風邪予防、飛沫予防、花粉症対策などに欠かせないマスクは様々な種類があります。中でも、洗って繰り返し使うことができる布マスクは、経済的でコスパもいいため人気がある種類です。そこで布マスクを愛用している皆さんへ、洗い方について質問があります。
使用済みの布マスクは洗濯機で洗っていますか?それとも、手洗いをしていますか?一般的に布マスクは綿素材が多いため、洗濯機で衣類と一緒に洗っている人もいるでしょう。しかし、布マスクの洗い方は手洗いが向いており、洗濯機の使用は避けることをおすすめします。
今回は、布マスクを手洗いするやり方、洗濯機による洗い方をおすすめしない理由、洗い方の注意点などを見ていきましょう。
まずはお家で洗える布マスクかチェック
”布マスクは全て家で洗うことができる”と思っていませんか?布マスクによっては抗菌タイプなど機能性に優れているものもあり、洗い方には注意が必要です。布マスクを家で洗う時は、洗濯がOKなタイプなのかNGなタイプなのかを確認しましょう。
【洗濯することができる布マスクの特徴】
・布マスクの商品パッケージに家庭で洗えると書いてある
・綿素材でできている布マスク
家で洗うことができる布マスクは、洗濯することを想定して作られています。布マスクの洗い方に気を付けると、型崩れや耳にかけるゴムの伸びなどをおさえることができます。
【洗濯することができない布マスクの特徴】
・布マスクの商品パッケージに家庭で洗えると書いていない
・不織布のマスク
・家庭向けのマスクではない(医療用マスクや産業用マスクなど)
家で洗うことができない布マスクは、使い捨てタイプで洗濯することができません。洗濯をするとマスクとしての機能性が落ちたり、型崩れすることもあります。
布マスクは洗濯機ではなく手洗いがおすすめ
布マスクの洗い方は2通りで洗濯機もしくは手洗いがあります。できるだけ簡単に布マスクを洗いたい場合は、”洗濯機を使う”と答える人は多いでしょう。しかし、布マスクは手洗いが良くおすすめする理由は2つあります。
1.)衣類や他のマスクなどにウィルスを移さないため
使用済みの布マスクには、様々なウィルスが付着していることはご存知でしょう。洗濯機で使用済みの布マスクと衣類などをまとめて洗うと、衣類などにウィルスが移る可能性があります。
手洗いによる洗い方は手間や時間がかかりますが、ウィルスを拡大させないために洗濯機の使用は避けましょう。
2.)型崩れや耳にかけるゴムの伸びを防ぐため
布マスクを手洗いで洗うと、型崩れや耳にかけるゴムの伸びを軽減することもできます。洗濯機で布マスクを洗うと簡単ですが、洗濯中の衝撃や脱水が負担となりダメージを受けやすいです。できるだけ長く愛用するためにも手洗いをしましょう。
布マスクの洗い方5ステップ
”布マスクの洗い方が曖昧”、”自分の感覚で布マスクを洗っている”など、正しい洗い方がわからない人はいませんか?
