「我が家ではシロアリを見かけたことがないから、シロアリ被害の心配はないわ」と思ってる方も多いのではないでしょうか。しかし、シロアリはあなたが気がつかないうちに、あなたの家を蝕んでいます…。
そうです。あなたの家もシロアリ被害に遭っている可能性があるのです。気がついたら取り返しのつかない事態にまで被害が進行していることもあります。
シロアリの被害を調べたいときに行うのが、「シロアリの調査」です。シロアリの調査を行うことで、あなたの家にシロアリが住み着いているかどうかを確認することができます。
では一体、シロアリの調査とはどのようなことをするのでしょうか。そもそも、業者に依頼をせずに自分で行うことは可能なのでしょうか。
この記事では、シロアリの調査内容やその方法、業者に依頼した場合の費用相場などについてまとめていきます。
シロアリの特徴
日本では22種類のシロアリが生息しており、その中で家屋に被害をもたらすシロアリは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種類です。
■1.ヤマトシロアリ
家屋に被害をもたらすシロアリの中で最も代表的なシロアリは「ヤマトシロアリ」。日本全国に分布し、大きな巣はつくらないのが特徴です。主に地下から侵入し、土台や柱、風呂場、台所などに被害をもたらします。
■2.イエシロアリ
イエシロアリは主に太平洋側の温暖な地域に生息しており、大きな巣をつくります。水分を運ぶ能力を持つため、木材を加湿しながら蝕み、被害も家屋全体に広がります。
■3.アメリカカンザイシロアリ
北米原産の外来種であるアメリカカンザイシロアリは、乾材に巣をつくるのが特徴です。土壌中に生息せず、あらゆる場所から家に侵入してくるため、対策が難しいシロアリと言われています。
シロアリ被害でよくあること
「シロアリの被害」と言っても、いまいちピンとこない人も多いでしょう。なぜかというと、シロアリの被害はわたしたちの目につかない場所で進行していることがほとんどで、気がついたときには取り返しのつかないほど大きな被害になってしまっているケースが多いためです。
では、シロアリの被害とは具体的にどのようなものがあるのかみていきましょう。
■1.家屋の破損
シロアリの被害の中で最もポピュラーなものと言えば、家屋の破損でしょう。シロアリは木材やコンクリートなど、気がつかないうちにあなたの家を食い荒らしています。そのため、ある日突然床が抜け落ちてしまったり、屋根が落ちてきたりと、怪我の恐れを伴うような危険な被害を及ぼす可能性があります。
また、シロアリに気が付かずに家屋の破損被害が膨らむと、家屋の修復の規模がどんどん大きくなってしまいます。もちろん、その分修復にかかる費用も膨らんでしまいます。
シロアリ被害による家屋の破損は、怪我と高額な修繕費用という重大なダメージをわたしたちに与えるのです。
■2.健康被害
シロアリは噛む、刺すなどしてわたしたちの身体に直接被害を及ぼすことはありません。その点では安心しても大丈夫でしょう。
ただし、シロアリが発生することで、シロアリ駆除を行う必要が出てきます。問題は、この駆除を行う際に使用する「駆除剤」。シロアリの駆除に使用する駆除剤は、わたしたちに健康被害を及ぼす可能性があるのです。乳幼児がいらっしゃるご家庭では特に注意が必要です。
シロアリ駆除を行う際は、駆除剤による影響に十分に注意しながら行う必要があります。シロアリの駆除を業者に依頼する場合は、実績や実力を持つ信頼のできる業者に依頼することで、安心・安全な作業を期待することができるでしょう。
■3.心理的なダメージ
シロアリがあなたの家に生息していると知ってしまったら、あなたはどう感じますか?
