梅雨時や、台風の時期になると家の中や周辺でムカデを発見することが多くなります。ムカデはスズメバチと同じ猛毒を持っていて大変危険な毒虫なのですが、ムカデが危険な昆虫であることはスズメバチほど知られていません。
ムカデは一匹いると、他にも必ず一匹いると言われています。壁や窓のほんのわずかな隙間から家の中に入ってきてしまうので、ムカデが入ってくると安心して眠れなくなってしまいますよね。
ここでは、ムカデの生態や進入路、そして効果的な退治方法についてまとめてみました。
1 ムカデの発生時期と生態
■ムカデの発生時期
ムカデは梅雨になる5月から6月頃から、秋の長雨が終わる10月頃に発生します。産卵は5月から6月にかけて行い、一回に20個から50個程度の卵を産んで、卵は一ヶ月程度で孵化します。乾燥には弱く湿った場所が大好きなので冬場はあまり動きかず11月から3月、4月頃まで地面の中にもぐって冬眠します。
常に暖かく15度以上で、洗面所や風呂場のように水がいつもある場所だと出現率が高まりますので注意が必要です。ツルツルしている壁やタイルも平気で登っていきますので、薬品を撒くときには地面もコンクリートもタイルもまんべんなく撒くようにしましょう。
■ムカデの生態
ムカデは足がたくさんあるのが特徴です。イシムカデは15対、オオムカデは21対か23対、ジムカデは30から170対の足があります。また、毒を持った牙が口から生えています。体調は7センチから13センチ程度で、6年前後生きると言われています。
親は卵を生むと背中におんぶして、清潔にするため常に舐めて守っています。卵からかえると2回脱皮した後、親と離れます。一人前になるのに3年かかると言われています。ムカデは親離れするまでの二ヶ月間、母と子は一緒に過ごします。そのため、1匹見ると、すぐそばにもう何匹かいるのです。
ムカデは昼よりも夜のほうが行動的で、動くものを襲う習性があります。ムカデはゴキブリを食べてくれるので、よくムカデの出る家はゴキブリが出ないとも言われています。その他、肉や果物、野菜なども食べます。
2 家のどこにムカデが侵入する?
■主なムカデの侵入口
『玄関』『キッチン』『窓』『風呂』『洗面所』『換気扇』『クーラーの室外機のパイプ』『屋根や壁の隙間』『床下』
これらがムカデの侵入口となっています。
玄関
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夏場になると玄関を開けておきたくなりますが、ムカデの侵入を考えると閉めておいたほうが良いでしょう。どうしても風通しが悪くなってしまう場合には、網戸を設置するなど少しでも侵入してこないような工夫をしてください。
キッチン
キッチンはシンクの下の物入れが要注意です。特に排水管が通っている部分と床の間に隙間がある場合は、隙間を埋めておきましょう。
窓
窓で注意するのは、網戸の無い窓です。ムカデはどんな壁でも平気で登ってきてしまいます。2階でも3階でも、窓があると侵入するので注意しましょう。
風呂
お風呂場は洗い場の排水口や、湯船の排水口、窓、天井の換気扇が要注意です。ムカデは濡れている場所が好きなので、湿っているからといって夜中に窓を開けっ放しにしないようにしましょう。
洗面所
洗面所は排水口と、下の物入れが危険です。ムカデは排水口をたどって家に侵入することがあります。寝る時には、排水口にフタをするようにしましょう。
換気扇
ムカデはツルツルした壁も平気で上がってきてしまうので、換気扇からも侵入してきます。換気扇は閉められない場合がほとんどなので、換気扇の下の地面にムカデが嫌う薬品を撒くなど工夫してください。
クーラー室外機のパイプ
クーラーを設置している部屋の場合、クーラーの室外機のパイプから、ムカデが逆行して入ってくる場合があります。室外機のパイプ周辺に、ムカデ用の殺虫剤を撒くようにしましょう。
屋根や壁の隙間
屋根や壁の、わずかな隙間からムカデが侵入することもあります。最近どうも家の中でムカデが多いと思ったら、害虫駆除専門の業者に検査してもらうと良いかもしれません。
床下
床下はムカデがとても好きな場所です。床下のわずかな隙間を通って、畳やフローリングを抜けて家の中に侵入します。床下にムカデが嫌う薬品を撒くと良いのですが、床下にはムカデ以外も害虫が多くいますので、難しいようであれば害虫退治のプロに頼むようにしましょう。
■雑草はきちんと刈り取ろう
家のそばに雑草が生えていると、ムカデの隠れ家になってしまいます。雑草をこまめに刈り取るようにしましょう。
