洗濯物の生乾きのニオイは、水に濡らした程度では落ちません。
しっかり乾いても、雑巾のような臭さが洗濯物に残ってしまう場合もあります。
いつも同じように洗濯しているつもりなのに、どうして生干しの臭いニオイがするのでしょうか?
どうすれば、臭くならないように乾かすことができるでしょうか?
ここでは、洗濯物の部屋押しのニオイの原因と、悪臭菌が増殖しない洗濯方法について調べました。
部屋干しの臭いの原因
長年、洗濯物の生乾きの臭いニオイの原因が何かわかりませんでしたが、洗剤メーカーの花王が遂に原因を突き止めました。
そして、その研究の結果できた洗剤が「アタックNeo抗菌EXダブルパワー」という洗剤です。
洗濯物の部屋干しのニオイは、花王の研究によって「モラクセラ真正細菌」という菌からできていることがわかりました。
この「モラクセラ真正細菌」は、増える時に【4メチル3ヘキセン酸】という物質を作ります。
この【4メチル3ヘキセン酸】が生乾きのニオイの真犯人なのです。
「モラクセラ真正細菌」は、生乾きのニオイの元ではありますが、人の肌や新しタオルなどにも存在しています。
どこにでも存在する菌なのに、臭くないのは【4メチル3ヘキセン酸】が出ていないからです。
「モラクセラ真正細菌」が分解増殖する時に【4メチル3ヘキセン酸】という臭いニオイが出るので、分解しなければ「モラクセラ真正細菌」は臭くありません。
【4メチル3ヘキセン酸】が分解してクサイニオイを出すには条件があります。
・悪臭菌が繁殖する温度
・雑菌が繁殖しやすい高い湿度
・菌の栄養源となる皮脂汚れ
という条件です。
これらの条件を作らないために、洗濯物の中に雑菌を残さないよう奥まで除菌する必要がありますし、洗濯物が長い間乾かないと、菌が繁殖してしまうので早く乾かす必要があります。
また、洗濯機の中の洗濯槽にカビが生えていると、悪臭菌が繁殖しやすくなってしまいます。
部屋干しの臭いを防ぐ4つの対策方法
■① 洗濯物を高温で除菌する
洗濯機の60度以上高温洗浄機能を使う
クサイ臭いの元である「モラクセラ真正細菌」は、温度が60度以上だと増殖しません。
そのため60度以上の温度で洗濯物を洗えば、洗濯物の中の悪臭菌が大幅に減少するのです。
洗濯機の中には、洗濯する時の温度を選ぶことができる機種もあります。
ヨーロッパでは高温で洗う洗濯機は珍しくありませんが、日本だと全ての洗濯機が60度で洗えるわけではありません。
もしお使いの洗濯機が水の温度を選べるのであれば、60度以上の温度で洗ってみましょう。
その時に、高温によって縮んでしまったり、色が薄くなってしまうような生地は一緒に洗濯しないようにしましょう。
コインランドリーの乾燥機で乾かす
自宅では60度以上で洗えなくても、コインランドリーであれば高温で乾燥させることができます。
洗う時に60度以上で洗えなくても、乾かす時に60度以上であれば「モラクセラ真正細菌」を増やさない効果が得られます。
家庭用洗濯機の乾燥機は60度まで上がらないものがほとんどですが、コインランドリーの乾燥機は80度から120度程度まで上がります。
アイロンで悪臭菌を除菌する
洗濯物を高い温度で洗うと、色が薄くなってしまったり早く服が傷んでしまう場合があります。
高温で洗い続けることは、服にとってはダメージも大きいのも確かです。
傷んでしまうのが心配であれば、脱水をかけた後の洗濯物にアイロンをかけましょう。
アイロンは中程度にあわせると温度は150度程度になります。
これで服やタオル、下着など、アイロンをかけていけば、ほぼ乾燥しますし生乾きの臭いも発生しません。
服から蒸気が出て、ほとんど乾いた状態になるまでアイロンがけをしてください。
