夏の花火大会やお祭りで着た浴衣は、家庭で洗濯することができます。夏は汗をかくので、浴衣を洗濯しないで収納してしまうとカビや変色の原因となってしまいます。
洗濯方法がわからなくて、クリーニング店に出すことも多いと思いますが、ポイントさえ押さえれば浴衣の洗濯は決して難しくありません。最近は、洗濯機で洗える浴衣や帯も多くなってきました。
浴衣を洗うには、どうしたら良いのでしょうか?何か特別な道具は必要なのでしょうか?ここでは、浴衣や帯の家庭での洗濯方法についてまとめてみました。
1 浴衣の洗濯表示を確認する
自分の浴衣が自宅で洗えるかどうかは、まずは洗濯表示をチェックして確かめてみましょう。
洗濯表示でタライの中に水が入れてあり大きくバツ「X」が描いてあると、自宅での洗濯は難しいのでクリーニングに出すことになります。それ以外にも上限の温度などが書かれているので、洗濯表示は必ずチェックが必要です。
もしも温度表示がある場合は、その温度以下のぬるま湯または水で洗わないと生地が縮んでしまいます。一度生地が縮んでしまうと、浴衣にかぎらず衣類は元の形に戻すのが難しいので、洗濯表示は前もってきちんとチェックするようにしてください。
■洗濯できる浴衣についている洗濯表示マーク
洗濯できるマークです。
手洗いで洗濯できるマークです。
■洗濯できない浴衣についている洗濯表示マーク
水を使っての洗濯はできないマークです。
2 帯の洗濯表示を確認する
浴衣帯は大きく分けて2種類あります。
・兵児帯(へこおび)タイプ
・半幅帯(はんはばおび)タイプ
■兵児帯(へこおび)タイプの洗濯方法
兵児帯(へこおび)は、三尺(さんじゃく)帯とも呼ばれていて、やわらかい生地でできています。木綿やポリエステル、化学繊維でできたものも多く、家庭で洗濯できるものも多いのが特徴です。
洗えると言っても、色落ちするかどうかをチェックしてから洗濯してください。洗濯機ではなく、手洗いで優しく洗いましょう。
■半幅帯(はんはばおび)タイプの洗濯方法
半幅帯(はんはばおび)は、普通の帯よりも帯の幅が半分のものです。兵児帯よりも硬い生地でできているものが多く、一人でもしめやすい帯なので人気です。
帯の中に、少し厚めの木綿や絹を芯にしていることも多く、自宅で洗濯するのは難しい帯がよく見られます。重曹スプレーや消臭スプレーをふりかけることで対処しましょう。
3 浴衣や帯が色落ちするかチェック
まだ1回も洗濯したことが無い浴衣や帯の場合、色落ちするかどうか必ずチェックしましょう。もし色落ちチェックをしないと、他の洗濯物に色移りしてしまったり、浴衣の白い部分にまで色がついてしまったりします。
色落ちチェックの方法は、目立たない端の部分に水をたらします。そして、色がついても良い布で水がついた部分を軽くたたきます。
布のほうに色がついてきたら、色落ちするというサインですので、自宅での洗濯ではなくクリーニングに出したほうが良いでしょう。
■藍染の浴衣や帯は洗濯の時に要注意
藍染は、アルカリ性の洗剤を使用するとどんどん溶けてきてしまいます。世の中の洗剤の多くはアルカリ性ですので、色落ちさせないためには中性洗剤で洗う必要があります。中性洗剤でも色落ちはしますので、他の衣類とは別々に洗うようにして下さい。
また、藍染は漂白剤とも相性が悪いので、酸素系漂白剤、塩素系漂白剤ともに使用しないでください。
■メンズ浴衣もレディス浴衣も、洗濯すると25cmから30cm縮む
一般的に浴衣は洗濯すると25センチから30センチ縮みます。高級な浴衣になると水やお湯に通して既に縮ませてあるので、それ以上縮みません。また、絹が繊維の中に入っている浴衣も縮んでしまいます。逆にポリエステルで作られた浴衣は縮むことはありません。
自分の浴衣が洗濯した時に縮むかどうか、生地の端を使ってテストしてみましょう。
4 浴衣や帯についた目立つ汚れは、前処理しておく
