暖かい季節になると木の下に毛虫が落ちてきたり、庭木にビッシリと毛虫がついたりして困りますよね。チャドクガやアメリカシロヒトリなど、庭の樹木を荒らす毛虫の多くは蛾の幼虫です。春から秋に発生するので、冬以外は植物が毛虫にやられる危険性があります。
毛虫によっては毒針毛があり、特にサクラ、モミジ、カエデ、ツバキ、サザンカは毛虫がつきやすい植物です。キャベツや白菜など露地物の野菜にも毛虫がつきます。毒針毛は一度触ると傷みやかゆみが生じます。アレルギーを持っている人は症状が悪化してしまうので、毛虫の毒に注意しなくてはいけません。
見るだけで恐ろしい毛虫ですが、どのような殺虫スプレーや農薬で駆除すれば良いのでしょう。
ここでは、毛虫を安全に駆除できる方法をご紹介します。
毛虫の効果的な駆除方法6つ
毛虫の効果的な駆除方法|スプレーを使用 ■1 低い木は樹木用スプレーで簡単に駆除
樹木が建物の1階の高さ程度であれば、樹木用の殺虫スプレーで毛虫を駆除できます。遠くまで殺虫剤を飛ばせるスプレーは最長で6.5mから5m先まで狙えるので、ハシゴや高い場所に上るのが苦手な場合は「ジェット噴射」ができる殺虫スプレーを選ぶと良いでしょう。
ふさふさしてカラフルで見方によっては可愛い姿の毛虫ですが、多くの毛虫に毒針毛があります。手で触れてしまうと傷みやかゆみに襲われるので素手で触らないようにしましょう。毛虫の本体から抜けた毒針を触っても、殺虫剤で死んだ毛虫を触っても、かぶれたり傷くなるほど強烈な毒があります。
毛虫を見つけたら被害が広まらないうちに、すぐ殺虫スプレーで退治してください。毒針毛が自分のほうに飛んでこないように、風上からスプレーしましょう。
毛虫の効果的な駆除方法|農薬+噴霧器を使用 ■2 高い木は農薬と噴霧器で念入りに
スプレー式殺虫剤は5mから6.5m先までしか農薬を噴霧できませんが、噴霧器と1mの鉄砲ノズルを使えば、18m先まで農薬が届きます。
毛虫を見た時に、すぐに使えるスプレー式殺虫剤は手軽ですが値段的には割高になります。どのスプレーも1分から2分程度押し続けていると、中身が空になってしまいます。
高い木や、広い場所の樹木や植物は、薄めて使うタイプの農薬や殺虫剤を使ったほうが値段的にお得です。殺虫剤は虫を殺すことが目的で、農薬は農作物を安全に作ることが目的です。葉や実を口にする植物への殺虫剤の使用は、説明書をよく読んでから使用してください。
毛虫の効果的な駆除方法|大量発生している場合 ■3 枝ごと伐採すれば一瞬で駆除できる
チャドクガは毒針毛を持っていますが、イラガやカレハガ、タケノホソクロバの幼虫も毒を持っています。毒があるかどうか毛虫を見てもわからなかったら、素手で触らないなど、毒針毛を持っていると過程して扱うようにしてください。
毛虫は集団でまとまる習性があるので、スプレーしきれない場合は枝ごと伐採して毛虫を駆除しましょう。毒のある毛虫は死骸にも毒がありますので、捨てる時は子どもがいたずらしないようにしてください。
毛虫の効果的な駆除方法|葉っぱの裏側も要注意 ■4 スプレーは葉の裏にもしっかりと
毛虫用の農薬や殺虫剤をスプレーする時には、葉の表側だけでなく裏もスプレーするのを忘れないようにしましょう。チャドクガなど蛾は、卵や幼虫が鳥にたべられてしまわないように、葉の裏に卵を産み付けています。
チャドクガのように毒針毛のある毛虫は何種類かいますので、素手で葉をめくるのは大変に危険です。殺虫剤を下からスプレーしたり、農薬を撒く時に少ししゃがんでまいたりして、葉の裏までかかるように工夫してください。
毛虫の効果的な駆除方法|観葉植物におすすめ ■5 木に駆除剤を吸わせる
毛虫を見つけるたびにスプレーしていたのでは手間がかかるという場合は、農薬や殺虫剤を木や植物に吸わせて毛虫を駆除する方法があります。
例えば住友化学園芸の「オルトラン粒剤」は、種を撒く時や苗を植え付ける時に土の中にまいたり、株元に散布するタイプの殺虫剤です。その植物の葉や茎を食べた毛虫が死ぬので、観葉植物であれば手入れが簡単になるので便利な殺虫剤です。