アイロンがけしても良い服かどうかは、洗濯表示をチェックして調べておきましょう。
アイロンがけ禁止のマークです。
生地が傷んだり、変色する危険性があるので、低温でもアイロンがけすることはできません。
(2016年12月までの洗濯表示)
旧表示のアイロンがけ禁止のマークです。
新表示と同じ内容をしめしており、生地が傷んだり、変色する危険性があるので、低温でもアイロンがけすることはできません。
110度以下の温度でスチームなしでアイロンがけができます。
(2016年12月までの洗濯表示)
旧表示の低温アイロンのマークです。
110度以下の温度でスチームなしでアイロンがけができます。
150度の温度でアイロンがけをすることができます。
(2016年12月までの洗濯表示)
旧表示での中温アイロンのマークです。
150度の温度でアイロンがけをすることができます。
200度の温度でアイロンがけをすることができます。
(2016年12月までの洗濯表示)
旧表示での高温アイロンのマークです。
200度の温度でアイロンがけをすることができます。
パナソニック 衣類スチーマー アイロン NI-FS530-PN ピンクゴールド調
■② もっと除菌できる洗濯方法にする
浸け置き洗いで繊維の奥まで除菌する
普通に洗濯しただけでは、どうしても落としきれない汚れが残ってしまいます。
汚れが残っていると、それが元で悪臭菌が増えてしまいますので、浸け置き洗いをしてみましょう。
特に汚れがひどかった洗濯物や、生地が厚めのタオルなどは、普通に洗濯する前に30分ほど浸け置くのです。
使用する洗剤は、普通に洗濯している時の洗剤でかまいません。
もっと汚れを落としたいと思ったら、液体ではなく粉末の洗濯石鹸にしてください。
中性の洗剤よりも、アルカリ性の洗剤のほうが洗浄力は強くなります。
一番簡単な浸け置き洗いの方法は、洗濯機の洗濯槽に浸け置く方法です。
まず洗濯槽に洗剤を入れた後、水を入れて洗剤を泡立てます。
その中に浸け置き洗いしたい洗濯物を入れて、30分ほど放置するだけです。
汚れが落ちたと思ったら、排水して再び洗剤と水を入れて洗剤を泡立てて普通に洗濯します。
こうすることで洗濯物に染み込んだ汚れを繊維の奥から落として、悪臭菌が増えるのを阻止してください。
洗濯槽に水が溜められない場合は、洗濯オケを買いましょう。
大きめの洗面器では入らない洗濯物もあるので、大きな洗濯桶を1つ購入すると便利です。
酸素系漂白剤で悪臭を防止する
いつもの洗濯洗剤では汚れ落ちが今ひとつと感じていたら、洗濯する時に「酸素系漂白剤」を入れてみましょう。
服の色はそのままで、服を除菌して生乾きのニオイを防止します。
漂白剤には「塩素系漂白剤」と「酸素系漂白剤」がありますが、それぞれ使いみちが違います。
「塩素系漂白剤」は染料を落とすほどの漂白する力があるので、真っ白く除菌したいものに使います。
「酸素系漂白剤」は、塩素系漂白剤と比べると刺激は少なく、染料は落とさずに除菌、除菌してくれます。
重曹と一緒に「酸素系漂白剤」を入れると、より洗浄力が強くなります。
また、洗濯機の水温を60度まで上げられない場合、洗濯物を酸素系漂白剤で20分程度つけ置くことで高温で洗った時と同様の除菌効果が得られます。
酸素系漂白剤を溶かした水の温度は、お風呂程度の40度前後の温度がベストです。
酸素系漂白剤(750g)
部屋干し用洗剤を活用する
部屋干しトップ 除菌EX(900g)
生乾きのニオイは、人の肌や服についている「モラクセラ真正細菌」が増殖すると発生します。
増殖する時に【4メチル3ヘキセン酸】が発生しますが、これが生乾きのニオイになるのです。
このような雑菌を繁殖させなければ、生乾きのニオイは発生しません。
