ガジュマルは生命力が強いので、日当たりが良い場所におくだけで葉っぱも枝もどんどん成長していきます。しかし、枝が伸びすぎると不格好になってしまうし、幹まで栄養が届かず元気を失ってしまいます。葉っぱが多すぎると、害虫の発見の遅れにつながります。
これらを防ぐためには、切り戻しという方法で剪定していきます。
もし既に元気がないガジュマルなら、一度丸坊主に剪定して生命力を回復させるのがおすすめです。
この記事では、2つの剪定方法とそのコツ、おすすめの時期や頻度を注意点と一緒に紹介していきます。
ガジュマルとはどんな植物?
ガジュマルはクワ科の観葉植物です。沖縄ではキジムナーと呼ばれています。
熱帯・亜熱帯の植物なので、日光がある暖かい環境でよく育ちます。ただし、直射日光が当たると葉焼けを起こすので、レースなどでうまく日よけをすることが大切です。
基本的には生命力が強く育てやすい観葉植物ですが、水やりの方法はコツがあります。
【春~秋までの水やりのコツ】
土が乾燥したタイミングでたっぷりと水やりをします。霧吹きなどを利用して、葉っぱに水をやる必要もあります。
【冬の水やりのコツ】
冬場は生育が止まっているので、毎日水をやる必要はありません。表面の土が乾燥してから2~3日後に水やりをするのがおすすめです。その所為で葉がしおれてきた場合、水やり回数を増やして対応しましょう。
また、冬場でも葉っぱに水をふきかけてやることは大切です。
水やり以外にも、温かい時期には成長スピードに合わせ剪定して整えてやる必要があります。
ガジュマルを剪定しないとどうなる?
ガジュマルを剪定しないままでいると、不格好で枯れやすい上、害虫の発見が遅れます。
具体的に説明していきましょう。
ガジュマルはよく育つ観葉植物で、1年で20~30㎝成長します。そのままにしておくと1mまで大きくなった例もあります。
大きくなるといっても、葉っぱや幹が均等に大きくなっていくわけではありません。枯れる枝も出てくるし、見た目が不格好に変形してしまいます。
育ちすぎたガジュマルは見た目が悪いだけではなく、枯れてしまうリスクがあります。多すぎる葉っぱが枝や幹への日光を遮り、栄養素が届かなくなってしまうのです。
葉っぱが多すぎると風通しが悪くなることも、元気を失う原因です。
また、剪定しないまま葉っぱ・枝が生い茂っていると、植木鉢の日当たりが悪くなり、害虫が住み着きやすい環境になってしまいます。
【よくつく害虫①カイガラムシ】
葉っぱや幹に発生する害虫です。カイガラムシが住み着いた場所には「すす病」が発生することがあり、光合成を邪魔してしまいます。
【よくつく害虫②ハダニ】
乾燥した葉っぱや幹に発生する害虫です。ハダニがついた場所は養分が吸い取られてしまいます。葉っぱ同士に蜘蛛の巣のような糸が張ることで発見する時もあります。
ガジュマルは害虫・病気に強い植物ですが、害虫がつかないわけではありません。剪定で害虫を発見しやすくして、早めに対処する駆除する必要があります。
ガジュマル|2つの剪定方法と役割
ガジュマルの剪定には、見た目を整える役割と木の健康を守る役割があります。それぞれ向いている選定方法があるので、紹介していきます。
ガジュマルの剪定「切り戻し」の役割とは? ■「切り戻し」は見栄えを良くし栄養を届ける
切り戻しの役割は見た目を良くすることと、幹に日光が当たるようにすることです。不要な枝を切ることで元気に育っていくのです。
とはいえ、元気な枝から切っていくことになるので、初めて切り戻しをする方はビックリしてしまうかもしれません。なぜ元気な枝を切る必要があるのかというと、そこに栄養が集中している可能性があるからです。
ガジュマルは5~9月の間、成長が続きます。その期間中、形を整えてやる必要があります。
その時に意識するのは、葉っぱの回復する時間を考えて切ることです。5~6月の間がよいでしょう。もし剪定するほど育っていない場合は、6月に枝先を整えるように切るだけでも構いません。
こうして葉っぱ・枝をバランスよく整えたガジュマルは、キレイな観葉植物として目を楽しませてくれます。慣れてくれば盆栽仕立てに剪定するのもおすすめです。
ガジュマルの剪定「丸坊主」の役割とは? ■「丸坊主」はガジュマルを生き返らせる
丸坊主とは葉っぱと枝をすべて切り落とす切り方で、なにかしらの理由で弱ったガジュマルを芽吹きに集中させたい時に行います。
ガジュマルは病気・害虫に強い植物ではありますが、日光が足りないと枝がひょろひょろに細くなってしまいます。そんな時は丸坊主からの回復がぴったりです。枝が伸びる方向が偏っている時にも有効です。
