引越しに伴う車の手続きを漠然と複雑でめんどくさいと感じている方も多いと思います。しかし、整理してまとめてみると、そう複雑なものでもありません。面倒と感じている手続きほど後回しにしてしまい、日にちが経てば経つほどどんどん億劫になってしまうものです。しまいには、記憶の彼方に消えてしまうことも…。
今回は、引越しによる車の手続きについてわかりやすくまとめていきます。面倒な引越しによる車の手続きをさっさと済ませ、スッキリしちゃいましょう!
引越し前に準備しておきたい車の手続き
まずはじめに、引越しによる車の手続きを完璧にこなすために、引越し前から準備しておきたい手続きについてみていきましょう。
■ 1.引越し前の駐車場の解約
引越しをする前に、旧住所で契約していた駐車場の解約も忘れずに行いましょう。
駐車場の解約をするためには、その駐車場を管理している管理会社へ連絡し、解約の手続きの指示を仰ぎます。なお、解約日は解約の旨を伝えたい翌月末となることが多いため、連絡が遅れると解約日が遅れ、余分な料金が発生してしまうことがあります。引越しが決まったら早めに管理会社へ連絡をいれましょう。
■2.新しい駐車場の契約
① 駐車場の契約は引越し前に
車を所有している場合、荷物だけでなく車の引越しも必要です。車を引越しさせる上でまず確保しておきたいのが、車を置く場所…つまり、駐車場です。
駐車場は、引越し先が決まったらあわせて探しておくのが理想です。特に都市部では、希望しているエリアに駐車場の空きがないということもしばしば。駐車場を探すのが遅くなればなるほど、焦りが募ってしまうものです。駐車場の契約手続きはなるべく早めに済ませておくと安心です。
② 車庫証明の住所変更手続きに必要!
引越しによる車の手続きに必要な手続きのひとつに車庫証明の住所変更があげられますが、そもそも車庫証明とは、駐車場を証明する書面のことです。つまり、駐車場契約がルールに則ってきちんとなされていないと、車庫証明の住所変更手続きができません。
車庫証明の住所変更手続きは、引越しをしてから15日以内に行うのが原則。住所変更を怠ってしまうと法律違反となり、罰金が科せられてしまう可能性もあるのです。
③ 駐車場を選ぶときのルールとは?
駐車場を決めるとき、気に入ったらどこでもOK!…というわけではありません。駐車場は車庫証明を申請するために、一定の条件を満たしている必要があります。
車の保管場所(駐車場)の条件は、「自動車を使用する人の自宅から駐車場まで、直線距離が2mを超えないこと」「車に乗り降りができるスペースがあり、車全体が収容でき、駐車場から道路へ出入りが問題なくできること」などがあげられます。どれもそう難しい条件ではありませんが、駐車場を決める際は確認をしておいた方が安心でしょう。
■3.必要書類を用意しておきましょう
引越しによる車の手続きを行うとき、手続きをスムーズに行うために、必要な書類をあらかじめ揃えておく必要があります。中でも、引越し前までに準備をしておきたい書類は下記の通りです。
・保管場所使用権原疎明書面または保管場所使用承諾証明書
・所在図・配置図
上記2点の書類は、車庫証明の住所変更手続きをするために用意しておくべき書類です。駐車場が自己単独所有の場合は「保管場所使用権原疎明書面」、それ以外の場合は「保管場所使用承諾証明書」が必要です。駐車場を借りる場合は、駐車場の管理会社に発行してもらいましょう。
これらの書類が揃っていないと、車庫証明の住所変更手続きが行えないこともありますので注意が必要。手続きをスムーズに行うために、引越し前までにしっかり揃えておくと安心です。
引越し時に必要な車の手続き5つ
次に、引越し時に必要な車の手続きをまとめていきます。慌ただしい引越し作業の中、もれなくスムーズに手続きが行えるよう、しっかりチェックしていきましょう。
■1.運転免許証の住所変更
引越しで住所が変わったら、運転免許証の住所変更手続きを行いましょう。運転免許証は身分証明書としても大変役立ちますので、引越し後は早めに住所変更をしておくのをおすすめします。
① 手続き場所
運転免許証の住所変更手続きは、新しい住所を管轄している警察署で手続きを行うのが便利で一般的でしょう。警察署のほかにも、運転免許センターや運転免許試験場でも手続きを行うことが可能。家の近くに運転免許センターや運転免許試験場がある方は、そちらで行った方が確実かもしれませんね。
