毎日の疲れを癒やすお風呂はなるべく快適にしたい物です。そんな明日への活力を生む浴室、お風呂に感謝を込めてリフォームを考えてみたものの、『相場がわからない』『どんな物が良いかわからない』と言う方も多いのではないでしょうか。
この記事では人気商品の特徴をご紹介すると共に、料金の概算をまとめました。
浴室・お風呂のリフォームの種類
浴室・お風呂のリフォームには、
『床・壁・天井・浴槽・水栓・給湯器などの部分的なリフォーム』
『浴室全体のリフォーム』
『水漏れの補修、手摺の設置といった修繕』
など、いくつかの種類があります。
近年では、
『浴室換気暖房乾燥機の設置』
『ジェットバスやジャグジー浴槽などの多機能浴槽の設置』
など、より安全で快適な空間へと変えることを目的にリフォームする方も増えているようです。
実施費用はユニットバスと在来工法の違いや、戸建住宅とマンションでもリフォームの方法や費用が異なりますが、今回の記事は主に戸建住宅の浴室リフォームを対象にしています。まずはユニットバスと在来工法の違いと、それぞれでリフォームをした場合の特徴をご紹介したいと思います。
『ユニットバス(システムバス)と在来工法の違い』と『メリット・デメリット』
ユニットバスとは?
『床・壁・天井・浴槽・シャワーなどの水栓金具がすべてセットになって、工場で生産された規格品の浴室』です。機能やデザインは住設メーカーや機種ごとに様々な商品があり、システムバスと呼ばれることもあります。
<ユニットバスのメリット>
ユニットバスのメリットは、工場で生産された部品を現場で組み立てて設置するだけなので、品質が安定していて、工事期間が非常に短くなります。また気密性が高く、断熱効果がある事や、水漏れの心配がほとんどない事、日々のお手入れやメンテナンスがラクなことなどです。
近年のユニットバスは機能面ばかりでなく、デザインや質感も向上していて、ひと昔前のユニットバスのイメージとは、かけ離れたものになっています。
<ユニットバスのデメリット>
ユニットバスのデメリットは、既製品なので在来工法の浴室と比べると自由度が低くなる点です。浴室のサイズ(広さ)や、天井の高さ、浴槽の種類、床・壁仕上げ材の種類や色、水栓金具などの選択肢が制限されます。
特にサイズは、戸建て用ユニットバスの場合は1216、1418、1616、1818、1620、1624(数字はユニットバスの幅と奥行の内法寸法を示しています。例:1616サイズの場合は、幅×奥行が1,600mm×1,600mm)など規格サイズの中から選定する必要があるので、在来工法の浴室からユニットバスに変更する場合には、通常のリフォームでは浴室の広さがひとまわり小さくなってしまいます。
また、浴室内部の壁面に凹凸があると、デットスペースが生じる様になります。
一方、在来工法の浴室とは、昔ながらのやり方で現場で職人が1から床や壁・天井を造作して、浴槽や水栓金具を自由に組み合わせて作る風呂の事をいいます。ユニットバスが国内に普及する前には、最もスタンダードな工法でしたが、現在はユニットバスが主流になっています。
<在来工法のメリット>
在来工法のメリットは、全てオーダーメードなので、壁や床の仕上げや浴室の広さ、カタチなどを自由に決めることができることです。壁を大理石貼りやヒノキの板張りにする、猫足のバスタブを設置する、ガラス張りの浴室にするなど、リゾートホテルや高級旅館のお風呂の様にすることも可能です。
自分だけのこだわりの空間にできるのが最大のメリットといえます。また、浴室内部に柱型や梁型があっても施工が可能です。
<在来工法のデメリット>
一方1番のデメリットは、ユニットバスと比べて、防水性が劣る点です。モルタルやタイル壁の在来工法の浴室は、経年劣化によるひび割れや隙間が生じやすいため、漏水による土台や柱の腐食が発生しやすくなります。当然、メンテナンス費用もかかってしまいます。
タイル目地の汚れやカビの発生など、日頃のお手入れにも手間がかかります。また断熱性も高くないので、床や壁がヒンヤリとして寒いのも気になります。冬場はヒートショックを引き起こす恐れがあり、断熱改修が必要になる事が多い様です。
ユニットバスと比べて、リフォームの工期がかかる事もデメリットになるでしょう。
