キクイムシは日本に300種類以上生息しています。中でも、家・家具に被害を与えるのは主に「ヒラタキクイムシ」という種類です。
今回はこのキクイムシの生態、駆除方法、予防方法を紹介していきます。
キクイムシの特徴・生態
キクイムシとは、甲虫目キクイムシ科に属するすべての虫の呼び名です。茶褐色で小さい虫で、木材が好物。壁・床や家具を食い荒らしてしまいます。本来は暖かい時期に活動する虫ですが、昨今では暖房により冬に活動するケースも出てきました。
日本各地で発見される越冬する虫で、卵を産むペースが非常に速いです。1匹見つけた時には、産卵が終わったり、幼虫がいる可能性が高いのも恐ろしいところです。
本来は森林に住む虫ですが、家に使う木材や、購入した家具について侵入してきます。
■キクイムシの発生しやすい場所・家具
キクイムシが家の中で好む場所は、柱・壁・床・屋根裏の木材の中。木製家具の中に潜んでいることもあれば、日中は日光を避け、木材の裂け目や穴に身を潜めていることもあります。
なぜなら、キクイムシの好物は、でんぷん質が多い木材。ナラ・ケヤキ・竹・ラワン材などの広葉樹を好んで食べることが多いです。カシ・キリ・もみじが食べられることもあります。一方、針葉樹にはキクイムシが産卵するための道管がないため、被害を受けずに済みます。
キクイムシがどこからやってくるかというと、家具を購入した時です。家具を作る前・店で保管している最中に、産卵されていることがよくあります。
日本各地に様々な種類のキクイムシが発生しているため、防虫処理をほどこしていない木材には、種類を問わず混入しているリスクがあると言えるでしょう。
■キクイムシの発生しやすい時期
キクイムシの成虫が出てくる時期は4~8月です。特によく発見されるのは5~6月。
気温と湿度が高い時期を好み、暖房がある暖かい室内では2~3月に出てくることもあります。
外に出たキクイムシの成虫は3~5週間程度活動します。その間、強い顎を使い木材を食べることもあります。
しかし、成虫のキクイムシの最も恐ろしい点は木材の中に大量の卵を産むこと。キクイムシが一度に産む卵は1~4個ですが、一生の内には50~70個の卵を産むのです。
大量に産まれた卵は10~20日で孵化し、幼虫になります。この幼虫が最も木材にダメージを与える状態のキクイムシ。幼虫は10カ月ほど木材を食い荒らし、成長していきます。
キクイムシは越冬する虫です。温かい室内で育った幼虫が蛹に、その後の8~20日で成虫になり、木材に穴を空けて外に飛び出します。
木材から外に出る際に出る白っぽい木くずは、キクイムシの被害に気づく重要なサインになります。
キクイムシの発生原因
キクイムシが家で発生する原因は、既にキクイムシがついた家具や木材を搬入してしまうことです。
キクイムシは森林・庭に自然に生息しています。しかし、その飛距離は短く、外から家の中に侵入することはほぼあり得ません。家を作る時に使った木材や購入した家具に潜み、一度家に侵入したキクイムシは、早いペースで繁殖していきます。
キクイムシは乾燥した環境を好むため、防虫処理がほどこされていない木材に潜んでいることが多いです。特に、無垢材・天然素材は、キクイムシが家に侵入し、繁殖する原因になります。
一方、フローリング材は高温高圧処理の後に納品されるので、キクイムシが侵入する原因にはなりません。人間に優しい天然素材などの防虫処理が施されてていない木材・家具ほど、発生リスクが高いということです。
キクイムシの駆除が必要なサイン
キクイムシの駆除が必要なサインは二つです。
一つ目は、床や家具の周りに木くずが落ちていて、小さな穴が開いていること。
二つ目は、壁や家具から木をかじるような「ガリガリ」という音が聞こえることです。他にも「キュッキュッ」という音が聞こえるパターンがあります。
音を聞き分けるのは困難ですので、床や家具の周りに木のくずが落ちていたら、どこかに穴が開いていないか確認しましょう。早期発見・駆除こそがキクイムシの繁殖を抑えるために重要です。
キクイムシを自分で駆除する方法2選
キクイムシは発見したらどれだけ早く駆除できるかが重要。
卵・幼虫ならスプレータイプの殺虫剤、成虫ならば燻煙タイプの殺虫剤をすぐに購入しましょう。業者に依頼するのに比べて、早いだけではなく費用が安くなることもメリットです。
■市販のスプレータイプの殺虫剤で駆除する
キクイムシの幼虫・卵の駆除におすすめなのは、スプレー(エアゾール)タイプの殺虫剤。特に、木材の深部に浸透させやすい細長いノズルがついているタイプがおすすめです。
成分で重視したいのは効果の高さと安全性で、ピレスロイド系の殺虫剤は小さな子供やペットがいても安心して使えます。