注意しなくてはいけないのが、野菜など食べる植物にオルトランを与える場合です。それぞれの作物によって使用回数が決められていますので、説明書をよく読んでから使用してください。
毛虫の効果的な駆除方法|最も効果的な方法はコレ ■6 業者に駆除を依頼する
アレルギー体質の人や、花粉症やアトピーの人の場合、ケムシの毒に反応して悪化する場合があります。特にチャドクガの毒に反応してひどくなるケースが多いので、自分の体質では対処しきれないと思ったら害虫駆除業者に毛虫退治を依頼しましょう。
一度毛虫に刺されたことのある人は、再び刺されると「アナフィラキシーショック」を起こす場合があります。これは一瞬で全身に強いアレルギー反応が出るもので、ひどい場合は命の危険性も考えられます。
植木屋や害虫駆除のプロに毛虫の駆除を依頼すると、木が1本につき1万円から2万円になります。自分では届かない高い木や、チャドクガの多い年は業者に毛虫の駆除を頼むのも1つの方法ですね。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤10選
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤①チャドクガにも効く ■KINCHO チャドクガ防除剤
KINCHO/キンチョー
チャドクガ毒針毛固着剤 180ml
KINCHOの「チャドクガ防除剤」は、チャドクガから20センチから30センチ程度離れた場所から、2秒から10秒ほどスプレーします。すると薬剤にチャドクガの毒針が固定されて動けなくなり、次第に死んでいきます。
長時間スプレーのボタンを指で押しているのが辛い場合は、別売りのレバーもあります。
死んだ後は枝ごと切り落として、袋に入れて捨ててください。ゴミ捨て後、誰かが触らないようにビニールに注意書きをしておくと親切です。
チャドクガは日本にいる代表的な毒のある毛虫です。毒のある細い毛を持っており、これに触ると飛び上がるような傷みとかゆみで眠れなくなります。毛虫だけでなく、繭や成虫も毒毛を持っているので、見つけても絶対に触ってはいけません。直接触らずに、枝をゆすってチャドクガの毛虫を落とそうとすると、毒毛だけが振ってきて手や腕に刺さってしまいます。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤②農家も使う農薬 ■アグロカネショウ デミリン水和剤
アグロカネショウ
デミリン水和剤
アグロカネショウの「デミリン水和剤」は、昆虫の成長をストップさせる農薬です。農家が果物やお茶、リンドウ、ツバキ、松といった植物を育てる時に、毛虫用殺虫剤として使っています。
毛虫が卵の時に「デミリン水和剤」がかかると、孵化できずに死んでしまいますし、幼虫の時に薬剤がかかると脱皮できなかったりサナギになれなかったりします。サナギの時にかかると羽化できません。
桑にかかると、その桑の葉を食べる蚕が死んでしまいますので注意してください。また、魚やエビ、カニなどに影響を及ぼす農薬なので、水槽や池の側での使用は控えましょう。
農薬なので、植物の害虫駆除が目的です。家の外壁や窓枠などには使用できませんので注意してください。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤③ガーデニング対策にも ■フマキラー カダンAケムシジェットタイプ
フマキラー
カダンAケムシジェットタイプ450ml
フマキラーの「カダンAケムシジェットタイプ」はジェットノズルがついて、遠くまでスプレーが飛んで高い場所や遠い場所の毛虫に殺虫剤をかけることができます。6.5m先まで届くので、高い樹木や遠くのヤブの中までスプレー可能です。