ユニットバス、在来工法の他に、「ハーフユニットバス」というものもあります。ハーフユニットバスは、バスタブ(浴槽)と洗い場、壁の下部分(腰の高さあたりから下の部分)だけがユニットバスの様にセットになっています。
在来工法の浴室で欠点となる防水性を確保することができ、バスルームの壁の上部のデザインについては、好みの仕上げ材を選んで組み合わせることができます。天井高に制約があって、ユニットバスが入らない、勾配天井の浴室にしたいなどという場合でも使用できます。
もちろん壁や天井の素材選びは自由なので、ヒノキや大理石などの壁にしたり、天井に天窓などを設置することも可能です。
ユニットバスと在来工法の長所を併せ持っているのが特徴です。ただし、ユニットバスと比較して、取り扱っているメーカーや商品の種類が少ないので、選択の幅はそんなに多くはありません。
メーカー別人気ユニットバス7つと費用比較
近年では様々なメーカーからユニットバスが販売されていて、中にはリフォームに特化した商品もあります。一般的に各メーカーのユニットバスは、基本性能や特徴、価格帯によりシリーズごとに分かれています。
商品選定の際には、浴室の大きさを把握した上で適切なサイズを選択し、機能や価格帯、デザインを比較して選ぶ様にしましょう。在来工法浴室からユニットバスに変更する際には、浴室内の幅と奥行の内法寸法を測って、設置できる商品を探します。
戸建住宅の一般的な浴室であれば、1216サイズ(0.75坪)か1616サイズ(1坪)が多いでしょう。もちろん間仕切り壁を撤去すれば、サイズアップすることも可能ですが、工事は少し大がかりになります。
でははじめに、メーカーや商品別の特徴や価格をわかりやすくご紹介したいと思います。
■TOTOのユニットバス
トイレ、洗面器などの衛生陶器でお馴染みのTOTOですが、ユニットバスを最初に発売したメーカーでもあります。バリアフリーやユニバーサルデザインについての意識が高く、リモデル事業にも早くから取り組んでいて、リフォームに特化した商品も数々販売しています。
ユニットバスでは、冬暖かく、滑りにくく安全で、短時間でカラッと乾く「ほっカラリ床」や、浴槽断熱材と高断熱のふたにより、優れた保温性を発揮する「魔法びん浴槽」などを他社に先駆けて開発しました。
小さな子供から高齢者までが、安心して利用できるお風呂にしたい方におすすめします。
【TOTO】サザナ
毎日使う3つの機能に加え、掃除が楽なクリーンアイテムがプラスされた、戸建住宅向けのシステムバスルームです。
・お掃除ラクラク ほっカラリ床
・魔法びん浴槽+ラクかるふろふた
・エアインシャワー
・お掃除ラクラクカウンター
・お掃除ラクラク鏡
掃除のしやすさと保温性にこだわったユニットバスの王道ともいえる商品です。
対応サイズ:1624、1620、1717、1616、1317、1216、1818、1618、2020
◇価格の目安(1坪サイズ 税込):80万円~
【TOTO】シンラ
間接照明によるやわらかな光の陰影とこだわりのディテールで、心も身体もリラックスできる最高級のバスルームです。(マンション用もあります)
・セラミックウォール
・お掃除ラクラクほっカラリ床(モザイクタイル調)
・デッキ付き浴槽
・魔法びん浴槽+ラクかるふろふた
・コーニス照明・ダウンライト
・エアインシャワー
・お掃除ラクラク鏡
高級仕様ながら、掃除のしやすさにもこだわったTOTOらしい商品です。
対応サイズ:1620、1616、1418
◇価格の目安(1坪サイズ 税込):149万円~
■LIXIL(リクシル)のユニットバス
LIXILはトステム、INAX、新日軽、東洋エクステリア、サンウエーブ工業が統合してできた住生活グループ企業です。ユニットバスは「INAX」ブランドで展開していて、お掃除のしやすさにこだわったキレイサーモフロアやキレイ浴槽、キレイ鏡、キレイドア、くるりんポイ排水口や保温構造のサーモバスなどが特徴です。
先に紹介したTOTOと商品展開は同等と考えて良さそうです。様々なオプション機能を組み合わせて、使い勝手の良いお風呂にしたい方におすすめです。
【LIXIL】アライズ
くるりんポイ排水口やキレイサーモフロアなど従来の機能に、丸ごと壁から外せて洗える丸洗いカウンターなど、掃除のしやすさと使いやすさを追求したスタンダードな商品です。
・キレイサーモフロア
・くるりんポイ排水口
・キレイ鏡・キレイドア