また、水が足りずに乾燥してしまった時や、肥料・水のやりすぎで枯れてしまった場合にも、切り戻しではなく丸坊主がおすすめです。葉っぱや枝に行くはずだった栄養が幹だけに集中するので、回復に専念できるというわけです。
幹だけになってしまうので「また生えてくるの?」と不安になるかもしれません。しかし、適度に温かく、日差しがある場所におけば再び青々とした葉っぱが生えてきます。春~秋は外やベランダに出しても大丈夫ですが、5℃を下回るような冬でしたら、室内で葉っぱ・枝の回復を待ちましょう。
ガジュマル|2つの剪定方法とコツ
ガジュマルの剪定には、剪定バサミ・ナイフを使います。太くて切れない場合はノコギリがおすすめです。切り口から出る樹液には手がかぶれるリスクがあるので、ゴム手袋をはめて作業しましょう。散らばった葉っぱや枝をすぐに片付けられるように、新聞紙をひいておくのも大切です。
剪定のやり方は二通りあるので、それぞれ紹介していきます。
ガジュマルの剪定「切り戻し」の方法とコツ ■「切り戻し」は一回り小さい姿をイメージして
ガジュマルの切り戻しは、「形を整えること」と「日光が全体にいきわたるようにすること」が目的です。最初に完成図をイメージしてから切り戻しを始めましょう。一回り小さい姿をイメージすると、バランスが良い姿になります。
【切り戻しの手順】
1. 真上に伸びる枝の先端から切り落とす
2. 枯れている葉っぱ・枝を切り落す
3. 重なっている枝はどちらかを根本・途中で切り落とす
4. 切り口に癒着剤を塗る
切り戻しのコツは、勢いのある部分から切っていくことです。次に弱っている部分を切りますが、もしもこの時白いクモの巣のようなものがある葉っぱがあるなら、それは害虫の被害に合っている可能性があるので、害虫も探していきましょう。
最後に塗る癒着剤は切り口を細菌から守る役割があります。ガジュマルは病気に強いですが、これを塗ることでより健康的に育てられます。
ガジュマルの剪定「丸坊主」の方法とコツ ■「丸坊主」は思い切って!
ガジュマルの丸坊主は、ひょろひょろの枝が生えてしまった時などの弱っている時に有効です。また生えてくるか不安になるかもしれませんが、思い切って切っていきましょう。生育成期の5~6月に丸坊主にすれば、枯れてしまうことはまずありません。
【丸坊主の手順】
1. メインの太い幹以外を切り落とす
2. 1週間ほど直射日光を避ける
3. 新芽が出てきたら日当たりが良い場所に移動させる
4. 切り口に癒着剤を塗る
丸坊主は切り方よりも切った後のケアにコツがあります。
葉っぱがないことで水分の蒸発がしにくくなるので、水やりの頻度は少なめになります。土がカラカラに乾いたタイミングで水をやることが大切です。
肥料を与えたい場合は、水の代わりに液体肥料を与えます。この時、普段の2倍に薄めると失敗しにくいです。
また、丸坊主をした直後は弱っているので、強い日差しを当てないように気を付けてください。レースのカーテンなどを使って、直射日光から守ることが大切です。
ガジュマルの剪定に最適な時期
ガジュマルは選定方法によって最適な時期が違います。ここでは、切り戻し・丸坊主の二つのやり方に合った季節を紹介していきます。
ガジュマルの剪定「切り戻し」に最適なタイミング ■「切り戻し」は切る枝の量で時期を見極める
5~6月中であればいつでも切り戻しをして大丈夫です。もしもカットする枝の量が多いなら5月に切って、6月に回復させた方がいいでしょう。
5月中に形を整える必要がないようならば、その後の枝の勢いを見ながら6月に枝先を揃えるように切っていきます。
ガジュマルはともかく葉っぱ・枝が良く伸びるので、回数を意識するよりは「葉っぱが幹の日光を遮っていないか」や「でたらめに伸びてしまっていないか」で切り戻しを行うか判断するのがおすすめです。
不格好になってしまった時は、7~9月中でしたら少し切る程度なら大丈夫です。ただし、葉っぱが伸びるスピードは5~6月よりはゆっくりになります。
10~3月はほぼ生育が止まるので、剪定しない方が良いでしょう。ガジュマルは寒さには弱いので、生育が止まっている時期に切るとかえって弱ってしまいます。
ガジュマルの剪定「丸坊主」に最適なタイミン ■「丸坊主」は生育期の5月~6月に行おう
ガジュマルを丸坊主にするのに最適な時期は、生育期の5~6月です。
