"うちの家はシロアリと関係ない! "と思っていませんか? でも、シロアリは決して他人事ではありません。シロアリは人間の目に触れない場所に巣を作ったり、住宅の木を食べています。最悪の場合はシロアリのせいで住宅が傾いたり、数百万という莫大な修繕費用がかかることもあるでしょう。
また、シロアリには様々な種類がおり、日本で確認されているシロアリは22種類です。中でも、住宅に被害を与えるシロアリは6種類ほどいます。そして、シロアリについてよく知らない方は、"シロアリは白い"と思っているかもしれません。実は、種類によって色や特徴等も違います。
では早速、『6種類のシロアリの特徴と見分け方』等を見ていきましょう。
シロアリとは?
シロアリは名前の中にアリが付いていることから、アリの仲間と思っている方も多いでしょう。でも、アリとシロアリは別物で生態等も異なり、シロアリはゴキブリの仲間になります。シロアリは木を食べる昆虫で、住宅に巣を作ったり住宅の木材を食べます。
シロアリは床下等の木材を食べるため、人がシロアリを見ることは滅多にありません。そのため、気が付いたら床下にシロアリの巣があり、住宅の木材がボロボロになっていた事例も多く報告されています。
■シロアリは階級のある社会性昆虫
シロアリ界には女王と王がトップに君臨しており、働きアリ・兵アリ・羽アリ等で成り立っている世界です。女王アリは繁殖するために存在しています。シロアリの幼虫は成虫になると多くは働きアリになるのが通常です。
一方、シロアリによっては、頭部にハサミのようなものが付いた兵アリになることもあります。羽アリは飛び立ち着地すると羽を捨て、メスとオスのカップルを筆頭に新しい巣を作るのが特徴です。
①ヤマトシロアリ
【特徴と見分け方】
ヤマトシロアリは水分を含んでいる木材や、腐りかけの木材が大好きです。森林にいる場合は腐った木にいますが、住宅の場合は床下や土台で見かけます。特に、ヤマトシロアリはシロアリ被害の中でも最も多い種類です。
また、ヤマトシロアリは同じ場所に居座り続ける種類のシロアリではありません。ヤマトシロアリにとって木材はエサを食べる場所でありながら、巣を作り生活をする場所でもあります。エサを十分に食べることができなくなると移動をして、新たにエサ場を探して巣を作る種類のシロアリです。巣の中には2万~3万匹が生息しています。
シロアリには様々な種類がおり、働きアリだけを見てヤマトシロアリと見分けるのかなり難しいです。そのため、羽アリや兵アリを見て判断することが多く、兵アリは頭に特徴があります。兵アリの頭は長方形の形をしており、頭の先には黒いハサミのようなものが付いているのがポイントです。
【大きさ】
・女王アリ:約1.5cm
・羽アリ:約4.5mm~7.5mm
・兵アリ:約3.5mm~6mm
・働きアリ:約4mm~6mm
【分布】
九州以北等、北海道の一部地域を除いた場所に生息しています。シロアリには何種類かいますが、ほぼ日本各地に生息しているのがヤマトシロアリで、生息数も一番多いです。
【羽アリかどうか】
ヤマトシロアリは羽アリで、春~梅雨(4月~6月)で天気が良く気温が高い昼間に飛び立ちます。
【色】
・働きアリ:全身白色
・兵アリ:身体は白く頭部は茶色と黒色
・羽アリ:身体のほとんどは黒色をしていますが足先は黄色
②イエシロアリ
【特徴と見分け方】
イエシロアリも住宅に被害をもたらす種類のシロアリです。特に、新しい木を好む種類のシロアリで食欲は凄まじく、住宅に大きな被害を与えることがあります。最悪の場合は住宅が傾いたり崩壊することもあるほどです。住宅に巣を作るととことん食い尽くす種類のシロアリで、天井裏・床・土の中に巣を作ります。
イエシロアリは同じ場所にとどまる種類のシロアリで、地下から住宅内に侵入し、かなり太いアリ道を作るのも特徴です。シロアリは何種類もいますが、中でもイエシロアリの性格は凶暴で攻撃性があります。また、巣には100万匹のイエシロアリがおり、他の種類のシロアリが侵入してきたらエサ場と巣を守るために攻撃します。
イエシロアリを見分ける時も、羽アリや兵アリを見ないとわかりません。兵アリの頭部はコロンとしており卵の形に似ています。ヤマトシロアリと同じく、頭部の先には黒いハサミのようなものが付いているのが特徴です。
【大きさ】
・女王アリ:約4cm
・羽アリ:約6.5mm~8.5mm
・兵アリ:約3.8mm~6.5mm
・働きアリ:約5mm~8mm
【分布】
イエシロアリも九州以北等の場所におり、四国・九州・沖縄に生息しています。特に、温暖な気候の土地にいる種類のシロアリです。
