誰もが毎日使用するトイレ。トイレは住まいの中でも欠かせない空間です。近頃のトイレリフォームでは、機能性やデザイン性にこだわった居心地のいい快適な空間が求められる様になりました。
一方、トイレのリフォームには、わずか1坪にも満たない狭い空間にも関わらず、解体工事や天井・壁・床の造作工事、給排水や電気、換気などの設備工事など、多くの工種が必要になります。
また、トイレのリフォームの際には、バリアーフリーについても検討する必要があります。
床の段差解消はもちろん、手摺の取り付けや、ヒートショック対策など、高齢者対応も求められることが増えています。
今回は、トイレのリフォームをご検討中の方に、費用や商品情報などをご紹介いたします。
トイレリフォームの施工別費用と相場

トイレの改修工事の見積もりは、採用する便器の単価を中心に既存便器の撤去費、床・壁・天井の改修費、換気扇、ドアや窓など開口部の工事費、配管、電気工事費から構成されます。
実際にトイレリフォームを行った事例では、
最も多かったのが61万円~80万円、
次いで21万円~40万円、
41万円~60万円と続き、
全体の約8割を占めるのが21万円~80万円、
というデータもあります。
ここではトイレリフォームの工事ごとに、施工費用を詳しく見ていきましょう。
■便器交換と価格相場
【交換の目安】
便器の取り換えは20年程度が目安になります。タンクからの水漏れや給排水管の詰まり、腐食などがあったらそろそろ交換の時期です。便器を交換する場合には、既存の便器の解体撤去費、排水管の移設工事費、便器の取り付け費と床面の工事が必要になります。
【値段の目安】
便器の値段はメーカーや機種によっても異なりますが、リフォーム会社の見積もり価格の目安は一般的に定価の20%~40%引き程度です。便器の目安価格はリフォーム会社の見積もり価格で、普通便座のシンプルな便器で5万円~、温水洗浄便座が付いたスタンダードな便器が10万円~、高性能タイプのもので15万円~が目安です。
工事費は6万円~7万円程度(諸経費込)になります。
【和式から洋式へのリフォームも】
また、和式トイレの段差を解消して洋式トイレに変更するリフォームもあります。和風便器を撤去し床の段差を解消、新たに洋風便器を設置するために給排水管の移設や電気工事、床・壁工事を行います。リフォーム費用は採用する便器によって大きく異なりますが、工事代の目安は15万円(諸経費込)位なので、便器の代金を入れて30万円前後を見込んでおくと良いでしょう。
■天井・壁の張り替えと価格相場
既存のトイレを撤去すると、それまで見えなかったタンクの背面の壁や、便器の後ろの床の汚れが気になるものです。せっかくトイレのリフォームをするなら、天井、壁も綺麗にしておきたいものです。ビニールクロスの貼り換えなら、30,000円程度(諸経費込)でリフォームできます。
トイレの壁材選びで注意したいのは、水に強い壁材を選ぶことです。その点で、ビニールクロスなら一応安心です。また、ビニールクロスの中には消臭効果のあるものや、防カビ・汚れ防止機能のある機能壁紙もあります。通常の量産品クロスよりも若干値段は高くなりますが、トイレは狭い空間なので、差額はごくわずか(数千円)です。できれば機能壁紙を選ぶ様にしましょう。
また、調湿・脱臭機能のある壁材(LIXIL エコカラット 定価5,800円/㎡~ など)を壁一面のみに採用するのが近年のトレンドになっています。
■床の張り替えと価格相場
床材の貼り換えは、便器を交換するのなら必ず併せて行っておきたいもの。施工面積が小さいので工事費は割高になってしまいますが、最もポピュラーなクッションフロアーであれば10,000円(諸経費込)以内で施工可能です。
もちろん、フローリングやコルクタイルなどの床材に変更することも可能ですが、できるだけ水に強い素材にした方が長持ちします。
■トイレのドア・手洗いカウンター・照明器具などの施工と価格相場
■ドアのリフォーム
トイレのリフォームでは、ドアの交換やトイレ内に手洗い器の新設、照明器具の交換などを併せて行うケースが増えています。ドア交換では、老後の使い勝手などを考慮し、開き戸から引き戸に変更するケースも少なくありません。(ただし、現状の間取りによっては不可能なケースもあります)
◯オススメのトイレ壁リフォーム
中でも控え壁の工事が不要な外付けタイプの引き戸(アウトセット引戸)を採用すれば、工期と費用が抑えられます。つまづきを防ぎ、将来車いすでも通りやすくするため、下レールが厚み3mm程度で、レールを床に直置きしてビスで止めるだけの引き戸商品を選ぶと良いでしょう。
費用は商品代約5万円 + 工事費約5万円=10万円程度(諸経費込)が目安です。
■手洗い器
トイレ用手洗い器は、各住設メーカーから様々なタイプが販売されています。従来の壁付タイプのほか、収納付き壁付タイプやカウンタータイプ、コーナー置きタイプ、セミオーダータイプなど、トイレの広さや使い勝手に応じて選んでください。
商品代はメーカー定価の20%~40%引きが目安で、取り付け費は1万円~2万円前後(諸経費込)が目安です。その他に配管がない場合は、新規配管工事代がかかります。
■照明器具
照明器具にこだわってみるのも良いと思います。トイレは狭い空間なので、照明器具ひとつで雰囲気をガラリと変える事もできます。LED照明やダウンライトに変えたり、内装工事を行うのであれば照明位置を壁側面に変えてブラケットライトに変えることで、ワンランク上の上質な空間を演出することも可能です。
ただしブラケットライトを使用する事でトイレ全体が少し暗めになる場合、大人はオシャレに感じても小さな子は怖がる場合があります。
トイレ便器の種類と価格相場と機能比較

■タンクレス(タンク無いトイレ)のメリットとデメリット
タンクレストイレとは、従来便器の後ろ側にあったロータンクがない便器のことです。洗練されたすっきりとしたデザインが魅力です。
どの程度スッキリするのか?
タンクがなくなる分【高さ約30cm × 奥行き約10cm】程度トイレ空間に広がりが出ます。たかが10cmですが、もともと狭い空間のトイレでは、タンクレストイレに交換するだけで、思いのほか広さを実感することができます。圧迫感もなくなるので、ゆとりのある空間を演出することが可能です。
メリット
凹凸のないシンプルな形なので、掃除がとても楽になるのもメリットです。従来までタンクが邪魔になって掃除がしにくかった部分がなくなり、床の掃除もラクに行えます。また水道直結で水を流すので、タンクに水が溜まるのを待たずに連続して水を流すことが可能です。
デメリット
■メーカー推奨の最低限の水圧が必須
水道直結式なので、必要最低水圧を満たしていないと使用上不都合が生じてしまいます。マンションリフォームで使用する場合などでは、水圧が不足していることがあるので、事前に確認が必要です。
■手洗い器が別途必要になる
今まで手洗い付きのタンク式トイレを使用していた場合には、手洗い器が別に必要になります。洗面所がトイレと隣接していない場合などは、注意が必要です。
■その他
・タンクレストイレは洗浄便座と一体式なので、便座部分だけの交換ができない
・タンク式トイレと比べて価格が高いなど
以上のようなデメリットがあるので、十分に検討した上で商品を選定するようにしてください。