・キレイ浴槽
・まる洗いカウンター
・サーモバスS
・プッシュ水栓
基本仕様の他に、数多くのオプション品を組み合わせることができるバリエーションの豊富さが魅力です。
対応サイズ:1624、1620、1616、1316、1216、S1216、S1818、1618、1318
◇価格の目安(1坪サイズ 税込) 75万円~
【LIXIL】スパージュ
湯をまとう、湯につつまれる、湯にうたれるなど、お風呂を愛することをコンセプトにしたLIXILの高級システムバスルームです。(マンション用もあります)
・エコフルシャワー
・キレイサーモフロア
・くるりんポイ排水口
・キレイドア、キレイ鏡
・サーモバスS
・2重構造壁パネル
・グランザ浴槽
高級ユニットバスにかかわらず、対応できるサイズが豊富です。
対応サイズ:1624、1620、1618、B1717、1616、1416、1318、1316、1216
◇価格の目安(1坪サイズ 税込):106万円~
■ノーリツのユニットバス
今ではガス給湯器メーカーとして有名な会社ですが、会社設立時には「さめないタイル風呂浴槽 能率風呂」を発売し、日本の家庭用浴槽のトップメーカーでした。浴槽を自動で洗浄してくれる「お掃除浴槽」や、浴室の増築をしなくても浴室内を+40cm広くできるユパティオヒロイ(Yupatio HIROI)出窓タイプなど画期的なアイデア商品を発売しています。
「お掃除浴槽」で毎日の風呂掃除を楽にしたい、おしゃれな壁の浴室にしたい、出窓付きの広い浴室にしたいなど、他とはちょっと違う浴室にしたい方におすすめします。
【ノーリツ】ユパティオ(Yupatio)
最大の特徴は、個性的な浴室にできる「ウォールデザイン」です。シンプルなものからポップなものまで幅広く選べて、その数は全30柄53色。また京都発のテキスタイルブランドSOU・SOUとコラボしたSOU・SOU×NORITZというパターンもあります。
浴槽の片側にベンチが付いた「らくエコバス」は、半身浴が可能です。
・らくエコバス
・ココロほぐし浴ゆるる(オプション)
・デイリーシャワー
対応サイズ:1216、1616、1620
◇価格の目安(1坪サイズ 税込) 78万円~
■タカラスタンダードのユニットバス
国内で初めてホーロー製のシステムキッチンおよびシステムバスを開発した企業として知られているタカラスタンダード。世界的に見てもホーロー製品の技術はトップクラスと言われています。同社のホーローはユニットバスでも使用されていて、浴槽だけでなく壁材にも使用されています。
浴室ホーローパネルは、サッとシャワーで流すだけでキレイになるばかりか、マグネットが使えるので自由に収納スペースが作れる便利さがあります。さらに、浴室の重さをしっかりと支え、安定感が抜群の「フレーム架台」を採用しているので、震度6強相当の地震でも大丈夫といいます。
また、サイズオーダーができるのもタカラだけ。浴室の設置スペースに合わせてサイズをオーダーできるので、デットスペースを有効に活用できます。他のメーカーにはない独自のメリットが多数あります。
>肌触りの良いホーローの浴槽にしたい、耐震対策万全の浴室にしたい、無駄なスペースを無くしてピッタリサイズの浴室にしたい方におすすめ
【タカラスタンダード】レラージュ
浴槽にはアクリル人工大理石のキープクリーン浴槽を採用。傷に強く、汚れが落としやすいのが特徴です。
・キープクリーン浴槽
・キープクリーンフロア
・ホーロークリーン浴室パネル
・耐震システムバス
対応サイズ:S1216、1616、1620 他サイズオーダーにも対応
◇価格の目安(1坪サイズ 税込) 74万円~
【タカラスタンダード】プレンデシアプレミアム
上質素材で仕上げたタカラの最高級システムバスです。温かさ、肌触りのなめらかさがある鋳物ホーロー浴槽など上質素材で仕上げたくつろぎ空間の浴室です。
・鋳物ホーロー浴槽
・高級人造石クォーツストーンカウンター
・キープクリーンフロア
・ホーロークリーン浴室パネル
・耐震システムバス
対応サイズ:S1216、1616、1620 他にサイズオーダーにも対応
◇価格の目安(1坪サイズ 税込) 133万円~
ユニットバス(システムバス)施工例と費用相場比較
