お風呂場やキッチンで見る小さなハート型のハエは、チョウバエと言います。水場で時々見ますよね。
水やシャワーをかけて退治しようとしても気配を接して飛んでいってしまいますよね。ハエたたきで叩こうとしても、あまりの小ささのために風圧で飛んでいってしまうこともあります。
実はチョウバエは放置しておくと、人間に寄生する「ハエ症」という恐ろしい病気の発生源にもなるんです。
ここでは自分でできるチョウバエの駆除方法と、プロに頼んだ時の相場について調べてみました。
チョウバエの生態
チョウバエは小さなハエで、油汚れが残っているキッチンや、アカやヌメリがたまった風呂場にいます。水回りが大好きなので、洗面所やトイレ、風呂、台所で見ることの多いハエです。
オオチョウバエとホシチョウバエという種類がいますが、生息する場所も駆除方法も、どちらも同じです。
オオチョウバエが多く、大きさは大きくても5ミリ程度で、4月から12月に見かけますが温かい場所であれば冬でも生息しています。
ホシチョウバエは1ミリ程度で、オオチョウバエと同様に温暖な地域であれば一年中見かけます。
ジメジメしていて暖かく、汚れた水回りが好きで、石鹸カスや皮脂等の油汚れの中に卵を生みます。幼虫(ウジ虫)もどろどろした汚れの中で育ちます。
チョウバエの寿命
卵から2日で幼虫(ウジ虫)になります。
ウジ虫の状態を約2週間続けて、その後にサナギになります。
サナギは3日から4日で成虫となり、コバエの状態になります。
成虫でいるのは2周間程度で、その間に卵を200個から300個生みます。
一生は20日から30日という短いライフサイクルなので、駆除も本気になれば簡単です。約1ヶ月、本気になって駆除すれば確実に全滅できますよ。
チョウバエの駆除方法10選
■1 排水口を掃除
チョウバエ駆除の第一歩は、水回りの「掃除」です。
チョウバエは便所バエとも呼ばれていて、汚くて水のある場所に住み着きます。チョウバエ駆除をする場合は、まずチョウバエが住みそうな場所を徹底的に綺麗にしてください。
髪の毛や石鹸カス、皮脂汚れがお風呂の排水口まわりにたまっていないでしょうか。
野菜クズを寝る前に毎日捨てているでしょうか。
毎日きちんと掃除しているのにチョウバエが発生してしまうという場合は、塩素系漂白剤を水で薄めたものを排水口に流してみましょう。排水口まわりが黒カビで汚れていたら、塩素系漂白剤を原液でスプレーします。
塩素系漂白剤を使用する時には、手についたり吸い込んだりしないように、マスクや手袋を忘れないでください。
このように徹底的に掃除して、除菌することで、チョウバエが卵を産めない環境にするのです。
忘れがちなエプロン
チョウバエが発生しがちな場所で、掃除し忘れがちな場所が浴槽の「エプロン」です。お風呂場のエプロンとは、ユニットバスの湯船の横にある蓋のことです。浴槽の側面部分のことで、実は簡単に取り外しができるのです。
シロウトでは取り外せないと思っていたり、外せることを知らなかったりして、何年もエプロンを外さないでそのままにしていると、髪の毛やアカ、皮脂汚れ、石鹸カス、黒カビがたまってヘドロ状になっています。この中にチョウバエが卵を産んで巣にしている可能性があるのです。
■2 幼虫用駆除剤
チョウバエが家の中を飛んでいるということは、家の中にチョウバエの卵が産み付けられている危険性があります。チョウバエは200個から300個の卵を生むので、チョウバエを1匹見たら、卵や幼虫(ウジ虫)の駆除対策をしましょう。
ウジ虫を退治するには、「昆虫成長制御剤」を使います。「IGR剤」とも呼ばれていて、昆虫がそれ以上成長できなくする殺虫剤なのです。チョウバエは成長できずに死んでしまいますが、人間やペットは体が大きいので影響はほとんどありません。
家の周辺の側溝や、下水溝、水たまり用の「昆虫成長制御剤」には三井化学アグロ株式会社「デミリン発泡錠」があります。台所やお風呂場の排水管用には、環境機器株式会社の「コバエ用ムースBIG」があります。