■枯れ葉は捨てる
ムカデは落ち葉や腐葉土が大好きです。湿っていて身を隠すのにちょうど良い場所なので、冬眠する場所にも使われます。ムカデが家の中に出て困るようであれば、枯れ葉はこまめに捨てるようにしましょう。
3 ムカデの侵入を防ぐには
■家の隙間を埋めておく
壁の僅かな隙間や、網戸の隙間など、わずかな隙間からムカデは入ってきます。また、キッチンのシンクと壁や、水道管の隙間なども虫が入りやすいポイントです。水回りはシリコンのコーキング材で埋めておきましょう。
■雨上がりには布団を干さない
雨上がりに布団を干すと、布団の中にムカデが入ってきてしまうことがあります。雨上がりの日に外に布団を干すことは避け、晴れた日に干した布団も乾燥した昼間のうちにトロコンでしまいましょう。
■排水口にはフタをしておく
キッチンや洗面所、お風呂の排水口から虫が登ってくることがあります。夜寝る前にはフタをしておくか、洗面器などをかぶせて室内に侵入できないようにしておきましょう。
■「ムカデ博士」を撒く
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家の周辺に、粒状の薬剤を撒くと効果があります。「ムカデ博士」はムカデ駆除に特化した薬剤で、穴の開いた砂の中に殺虫剤が入っています。使用方法は簡単で、家の周辺を、ぐるっと30センチ程の幅で撒いていきます。
ムカデが入りそうな通風口だけでなく、普通の壁であっても撒いておきましょう。
ムカデが薬品の上を歩くと、腹にある気門から薬品が吸い込まれ、神経が破壊され死に至ります。夜になるとムカデは歩き回るので、家周辺に撒くことで侵入をブロックできるのです。薬品粒が直接手に触れないように注意しましょう。
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ムカデ博士にはスプレータイプもあります。ドアや窓など、粒状の薬剤が撒けない部分にふりかけておくと侵入を防ぐことができます。
■ゴキブリホイホイを改造する
ムカデが出る家は、ムカデがゴキブリを食べてくれるのでゴキブリが出ません。しかしムカデが梅雨時になると出るのも、困ってしまいますよね。そこでゴキブリホイホイを改造して、オリジナルのムカデホイホイを作りましょう。
エサは魚肉ソーセージをひとかけら用意します。そして、ムカデが侵入しやすいように、出入り口の折り返しをカットしておきます。
4 ムカデの退治方法と殺虫剤
■ムカデを見つけたら
カデを発見したら、なるべく長い箸でムカデをつまんで熱湯で退治します。皮の手袋をして火バサミ(トング)でつまむのが最適と言われています。
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熱湯が無いようであれば屋外に出すしかありませんが、外に出してもすぐ家に戻ってきてしまう恐れがあります。昆虫は急激な温度変化に弱いので、熱湯をかけて退治するのが一番です。生きている時も、死骸になった時も、手でつぶそうとすると咬まれたり毒に触れてしまう可能性があります。
手で直にムカデを触るのはやめましょう。
熱湯がそばに無い場合は、逆に急速冷却して退治するのも効果的です。「瞬間凍殺ジェット 這う虫用」は、アマゾンで130件もの口コミがあり、人気の商品です。殺虫剤ではなく冷却材なので、使用した後に人間やペットが薬剤を吸い込んでしまうことがないので安心です。
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■殺虫剤
ムカデに効果的な殺虫剤は、「β-シフルトリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、フェノトリン、プロポクスル」が入っている殺虫剤です。(この記事に掲載している殺虫剤は、全てこれらの成分が入っているものです。)
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ムカデ用殺虫剤は多くのものが販売されていますが、これらの成分が入っていないと効果がありません。成分をチェックしてから購入してください。ムカデは殺虫剤をかけられると暴れまわることがあります。暴れている時に咬まれないよう注意しましょう。
■ハッカ油で撃退しよう