布マスクの正しい洗い方は厚生労働省が発表しており、詳しい手順をまとめました。また、布マスクの洗い方の最後に、厚生労働省による洗い方動画もあるため併せてご覧ください。
■①桶に水と衣類用中性洗剤を入れる(食器用洗剤はNG・軽い汚れはハイターを使わない)
出所:厚生労働省/経済産業省「布製マスクの洗い方動画」
大きめの桶に水と衣類用の中性洗剤を入れます。衣類用中性洗剤の使用量はパッケージに記載の内容を確認しましょう。目安は『水2Lに対して衣類用の中性洗剤は0.7g』です。『小さなスプーンで約1/2くらい』になります。
布マスクは衣類用の中性洗剤による洗い方が基本です。中性洗剤には食器用もありますが必ず衣類用を使いましょう。
なお、布マスクの汚れが酷くない限り、ハイター(塩素系漂白剤)を使う必要はありません。衣類用の中性洗剤だけでも、布マスクに付着している汚れやウィルスを落とすことができます。
■②水で溶かした洗剤液に布マスクを入れて10分待つ
出所:厚生労働省/経済産業省「布製マスクの洗い方動画」
桶に水と衣類用の中性洗剤を入れたら、洗剤の計量時に使ったスプーンなどでよく混ぜます。次に、溶かした洗剤の中へ布マスクを入れて10分待ちましょう。10分待ってから布マスクを洗うと汚れが落ちやすくなります。
■③布マスクを軽く押し洗いしてから洗剤液を捨てる
出所:厚生労働省/経済産業省「布製マスクの洗い方動画」
10分経ったら布マスクを軽く押し洗いして汚れを落としていきましょう。軽く押し洗いするのがポイントで揉み洗いはしてはいけません。揉み洗いは布マスクに負担をかける洗い方で、繊維が傷む可能性があります。
布マスクを軽く押し洗いした後、桶に入っている洗剤液を捨てましょう。勢いよく洗剤液を捨てると周囲に洗剤が飛び散ることがあるため、ゆっくり流して捨てます。
■④布マスクをよくすすぐ
出所:厚生労働省/経済産業省「布製マスクの洗い方動画」
布マスクの洗剤をすすぐために桶の中へ水をためましょう。布マスクをすすぐ際はマスクの端を持ちながら水の中へ入れます。次に、しゃぶしゃぶをする時のように手を動かして、水が布マスク全体に触れるようにしながらすすいでください。
■⑤布マスクをタオルで水切りして陰干しで乾かす
出所:厚生労働省/経済産業省「布製マスクの洗い方動画」
布マスクの洗剤をしっかりすすいだら清潔なタオルに包み、手でタオルを叩きながら水を切ります。布マスクの水気がなくなったら自然乾燥で乾かしましょう。
マスクの形を整えたら角ハンガーなどの洗濯ばさみにとめて、陰干しで乾かしていきます。洗濯後の布マスクを乾燥機で乾かすと、型崩れや縮みの原因になるため避けてください。
汚れが気になる場合は漂白剤を使おう
人によっては布マスクの汚れが気になることもあるでしょう。特に女性は化粧の上から布マスクをすると、口紅やファンデーションなどの汚れが気になる方も少なくありません。布マスクの汚れが酷い時はハイターなどの塩素系漂白剤で洗います。
【塩素系漂白剤による洗い方】
1.)大きめの桶に水と塩素系漂白剤を入れましょう。目安は『水1Lに対して塩素系漂白剤は約15ml』です。台所用の手袋をしてから、桶の中へ布マスクを入れて10分浸します。
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2.)10分後、桶の液体をゆっくり流して捨てましょう。塩素系漂白剤は周囲に飛び散ると変色する恐れがあるため、ゆっくり流します。
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3.)空になった桶にたっぷり水をためて布マスクをよくすすぎましょう。布マスクの端を持ちながら水の中へ入れて、マスクを振りながらすすぐのがポイントです。また、すすぎは2回行うため桶の水を新しい水に取り替えてすすぎます。
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4.)すすいだ布マスクを清潔なタオルで挟み、タオルの上から手で叩いて水気をとりましょう。水気をとった布マスクは形を整えてから、角ハンガーなどの洗濯ばさみでとめて日陰で乾かします。布マスクの型崩れや縮みを防ぐため、乾燥機に入れて乾かすのはNGです。
布マスクを手洗いするときの注意点3個