洗濯洗剤にはさまざまな種類がありますが、部屋干しの生乾きのニオイを研究して作ったのが「アタックNeo抗菌EX Wパワー」です。
この洗剤は、生乾きのニオイだけでなく、汗臭いニオイ、靴下のニオイといった、衣類の悪臭をどうやったら取り除けるか徹底的に研究した末に生まれました。
花王の実験結果によると、洗濯して24時間経っても悪臭菌を増殖させません。
「アタックNeo抗菌EX Wパワー」を水に溶かすと、水が抗菌水となり、衣類だけでなく洗濯槽の抗菌にも役立ちます。
新しく購入した洗濯機で、半年間「アタックNeo抗菌EX Wパワー」を浸かって洗濯を続けると、洗濯槽の裏にカビが生えないことも実証済みです。
洗剤に重曹をミックスする
エコ洗剤として、すっかり私達の生活に溶け込んだ重曹ですが、洗濯する時に洗剤と一緒に入れることで服のニオイを取ることができます。
一回の洗濯につき、カップ半分から1杯程度の量を入れましょう。
重曹には洗浄力はあまり無いので、重曹だけで洗濯するのはオススメしません。
水に溶けにくいので、重曹をお風呂位の温度のお湯に溶かして冷ましたたら、洗濯機に入れて使用すると良いでしょう。
重曹 5kg
■③ 洗濯物が臭くならないよう短時間で乾かす
除湿機で洗濯物を早く乾燥させる
除湿機が1台あるだけで、洗濯物が乾くスピードは大幅に違ってきます。
除湿機を効果的に使うコツは、なるべく狭い部屋に洗濯物と除湿機を入れて使うことです。
部屋が大きすぎると除湿機の効果が、あまり感じられなくなってしまうからです。
お風呂場や洗面所といった空間に洗濯物を干して除湿機を使えば、短時間で乾くので効果がすぐにあらわれます。
除湿機は部屋の大きさによってサイズがあるので、選ぶ時に使用説明書をしっかりチェックしてください。
除湿機 デシカント式 DDA-20
扇風機で洗濯物を早く乾燥させる
洗濯物を早く乾かすには、洗濯物と洗濯物の間の風通しを良くしておくことです。
濡れた服から出た湿気が、いつまでも同じところにとどまっていたら、なかなか早く乾きません。
空気の流れを作って早く乾かすことで、悪臭菌を繁殖させないようにしましょう。
浴室の乾燥機能で洗濯物を早く乾燥させる
部屋の中で洗濯物が干せない時もありますよね。
また、洗濯物を除湿機をかけていない部屋に干すと、部屋全体の湿度が上がってしまい、壁紙がカビることもあります。
そんな時は、浴室の乾燥機能を利用して洗濯物を乾かしましょう。
浴室の乾燥機能を使用すると、電気代が心配かもしれませんね。
電気料金の計算式は、
●消費電力(w)÷ 1000 × 時間 × 1kWhあたりの電力量料金 = 電気料金
で計算できます。
1kWhあたりの電力量料金は家庭によって違いますが、仮に26円とします。
これは、東京電力の【従量電灯プランB】で、契約容量が【30A(アンペア)】の時に、【120から300kWh】使った時の1kWhあたりの料金が、【税込26円】というのを元にしています。
例えば、パナソニックの「バス換気乾燥機 FY-13UG6V」を1時間かけたとしましょう。
「FY-13UG6V」は1.3KWなので、
●消費電力(1,300w)÷ 1000 ×1 時間 × 1kWhあたりの電力量料金(26円) =33.8円
となります。
3時間つけて100円程度です。
倍の6時間つけても200円程度なので、想像より安いのではないでしょうか。
最近では、浴室であなく脱衣所や洗面所に設置する脱衣所暖房衣類乾燥機も販売されています。
家庭にあった乾かし方で、生乾きの臭いを防ぐようにしましょう。
■④ 悪臭菌を増やさない工夫をする
洗濯槽を掃除して除菌する
洗濯機はいつも洗剤を入れている場所なので、クリーンなイメージですが、実は洗濯槽の裏はカビだらけなのです。
