事故物件の清掃では感染症対策は必須で、もし注意を怠ると思いがけない病気にかかってしまう可能性があります。感染症にかからないために、まずは感染症の種類や媒介になるものを確認しましょう。
この記事では事故物件で感染症にならないためにどうすれば良いかを詳しく解説しています。この記事に感染症対策をしっかりと確認しましょう。
感染症対策としての特殊清掃は必要
孤独死が起こった現場などでは腐敗した遺体が長い間放置されていることがあります。夏場では2〜3日、冬場では8〜10日程度で遺体は腐敗します。
腐敗した遺体はガスが溜まり、いずれ遺体を突き破って体液が出てくることもあるでしょう。そのような体液などが原因で感染症が広まってしまいます。
そのため感染症を予防するためには一度専門業者による特殊清掃をして、感染症の原因となる体液などをすべて綺麗にする必要があります。
■感染症とは
感染症とは体内にウイルスや病原菌などが入り、発熱や下痢などの症状が出る状態を指します。これによって伝染病などに感染してしまうこともあるので大変危険です。
感染症は人間からだけでなく、動物や害虫などからも感染するリスクがあります。長期間放置された空き家などでは同じように感染症リスクが高まるので注意しましょう。
事故物件が原因で広がる感染症の種類
■HIV
HIVは感染者の血液や体液などから感染する恐れのある感染症です。免疫系を攻撃するウイルスで、感染が進行するとエイズ(後天性免疫不全症候群)と呼ばれる免疫不全状態が発症します。
初期症状として発熱やリンパ節腫脹、倦怠感などが現れることがあります。エイズ発症後は感染症に対する耐性が低下し、重篤な合併症が現れるため大変危険です。
■ウイルス性肝炎(B型/C型)
B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)は、主に肝臓に感染し、肝炎を引き起こすウイルスです。感染者の血液との接触を通じて感染が広がるため、事故物件現場で感染する恐れがあります。
感染初期は症状が軽視されがちですが、慢性化すると肝硬変や肝癌などの合併症が発生します。感染予防策としてワクチン接種などが効果的です。
■MRSA感染症(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症)
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、通常の黄色ブドウ球菌がメチシリンに耐性を持ち、感染症を引き起こす細菌です。皮膚感染や血流感染症などがあり、一般的な黄色ブドウ球菌に比べて治療が難しいことで有名です。
MRSAを含む血液などに触れた場合はすぐに洗い流し、医師の診察を受けましょう。
■結核(TB)
結核は結核菌によって引き起こされる感染症で、主に肺に影響を与えますが他の器官にも感染が及ぶこともあります。結核患者が咳やくしゃみをすることで、空気中の飛沫を介して感染が広がります。
慢性的な咳、痰、発熱、体重減少などが一般的です。肺外結核の場合はその他にもさまざまな症状が現れることがあるので注意が必要です。BCGワクチン接種や適切な通風が予防に効果があります。
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感染症にかかったら出る症状とは
【発熱】
体温が上昇し発熱が現れることがあります。これは免疫系が感染に対抗しようとする典型的な反応のため、発熱があったら感染症を疑うことも必要です。
【咳やくしゃみ】
呼吸器感染症では喉の痛み、咳、くしゃみ、鼻水などが現れることがあります。
【全身の倦怠感】
全身に疲労感や倦怠感が現れ、日常の活動が辛く感じられることがあります。体力の低下が症状としてみられます。
【関節痛や筋肉痛】
ウイルス感染症では、全身の関節や筋肉が痛むことがあります。骨の内部が軋むように感じられたら要注意です。
【頭痛】
発熱や体の不調に伴い、頭痛が現れることがあります。頭がジンジンするような感覚があれば感染症を疑いましょう。
【下痢や嘔吐】
消化器系の感染症では、下痢や嘔吐が発生することがあります。胃腸の違和感を感じ始めたら注意が必要です。
【発疹】
皮膚に発疹や湿疹が現れることがあります。これは一部の感染症に特有の症状です。体液や血液に皮膚が触れてしまったら注意して観察しましょう。
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虫や動物からも感染する可能性も
■ネズミ
ゴミ屋敷化した家を長い間放置しているとネズミが侵入してしまうことがあります。ネズミが糞をしていたりなど不衛生な環境では感染症の危険性も高まるでしょう。
ネズミを媒介する感染症はノロウイルスやレプトスピラ菌などです。感染経路は糞尿だけでなく、ネズミがかじった食べ物なども危険なので注意しましょう。
■ハエ
ハエは腐敗した遺体や排泄物にもたかるため、消化器系の感染症を引き起こす場合が多くあります。例えば赤痢やO-157、コレラなど症状が重く注意が必要な感染症があります。
他にも目の疾患になる感染症やポリオウイルスなどもハエを媒介するため、孤独死現場などでハエが多くいる場合は近づかないようにしましょう。
■ダニ
ダニは人を噛むことがあるため、クモダニ媒介性ウイルス感染症という感染症の媒介になることがあります。発熱や関節痛などの症状が現れることがあるため危険です。
ダニによる感染症は特に高齢者にとって危険性が高いため、事故物件やゴミ屋敷などダニが多く生息している可能性の高い場所に不用意に入ることのないよう気をつけましょう。
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事故物件に遭遇した場合の注意点
■安全確認は必須
事故物件では入室前に必ず安全確認をしましょう。時間が経っている物件の場合は壁や床が破損している可能性もあります。
また放置された遺体がある場合はうかつに近づかないように注意しましょう。室内のどこに体液が散らばっているか予想がつかないので事故物件に遭遇した場合には、すぐに専門業者に依頼する必要があります。
■特殊清掃が必要
事故物件やゴミ屋敷になってしまった物件は通常の清掃だけでは完全に綺麗な状態にすることは難しいでしょう。そのため必ず特殊清掃をして部屋を専門家に綺麗にしてもらう必要があります。
特に家屋の腐敗や放置されたゴミなどによるカビは自分で掃除しようとしてもなかなかうまくいきません。必ず専門業者の徹底清掃が必要です。
■放置された体液や血液に触れたら医者に相談
事故物件やゴミ屋敷で放置された体液などに触れてしまったらすぐに洗い流しましょう。その後病院に行き、適切な検査をする必要があります。
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感染症対策における特殊清掃に関してよくある質問
■どのような場面で特殊清掃が必要ですか?
孤独死の発見現場やゴミ屋敷では特殊清掃が必要です。動物の遺体が放置されていた部屋などでも特殊清掃が必要になります。
■特殊清掃員はどのような訓練を受けていますか?
特殊清掃員は感染症対策、廃棄物の取り扱い、安全対策などに関する訓練を受けています。また法的な規制についても熟知しているので孤独死現場などでも安心して任せられます。