間違った洗い方で布マスクを手洗いすると、汚れの落ち具合などに影響があります。『正しい洗い方をしない=様々なトラブルを招く原因』になるため、3つの注意点を守りながら布マスクを洗濯しましょう。
■①色物の布マスクは塩素系漂白剤の使用を避ける
色つきや柄物の布マスクは、ハイターなどの塩素系漂白剤を使ってはいけません。塩素系漂白剤は漂白力が強く、白色以外の布マスクに使うことができません。色つきや柄物の布マスクに使うと脱色したり変色します。
色つきや柄物の布マスクの汚れが酷い時は、酸素系漂白剤を用いた洗い方をしましょう。酸素系漂白剤は色や柄物にも使うことができる漂白剤で、口紅やファンデーションなどの化粧品も落とすことができます。
【酸素系漂白による洗い方】
1.)大きめの桶に水と酸素系漂白剤を入れて溶かしてから、布マスクを30分浸しましょう。使用量はパッケージを確認してください。目安は『水1Lに対して酸素系漂白剤の粉末は5g、液体は10ml~20ml』です。
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2.)時間が経ったら、マスクを取り出して桶の中の液体をゆっくり流しながら捨てましょう。次に、桶の中へ水を入れて、布マスクの端を持って水中で振りながらすすぎます。すすぎは2回行うため、桶の水を新しい水に取り替えてしっかりすすいでください。
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3.)すすいだ布マスクを清潔なタオルで挟み、手で叩きながら水気をとります。最後に、布マスクの形を整えてから洗濯ばさみでとめて、日陰で乾かしましょう。
■②柔軟剤の使用は避ける
柔軟剤で布マスクをふんわり仕上げたり、香りをつけしたい人もいるのではないでしょうか?しかし、布マスクは3つの理由で柔軟剤を使うことができません。
1.)型崩れしやすい
布マスクに柔軟剤を使うと素材が柔らかくなり、形状を維持しにくいため型崩れしやすいです。
2.)機能性の低下・素材の質感に影響を与える
布マスクに柔軟剤を使い続けていると、機能性の問題が発生するためよくありません。柔軟剤は陽イオン系の界面活性剤や安定化剤などの働きにより、滑らかな感触やふんわり仕上げることができます。一見するとメリットばかりあるように見えますが、マイナス面もあるのが柔軟剤です。
柔軟剤を繰り返し使うと布マスクに成分が残りやすくなります。問題は成分が残ったまま再び柔軟剤を使うことで、水分の吸収力が悪くなったり、布マスクの肌触りや風合いが悪くなります。
3.)肌トラブルが起こる場合もある
人によっては柔軟剤の成分が刺激になるでしょう。布マスクに残っている柔軟剤の成分が肌を刺激するため、アレルギー体質の人、肌が弱い人、小さなお子さんは特に注意が必要です。顔や口の周りなどに肌トラブルが発生する可能性があります。
■③衣類用の中性洗剤と漂白剤・性質が違う漂白剤同士を混ぜない
布マスクを洗濯する際は、衣類用の中性洗剤のみ、もしくは塩素系や酸素系漂白剤だけで洗濯をしましょう。洗剤や漂白剤を単体で使う理由は2つあります。
1.)洗浄力や漂白力が落ちる
衣類用の中性洗剤と漂白剤を混ぜる洗い方は洗浄力を落とす原因です。性質が違うもの同士を混ぜて洗うとそれぞれが持つ特性がぶつかり合い、十分な効果を発揮することができません。洗剤や漂白剤は別々で使った方が洗浄力や漂白力が発揮されるため、布マスクの汚れはよく落ちます。
2.)塩素系漂白剤に酸素系漂白剤を混ぜるとガスが発生する
塩素系漂白剤と酸素系漂白剤を一緒に混ぜる洗い方は、有毒ガスが発生して危険です。特に塩素系漂白剤の取り扱いは注意が必要で、絶対に酸素系のものと混ぜてはいけません。
塩素系漂白剤が危険な理由は、次亜塩素酸ナトリウムが含まれているからです。次亜塩素酸ナトリウムは温度や光などで分解する性質で、分解を防ぎ安定させるためにアルカリ性にする必要があります。
もともと分解しやすい次亜塩素酸ナトリウムに、酸素系漂白剤を混ぜるのはアルカリ性のバランスをを崩す原因です。バランスを崩したアルカリ性は、一気に分解が始まり有毒ガスが発生します。
まとめ
布マスクを使っている人は、手洗いでウィルスや汚れを落とし型崩れを防ぎましょう。布マスクを手洗いすると手間はかかりますが、厚生労働省も推奨している洗い方です。長く愛用するためにも正しい洗い方で清潔にしましょう。