ただし、運転免許センターや運転免許試験場は、運転免許取得の申請や更新の手続きに来ている人たちで混み合っていることも。手続きを手早く済ませたいのであれば、警察署で行うのが1番手っ取り早いでしょう。
② 必要書類
運転免許証の住所変更手続きに必要な書類は下記のとおりです。
・運転免許証記載事項変更届
・新しい住所が確認できるもの(住民票(発行日より1ヵ月以内)など)
・運転免許証
・印鑑(認印可)
・申請用写真(1枚)
運転免許証記載事項変更届は、警察署や運転免許センターや運転免許試験場に用意されていますので、当日記入すればOKです。申請用写真は必要がないことも多くありますが、住所の都道府県が変わる場合には必要となることがありますので、もう一度足を運ぶことになってしまわないよう、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
③ 費用
運転免許証の住所変更手続きに手数料はかかりません。
■2.自動車保管場所証明書(車庫証明書)の申請
車庫証明書の住所変更は、運転免許証の住所変更とあわせて行っておきたい手続きです。車庫証明書は次に行う車検証の住所変更などの手続きを行う際に必要となりますので、早めに済ませておきましょう。
なお、軽自動車の場合は車庫証明が必要な地域と不要な地域があります。
① 手続き場所
車庫証明の手続き場所は、車庫の所在地を管轄する警察署です。
② 必要書類
車庫証明の手続きに必要な書類は下記のとおりです。
・申請書(普通車の場合は、「自動車保管場所証明申請書」、軽自動車の場合は、「自動車保管場所届出書」)
・「保管場所使用権原疎明書面」または「保管場所使用承諾証明書」
・所在図・配置図
・印鑑(認印可)
車庫証明の申請書は、警察署に用意してありますので当日記入しましょう。
③ 費用
車庫証明書の住所変更手続きにかかる手数料は、地域によって異なりますが、おおよその金額は下記のとおりです。
・申請手数料 約2,000円
・標章交付手数料 約500円
■ 3.自動車車検証の住所変更
車庫証明書の住所変更手続きが済んだら、今度は車検証の住所変更手続きを行います。車検証とは、その自動車が保安基準に適合していることを証明するもので、引越しをしたら登録されている住所を変更する必要があります。
① 手続き場所
普通車は新しい住所を管轄する陸運支局、または自動車検査登録事務所。軽自動車は軽自動車検査協会で手続きを行います。
② 必要書類
自動車車検証の住所変更に必要な書類は下記のとおりです。
・車検証
・申請書
・手数料納付書
・新しい住所が確認できるもの(住民票(発行日より3ヵ月以内)など)
・印鑑
・自動車保管場所証明書(警察署による証明の日から40日以内のもの)
・自動車税・自動車取得税申告書
申請書や手数料納付書、自動車税・自動車取得税申告書はその場で入手することができますが、運輸支局などのホームページからダウンロードして事前に準備しておくことも可能です。
③ 費用
車検証の住所変更手続きの手数料は、検査登録印紙代350円です。
■4.ナンバープレートの変更
自動車車検証の住所変更手続きが完了したら、次にナンバープレートを変更します。管轄の運輸支局や軽自動車検査協会が変わらない引っ越しの場合でも、住所変更の手続きは必要です。
① 手続き場所
ナンバープレートの変更は、新しい住所を管轄する陸運支局、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きを行います。
② 必要書類
ナンバープレートの手続きに必要な書類は下記のとおりです。
・住民票(発行日より3ヵ月以内)
・車検証
・車庫証明書(発行日より概ね1ヵ月以内)
・手数料納付書
・自動車税・自動車取得税申告書
・申請書
・ナンバープレート
手数料納付書、自動車税・自動車取得税申告書、申請書はその場で当日記入すればOKです。軽自動車の場合、車庫証明は地域によって必要だったり不要だったりするため、車庫証明書は不要です。
普通車の場合、ナンバープレートは封印の必要があるため、車体ごと持ち込みが必要。軽自動車の場合は封印がないためナンバープレートを外して持っていきましょう。
③ 費用
ナンバープレートの料金は、地域と種類によって異なります。ナンバープレートには、普通のタイプのペイント式と、光るタイプの字光式のものがあります。費用の相場は下記のとおりです。