まずあなたの大切な家にシロアリが住み着いているという事実を、きっと不快に感じることでしょう。また、シロアリが刻一刻と家屋を蝕んでいることを想像し、いつ家が壊れてしまうかと、不安に感じることでしょう。
シロアリが家に住み着くことは、その家の住人に不快感や不安感などの心理的なダメージを与えます。せっかくのくつろぎの空間であるはずの大切な自分の家が、ストレスの原因となってしまうのです。
シロアリが住み着くことによる心理的ダメージは、目に見えない被害のためつい見落とされがちですが、わたしたちが生活していく上で見過ごすべきではないとても重大な被害ということができます。
シロアリの調査内容
それでは、シロアリの調査内容についてざっとみていきましょう。シロアリの調査では、外周りや室内、玄関、床下のチェックが行われます。ご自宅が新築の場合は外周り、築5年以上経過している場合は室内の調査を重点的に行います。
■1.外周りを調査
シロアリの調査では、まず建物の外周りを調査します。シロアリが好むまくら木や杭木、木柵など、シロアリ被害の要因となるようなものが建物の外周りにないかどうかをチェックしていきます。
お庭に木が多い場合は、念入りに調査が必要です。枯れ木や切り株などは削ったり割ったりして、内部にシロアリがいる痕跡がないか確認しておく必要があります。
■2.室内を調査
室内では、ほかの部屋と比較して湿度が高くなりやすいお風呂や洗面所、トイレなどの水を使用する場所を重点的にシロアリの調査をしていきます。また、床から調査できないような工法の建物の場合は、屋内から調査することになります。
■3.玄関を調査
玄関の入り口にある木枠や框もシロアリ被害に遭いやすい場所ですので、ここにもシロアリ被害がないかどうか入念にチェックします。
■4.床下を調査
外周り、室内、玄関と調査が完了したら、いよいよ床下を調査します。
① 床下への侵入口を確保する
床下への侵入口は、キッチンや洗面所に床下収納庫があれば、それを取り出して侵入口とすることができます。床下収納庫がなくても、床下点検口があることもあります。
床下への侵入口がなければ、畳を上げて荒板やコンパネを一部外したり、工事をしたりする必要があります。
② 床下状況の調査
床下への侵入口が確保できたら、いよいよ床下へもぐります。床下にシロアリの被害がないかどうかと合わせて、木材の状況などの床下状況を調査します。
シロアリの調査方法8STEP
つづいて、自分でできるシロアリの調査方法を詳しくみていきましょう。シロアリの調査を定期的に行うことで、シロアリの被害を最小限に留めることができます。
■1.グッズをそろえる
シロアリの調査をはじめるときは、まず必要なグッズを揃えましょう。床下は匍匐前進で移動しますので、服装には特に注意が必要です。
① 懐中電灯
シロアリの調査では、狭くて暗い床下のシロアリ被害を隅々までチェックをする必要がありますので、懐中電灯を準備し、周囲を照らしながら調査を行っていきます。
② マスク・ゴーグル
床下はカビやホコリが多いため、吸い込んでしまわないようマスクを着用しましょう。また、目にチリやホコリが入ってしまうのを防ぐため、ゴーグルを着用すると良いでしょう。
③ 長袖・長ズボン
床下には釘が飛び出ていたり、小石があったりと素肌が触れると危険なものがいっぱいです。肌は極力出さないような服装が望ましいでしょう。
床下に潜る際は、長袖、長ズボンで、汚れても構わないようなものを着用しましょう。可能であれば匍匐前進移動をしているうちにお腹の部分がめくれ上がって露出してしまわないよう、つなぎ服を着用するのがベストです。
首から小石などが入ってこないよう、首まわりをタオルなどで保護しておくのも忘れずに。
④ 手袋
釘や小石、汚れから手を保護するために、軍手などの汚れても問題ない手袋を着用しましょう。
⑤ 運動靴
床下で作業をするときは、履き慣れた靴を選ぶようにしましょう。履き慣れているからといって、サンダルのような足を十分に保護できないような形状の靴はおすすめできません。履き慣れた運動靴のような形状のものがベストでしょう。
⑥ マイナスドライバー
床下の木材の状態を確認するためには、木をつっついてみるのが一番です。木をつっつくためのマイナスドライバーを準備しておきましょう。