上記でご紹介した各メーカーのユニットバスの価格は『定価の目安』です。実際にリフォーム会社から提示される見積金額は、商品の定価から2~4割程度割り引きされているのが一般的です。
割引率はリフォーム会社や住設メーカーによっても異なりますが、通常は同じメーカーの商品でも、高級グレードの商品ほど割引率が低くなることを覚えておくと良いでしょう。
ここでは、ユニットバス商品に工事費を加えたリフォーム費用の目安をご紹介します。
※在来工法の浴室からユニットバスに変更するリフォームでは『腐食した土台や柱の補修又は交換』が必要な場合も有り、その際は別途費用が発生します。
0.75坪サイズ(1216)のユニットバス
リフォームでは最も多いサイズです。ドーム天井になっているので、それほど狭さを感じません。浴室暖房換気乾燥機や引き戸を採用し、使い勝手にこだわった浴室になっています。
◇工事費込 約85万円
0.75坪サイズ(1216)のユニットバス
シンプルな0.75坪サイズ(1216)のユニットバスですが、人工大理石のラウンド浴槽がアクセントになっています。洗面器が置ける幅広のカウンターが特徴です。小さくても窓があると、明るい浴室になります。爽やかで清潔感のあるお風呂です。
◇工事費込 約70万円
1坪サイズ(1616)のユニットバス
石目調の壁パネルが高級感を演出しています。全体的にシックな色合いで、落ち着いた空間のお風呂になりました。
◇工事費込 約85万円
ハーフユニットバス
ハーフユニットバスを使えば、在来工法の浴室で欠点となる防水性を確保することができ、壁には無垢材や大理石、タイルなどの好きな素材を自由に選ぶことが可能です。
オーダーメイドユニットバス(ヒノキ)
オール天然木曽ヒノキのオーダーメイドユニットバスです。床も木曽ヒノキ材の直貼りの様です。カウンターの天板も、もちろん木曽ヒノキ。究極のユニットバスです。
◇価格はASKです。
アクセントパネルを使用した例
※写真は同様の施工をした例です。
気密性・断熱性が高く、掃除がしやすいのがユニットバスの最大のメリットです。1坪サイズ(1616)であれば、それほど狭さを感じることもありません。カウンターや壁1面のアクセントパネルは今やユニットバスの定番になりました。
◇工事費込 約100万円
アクセントパネルを効果的に使用した例
壁のアクセントパネルが全体を引き締めています。濃い目のアクセントパネルを用いると、アクセント効果が高まり、メリハリの効いた空間になります。シンプルでシャープな印象のお風呂です。在来工法の浴室からユニットバスへのリフォームでは、既存の窓を活かすことも可能です。
◇工事費込 約80万円
1.25坪のユニットバス
高級グレードの広々ユニットバスです。(1.25坪)ドーム型の天井や浴室暖房換気乾燥機、浴室用車いすに座ったままで全身シャワーが浴びられるシャワー・ド・バスなどオプション品満載です。入口には3枚引き戸を採用しています。ユニットバス施工にあわせて、浴室廻りの断熱改修や、耐震補強工事を行いました。
工事費込 約200万円
(※断熱工事、耐震補強工事別途)
在来工法浴室のリフォーム費用相場
現在ではユニットバスが主流になったとはいえ、在来工法の浴室もいまだに根強い人気を集めています。在来工法ならユニットバスでは採用することができない素材や浴槽を組み合わせて、オリジナルな空間を設計することが可能です。
しかし、浴室を丸ごとリフォームする場合には、工期が2週間以上かかってしまうこともあります。工期が長くなれば、当然工事費用も高くなってしまいます。そこでここでは在来工法浴室のリフォーム内容ごとに、その費用相場をご紹介したいと思います。
■在来工法浴室の浴槽交換リフォーム費用
『古くなった浴槽を新しいものに交換する』『保温性が良くお手入れのしやすいものにする』『より機能性の高い浴槽に交換する』『浴槽をサイズアップする』『浴槽をまたぎやすい高さに変更する』など、浴槽交換のリフォームも少なくありません。
浴槽には、大きく分けて『和式』『洋式』『和洋折衷』の3タイプがあります。
『和式』
和式は比較的狭い浴室にも設置可能ですが、深さがあるので膝をたたんで入浴するようになります。
『洋式』
洋式は広くて浅いため、仰向けの姿勢で入浴します。
『和洋折衷』
和洋折衷は、現在最も多いスタイルで、比較的ゆったりと入浴することができます。そして浴槽は、設置方法によって据え置き型と半埋込型、埋込型に分類できます。浴槽によって設置方法が限られることもあるので、プランに応じた浴槽を選ぶ必要があります。