回復に1週間はかかるので、6月の末に丸坊主にするのは避けた方が良いでしょう。環境によっては元通りになるまで1か月かかる場合もあるので、5月に入って気温が安定するタイミングですぐに行うのがおすすめです。
「メインの幹以外も残せば大丈夫?」と考えてしまう時もありますが、止めた方が良いです。どの程度切れば大丈夫かを見極めるのは、園芸の素人には難しいことです。
7~9月は葉っぱ・枝が伸びることはありますが、回復力を考えると丸坊主に剪定するのは負担が大きいです。
10~3月は生育がほぼ止まっているので、絶対に止めましょう。
丸坊主は時期さえ間違えなければ枯れることはありませんが、回復力が落ちている時期に行えばそのまま枯れてしまいます。必ず5~6月中旬に行いましょう。
ガジュマル|剪定方法の注意点4つ
ガジュマル剪定の注意点1|ハサミ以外にも準備がいる ■①新聞紙・手袋も準備する
ガジュマルの剪定をする時、新聞紙などそのまま捨てられるものを植木鉢の下に敷いてください。木のクズや葉っぱが散らばるためです。
また、枝を切った時に出てくる白い樹液を素手で触るのは危険です。この樹液はゴムの材料にもなるラテックスという成分があり、かぶれの原因になってしまいます。園芸用のゴム手袋や軍手をして剪定しましょう。
ガジュマル剪定の注意点2|癒合剤を使う ■②癒合剤で切り口を保護
癒着剤はホームセンターや園芸コーナーで購入できます。切り口が塞がるスピードを速くするし、細菌の侵入を防いでくれます。ハケやヘラで塗っても良いし、直接塗りつけられるタイプもあります。
癒着剤は服につくと中々とれないので、汚れても良い服装で塗っていくのがおすすめです。
ガジュマル剪定の注意点3|切り方は斜めが正解 ■③斜めに切って表面積を増やす
枝を斜めに切ると、水を吸い上げる面積が大きくなります。切った枝を挿し木に使う時に便利ですし、水やりの効率を良くするためにも斜めに斬っていくようにしましょう。
ガジュマル剪定の注意点4|水やりや日光に注意を ■④剪定直後は直射日光・水やりを控える
剪定後のガジュマルは弱っているので、直射日光を避ける必要があります。
切り戻しではなく丸坊主の時は、水も控えましょう。水を蒸発させる葉っぱがない分、寝腐れを起こしやすくなっているのです。土が完璧に乾いているタイミングだけで、水やりは充分に足ります。
ガジュマルの剪定タイミングと回数
ガジュマルの剪定は、回数を決めるよりは葉っぱ・枝の伸び具合を見て判断するのがおすすめです。
「葉っぱが幹の日光を遮っている」「葉っぱ・枝がのびすぎて重なっている」といった状況ならば切り戻しで形を整えましょう。5~6月は盛んに伸びてくるので、一度は切り戻しが必要になります。7~10月中は伸びるスピードが少し落ちますが、必要だと思ったらやっても良いでしょう。
丸坊主に関しては「ひょろひょろの枝が生えてきた」という状況でないならば、無理にする必要はありません。
丸坊主はガジュマルの回復力を高めてくれますが、剪定後に日光にあてすぎたり、水をやり過ぎたりした場合そのまま枯れてしまいます。
メイン以外の幹もそれなりに太く育つのがガジュマルの特徴なので、丸坊主にするのは手間と時間がかかります。
切り戻しも丸坊主も、回数を決めて行うよりは木の状況を見て判断していきましょう。
ガジュマル剪定後に新芽が生えてこない?
ガジュマルを丸坊主にした後、うまく新芽が生えてこない場合があります。
「枯れてしまったのだろうか」と不安になりますが、ひとまず見守りましょう。
丸坊主にしたのが5~6月であれば、成長が遅いだけかもしれません。植物はストレスがかかると成長が止まってしまうこともあるので、落ち着いて様子を見ることが大切です。
この時注意したいのは、直射日光に当てないことと、水をやりすぎないことです。
もし水のやりすぎで根腐れを起こしてしまっている時は、腐敗臭がするはずです。別の植木鉢と土に植え替えることで、復活する可能性があります。
もし幹まで腐り始めているようでしたら、挿し木をして新しいガジュマルを育てるしかありません。
剪定で出た枝を水につけて明るい場所に放置しておけば、1週間~1か月で発根します。それを土に植え替えれば新しいガジュマルを育てられます。
ガジュマル剪定方法のまとめ
ガジュマルの剪定方法は2つあり、形を整えるためには切り戻しが、木を回復させるためには丸坊主がおすすめです。どちらも5~6月に行うことがおすすめで、7~9月中は伸びた葉っぱを整える程度に留めましょう。
その時、手袋か軍手をして手を守ることが大切です。