【羽アリかどうか】
イエシロアリは羽アリで、梅雨~初夏(6月~7月)の夜に飛び立ちます。
【色】
・働きアリ:全身白色か黄土色がかった白色
・兵アリ:身体は茶色がかった白色で頭部は茶褐色
・羽アリ:全体的に茶褐色
③アメリカカンザイシロアリ
【特徴と見分け方】
アメリカカンザイシロアリも、住宅にいたら見逃すことができない種類のシロアリです。好物は乾いた木ですが、腐りかけの木や湿った木も食べるため、木であれば何でも食べる種類のシロアリと言えます。ヤマトシロアリやイエシロアリのように特定の木を好んで食べるシロアリではない分、住宅にある様々な木を食べることから脅威的な存在と言えるでしょう。
シロアリは床下や地下から侵入して住宅に被害を与える種類が多いですが、アメリカカンザイシロアリは別です。木があればどこでもかじるため、侵入経路も特定できません。ただ、巣内には2千~3千しかおらず、他のシロアリの種類に比べると少ない方です。
アメリカカンザイシロアリは、元々アメリカに生息している種類のシロアリになります。日本で初めて発見されたのは1976年で、家具にアメリカカンザイシロアリがついた状態で日本に輸入されたのがきっかけで、広まっていきました。
見分け方は羽アリや兵アリを見て確認する以外に、糞で見分けることも可能です。アメリカカンザイシロアリの糞は1cmもない小さな糞で、盛り塩のようになっています。形状は俵のようで真ん中に縦筋が入っており、糞はパラパラ状態です。糞はとても硬く爪や指で押してもなかなか潰れません。
【大きさ】
・女王アリ:約1cm
・羽アリ:約7mm
・兵アリ:約1cm
・働きアリ:5mm~8mm
【分布】
九州以北等に生息していますが、ヤマトシロアリやイエシロアリよりも生息数は少なく、確認されている場所もそう多くはないです。東京や神奈川・大阪・鹿児島等、24ヵ所で確認されており、今後は生息地が増えていく可能性があります。
【羽アリかどうか】
アメリカカンザイシロアリは羽アリで、夏~秋(7月~9月)の昼間に飛び立ちます。
【色】
・働きアリ:全身白色
・兵アリ:身体は茶褐色で頭部は濃い茶褐色
・羽アリ:全体的に褐色ですが羽は光沢感があり黒色。場合によってはレインボーカラーに見えることもある。
④ダイコクシロアリ
【特徴と見分け方】
ダイコクシロアリも、アメリカカンザイシロアリの特徴とほとんど同じ種類のシロアリです。ダイコクシロアリは乾燥した木を好む種類のシロアリで、乾燥している場所でも生きていけます。ダイコクシロアリの侵入経路も土の中や床下とは限らず、木があればかじって住宅内に侵入するのが特徴です。
また、木製の家具等にダイコクシロアリがくっついている状態で運ばれてきたり、梱包材に紛れて住宅内に侵入することもあります。他の種類のシロアリのようにアリ道を作らないため、住宅の木がダイコクシロアリに食べられていても気付きにくく厄介です。ですが、巣は小さくダイコクシロアリの数はそこまで多くありません。
とは言っても、ダイコクシロアリが住宅に住み着くと被害に見舞われるため大変です。シロアリに強い家もありますが、ダイコクシロアリは木であれば何でも食べるため、被害に遭う可能性はゼロとは言い切れません。
見分け方もアメリカカンザイシロアリと同じく、糞を見て判断するとわかりやすいです。ダイコクシロアリの糞は砂状で、サラサラしています。
【大きさ】
・女王アリ:約1cm
・羽アリ:約5mm~7mm
・兵アリ:約4mm~5mm
・働きアリ:約5mm~7mm
【分布】
ダイコクシロアリは九州以北等に生息している種類のシロアリです。沖縄や小笠原諸島でも確認されています。
【羽アリかどうか】
ダイコクシロアリは羽アリで、春~夏(5月~8月)の夜に飛び立ちます。
【色】
・働きアリ:全体白色か黄白色
・兵アリ:身体は白色か黄白色で頭部は濃い茶褐色
・羽アリ:全体的に黄褐色で羽の色は無色か半透明
⑤ニシインドカンザイシロアリ
【特徴と見分け方】
アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリと同じく、乾燥した木を好む種類のシロアリがニシインドカンザイシロアリです。元々はアメリカのフロリダに生息しているシロアリですが、木製の家具等にくっついてきたことにより日本に侵入してきたと言われています。
