火災が発生してしまったら、罹災証明書を取得します。火災保険や税金の免除申請、焼けたものの処分、免許や証明書の再発行に必要になるので、早めに消防署に発行を依頼しましょう。
同時に特殊清掃業者に依頼し、見積もりやサポートを受けていくことがおすすめです。
火災が発生してから特殊清掃までの流れ
罹災証明書が発行されたら、保険会社に依頼しましょう。保険会社に被害状況や住まいの状態を伝え、保険の適応範囲・保障内容を確認していきます。
その後、保険会社が事故原因・被害状況などを調査した後、保険額を査定してくれます。保険会社や特殊清掃会社の指示に従いながら進めていきましょう。
その後は電気・水道・電話などの公共サービスを停止します。ガス会社に関しては、消防署が連絡・停止を済ませてくれています。
火災現場の清掃内容
火災は規模に関わらず特殊清掃に依頼しての清掃がおすすめ。ススは吸い込むと危険な有害物質なので立ち入るだけでも危険です。建物・家具が倒壊するリスクもあるので、ご自分での掃除は止めましょう。ここでは、特殊清掃が行える作業内容について解説していきます。
■燃え残がら・残留物・貴重品の搬出
火災で出た燃えがらや残留物は家庭ゴミに出せません。火災で出たススや有害物質は、特別管理廃棄物としてゴミに出す必要があるためです。
そのためには一般廃棄物処理業者許可を持つ業者に依頼したり、罹災証明書の発行を消防署へ依頼する必要があります。手続きは難しいので、一般廃棄物処理業者許可を持つ特殊清掃業者に依頼した方がスムーズです。
特殊清掃業者に依頼すれば、燃えがらや残量物を仕分けし、貴重品があれば回収してくれます。
火災現場がマンション・アパートの場合は、共有エリアにススが落ちないようにビニールシートなどで養生しつつ搬入する流れになります。火災が2階以上で起きた時は、クレーンなど銃器で対応します。
ススや灰が周辺に飛び散ると二次被害が起きるので、必ず業者に依頼しましょう。
■解体作業
火災現場から火災ゴミを搬出した後には、内装の解体が始まります。焼け焦げた壁など、建材をはがしたり、解体していきます。
解体時も燃えカス・ススが飛び散ってしまうなどのリスクがあるので、火災現場の実績が多い業者を選びましょう。
解体作業は火災の規模によって変わります。室内が全焼していれば室内全部を、ボヤなどの場合は必要最低限の部分的な解体になります。
特殊清掃業者であれば解体・リフォームを同じ業者が行ってくれるので、解体業者とリフォーム業者を別に依頼するよりもスムーズな作業になるのがメリットです。
■ススの除去
解体が終わったら、こびりついたススの除去作業に移ります。ススを落とさないままでいると、有害物質の残留や異臭の原因になるのでしっかりとした除去・回収が必要です。
ボヤなどの小規模な火災の場合は、薬剤やブラシでススを落とし、処分していきます。
下地のコンクリートなどにススが焼き付いてしまった場合は、ヤスリや電動工具などで取り除いていくこため、薬剤での除去よりも長時間の作業になります。
■消臭作業
火災現場の悪臭の原因である燃えカスやススですが、それを除去しただけでは悪臭は除去しきれません。室内・家具の見えない隙間に、細かいススが入り込んでしまうためです。
特殊清掃業者であれば、オゾン脱臭機などを使い、臭いの分解・除去を行います。さらにコーティング剤で壁などの悪巣を封じ、しっかりと消臭してくれます。
作業の最後に臭気測定計で臭いが残っていないことを確認してくれるので、安心して作業を任せることができます。
火災現場の清掃のための料金相場
火災現場の特殊清掃は、火災の状況・規模によって大きく変わります。
除菌・消臭作業だけでも10,000円~250,000円になり、燃えカスや残留物の処分、有害物質の除去や建物の解体・除去が入ってくるため、100万円を超えることも考えられます。
不当に高額な請求をされていないか見極めるコツは、料金体系がしっかりしていること。見積もり時に作業内容・料金の質問に答えてくれる業者は安心できます。逆に作業内容を曖昧にしたまま不自然に安い料金を提示するのは、悪質業者である可能性が高いです。
相見積もりを作成し、相場を把握してから業者を選ぶようにしましょう。
火災現場の清掃のための業者の選び方
まず、特殊清掃に必須な資格はありませんが、解体・リフォーム・産業廃棄物処理に必要な資格はあるので、有無を確認しておきましょう。
- 解体工事業登録…都道府県知事による登録。床・壁の解体とリフォームに必須
- 一般廃棄物収集運搬許可証…ゴミ収集・廃棄に必須。外部委託でも可能
必要資格があるかどうかを確認したら、費用面を把握していきます。
火災現場の特殊清掃は、火災の規模・間取りで見積もりが大きく変化するため、相見積もり後に選ぶのがおすすめです。見積もりを請求する間のやり取りで、信用できる業者なのかどうかを見極めましょう。
見積もり依頼の際にチェックできるポイントは下記の通りです。
- 料金体系が明確で無料見積もりに対応できるか
- 火災保険会社とのやり取りに対応しているか
- サイトに火災現場での実績を乗せている
- 有害物質の対策を具体的に説明できるか
- ゴミ処理費用の割引に対する知識があるか
火災現場の清掃は、有害物質を外に持ち出さないことが重要です。作業前にシャワールームを設置したり、清掃後に濃度を測ったりして対策している業者を選びましょう。
火災保険会社とのやり取りをサポートしてくれることや、罹災証明書に対する知識があることも大切です。
罹災証明書があればゴミ処理費用が割引になるため、火災に強い業者であれば罹災証明書の提出を求めて来るもの。割引に対する知識や経験があることを確認しておきましょう。
火災現場の清掃に保険金は使える?
火災による特殊清掃に関する費用が保険の対象かどうかは、保険会社に確認します。
まず、火災が起きてしまった際には、清掃・解体を始める前に保険会社に連絡することから始まります。被害状況を確認しないと、適切な保険金を受け取れないリスクがあるためです。
連絡した後には、できる限り契約の内容を確認しておきましょう。
【火災で支払われる保険金の種類】
損害保険金…建物・家財の損害に対して支払われる保険金
費用保険金…建物・家財の損害以外で火災に関してかかる費用に対して支払われる保険金
費用保険金があれば、火災の片付け以外にも「火事で住むところがないので、ホテルに泊まった」といった時に費用を請求できます。特殊清掃の費用に対して適応できるものもあるので、保険会社に確認しておくと後々スムーズです。
火災現場の清掃でよくある質問
■通常の清掃会社ではダメな理由は?
火災に対する実績が少ないと、有害物質の取り扱いが困難だったり、消臭が不十分であるリスクがあります。火災現場の実績おすすめです。
■自力で清掃することはできるのか?
スス・燃え殻・灰は通常のゴミに出せません。特別管理産業廃棄物として処理をするので、一般廃棄物処理業許可を持つ業者への依頼が必要になります。片づけるだけでもスス等から出る有害物質を吸い込むリスクがあるので、片付け・ゴミ処理を行ってくれる特殊清掃会社への依頼が必要です。
■清掃費用を安く抑えることはできるのか?
相見積もりを請求して、安くて信頼できる業者を選びましょう。自治体によっては火災の片付けに対して補助金を出しているので、一度確認してみましょう。