洗濯表示をチェックして、色落ちのチェックも済んだら、ようやく洗濯の準備に取り掛かれます。ファンデーションや日焼けどめが首の部分についてしまったり、食べ物や飲み物が浴衣にこぼれてしまうケースもあります。また、自分では汚していなくても、浴衣のスソの部分は土ぼこりで汚れるものです。
このような汚れは先に洗い落としてから、全体を洗濯するようにしましょう。水またはぬるま湯で洗うだけでは落ちなければ、漂白剤を使います。
汚れのひどい部分には洗濯用の中性洗剤を先に汚れ部分につけておいて、その後普通に洗います。ファンデーションの汚れや汗のシミは、着物であればクリーニングでないと取れませんが、浴衣であれば家庭での洗濯で対応できるケースが多く見られます。酸素系漂白剤で浸け置きした後、普通に洗濯しましょう。
血液や皮脂汚れ、牛乳や食べこぼしといったタンパク質の汚れは、50度以上のお湯で洗ってしまうとかえって取りづらくなってしまいます。ぬるま湯程度で汚れを落としてから、漂白剤を使うようにしてください。
5 洗濯ネットに入れるための、浴衣のたたみかた
浴衣を洗うためにネットに入れますが、その時に適当にたたむと後でシワになって後悔することになります。浴衣を長く大切に扱うためには、きちんと畳むようにしましょう。着物や浴衣のたたみ方というと、難しいイメージですが、着物の中でも浴衣はたたみ方が簡単です。万が一シワができてしまっても、後から家庭でアイロンをかければなおります。
インターネットで「浴衣」「たたみ方」で検索してみましょう。写真付きで解説しているサイトや、動画で説明しているサイトがあるので、真似して折り目にそってまっすぐ折っていけば大丈夫ですよ。
浴衣をネットに入れる時には、大きすぎないネットを選びましょう。せっかく浴衣をたたんだのに、ネットが大きすぎると洗濯している途中で形が崩れてシワになってしまうからです。
6 浴衣は洗濯ネットに入れてドライコースで
ファンデーションの汚れ以外では、浴衣で一番汚れるのはスソの部分です。できれば、スソの部分が一番外側にくるように畳んでネットに入れると良いでしょう。
浴衣を洗濯する時に、しつけ糸を縫い付ければ型崩れしませんが面倒なものです。洗濯ネットにいれることでだいぶ型崩れしなくなります。
浴衣を最初に洗う時は、やさしく手洗いすることをオススメします。万が一、途中でノリなどが取れて色落ちしてきても、手洗いであれば単独でその浴衣だけ洗っているので、他の衣類にも影響はありません。
洗うのが二度目以降の浴衣であれば、色落ちもあまりしなくなっているので洗濯機で洗うことも可能です。しかし、生地によっては何回洗っても色落ちするものがありますから、注意してください。
洗濯機で洗う場合は「ドライ」もしくは「手洗い」コースを洗濯しましょう。脱水はシワにならないように、なるべく短時間で済ませてください。浴衣は生地が薄いので、あまり脱水しなくても干す時の工夫で早く乾かせます。
■浴衣に【洗濯のり】を使うとシワ防止に
花王キーピングなど衣料用のり剤を使えば、洗った後のアイロンがけで浴衣がパリッとかっこよく仕上がります。
洗濯のりをつけるには、すすぎが終わった後の水を使用します。すすぎが終わった洗濯曹から他の衣類を全て出して、のり付けしたい衣類だけ残します。すすぎが終わった後に水に洗濯のり剤を入れて、3分ほど洗濯機を回します。その後、軽く脱水して乾燥した後、アイロンをかけます。
全自動洗濯機の場合も、のり付けしたい衣類だけ残して他の服は洗濯槽から出します。水位を低めにして、「洗濯」で「脱水」のモードにセットします。水の中に洗濯のりをいれて回せばのり付けができます。
洗濯のり剤を使用した後は、必ずアイロンをかけてください。干したままアイロンをかけないでいると、逆に折りジワがくっきりと目立ってしまいます。
花王 アイロン用キーピング ハンディスプレー 400ml
■洗えない生地の浴衣や帯は【重曹スプレー】や【消臭スプレー】で綺麗に!