⑦ デジタルカメラ
シロアリの被害箇所を撮影するために、デジタルカメラを準備しましょう。床下状況をしっかりと撮影しておくことで、今後の対策を練るときに役立ちます。
■2.床下にもぐれる場所を探す
さて、床下にもぐる準備が整ったら、床下にもぐれる場所(侵入口)をさがします。キッチンや洗面所に床下収納庫があれば、それを取り出して侵入口とすることができます。床下収納庫がなくても、「床下点検口」があることもあります。潜れる場所が全く無い場合は、床を工事する必要があります。
■3.床下にもぐる
床下には釘が飛び出ていたり、石ころが転がっていたりすることがありますので、怪我をしてしまわないように十分に注意しながら作業をしましょう。
■4.地面が湿っている場所を探す
床下に潜ってまず確認したいのが、床下の湿気です。床下の湿気はシロアリ被害の原因となります。また、床下の地面が湿っている場所がないかも合わせてチェックしましょう。
■5.木材が湿っている場所を探す
次に、木材が湿っていないかどうかをチェックしていきます。シロアリは基本的に湿った木材を好みますので、木材が湿っているということは、シロアリが生息しているサインである可能性があるのです。
■6.蟻道を見つける
床下を懐中電灯で隅々まで照らしながら、蟻道をさがしてみましょう。蟻道を見つけても、この段階では絶対に壊してはいけません。シロアリを確実に駆除するためには、シロアリの種類(特にヤマトシロアリなのか、イエシロアリなのか)によって、適切な対処をする必要があるのです。慌てて蟻道を壊してしまうと、駆除に失敗してしまうこともあります。
■7.木材を押して被害程度をチェック
シロアリによる被害の程度をチェックするために、床下の木材を押したり叩いたりしてみましょう。木材を押してフカフカしていたり、叩いてみて空洞音がしたりする場合は、シロアリ被害を受けている可能性が高くなります。マイナスドライバーを突いてドライバーの先が木材に入らないかどうかもチェックしましょう。
■8.調査のためのシロアリを捕獲
床下調査をしているときにシロアリを発見したら、シロアリの種類を確認するために捕獲しておきましょう。駆除をしたいシロアリがイエシロアリかヤマトシロアリかを判断しておくことで、適切な対策を施すことができます。
■9.被害場所を撮影
最後に、デジタルカメラで被害場所を撮影します。撮影した写真はあとでゆっくり確認し、今後の対策に役立てましょう。
シロアリ調査を依頼した場合の費用相場
シロアリ被害は定期的に調査を行っておくことで、被害を最小限に抑えることができます。しかし、自分で行うのは準備をするものも多いですし、かなり体力が必要ですので、それなりの覚悟が必要であることはご理解いただけたかと思います。
自分でシロアリの調査するのが不安だという方は、プロのシロアリ駆除業者にシロアリの調査を依頼したほうが無難でしょう。シロアリ駆除業者にシロアリの調査を依頼した場合の費用相場についてまとめていきます。
■1.シロアリの調査の費用相場
シロアリ駆除業者にシロアリの調査を依頼した場合の費用は、大体10,000円前後となることが多いようです。調査後にシロアリ駆除を依頼することで、調査にかかる費用が無料になる業者もありますので、サービス内容はしっかりと確認しておきましょう。
■2.悪徳業者にご用心!
シロアリ駆除業者の中には、シロアリの調査を無料として押しかけた上で、その場で契約を迫ってくるような悪徳な業者も存在します。適当な理由をつけて必要のない工事をさせられてしまうこともあります。シロアリの調査費用を無料としている業者には十分に注意し、不当な契約を結ばされてしまわないように気をつけましょう。
まとめ
シロアリはわたしたちの気がつかないところでどんどん被害を大きく膨らませています。自分の家がシロアリの被害を被っていないかどうかを確認できる方法が、今回紹介した「シロアリの調査」なのです。
シロアリの調査は、定期的に行っておくことでその被害を最小限に抑えることができます。自分で対処した場合には2年、専門業者に依頼した場合には5年を目途に、定期的にシロアリの調査を行い、シロアリ被害の予防をするようにすると良いでしょう。
大切なあなたの家をシロアリの被害から守るのは、あなた自身なのです。