また浴槽は素材の違いによってその特徴や値段も大きく違います。代表的な浴槽(間口1,200mm程度、半埋め込み型)の金額の目安は下記の通りです。
浴槽の材質 | 料金の目安 |
---|---|
FRP | 5~6万円 |
ステンレス | 10万円 |
人工大理石(ポリエステル系) | 10万円 |
高級人工大理石(アクリル系) | 15万円 |
鋳物ホーロー | 13~15万円 |
ヒノキ | 30~35万円 |
書く素材の特徴
■FRP浴槽
FRP浴槽は安価ですが、傷がつきやすく汚れやすいのがデメリットです。
■人工大理石浴槽
人工大理石浴槽は、肌触りが良く、見た目に高級感があって耐久性にも優れています。
■ステンレス、鋳物ホーロー
金属製のステンレスと鋳物ホーロー浴槽は、手入れがしやすくて、耐久性と保温性に優れています。
■ヒノキ
ヒノキ浴槽は天然木特有の香りと肌触りが魅力ですが、こまめなお手入れが必要です。
工事費用
浴槽の交換工事には『浴槽の代金』の他に『既存浴槽の撤去処分費用(約5万円)』と『浴槽取り付け費用(約5~6万円)』で、合計約10万円前後の工事代金がかかります。
■在来工法浴室の内装リフォーム費用
在来工法の浴室のリフォームに至る理由としては『タイル目地の汚れやカビの発生』『タイルの割れ』『壁仕上げ材の汚れなどが生じて部分的に内装リフォーム』などのケースもあります。
従来は、タイルなどの仕上げ材の貼り替えに、工事期間や工事費用を要することが多かったのですが、現在は既存の仕上げ材の上から重ね貼りできる専用の化粧フィルムやパネル、床のシートなどが普及しているので、安価で手軽にリフォームできる様になりました。
各費用の参考価格は下記の通りです。
■在来工法の浴室の壁を化粧パネル貼りに変更
『工事費:約10万円』+『材料代:約5~6万円』= 約15~16万円
(工事費内訳:既存の壁の解体撤去:約5万円、下地処理:約2万円、パネル取付費:約3万円)
※既存の壁の解体撤去が不要な場合は約8~9万円でリフォーム可能です。
工期は既存の壁を解体撤去する場合で2~3日間、解体撤去が不要な場合は1~2日間です。壁パネルは、今まで在来浴室の欠点だった防水性や保温性に優れています。(参考商品:フクビバスパネル)
■床面のシート貼り
工事費:約2万円 + 材料費:約3万円 = 約5万円
今まで冷たかったタイルの床を、温熱性や防滑性、衝撃吸収性に優れた床に改善できます。(参考商品:東リ バスナシリーズ)
■在来工法浴室全体リフォームの費用
在来工法の浴室にリフォームする一番の目的は、オリジナルデザインで自由にリフォームすることにあると思います。それだけにリフォーム費用は、こだわった分だけ加算されていきます。デザインや素材にこだわると、200万円から500万円ほどかかることもあるでしょう。
費用は最低でも100万円以上、最も多い価格帯で150万円前後が目安だと考えておいて良いと思います。工期は2週間ほどみておきましょう。
工事には『既存の床・壁・天井・浴槽などの解体撤去』の他『配管工事や床・壁・天井の下地工事及び仕上工事』『防水工事、浴槽、ドア、水栓金具、給湯器、照明器具、換気扇などの商品代』がかかります。これらの仕上材や商品の種類、グレード、機能などによって、費用は大きく変わります。
一方、在来浴室のリフォームでは、工事中に浴室周囲の土台や柱の一部で腐食が見つかることも珍しくありません。多くは漏水や湿気が原因ですが、土台の補修や柱の根継ぎ、補強などで思わぬ費用が発生することもあります。工事費の10%前後の予備費をあらかじめみておくことが必要です。
また、併せて壁や天井に断熱材を入れて、浴室全体の断熱効果を高めることもできます。こうした見えない部分に手を加えることで、より快適な浴室空間に改善できる点が全体リフォームの利点です。
浴室・お風呂のリフォーム費用を安く抑えるコツ3つ
① 在来浴室からユニットバスに変更する
在来浴室のリフォームでは、比較的安い費用で見た目を新品のユニットバス風の浴室に変えることも可能です。既存の浴槽を交換し前述した内装リフォームを併せて行って、水栓金具を交換すれば、わずか1週間程度でユニットバス風の浴室が完成します。費用は50万円前後です。