・ペイント式
一連番号
1,400〜1,900円
希望ナンバー
3,100〜4,400円
・字光式
一連番号
2,800〜3,200円
希望ナンバー
4,000〜4,700円
■ 5.自動車保険の住所変更手続き
引越しをして住所が変更したら、自動車保険の保険会社に住所変更の旨を伝えましょう。自動車保険の住所変更手続きは、自動車車検証の住所変更を済ませてから行います。
自賠責保険の場合は、新しい車検証と自賠責保険証のコピーを持参して保険会社の窓口へ。もしくは、郵送でも手続き可能です。
任意保険の場合は保険会社によって手続き方法が異なりますので、問い合わせてみましょう。
手続きする時の注意点
引越しによる車の手続きを行うにあたって、いくつかの注意点がありますので確認していきましょう。
■1.必要なものをきちんと揃える
引越しによる車の手続きには、それぞれの手続きに必要なものがあります。必要なものが揃っていないと、手続きを進めることができません。
特に警察署や陸運支局などへわざわざ出向く必要がある手続きに関しては、何度も足を運ぶことになってしまっては大変面倒ですよね。必要な書類はあらかじめしっかりと確認し、準備しておきましょう。
■ 2.手続きの期限に注意
車庫証明、車検証、ナンバープレートの住所変更手続きは、法律上、住所変更日から15日以内に手続きを済ませる必要があります。15日過ぎたらすぐに罰則!…というわけではありませんが、罰則が科せられる可能性もありますので早めに済ませましょう。
運転免許証や自動車保険の住所変更は特別に期限はありませんが、手続きが遅れるとさまざまな不都合が考えられますので、すみやかに行うようにしてくださいね。
■ 3.土日祝日の手続きは難しい
警察署では、基本的には土日祝日の運転免許証の住所変更手続きはできないと考えて良いでしょう。一部の運転免許試験場などでは手続き可能な場合もありますので、どうしてもの場合は確認してみると良いでしょう。
また、陸運支局や軽自動車検査協会は、基本的に土日祝日が休みとなっています。平日の手続きが難しい場合は、代理人による手続きを検討してみましょう。
代理人でも可能?
前述のとおり、警察署や陸運支局などは土日祝日の受付は難しいです。お仕事などの関係で平日に手続きを行うことができないという方もいらっしゃるでしょう。それでは、引越しによる車の手続きは代理人でも行えるのでしょうか。それぞれの手続きごとに確認していきましょう。
■1.運転免許証の住所変更手続き
運転免許証の住所変更手続きは、代理人による申請が可能です。代理人による申請の場合、申請に必要な本人の運転免許証や住民票などと併せて代理人の本人確認書類、委任状を準備しておきましょう。委任状はインターネット上でフォーマットをダウンロードしても良いですし、必要事項を手書きで記入して作成しても良いでしょう。必ず委任する本人が書くようにしましょう。
■2.自動車保管場所証明書(車庫証明書)の住所変更手続き
車庫証明書の住所変更手続きは、代理人による申請が可能です。車庫証明書の住所変更手続き場合、委任状がなくても手続き自体は可能です。
ただし、委任状を準備しておけば書類の軽いミスであれば代理人がその場修正できますが、委任状がない場合は本人しか修正できません。保管場所使用承諾証明書や所在図・配置図などと併せて、できれば委任状を準備しておきましょう。代理人の本人確認書類も忘れずに。
■3.自動車車検証の住所変更手続き
自動車車検証の住所変更手続きは、代理人による申請が可能です。代理人による申請の場合車検証や車庫証明書などと併せて代理人の本人確認書類、委任状が必要です。なお、車のローンが残っていて使用者と所有者が異なる場合も委任状が必要ですので、車検証の所有者欄をあらかじめ確認しておきましょう。
■ 4.ナンバープレートの変更手続き
ナンバープレートの変更手続きも、代理人による手続きが可能です。自動車車検証の住所変更手続きと併せて行いましょう。
まとめ
引越しによる車の手続きは、土日祝日に行うことができないため、仕事などで平日に出向くことができない方にとっては大変面倒に感じるでしょう。そんなときは、代理人が手続きを行う方法も検討してみましょう。必要な書類をしっかり揃え、期限を守って手続きを済ませてくださいね。