ムカデは「ハッカ油」が大の苦手です。単にハッカが入っているだけのものでは効果がありませんので必ず「ハッカ油」を購入するようにしましょう。ムカデが入ってきそうな玄関、窓まわり、通気口などにハッカ油をスプレーすることで、ムカデの侵入を防ぐことができます。
アロマディフューザーなどで、室内にハッカ油の香りを充満させるのも効果的です。
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■雑巾や枯れ葉でムカデトラップを作ろう
ムカデは湿っている場所が大好きなので、ムカデがよく出てくる場所に濡れ雑巾や枯れ葉に水をたっぷり含ませてムカデトラップを作りましょう。ムカデは山状になった場所の一番上によじ登る性質があるので、濡れ雑巾や枯れ葉は、こんもりと山のように積んでおきます。
ビニール袋の上に置くようにすると床も汚れません。暗い間にムカデがトラップに侵入するので、ビニールごと雑巾や枯れ葉の山を包んで外に持っていきます。なるべく大きなビニールのほうが良いでしょう。そして熱湯をかけて退治します。
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5 ムカデに咬まれたら
■ムカデに刺されるとどうなるか
ムカデは小さい体ではありますが、スズメバチのような毒を持っているので大変危険です。ムカデに咬まれると、まずヤケドをしたような、針で刺されたような痛みに襲われます。そして、咬まれた場所が大きく腫れてしまうのです。腫れた部分がかゆくなることもあります。
タンパク質や血液を壊す作用のある毒のため、赤ちゃんや体調が弱っているお年寄りが咬まれると大変です。頭痛や発熱、吐き気を伴う場合もあります。アナフィラキシーショックと言って、咬まれた時のアレルギー反応で意識障害や呼吸困難になることもあります。一度咬まれたことのある方は、特に注意してください。
■応急処置は熱めのお湯で
お風呂よりも少し熱めのお湯で、15分から20分、ムカデの毒を洗い流します。43度以上が理想的で、40度以下だとかえって毒が回ってしまうので逆効果になります。50度まで上げてしまうとヤケドをしてしまいますので、温度調節に気をつけてください。
ムカデが持っている毒は熱に弱いので、お湯をかけることで毒の回りを鈍くするのです。固形石鹸やシャンプーで洗うと、より効果がアップします。液体石鹸のような弱酸性のものよりも、アルカリ性の固形石鹸のほうが良いでしょう。
■ステロイド剤が効果的
お湯で咬まれた場所を洗ったら、クリームや軟膏状になったステロイド剤が効くと言われています。よくムカデの出る家庭であれば、かかりつけ医にムカデに噛まれた時用のステロイド剤は何が良いか聞いておくと良いでしょう。
毒と薬は紙一重ですので、よく効く薬は体にあわない人にとっては毒になります。薬品の使用にあたっては、必ず医師に相談してからにしてください。
■冷やさないようにする
ムカデに刺されると熱くなるような痛みに襲われるので、ついつい水や氷で冷やしたくなってしまいます。しかし、冷やすと逆に毒がまわってしまって危険です。最悪の場合、気絶することもあります。
■咬まれた場所を口で吸わない
ヘビに咬まれた時のように毒を口で吸い出したくなりますが、ムカデの場合は毒を吸い出すと口の中に毒が回ってしまって危険です。吸い出しても毒が全部でてくれるわけでもありませんので、咬まれた場所を吸い出すのは止めましょう。
■毒吸引器を用意しておく
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ムカデに咬まれた時に備えて、毒吸引器・ポイズンリムーバーを用意しておくと安心です。片手で使用できるように設計されているので、自分一人しかいない場合にも使うことができます。使い方は簡単で、傷口に吸引口をつけてレバーを引くだけです。
ムカデに咬まれると体内に急速に毒が拡散してしまいますので、咬まれてから2分以内に使用するように心がけてください。1個あれば何回でも使用できます。
まとめ
病院で虫に刺されたというと、残念ながら軽視されがちです。ムカデの毒の怖さを知らない医師もいますので、病院に行っても何も処置してもらえないケースもあるのです。ムカデの毒は、スズメバチと同じ性質の毒なので、虫に詳しい医者でなかったら「スズメバチに刺された」と言ったほうが、きちんと応急処置をしてくれます。
内科医よりも皮膚科のほうが虫の毒に詳しい場合があります。しょっちゅうムカデが家の中で出るようであれば、あらかじめ虫毒アレルギーに詳しい医者がいる病院を探しておきましょう。