園芸用のスプレーというと、周辺に薬液が舞い散ってしまって肝心の樹木や害虫に届かないイメージがありますが、「カダンAケムシジェットタイプ」は中の殺虫剤が舞い散らないよう工夫がされており、無駄なく毛虫に薬液がついて退治することができます。
昆虫の神経を麻痺させるアレスリンが入っており、チャドクガやアメリカシロヒトリといった毛虫や、ツツジグンバイやアブラムシにも効果があります。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤④簡単操作で長時間使える ■アース製薬 ケムシコロリジェット
アース製薬
ケムシコロリジェット 450mL
高い場所にいる毛虫も、強力な5mの噴射力でしっかり殺虫できるのが、アース製薬の「ケムシコロリジェット」です。噴射レバーが引き金の形をしているので、長い時間スプレーを噴射していても指が疲れません。
チャドクガやキドクガ、モンシロドクガ、イラガ、マツカレハといった毒針毛を持つ毛虫や、毒は無いけれども柔らかい葉や花を食べてしまうマイマイガやオビカレハの幼虫、、サクラやリンゴの葉を食べてしまうアメリカシロヒトリなど、あらゆる毛虫に効き目があります。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤⑤乳剤タイプ1 ■三井化学アグロ株式会社 トレボン乳剤(農薬)
三井化学アグロ
殺虫剤 トレボン乳剤 100ml
キャベツや白菜、キュウリやお茶、ツツジなどの樹木といった多くの植物につく毛虫や害虫に効く農薬です。農薬として使用できる殺虫剤の定番なので、家庭菜園につく毛虫に困ったら「トレボン乳剤」から試してみましょう。
水で1000倍から4000倍に薄めて使用しますが、何倍に薄めるかは植物によって違います。説明書をよく読んでから希釈してください。
農薬トレボンシリーズは現在12種類販売されています。殺虫と殺菌が一度にできるタイプの農薬や、空中散布用の農薬、田んぼ用の農薬、除草剤など、用途にあわせて幅広いラインナップがあります。
その中で一般家庭用に毛虫駆除用として使用できるのが、「トレボン乳剤」「トレボン乳剤EW」「トレボンMC」です。
「トレボン乳剤EW」は液体の農薬で、2000倍に水で薄めてジョウロや噴霧器で植物に散布します。サクラに付くアメリカシロヒトリや、ツバキにつくチャドクガ、キャベツにつくアオムシに困っていたら、「トレボン乳剤EW」を選んでください。
「トレボンMC」は液体の農薬で、2000倍に薄めてジョウロや噴霧器で植物にまいてください。小さなマイクロカプセルになった殺虫剤なので、効き目が長持ちします。
「トレボンMC」は稲や大豆、キュウリ、ナスにつくアブラムシや蛾のための殺虫剤ですが、ツツジやイヌマキに付く毛虫も駆除できます。アオムシやヨトウムシといった毛虫に困っている場合は「トレボンMC」を使用してください。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤⑥見つけたその場で簡単駆除 ■フマキラー ケムシカダンHS
フマキラー
ケムシカダン HS 1000ML
フマキラーの「ケムシカダンHS」は、毛虫を見つけたらその場でスプレーできる殺虫剤です。薄めるタイプの農薬は、作業するたびに殺虫剤を水で薄めて作らなくてはいけませんが、スプレー式なら手軽に使用できますよね。
5m先にも届くジェット噴射と、近い場所に幅広くスプレーできる接近噴射の2通りの使い方が可能です。たっぷり1リットルの容量があるので、まとまって枝についている毛虫全体をスプレーできますよ。
あらゆる毛虫類と、アブラムシ、ハダニにも効きます。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤⑦花のつく木にはコレ ■ベニカ ケムシエアゾール
住友化学園芸
ベニカケムシエアゾール 450ml
マサキ、ツツジ、クチナシ、サンゴジュ、サリスベリの樹木についた毛虫に困っていませんか?