しかし、ピレスロイド系は可燃物なので、近くにストーブなどがないことを確認しましょう。保存の際には直射日光・高温を避けることも重要です。また、もう一点注意したいのはにおいです。においがキツすぎると、近隣に迷惑をかけてしまうことがあります。商品の説明・口コミを確認して、においがキツすぎないものを選びましょう。
これらの特徴をかねそなえた、タスクルおすすめの商品は以下の2つです。
■スプレータイプの殺虫剤の使い方
①床・家具の穴・木くずがある場所を見つける
②ノズルを穴に差し込んで殺虫剤を注入する
床・家具の表面だけではなく、キクイムシの出てきた穴にスプレー剤を注入することで、卵・幼虫までしっかり駆除できます。とはいえ、一度の作業で油断せず、1週間~1か月定期的にスプレー剤を投入する必要があります。
■市販の燻煙タイプの殺虫剤で駆除する
キクイムシの成虫の駆除におすすめなのは、バルサンなどの燻煙タイプの殺虫剤です。
スプレータイプと違い、木材や家具の中に潜んだキクイムシに効果がないことはデメリットですが、部屋全体にいきわたるので、室内で活動している成虫をしっかりと駆除することができます。キクイムシの出てきた穴を探す手間がない分、スプレータイプよりも簡単です。
燻煙タイプはスプレータイプよりも安い製品が多いのもメリットです。まずは燻煙タイプで部屋全体をいぶし、スプレータイプで卵・幼虫を駆除する、という風に使い分けるのがいいでしょう。
なお、燻煙タイプを使用した後は、しっかりと部屋を換気しましょう。商品の表示に従って換気することで、嫌なにおいを防ぐ他にも、小さな子供やペットを守ることができます。
キクイムシの予防対策3つ
キクイムシによって床や家具に穴が開いてしまうのは悲しいですよね。こちらでは、キクイムシの被害に遭わないための予防方法を3つ解説していきます。
■木材に殺虫剤をまく
殺虫剤はキクイムシの駆除だけではなく、予防にも使えます。床・家具の表面に殺虫剤をかけておけば、メスの卵の産卵を防ぐことができます。
自分自身や業者による駆除が終わった穴に、スプレータイプの殺虫剤をかけておくことも重要です。
先ほどご紹介したキクイムシコロリなどのスプレータイプの殺虫剤を使い、予防していきましょう。ただし、スプレーをかけるだけでは既に発生したキクイムシを駆除することはできないので、木くずが落ちていないかを確認して予防することが大切です。
■木材にニス・塗料・防腐剤を塗る
スプレーの散布以外にも木材にニス・塗料・防腐剤を塗ることでキクイムシの被害を防げます。殺虫剤をかけたくない家具などには、ニス・塗料を塗るのがおすすめです。
ただし、スプレーをかけても効果があるのは表面だけです。木材の内部に侵入したキクイムシを駆除することはできないので、木くずが落ちていないことを確認しながら予防しましょう。
また、一度キクイムシが発生した家では、1年ほど経過を確認していくことが必要になります。
■防虫処理がある木材を購入する
殺虫剤をまくこと、塗料などを塗ることは、既に購入した木材・家具に対して有効な処理です。
新しい木材を購入する時や家を建てる時は、防虫処理が施されていることを確認しましょう。家具を購入する時には、塗料やニスが塗られていることを確認することが大切です。
最初から防虫処理や塗料・ニスが塗ってある木材を選べば、キクイムシは発生しません。
購入の際にしっかりと確認すれば、大事な家・家具を守ることができます。
キクイムシの駆除の業者への依頼方法
キクイムシを自分で駆除すれば、安く終わらせることができます。ただ、自分だけでは潜伏場所を見つけきれず、繁殖させてしまうことがあります。
自分での駆除でも解決せずキクイムシの被害に悩まされている場合には、業者に依頼して効果が強い殺虫剤で徹底的に駆除してもらうことがおすすめです。そうすれば、キクイムシの被害にあった穴をふさいでくれること、予防対策まで行ってくれます。
とはいえ、事前に作業内容や料金を確認しておかないと、後で高額な料金を請求される場合もあります。そのような業者にひっかからないためにも、以下の4つに注意しましょう。
■キクイムシ駆除の業者を選ぶポイント4つ
①料金が適切(相場:10,000〜30,000円)
②作業内容・作業時間を確認できる(平均作業時間:1~2時間)
・被害状況の確認と報告
・養生
・薬品の注入・穴をふさぐ作業
・清掃
③損害賠償保険への加入している
④顔写真・口コミを公開している
まとめ
キクイムシは、直接人体に影響を及ぼす虫ではありません。しかし、大切な家・家具を守るためには、早期に駆除することが重要です。小さな穴や木くずを見つけたらすぐにスプレーを使って駆除・予防していきましょう。