皮脂汚れやホコリが洗濯槽の裏にくっついて、黒カビになって繁殖するのです。
その黒カビが悪臭菌と一緒になって洗濯物にくっつくと、洗濯物から生乾きの臭いがしてしまいます。
新品の洗濯機を購入しても、数ヶ月後にはカビができてしまいます。
皮脂汚れやホコリ、油汚れと水がある場所なので、どうしても雑菌が増えてしまうのです。
洗濯物から生乾きの臭いを出さないために、洗濯槽の掃除を定期的に行いましょう。
湿気がこもりやすい家や、カビやすい家の場合は、1ヶ月に一度洗濯槽の掃除をすると良いですよ。
洗濯槽の掃除は、酸素系漂白剤や洗濯機メーカーから出ている洗濯槽クリーナーを入れて浸け置くだけなのでとても簡単です。
洗濯が全て終わったら、洗濯槽の中に水をいっぱい溜めます。
説明書を読んで、一番高水位の位置まで水を入れ、酸素系漂白剤か洗濯槽クリーナーを入れます。
酸素系漂白剤の場合は、水10リットルに対して100グラムの換算で入れるので、おおよそ500グラム入れれば十分です。
そして、何も洗濯物は入れずに一晩放置してください。
翌朝には、カビや汚れが浮いてきますよ。
汚れをそのまま流すと排水口が詰まってしまうので、網などで掬ってから排水してください。
パナソニック ドラム式洗濯機用 洗濯槽クリーナー 洗浄液 N-W2
過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)(1kg)
オーエ サッとる 湯あかキャッチネット
洗濯物は通気性の良い洗濯カゴへ
服を脱いだら洗濯機の中に入れるのではなく、洗濯物用のカゴを用意して、その中に入れるようにしましょう。
洗濯機まわりに場所を取りたくないので、洗濯物は洗濯機に直接入れてしまう人も最近は多く見かけます。
しかし悪臭菌のことを考えると、カゴや布といった、なるべく通気性の良いものでできた洗濯物入れがオススメです。
脱いだ服を、洗濯機の中に入れてしまうと「モラクセラ真正細菌」が服の中で繁殖して、悪臭菌が増殖してしまいます。
悪臭菌や雑菌は25度前後の温度で、水分があり、ホコリや皮脂汚れといった栄養があると爆発的に増えてしまいます。
「モラクセラ真正細菌」が増えると、【4メチル3ヘキセン酸】という生乾きのクサイ臭いが生まれてしまうのです。
一旦、服に悪臭菌がついてしまうと、しっかり洗わないとニオイが取れません。
臭くなる臭いの元を作らないためにも、面倒でも洗濯物は洗濯物入れ用のカゴに入れましょう。
まとめ
今回は、洗濯物の生乾きのニオイについて調べました。
部屋干しのクサイニオイは、花王の研究によって「モラクセラ真正細菌」が原因であることがわかりました。
この菌だけではニオイは臭くありませんが、増殖する時に【4メチル3ヘキセン酸】という脂肪酸を発するため臭くなってしまうのです。
「モラクセラ真正細菌」を増殖させないために、
・洗濯物の繊維の奥にある汚れも取って、除菌する
・洗濯物は早く乾かして、菌が増殖する時間を与えない
・60度以上の高温で洗濯したり乾燥したりすることで、菌を増殖させない
ということが大切です。
60度以上の高温で洗ったり、乾燥したりできない場合は、脱水が終わったらアイロンがけをしたり、洗濯の時に「酸素系漂白剤」を使うことで悪臭菌を殺菌、除菌することができます。
また、早く洗濯物を乾燥させるために、扇風機や除湿機、お風呂の洗濯乾燥機を使用すると良いでしょう。
今回、浴室乾燥機の電気代を計算しましたが、3時間で100円程度でした。
機種にもよりますが、計画的に使用するこで生乾きのニオイもだいぶ押さえる効果があります。
それぞれの家庭にピッタリの、臭わない洗濯物の干し方を見つけてくださいね。