花がつく木や庭の木についた毛虫退治の定番スプレーが、ベニカの「ケムシエアゾール」です。
毛虫をすぐに死滅させる速効性と、殺虫剤がついた場所を毛虫が通ることで死ぬ残存性があるスプレーなので、1本あると2通りに使えます。
チャドクガやアメリカシロヒトリの他、毛虫類全般に効果があるほか、アブラムシも退治できます。毛虫から30センチ以上離れた場所から、数回に渡って断続的にスプレーしてください。1カ所に連続噴射してしまうと、植物が薬負けして枯れてしまう場合があるので注意しましょう。1缶で約1分50秒噴射できるので、木が多い場合は何本か購入してください。
「ケムシエアゾール」は農薬ではなく殺虫剤なので、野菜や果物、ハーブなど食べ物には向いていませんので注意してください。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤⑧乳剤タイプ2 ■住友化学園芸 スミチオン乳剤
住友化学園芸
スミチオン乳剤 100ml
住友化学園芸の「スミチオン乳剤」は三井化学アグロ株式会社の「トレボン乳剤」と並んで農薬の定番です。発売以来40年の歴史を持つ、農薬のロングセラーです。
中身は液体になっているので、水で1,000倍から4,000倍に薄めてケムシの出る植物に散布します。何倍に薄めて使うかは散布する植物によって違ってきますので、説明書をよく読んで薄めましょう。原液が手にかからないように、使用する時には手袋やマスク、ゴーグルをつけるようにしてください。
ケムシの他にもアブラムシやカメムシ、ウンカなど、害虫に広く効果があります。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤⑨ガーデニングをする人におすすめ ■住友化学園芸 ベニカXスプレー
住友化学園芸
ベニカXスプレー 1000ml
ガーデニングで使う殺虫スプレーの定番が、住友化学園芸の「ベニカXスプレー」です。名前は覚えていなくても、赤いスプレーボトルで覚えている園芸好きの方も多いのではないでしょうか。
ケムシやアブラムシ、アリ、カメムシを殺虫するほか、うどんこ病やさび病といった病気にも効果がある万能タイプのスプレーです。
成分は「ペルメトリン」と「ミクロブタニル」で、「ペルメトリン」はケムシの神経を破壊して動けなくすることで死滅させる殺虫剤です。大変ケムシに効果がありますが、ネコと魚への影響が見られるため、ネコや熱帯魚、エビ、カニ、鯉などを買っている場合は気をつけましょう。
「ミクロブタニル」は「ラリー」とも呼ばれている殺菌剤で、ケムシではなく「うどんこ病」や「さび病」といった菌による病気を予防するものです。
毛虫駆除のおすすめ殺虫剤⑩庭木を守る ■日本曹達・エムシー緑化 カルホス粉剤
エムシー緑化
野菜用殺虫剤 カルホス粉剤
土の中に潜って植物を食いちぎる「ネキリムシ」に困っていたら、日本曹達の「カルホス粉剤」を土にまいてみましょう。ネキリムシにはカブラヤガ、タマナヤガ、オオカブラヤガ、センモンヤガ日本にいますが、4種類全てに殺虫効果があります。
ネキリムシは昼間は土の中に潜っていて、夜になると出てきて根本近くを食いちぎる蛾の幼虫です。元気だった植物が、朝起きたら食いちぎられて折れていたらネキリムシの可能性が高いです。
ネキリムシの他に、土の中に潜って暮らしているコガネムシやドウガネブイブイの幼虫にも効果があります。
簡単・安全な毛虫駆除方法のまとめ
毛虫の駆除は、遠くまで殺虫剤が発射できる「ジェット噴射スプレー」と、野菜や果物への影響を考えた「農薬」で撃退できます。
スプレータイプの殺虫剤は毛虫を見つけた時に即座に吹きかけられるので、1本あると便利です。
農薬タイプの殺虫剤は水で数千倍に薄めて使うので、金額的に安く済みます。噴霧器が無くてもジョウロがあれば農薬を水で薄められますが、ジョウロは遠くの枝や高い枝には届きません。農薬用の噴霧器やノズルもインターネット通販で安く買えるようになったので、毎年毛虫に悩まされている家庭は1台用意しておきましょう。