事故物件・災害現場の復旧でリフォームは必要?
事故物件やゴミ屋敷や災害現場のために特殊清掃が必要な際、リフォームが必要になることがあります。そんな時、「清掃では対処しきれないの?」と疑問に思うことがあるでしょう。
特殊清掃でリフォームが必要になるのは、清掃では除去しきれない汚れ・臭いがあるケースです。
例えば、床や壁に体液がしみこんでしまっていたり、下地まで達してしまっているケースは解体・リフォームが必要です。
お風呂場で人が亡くなり、長期間放置されてしまった場合も浴槽や配管の撤去が必要です。トイレも便座に遺体からの体液がつまった場合に交換が必要になります。
ゴミ屋敷の場合は床・壁・家具が腐敗してしまった場合解体の方が安く済むケースがありますし、ペット屋敷ならば糞尿や傷を取り除けない場合はリフォームが必要です。
これらの汚れは解体・リフォームを行わないと異臭を除去しきれません。臭いがそのままでは、ゴキブリやハエ・ウジ虫が寄ってきてしまいますし、他の住人に入室してもらうこともできません。
「リフォームが必要」と言われた時は、異臭除去のために行いましょう。
特殊清掃とリフォーム会社・解体業者の違いは?
「特殊清掃でリフォームが必要なら、最初からリフォーム会社の方がいいのでは?」と思うこともあるかもしれませんが、リフォーム会社には消臭の技術がありません。
また、孤独死・自殺現場、ゴミ屋敷・ペット屋敷は細菌や害虫が繁殖し、入室するだけでも危険です。リフォーム会社では断られることもあります。
解体業者に関しても同じことが言えます。解体業者では、臭いや害虫に対処しきれないので、安全のために特殊清掃業者に依頼しておきましょう。
特殊清掃業者にも解体の知識・作業実例がありますので、清掃ではなく解体を依頼することもできます。体液や糞尿がついた家財でも回収してくれるので、安心して解体作業を頼めます。
事故物件のための特殊清掃によるリフォーム箇所
特殊清掃でリフォームが必要になる箇所と内容はある程度決まっているので、見積もり前に予想できます。ここでは、よくある作業の理由を場所別に解説していきます。
■壁紙
壁紙に長期間放置された血液などの落としきれない汚れがしみ込んでしまった場合、そこだけ壁紙を張り替えることがあります。
汚れがキレイに落ちても、臭いを吸い込んでしまったためリフォームが必要になるケースもあります。
臭気とは細かい分子なので、壁紙に付着してしまうことがあるためです。こうなると、壁紙を張り替えないと消臭しきれません。
全て張り替えになるケースと問題のある部分だけを張り替えて解決するケースがあるので、作業内容をよく確認しておきましょう。
■床材
床に体液や腐敗液がしみ込んでしまった場合、まずは畳・フローリングの交換が必要になります。
さらに、床下を分解し、基礎部分までしみ込んでしまっているかどうかを確認する必要があります。
「見えない部分だから、別にリフォームをしなくとも」と基礎部分をそのままにしておくと、いつまでも臭いが残ってしまうためです。
床下の基礎を清掃した後には、臭いを封じ込めるコーティング剤を塗布して徹底的な消臭作業を施します。
■浴室
浴槽で人が亡くなった場合、清掃と汚物除去だけではなく、配管や浴槽の交換が必要になります。
例えば、浴槽で亡くなった場合は中の水をくみ取り処理します。この時に浴槽表面に傷や破損があると、そこから臭気がしみ込み、清掃しても臭いが残ってしまいます。
こうなると臭いを閉じ込めるコーティング剤では対応しきれないので、浴槽ごと交換になります。
放置されているゴミが空き箱や空の袋などの乾いたゴミならば、汚部屋状態でもまだ簡単に対処できます。生ゴミを放置してしまう前に片づけましょう。
生ゴミなどの腐るものが放置されて悪臭が発生するレベルになると、片付けがやや難しくなります。衣類や生活用品もゴミの中にあるので、生活もしづらいです。ゴキブリなどが出る前に対処しましょう。
床のほとんどがゴミで埋まり、いたるところでゴキブリやハエが発生している状態になると、自力では対処できません。特殊清掃を呼ぶか、ハウスクリーニングを呼んだ後の害虫駆除業者が必要です。目に見えないところにも、シロアリなど家にダメージを与える害虫が発生しているリスクもあります。
床が見えない状態で放置すると、部屋や家具がカビが発生してしまいます。このレベルになると、害虫のほかにネズミも発生している可能性が高いので、必ず業者を呼びましょう。片付け・害虫駆除・カビた部分のリフォームを請け負ってくれる特殊清掃業者がおすすめです。
特殊清掃のリフォーム費用を抑える方法
特殊清掃のリフォーム費用を抑える方法は、臭いを閉じ込める方法を変えることと、事前に保険に入っておくことの二つ。「見えないところならリフォームはいらない」という判断は、臭いが残る結果になってしまうので止めましょう。
