長い身体にシマシマ模様、集団でぎっしり集まっている様子……ヤスデの発生する時期がやってきましたね。今年こそは対策を取って、ヤスデに悩まされない生活を手に入れたいもの。
本記事では、ヤスデを退治・駆除する方法、知っておきたい習性や寄せ付けないための対策方法についてまとめています。ヤスデ駆除に効果的と言われる石灰や木酢酢や、他の方法についても解説しているのでぜひ参考にしてください。
ヤスデの退治・駆除方法5つ

ひとくちに「ヤスデ駆除」といっても、ヤスデを退治したいのか、家に入らないようにすれば良いのか、目的によって使う薬剤や方法が異なります。ここでは、ヤスデに効果があるとされる方法を5つご紹介しています。目的に合った方法を実践しましょう。
■①石灰
園芸用の土壌改良剤として使われる石灰は、「消石灰(水酸化カルシウム)」としてホームセンター等で広く販売されています。消石灰は湿気に触れると強力なアルカリ性に変化する性質があり、その作用でヤスデを駆除するということですが、効果は状況や時期によって差があるようです。
湿度を含まないよう保管する必要があるので、最初は少量から始めることをおすすめします。100円ショップには少量サイズのものが販売されていることがあるので、そちらを試してみるのも良いでしょう。
姿が見えているヤスデを退治するというよりは、入ってほしくないエリアに撒いて寄せ付けないという効果に期待できるアイテムです。
■②木酢液
殺虫剤等の化学製品を使いたくないという方にぴったりなのが、木酢液(もくさくえき)を使った駆除です。
木酢液とは木炭を作るときにでる水蒸気から抽出された液体です。植物の成長を促したり、土壌処理、堆肥の発酵を促進する効果が期待できることから、ガーデニングや家庭菜園を楽しむ方に広く使われています。
100%天然の液体なので、子どもやペットのいるお家でも比較的安全に使うことができます。侵入箇所やヤスデのいそうな場所にスプレーしておくと、そこから遠ざけることができます。
ただし、殺虫力という点では化学薬品を使った殺虫剤には劣ります。こちらもヤスデの侵入を防止したり、今いる場所から追い出すといった用途に活用するのがおすすめです。
■③地面に撒いて使う粉タイプの殺虫剤
ヤスデの侵入を防ぎ、今いる場所から追い出すには粉状の殺虫剤も効果が期待できます。
家をぐるっと囲むように撒いたり、網戸周辺、通風口の周辺等、ヤスデが入ってきそうな場所に重点的に使用することで、家の中への侵入を防ぐことができます。
こちらもホームセンターやスーパーで広く販売されており、比較的手に入れやすいでしょう。
直接粉剤を撒くタイプと、スプレー状に粉が吹き出してくるタイプがあります。家の基礎部分等の広いエリアには粉剤を、網戸のように薄くまんべんなく噴霧したい場合はスプレーを、というように用途別に使い分けるのがおすすめです。
ただし、粉状の殺虫剤は湿気に弱く、雨の多い時期は流れて効果がなくなってしまいます。また、強風で飛ばされてしまうという弱点もあります。定期的に撒いて効果を維持することも重要ですが、根本的な原因を取り除くことが最も大切です。
■④スプレータイプの殺虫剤
ヤスデがいくら益虫だといっても、家の中に多数入ってこられてはたまりません。あまりにも数が多い時は駆除することを考える必要があります。
ヤスデ退治に最も即効性があるのは、スプレータイプの殺虫剤です。ゴキブリのように動きが早いわけでもないので、退治するのはそこまで難しくはないでしょう。
ゴキブリ用の殺虫剤があれば、そちらを流用しても退治することができます。
しかし、後にもご紹介しますがヤスデは刺激を与えられると有害な臭気を放ちます。退治する時は、手早く一瞬で仕留めることを心がけましょう。
■⑤専門業者に駆除を依頼
ヤスデは、外部から刺激を加えられた時に、強烈な悪臭を放つ「黄褐色の液体」を分泌する習性を持っています。自力で駆除する際には、この液体が放つ不快で強烈な異臭を吸い込む危険性があるだけでなく、室内で駆除した場合にはこの液体の処理も必要になる可能性があります。
そのため、ヤスデが家で大量発生した場合や、駆除しても何度もヤスデの発生・被害に悩まされる場合には、専門の害虫駆除業者に依頼する方法も検討しましょう。
ヤスデの駆除の相場費用は、約20,000円~100,000円です。駆除する家の面積や敷地の範囲等でも料金が変わってきますので、法外な費用を請求する悪徳業者に引っかからないためにも、複数業者の無料の相見積もりをとって、安心して依頼できる業者を選びましょう。
ヤスデが発生する原因

ヤスデの発生原因はひとつではありません。環境や天候、さまざまな要因が重なって発生することがほとんどです。ここでは、ヤスデの発生する原因について考えてみました。
■ヤスデが好む環境は発生原因の一つ
ヤスデが発生する原因を知るには、まず彼らが好む環境を知っておく必要があります。
ヤスデがよく出る場所といえば、「湿った落ち葉の下」「室外機等の下」「湿った土の中」「湿ったダンボール等の下」等々……どれも「湿った」というのがキーワードになっているということがわかりますね。
ヤスデは湿った落ち葉や堆肥が大好物で、日光の届かない薄暗い場所に居着きます。こういった条件の揃う場所には要注意だと言えるでしょう。
■新築住宅に出やすいって本当?
新築住宅なのにヤスデが大発生……意外ですが、こういうケースは少なくないんです。
土壌生物であるヤスデは、湿った土の下や堆積した落ち葉の中に生息しています。それが、新築工事で深くまで掘り返したり土台を建築することで土壌環境が変わり、一気に外に出てくることで人の目につくようになるのです。
ヤスデにしたら大迷惑かもしれませんが、人間にとっても困った事態ですね。土壌環境は数年で落ち着くので、それまでにヤスデも生息場所を見つけて去っていきますが、それまでは屋内への侵入を防ぎつつ、ヤスデが居着かないような対策を取る必要があるでしょう。