ニシインドカンザイシロアリで被害で最も多いのが屋根材で、初期の段階で見つけるのはとても難しいです。乾燥した木を好んで食べるため糞に特徴があります。アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリと同じように、乾燥した糞をするのが特徴です。見分ける時は糞を見るとわかりやすいです。
【大きさ】
ニシインドカンザイシロアリは他の種類のシロアリと違い、日本の一部でしか確認されていません。詳しい大きさはよくわかりませんが、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリの特徴に似ていることから、約4mm~1㎝程度ではないか? と思われます。
【分布】
ニシインドカンザイシロアリは暖かい気候を好む種類のシロアリです。九州以北等の場所で確認されており、東京や沖縄に生息しています。今後は地球温暖化により、日本各地に広がっていく可能性が高い種類のシロアリと言えるでしょう。
【羽アリかどうか】
ニシインドカンザイシロアリは、春~梅雨(5月~6月)に飛び立ちます。
【色】
・働きアリ:全身白色
・兵アリ:身体は白色で頭部とハサミのような部分は黄褐色
・羽アリ:身体は茶褐色で羽は透明
⑥ハワイシロアリ
【特徴と見分け方】
ハワイシロアリは中南米に生息しているシロアリの種類で、木製の輸入家具にくっついている状態で日本へ侵入して来ました。ハワイシロアリも乾燥した木を好み、カンザイシロアリと言われている種類のシロアリです。原則、乾燥した木をよく食べますが、湿った木や腐りかけの木も食べます。
住宅に住み着くとあらゆる木材を食べてしまう種類のシロアリで、初期段階で見つけるのはかなり難しいです。そのため、気が付いたら被害が拡大していたこともあります。ハワイシロアリは乾燥に強い種類のシロアリです。
木に含まれているわずかな水分を体内に取り込みながら生きており、糞は水分をほとんど含んでいません。糞は砂状でパラパラしたお米のようです。見分ける時は、兵アリ・羽アリ・糞等を見て判断することができます。
【大きさ】
ニシインドカンザイシロアリと同じく、ハワイシロアリの詳しい大きさは不明です。ですが、ハワイシロアリは、カンザイシロアリと呼ばれているアメリカカンザイシロアリ等と同じ仲間に属しており、約4mm~1㎝程度と推測します。
【分布】
硫黄島に定着している種類のシロアリですが、九州以北等の場所にも生息しています。
【羽アリかどうか】
ハワイシロアリは羽アリで、春~梅雨(5月~6月)に飛び立ちます。
【色】
・働きアリ:全身白色
・兵アリ:黄褐色
・羽アリ:身体は黄褐色で羽は透明
シロアリと黒アリの見分け方
シロアリは黒アリの仲間だと思っている方もいるでしょう。確かに、見た目が似ていたり階級のある社会性昆虫という点も同じです。ですが、シロアリと黒アリは同じ種類の仲間ではありません。シロアリはゴキブリの仲間で黒アリはハチの仲間です。しかも、シロアリは黒アリをエサにするため、黒アリにとってシロアリは天敵になります。
■4つのことを確認すれば見分けることができる
シロアリと黒アリには羽があり、とても似ています。では、どこを見ればシロアリと黒アリの違いがわかるのでしょうか?
【羽】
シロアリの羽は前後共、同じ大きさの羽が付いています。一方、黒アリは前の羽だけ大きいです。羽の形もシロアリと黒アリでは見た目が違います。シロアリの羽の形は丸みがありますが、黒アリの羽の先端部分は少し鋭角です。
【身体】
シロアリの身体は寸胴体型ですが、黒アリはお腹にクビレがあります。
【触覚】
シロアリにも黒アリにも触覚がありますが、よく見ると触覚に違いがあることもわかるでしょう。シロアリの触覚は直線的で、小さな数珠がいくつも連なっているように見えます。黒アリはくの字に曲がっており、数珠のようなものは付いていません。
【発生する時期】
シロアリは春~秋(4月~9月)に発生しますが、黒アリは梅雨~冬(6月~11月)に発生するのが特徴です。
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まとめ
シロアリは本来、土を改良してくれる益虫ですが住宅に住み着くと被害をもたらします。シロアリには様々な種類がおり、特にヤマトシロアリによる住宅被害が多いです。今回はシロアリを6種類ご紹介しましたが、床下や住宅が建っている土の中に巣を作る種類もいれば、木であれば何でも食べる種類もいます。シロアリはとても小さく、実際に目撃する機会はほとんどありません。
シロアリ駆除は早期発見が重要です。不安な方や住宅に異変を感じる方は、業者に依頼してシロアリ点検をしてもらいましょう。