配管や構造躯体には手を加える事ができませんが、比較的築年数が浅く、傷みが少ない場合には有効な方法だと思います。
② 塗装する
また、元の浴槽がFRPやホーローの浴槽であれば、浴槽交換の代わりに塗装などの費用を抑えた再生方法もあります。作業は1日で費用は10万円程度です。浴槽を交換するよりも20万円以上安くなります。しかし、作業には技術を要するので、実績のある専門業者に依頼するようにしてください。
塗装面の下地処理を入念に行わないと、塗膜の剥がれや亀裂などの不具合が発生してしまうことがあります。
③ 浴槽を自分で購入する
他には、インターネットで浴槽を安く購入して支給することで、費用を抑える方法があります。しかし浴槽には勝手があるので、誤った商品を購入すると設置ができない場合があります。専門家のアドバイスを受ける様にしましょう。
また、リフォーム会社によっては支給品を受け付けていないこともあるので、事前にリフォーム会社に相談する必要があります。
浴室・お風呂で使える助成金
浴室・お風呂のリフォーム工事では、一定の条件を満たせば国や地方自治体の補助金や補助制度を利用することができます。
代表的なものに、介護保険制度があります。家族に要支援、要介護認定を受けている人がいることが条件になりますが、浴室入口の段差解消や手すりの取り付けなどが対象工事となり、最大で20万円まで支給されます。
また昨年の例だと「住宅ストック循環支援事業」の補助制度というものがありました。この補助金は、省エネに関するリフォームである
➀開口部の断熱
➁外壁、屋根、天井または床の断熱
➂エコ設備の導入
の3つのうちいずれかを必須としていて、そのいずれかを行えば、耐震やバリアーフリー、劣化対策まで幅広く補助金の対象になりました。
■浴室リフォームで対象になるケース
➂のエコ設備の導入で『高断熱浴槽』『高効率給湯器』『節湯水栓』の3種を設置すれば、上記の必須工事と併せて行う手摺の設置や段差解消などのバリアーフリー工事も補助対象になります。
最新のユニットバス(システムバス)は高断熱浴槽を標準採用している事が多く、ガス給湯器はエコジョーズへ交換し、手元止水機能または小流量吐水機能を持つシャワー水栓を採用すれば➂の要件を満たす事ができました。すると、浴室に設置する手摺や出入口の段差解消も補助金の対象になったのです。
昨年度の受付分はすでに終了していますが、各自治体では似たような補助金制度を設けているところもあると思います。一度各自治体の窓口やホームページなどで確認してみると良いでしょう。
他にも、浴室の省エネ、バリアフリーリフォームを行うと、所得税の控除や固定資産税の減税などの税制優遇が受けられます。税制優遇措置を受けるためには様々な要件があるので、事前に良く調べておくと良いと思います。
いずれも確定申告や市区町村への申告が必要です。
まとめ
浴室は湿気が多く、水回り部分の中でも特に劣化しやすい場所です。また、一昔前の在来工法の浴室では、防水不良による漏水が起きやすく、柱や土台が腐食してシロアリ被害にあっている可能性もあります。そして古いユニットバスでは、壁パネルに化粧鋼板が使用されていたので、錆が発生しているのも度々目にします。
近年では、浴室内でのヒートショックの事故が増えていることもあり、予防策として断熱効果を高めるためのリフォームや、浴室暖房機器設置による温度管理の必要性も高まっています。ヒートショック対策に加え、脱衣所と浴室の段差を解消することや、浴槽のまたぎ高さを低くすること、さらには床材を滑りにくい材料に変更することなども、浴室リフォームでは欠かせません。
この様に浴室リフォームでは、単に美観を良くするばかりでなく、安全性や快適性が常に求められています。また、浴室をリフォームする際には、既存の配管が使えるかどうかの判断も必要になります。
浴室のリフォームには『ユニットバス(システムバス)に変更する方法』と『在来工法の大きく2通りの方法』があることはこれまでご紹介した通りですが、それぞれ異なるメリットとデメリットがあるので、どちらが良いとは一概にはいえません。
自分の要望を実現するには、どちらのリフォームがベストなのか、迷ったらこの記事を参考に、信頼できるリフォーム業者に相談してアドバイスを受けながら進めるのが望ましいでしょう。