■3 薬剤が使えない所は市販のハエ取りリボン
キッチンまわりや、子どもやペットがいる場合はスプレー式の殺虫剤が使えませんよね。そんな時は昔ながらのハエ取りリボンを使ってみましょう。
ハエ取りリボンは殺虫剤を使っておらず、ハエを呼ぶための誘引剤も使っていません。ハエはどこにでも止まるという習性を活かした製品なので、身体に優しいのです。
ハエ取りリボンは有効ですが、次々にわいてくるチョウバエを捕まえることしかできません。ハエ取りリボンでチョウバエの成虫を駆除している間に、チョウバエ発生の元になっている場所を綺麗に掃除しましょう。チョウバエの寿命は20日から30日なので、一ヶ月後には完全に駆除できますよ。
■4 飲食店は熱湯とライトトラップ
一般家庭や、鶏小屋や家畜小屋であればハエ取りリボンが使えますが、飲食店ではちょっとカッコ悪いですよね。お客様にハエを駆除している様子を知られたくない飲食店のような場所は、「熱湯」と「ライトトラップ」でチョウバエを駆除しましょう。
昆虫は急激な温度変化に弱いので、全身に1秒以上熱湯を浴びると即死します。キッチンにチョウバエが出てきたら、熱湯をかけて退治してください。火傷しないように注意が必要です。
熱湯をかける時に、チョウバエが気配を察して飛んでいってしまうことがあります。そのような場合は「ライトトラップ」を使ってみましょう。電撃殺虫器や捕獲器、誘蛾灯、誘虫灯などという名前でも販売されています。
チョウバエは明るい場所に集まってくる習性を利用したトラップですが、ライトだけでなくライトと一緒に大きなハエ取りリボンがついているのもあります。
■5 浄化槽には発泡錠と微生物製剤
トイレから出る排水や、キッチンやお風呂場、洗面所から出る排水を処理するための設備を「浄化槽」と言います。浄化槽の中に発泡錠タイプの「幼虫用駆除剤」や「微生物製剤」を入れることで、チョウバエの発生をストップさせることができます。
発泡錠タイプの「幼虫用駆除剤」には、「デミリン発泡錠」や「スミラブ発泡錠ミニ」があります。「微生物製剤」には、「無臭元LL」や「雑排槽無臭元」、「浄化槽無臭元」があります。
家の周辺にマンホールのようなものがあったら浄化槽の蓋かもしれません。浄化槽の場所がよくわからない場合は、家を建てたメーカーや住んでいる地区の水道局などに問い合わせてみてください。
■6 大量発生にはバルサン
部屋の中に大量発生してしまい、手がつけられない時にはバルサンなどの燻煙剤を炊きましょう。
マンションや集合住宅では、煙の出る燻煙剤だと警報機が鳴る場合があります。そのような時には煙の出ないノンスモークタイプを使用すると火災報知器も反応しません。
バルサンと似ていますが、お風呂の防カビ燻煙剤ではチョウバエは駆除できませんので、買う時に気をつけてください。
同じバルサンのブランドで「バルサン うじ殺し乳剤」という液体があります。液体で、5倍から200倍に薄めてゴミ捨て場や水たまりにスプレーする製品です。
■7 チョウバエ駆除用スプレー
KINCHOの「チョウバエコナーズ」に代表されるチョウバエ用の駆除スプレーは、見た時に少しずつ使うのではなく、1本を一気に使うのがコツです。
チョウバエ自体も5ミリ程度で非常に小さく、卵やウジ虫も小さいので、眼で確認しにくいサイズです。そのため、スプレーする時には排水口まわりや、浴槽のエプロン内など水回りに一度に1本を使い切るようにして散布してください。
キッチンの排水口と、洗面所の排水口、浴槽のエプロン内と排水口にスプレーします。まだ中の薬品が余るようでしたら、スプレーヘッドを取ってそのまま流すと効果があります。
■8 めんつゆトラップ
簡単に自分でできるコバエ退治グッズとして知られるめんつゆトラップですが、実はチョウバエには効果がありません。めんつゆトラップは、ショウジョウバエにしか効かないのです。