残念ながら洗えない生地だった浴衣も、まだ綺麗にする方法はあります。水を多少吹きかけても大丈夫な生地であれば、重曹スプレーを吹きかけてから布でたたくようにして拭くと良いでしょう。重曹スプレーは、水100mlに対して重曹を小さじ1~3杯入れて溶かしたものです。
ファブリーズやリセッシュのような消臭・除菌スプレーも効果的です。浴衣にタバコの臭いがついてしまったり、焼肉や焼魚など、食べ物のニオイが取れなくなってしまったら、ぜひ一度試してみてください。
7 帯はおしゃれ着洗用洗剤で手洗いで
帯はおしゃれ着洗用中性洗剤を薄めたもので、やさしく水洗いしましょう。折りたたんだ状態で洗うと、型崩れしません。
8 浴衣の干し方
浴衣を干す時の基本は「日かげ」で「袖と肩の部分をまっすぐ」にして干すことです。
日があたる場所で干してしまうと、せっかくの浴衣の色があせて薄くなってしまう場合があるからです。日かげが無いようであれば、部屋の中で干したり、お風呂場で干したりすると良いでしょう。扇風機や除湿機を使用すれば、部屋の中でも十分乾かすことができますよ。
まっすぐに干す方法で一番簡単なのは、物干し竿を袖に通すことです。マンションのベランダなどで、手すりよりも上の部分に洗濯物を干してはいけない家であれば、風呂場の物干しポールで干したほうが高さがあって良いでしょう。
■浴衣の乾燥に便利なグッズ
夏に浴衣をよく着るのであれば「着物用ハンガー」が1つあると、大変干す時に便利です。物干し竿に干す時は、いちいち長い棒を袖に通さなくてはいけません。しかし着物用ハンガーであれば、左右の棒が伸びたり縮んだりするので干す時も楽です。着物用ハンガーには、さまざまな種類があり、ハンガー自体を持ち運びできるように折りたためるものもあります。
着物用ハンガーは長さが140センチ程度あるので、浴衣をしまうと邪魔になってしまいます。どれだけ伸縮できるかも購入する時にチェックしておきましょう。
あづま姿 きものハンガー 折り畳み式
9 帯の乾かし方
帯は洗い終わったら、バスタオルなど大きめの布で水気を取って乾かします。
そして、全部伸ばした状態で乾かしますが、形が変形してしまわないようにW形にしたり、時々上下を変えたりして干してください。
10 浴衣はアイロンをかけてからしまう
次に浴衣を着る時にタンスから出してしわくちゃになっていたら、また洗濯しないと、みっともなくて着られません。
次に着る時もピシッとした浴衣でキープさせておくためには、しまう前にアイロンがけをしておきましょう。
洗濯のりをつかっていなくても、アイロンがけをすれば消毒にもなりますし、まっすぐに生地が伸びます。
浴衣をアイロンがけする時は生地が薄いので、完全に乾いてからではなく生乾きの状態の時にアイロンがけしてください。
アイロンがけに慣れていない方は、ゆかたの上にてぬぐいを置いて、その上からアイロンがけをすると良いでしょう。
乾いてしまうと取りづらくなるシワも、生乾きの時であればアイロンで伸ばすことができます。
もし、アイロンがけをしている時にシワになってしまったら、霧吹きなどでもう一度ぬらしてアイロンがけをすれば大丈夫です。
よく着物をしまう時にはタトウ紙に包みますが、浴衣の場合はタトウ紙に入れる必要はありません。
干してアイロンがけをしたら、そのままタンスにしまえばOKです。
防虫剤は、ゆかたに直接触れないようにタンスに入れましょう。
浴衣がシミになってしまう恐れがあります。
まとめ
浴衣は洗濯表示をチェックして、洗えるようであれば自宅でも十分洗濯できることがわかりました。買って最初に洗うのであれば、色が落ちないかどうか端でチェックするのも忘れずに。
色落ちするようであればクリーニングに出すのが無難ですが、浴衣だけを手洗いで洗っても良いでしょう。その際は、色のついていない部分に色がついてしまわないよう、気をつけてください。
帯は手洗いでの洗濯、浴衣は手洗いか洗濯機での洗濯になります。浴衣はネットに入れて洗濯しますが、手洗い用のコース、またはドライのコースで洗いましょう。脱水時間を短めにすると、あまりシワができずに綺麗に乾かすことができます。
干す時は竿竹に袖と肩をまっすぐにして干すか、着物用のハンガーを使うと綺麗に干せます。服の形が違うので、洋服用のハンガーでは変な形がついてしまって洗濯しなおすことになります。何も無ければヒモを通して干すことになりますが、シワができてしまうのでオススメできません。やはりまっすぐな棒状のもので干すのが一番です。