孤独死があった部屋などには、死体の匂いである死臭がこびりついているもの。そして死臭はなかなか消えにくく、部屋の再利用をしようにも匂いが残っていると難しいケースが多いです。
この記事では死臭の発生する原因から、死臭を自分で消臭する方法までを詳しく解説しています。この記事を参考に部屋に残った死体の臭いを正しく対処しましょう。
死臭の発生原因
死臭は腐敗が始まった死体の臭いで、腐ったチーズや放置した生ごみの臭いと例えられたりします。人によって感じ方に差はありますが、一般的にとても不快感を感じる臭いとして知られています。その独特な腐敗臭は人の死後、遺体が微生物などに分解されていく過程で発生する臭いです。
まず初めにタンパク質や脂肪の分解が起こり、アミノ酸やアンモニアが派生します。これらは放置しておくと強烈な刺激臭を放つことでしょう。続いて腸内の消化物が腐敗し、有害な揮発性硫黄化合物が発生することで上記の刺激的な臭いに腐敗臭が加わります。
遺体の放置が進むと上記に加えどんどん新たな化学反応が起こり、最終的に言葉に言い表せないような不快な腐敗臭となって部屋に充満します。
死臭による悪影響
■心理的・精神的な影響
死臭は多くの人にとって不快な臭いであり、不安やストレスを与えることがあります。特に故人に近しい人々や目撃者にとっては、死体の臭いがトラウマや心的な負担を引き起こすこともあります。
死臭がするということはすでに遺体の腐敗が進んでいることを表します。ただでさえ遺族は死の直接的なショックを受けているため、臭いという五感的な苦痛が上乗せられ、その心理的・肉体的苦痛は筆舌に尽くしがたいものでしょう。
■健康への悪影響
死臭には有害な化学物質が含まれる場合があります。例えば腐敗臭には硫化水素やメチルメルカプタンといった有害な揮発性硫黄化合物などです。
これらの物質を長時間吸い込むと頭痛、吐き気、呼吸困難、めまいなどの健康被害が発生する可能性があります。また死体が感染症の原因となる場合もあるため、健康へのリスクが増大するので大変危険です。
■社会的影響
集合住宅などで死臭がする場合は近隣住民に迷惑をかける可能性があります。また公共の場所で死臭が広がると、その場所の利用者に対して不快な環境を強いることになり、地域全体へ悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
その他商業施設や観光地などの場所で死臭が発生すると、それがマスメディアや口コミで広まり評判の悪化に繋がることも考えられます。
■衛生面への影響
遺体が適切に処理されないと腐敗が進行し、病原体や細菌の増殖が起こるリスクが高まります。これにより感染症の広がりや公衆衛生上の問題が生じる可能性もあるでしょう。
遺体の処理や保管に適切な衛生対策を取らない場合、地域全体に感染症のリスクが及ぶこともあるので注意が必要です。
自分でもできる効果的な消臭方法
孤独死などで数週間から数ヶ月遺体の発見が遅れたというようなケースでは、遺体の腐敗がかなり進んでおり素人が自分で消臭できることはまず不可能です。機材も専門業者が使用している業務用のものが必須となります。
そのためこちらで紹介する方法は比較的腐敗が進んでいない状態で遺体が発見されたケースで、微量に残っている死臭を除去する方法となります。
■死臭の元を廃棄・撤去
部屋の中に死体の臭いが残っている場合それは空間に漂う臭いだけでなく、家具や家電に染み付いてしまった臭いが原因ということも多くあります。そのためまずは死臭のする原因を特定することが大切です。
もし遺体が横になっていた布団や絨毯などがある場合はすぐに廃棄しましょう。
消臭スプレーなどを使用して徹底清掃
床や壁などに死体の臭いが染み付いている場合は、市販の消臭効果のある洗剤などを使い徹底的に清掃しましょう。何度もゴシゴシこすって臭いが取れるまで拭き掃除をする必要があります。
■空間の消臭はオゾンが効果的
死体の臭いは空間にも漂うため、空間の消臭をする際はまず換気を適切におこなうことが大切です。
次にオゾン発生器を使用するのも効果的です。オゾンは強力な酸化剤で臭いの原因となる細菌や化学物質を分解します。ただしオゾンは人体に対しても有害なので、専門家の指導のもとで使用する必要があります。
あわせて空気清浄機にアクティブ炭素フィルターを使用することで、部屋の臭いを軽減することができます。
死体の臭いを消臭する際に注意することは
■換気を徹底する
残ってしまった死臭を消臭する際には必ず換気を徹底して作業をおこないましょう。臭いがきつくて部屋が密閉されていることに気付かず、消臭作業をしていると気分を悪くする可能性があります。
換気をおこなうことで部屋の空気を入れ替えることができ、死臭がこもってしまうのを防げます。しかし孤独死を発見した場合などには自分の判断で換気などをせず、特殊清掃業者に連絡し到着を待ちましょう。
■服装に気をつける
死体の臭いというのは思っている以上に衣類や肌に染み込んでしまうということがあります。死臭がかなり残っている部屋の消臭をおこなう際には服装にも注意しましょう。
素肌の出ている服装は避け、可能な限り防護マスクなどで顔もカバーする必要があります。お手洗いなども使用しなくて良いように、あらかじめ済ませておくと良いですね。
■必要以上に手を触れない
死臭が残っている部屋の消臭をおこなっている際には、なるべく素手で物に触れることをさけてラテックスなどの手袋で手を保護しましょう。
もし孤独死の現場に居合わせるようなことがあっても、必要以上に遺体や物に触ることは避けることを徹底してください。
人間の遺体がないのに死臭がする原因
■動物の死体がある
犬や猫などの動物も遺体となって腐敗すれば、人間と同じように死臭が発生します。人間と同じようにタンパク質や脂肪が分解されていきます。
動物の場合は体積が小さいので、死臭もそれほど強烈な臭いにならない可能性もあります。しかしもし密閉された部屋などで亡くなったまま放置されたら、それはかなりの臭いになることが考えられますので注意しましょう。
■食品の腐敗
購入した肉や魚も温かいところに放置することで、アンモニアや揮発性の有機酸が発生し死体の臭いによく似た悪臭を放つことがあります。夏場に冷蔵庫が壊れて放置してしまったり、購入した食材をしまい忘れたりしないように注意しましょう。
また有機物である野菜や果物も長時間放置することで、微生物による分解が進み死臭に似た臭いが発生します。
■下水処理の問題
ごくまれに下水道の問題でも死臭のような臭いが上がってくることがあります。下水内の配管が詰まるなどの問題が発生した場合には、配管の中で食品などが腐敗して臭いが発生。その臭いは家庭の配管まで上がってくる可能性があります。
死体の臭いで困ったら専門業者に依頼しよう
部屋に残った死体の臭いの処理は、個人でやろうとしたらなかなか大変です。わずかな臭いでも消臭しきれない場合があります。
少しでも臭いが気になったら特殊清掃の専門業者に相談して消臭対応してもらうのが良いでしょう。
死体の臭いに関してよくある質問
■遺体が放置された場合、どれくらいで臭いが発生しますか?
冬場であれば1週間程度、夏場であれば3日程度で死臭が部屋に充満します。その時点で部屋のいたるところに死臭が染み込んでしまい、除去するのに苦労するでしょう。
■死体の臭いってどのくらいの期間持続することがありますか?
遺体の状態によって異なりますが、遺体が放置される期間が長くなるほど臭いが持続する時間も長くなる傾向があります。数日から数週間、場合によってはそれ以上の期間持続することもあるでしょう。