しかし、小さなハエがチョウバエなのか、ショウジョウバエなのか、見ただけではわかりませんよね。もしかしたらショウジョウバエかもしれないので、めんつゆトラップを数日置いてみましょう。
めんつゆに、キッチンで使う洗剤を数滴たらせばコバエを撃退できる「めんつゆトラップ」の完成です。早い場合は半日でコバエが中に落ちて死んでいます。
ペットボトルの底のほうを3センチほどの高さでカットしたものや、豆腐やいちごが入っていたプラスチックの入れ物に、底がかくれる位めんつゆを入れます。
めんつゆと水の比率は1対1から1対5程度です。そのままでも良いのですが、もったいないので薄めて使っている人が多いですね。
洗剤は数滴で効果があります。めんつゆの上に洗剤の模様がつく程度で大丈夫です。
ネコなどペットがいる場合や、子どもが間違って飲んでしまいそうな場合は、めんつゆトラップの置き場所や置き方に注意してください。
■9 排水口用の発泡剤
チョウバエは排水口のヌメリが大好物なので、チョウバエ用の発泡剤でドロドロしたヌメリや油汚れを取ってしまいましょう。ヌメリの中に産み付けられた卵や、ウジ虫、サナギなどを一掃することができます。
KINCHOの「業務用チョウバエバスター」は、一般の薬局でも購入できるチョウバエ用の発泡剤です。中身はエトフェンプロックスという人や犬、ネコ、鳥には毒性が非常に低い殺虫剤と発泡剤、酸素系漂白剤が一緒になったものです。
25グラムずつの小分けになった粉末なので、キッチンとトイレ、洗面所、風呂場の排水口と、それぞれに使用することができます。
■10 コバエ用ムース
排水管の中が油や皮脂汚れでドロドロに汚れている場合、一度や二度洗剤を流した程度では全く汚れが落ちない場合があります。長年ついた油汚れは1日では落とせないので、とりあえずムース状の殺虫剤を排水管にスプレーしましょう。
ムース状なので排水口の中に長時間とどまりやすく、効き目も普通の液体殺虫剤よりも長時間持続します。排水口だけでなく、三角コーナーやゴミ箱、浄化槽の蓋などにもスプレーできます。
チョウバエの駆除を業者に頼んだ場合の料金相場
チョウバエ専門駆除という資格や仕事は無いので、プロに駆除を頼むとしたら「水回りクリーニング」で検索してください。チョウバエは水場の汚れに卵を産んだり、生息したりするハエなので、家の中の水回りを徹底的に綺麗にすることで全滅できます。
キッチンやお風呂、トイレ、洗面所の排水口や水回りを掃除して、4万円から5万円が平均的な相場です。業者によっては高圧洗浄機を使用して排水管の汚れまで取ってくれたり、天然素材を使った洗剤を使用してくれますので、相談してみましょう。
■チョウバエ駆除おすすめ業者|害虫駆除110番
業者に徹底したチョウバエ駆除を依頼するなら、他社との相見積もり歓迎の害虫駆除110番がおすすめです。
他社では別途請求されやすい薬剤代など、全ての項目を含めた金額提示で追加料金なし!もちろん見積もりは無料なので、候補に入れてチョウバエ駆除の優良業者を見逃さないようにしましょう。
ウジ虫が体内に寄生する恐ろしい病気「ハエ症」
チョウバエは人を刺したりしないので忙しいと放置してしまいがちですが、実は大変危険な害虫でもあります。
チョウバエの卵が人の鼻や口に入って、そのまま体内で育ってしまいウジ虫になって体の外に出てくる「ハエ症」という病気があります。大抵は大便と一緒に体の外に出ていきますが、膀胱に寄生したり、眼に寄生することもあります。
滅多に無い症状ですが、寄生されると非常につらい腹痛に襲われます。チョウバエを見たら小さいからといって放置せず、駆除するようにしましょう。
まとめ
今回はチョウバエの駆除について紹介しました。
チョウバエ用のスプレーや発泡剤、ムース剤なども出ていますが、何といっても一番は水回りを掃除することです。チョウバエは水があっても清潔な場所には住みたがりません。
チョウバエがいるということは、どこかにヘドロ状の汚れやヌメリがあるということです。大量発生していたら、とりあえず殺虫剤で退治して、それから発生源を掃除してください。