
本州南部に生息し、稲が好きなカメムシ。
アカギカメムシ
沖縄で見るカメムシで、大集団をつくる。
ホオズキカメムシ
ホオズキやナスが好きなカメムシで、北海道以外は日本全土で見る。
マツヘリカメムシ
外来種のカメムシで、関東地方でまれに発見される。
オオクモヘリカメムシ
ネムノキが好きで、カメムシの中でも特に臭い。
ホソヘリカメムシ
大豆や豆が好きなカメムシ。
まとめ
今回はカメムシ駆除対策について調べました。
カメムシが来ないようにするタイプの殺虫剤には、天然成分で殺虫剤を使わないものと、効き目が持続する殺虫剤の2タイプがあります。
天然成分にはニームと呼ばれるインドセンダンや、ヨモギや唐辛子のエキスがあり、子どもやペットがいて殺虫剤が心配な場合に使えます。
一方、カメムシを見かけた時に瞬殺するためのスプレーはどれも殺虫剤入りで、瞬殺力を狙った薬品が使われていました。商品によってはネコや魚に悪影響が出るものもあるので、成分を見て念のために調べてから購入したほうが良いでしょう。