■特殊コーティング剤で臭いを閉じ込める
オゾン消臭機による脱臭では間に合わなかった場合、特殊コーティング剤で臭いの元を封じ込めるケースがあります。これは塗布範囲によってはリフォームより安くなることがメリットです。
とはいえ、塗布範囲次第ではリフォームより高額になりますし、リフォームと特殊コーティング剤を併用して消臭を行うケースも多いです。
「コーティングの方が安いはずだ」と決めるけるのではなく、そういった方法もあると覚えておく程度にしておくと、見積書を確認する時にわかりやすくなります。
■孤独死保険に加入する
大家さんが特殊清掃を頼む際、加入しておくと心強いのが孤独死保険。
賃借人が孤独死で亡くなり、原状回復費用を払わなければいけなくなった時に適応されます。
最大300万円程度の原状回復費用を負担してくれることと、ゴミ屋敷にも適応されることが多くなメリット。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、大家さんはぜひご覧ください。
リフォームのための特殊清掃業者の費用相場
特殊清掃のリフォーム費用は、広さによって変わります。
その他、清掃する汚れの種類や現場の広さ、作業人数によっても合計の費用が変動します。
例えば、孤独死ならば遺体の発見までにかかった時間や気温が料金に大きく関係します。ゴミ屋敷や災害現場なら、お部屋の数や広さによって増額します。
ここに人件費、不用品の回収・処分費用も追加されるため、相見積もりを取って相場を把握していきましょう。
リフォームのための特殊清掃業者の選び方
殊清掃業者がリフォームをするためには、解体工事登録が必要です。ゴミの処理のため一般廃棄物収集運搬許可証も必要なので、有無を確認していきましょう。
この二つの資格があることを確認したら、相見積もりを入手して費用を確認していきます。見積もりを依頼する際のやり取りで、業者の信頼性を見極めることも大切です。
- 解体・ゴミ処理のための専門資格があるか
- 料金体系が明確で無料見積もりに対応できるか
- サイトに依頼したい内容の実績が乗っているか
- 依頼したい内容に合った資格を有する人がいるか
- 大家・管理会社と依頼人の連絡をサポートしてくれるか
リフォームを伴う特殊清掃は高額ですので、安い業者を選んでしまいたくなります。しかし、安い業者のほとんどは悪徳業者です。見積もり費用を安く提示し、契約後に高額請求を行う手口ですので注意しましょう。
業者とのトラブルについてはこちらの記事で解説しています。
料金以外にも確認したいのは、ご自分の依頼内容に近い実績があるかどうか。ご自分の依頼内容に近い実績がある業者を選び、得意分野を調べましょう。
孤独死やゴミ屋敷の対応であれば事件現場特殊清掃士が在籍していると心強いです。
人が亡くなった現場であれば、遺品整理士がいると安心です。
災害現場の復旧であれば、罹災証明書についてサポートしてくれる業者がおすすめです。
このように、それぞれに合った資格があるので、ご自分に合った業者を選びましょう。
特殊清掃にリフォームを頼む際のよくある質問
■事故物件以外にも特殊清掃・リフォームは必要?
事故物件とは殺人や自殺、発見が遅れた孤独死などが起きた部屋のこと。これ以外にも、ゴミ屋敷・汚部屋・ペット屋敷なども特殊清掃が必要です。清掃では落としきれない汚れや臭いがある事案には、リフォームをする流れになります。
■必ずリフォームしなければならない?
事故物件やゴミ屋敷、汚部屋、ペット屋敷でリフォームが必要になるのは、清掃では落としきれない汚れや臭いがあるケースです。これからも使い続けたいのであれば、リフォームが必要です。
■リフォームだけならリフォーム会社でもいい?
特殊清掃が必要なレベルの汚れ・臭いがある現場は、リフォーム会社では消臭しきれません。リフォームをしても、基礎部分に適切な消臭処理を施さなければ臭いは消えないので、特殊清掃業者に依頼しましょう。
■リフォーム費用を安く抑えたい
特殊清掃が必要な事案では、「見えない部分の施行はいらないだろう」といった判断でリフォームを渋ると、臭いが除去しきれない他、衛生的に問題が残ります。依頼費用を安く抑えたいのであれば、作業を減らすのではなく孤独死保険に加入するという形で対策しておきましょう。
詳しくは下記の記事で解説しています。
孤独死の原状回復費用は誰が払う?相場と見積り方法3つ | タスクル
https://taskle.jp/media/articles/1774孤独死の原状回復費用に関して、わからないこと不安に思うこと、は多いと思います。「孤独死の現状復旧費用は誰が負担するのか?」「費用相場はいくらぐらいかかるのか?」そして、「見積もり方法はどうするのか?」など、孤独死の現状復旧費用に関して、保険適用ケースや見積もりのコツなどを踏まえて詳しく解説します。