夏も終わり鮮やかな緑も段々と落ち着く時期になってきました。爽やかな風を感じながら木々の葉を眺めていたくなりますが、その葉っぱの裏には「イラガ」の幼虫が潜んでいるかも!
うっかり触ると激しい痛みとかゆみに襲われてしまうかもしれません。
本記事ではイラガの生態や発生・駆除する時期、退治方法やイラガに刺されたときの対処法についてまとめています。
冬が来るまではイラガに十分注意して、いつの間にか刺されてヒドイ目に合わないように対策しましょう。
イラガとは?生態や特徴・被害
「イラガ」とは柿やサクラ・カエデ・ヤナギなど幅広い種類の木に生息する昆虫のことで「刺蛾」とも表記します。
幼虫→繭→成虫と大きくなっていきますが、幼虫には強い毒があります。成虫になると毒はなくなるため、一般的に「イラガ」と言うと幼虫のことを指すことが多いようです。
イラガの幼虫は2cm程度と小さいですが、ウミウシのようなトゲと鮮やかな黄緑色がポイントです。見るだけでギョッとしますが、このトゲをうっかり触ると激しい痛みとかゆみに襲われることに!
人によっては「電気を流されたような」とか「やけどをしたような」と表現されるほどです。そのため地方によっては「デンキムシ」とも呼ばれることもあります。
イラガの幼虫は集団で生息し、木の葉に似た体色のせいで見つけにくいのも特徴と言えるでしょう。
イラガのトゲは刺激に反応して、毒液を一斉に噴射する習性があります。症状によっては1週間以上も痛みとかゆみが続くこともあるそうです。またイラガは木の葉を主食としているため、大量に発生すると木の葉を食べつくしてしまったりボロボロにしてしまうこともあります。
イラガの発生・駆除時期
イラガの幼虫は7月~8月頃に最も多く見られます。集団で生息する性質があるため1匹見かけたら近くに他のイラガもいると考えたほうが良いでしょう。
種類によっては夏だけでなく10月頃に再び発生することもあるので要注意!成長した幼虫は繭になって冬を越します。そして硬い繭の中でさなぎになり6月頃に羽化するのです。
つまり自宅の庭にイラガの好む木が生えているお宅では、6月から10月くらいまではイラガの駆除対策をしておいた方が良いでしょう。
羽化したイラガは口が退化して何も食べず、寿命も1~2週間程度しかありません。その短い期間のなかで卵を産みつけて孵化して……というサイクルを繰り返します。
つまり一度イラガの発生した木のあたりには、次の年も発生する可能性が高いと考えられます。繁殖のサイクルを断つことがイラガ退治のポイントと言えるでしょう。
イラガの駆除対策6つ
ガーデニングや園芸を趣味にしていると、うっかりイラガに刺されて痛い目にあったという方も多いのではないでしょうか?でも、やみくもに退治しようとしてもあまり効果は上がりません。対象になる樹木や周辺の環境によって、効果的な駆除方法は異なります。
ここでは、効果的なイラガの駆除方法を6つにまとめてみました。状況に合わせて駆除方法を選ぶようにしましょう。
イラガの駆除対策|その1 ■①殺虫剤をスプレーする
イラガの成虫にも幼虫にも使える駆除方法です。イラガには一般的な殺虫剤がよく効くので、ピレスロイド系のゴキブリ用殺虫剤等をそのまま使うことができます。
幼虫は葉にスプレーすれば簡単に駆除できますが、大きくなって蛾の状態になると、飛び回って駆除するのが大変です。できるだけ幼虫のうちに退治しておきたいですね。
退治したあとのイラガにも毒が残っていることがあるので、死骸の処理にはくれぐれも注意しましょう。決して素手では触らないようにして下さいね。
高いところにいる幼虫にはノズルを伸ばしてスプレーすれば簡単に退治できますが、頭上にイラガが落ちてくる場合があるので注意しましょう。
アース製薬
アースガーデン 園芸用殺虫剤 ケムシ撃滅 切替ジェット 480ml
細かい粒子が隠れたイラガにも強力に届く!ジェット噴射に切り替えれば手の届きにくい背の高い木にもまんべんなく薬剤が届いて他の道具を使わずにイラガを駆除できますよ。
イラガの駆除対策|その2 ■②一週間後に再度スプレーする
一度殺虫剤を撒いた場所は、1~2週間ほどイラガを寄せ付けない効果があります。しかしイラガが大量に発生した年は次から次に幼虫が発生してしまいます。
一度退治したあとも、定期的にチェックしてみることをおすすめします。
できれば一週間程度の間を空けてからイラガを駆除した木全体を確認してみましょう。幼虫の間にできる限り退治しておくことで来年以降のイラガの発生を抑えることができます。
イラガの駆除対策|その3 ■③薬剤の力を借りて退治する
イラガ退治に効果を発揮する殺虫剤ですが、広いエリアや果実や野菜に使うのは躊躇してしまいますよね。
そんな時は園芸用の殺虫殺菌剤を使いましょう。使う植物、場所などによって有効な薬剤が異なります。
どれもホームセンターやドラッグストアで広く販売されているので、注意書きをよく確認して使用するようにしましょう。
特に野菜に使う場合は使用してから数日は収穫ができません。シーズンが始まる前に、収穫までの簡単なスケジュールを把握しておくと良いでしょう。
住友化学園芸
家庭園芸用スミチオン乳剤 100ml
広い範囲の害虫に効果のある園芸用殺虫剤。家庭菜園やガーデニングを害虫に荒らされたくない方なら1本は持っておきたい代表的なアイテムです。
イラガの駆除対策|その4 ■④枝ごと伐採する
イラガは集団で樹木の葉を食べています。大量に発生した時は、一部分だけ葉がなくなってしまうことも。そういったときは、枝ごと伐採して駆除してしまいましょう。特に、塀や柵から道路にせり出している枝にイラガが発生すると、通行人に被害を与えてしまうこともあります。そういった場所は、枝ごと切り落としてしまうほうが安全です。
しかし、高い場所にある枝を伐採するときは、上からイラガが降ってこないよう充分に気を付ける必要があります。葉にカバーを被せたり、先に殺虫剤で退治してから伐採を始めましょう。
また、切った枝にも見えない場所にイラガがついている可能性があります。決して素手で作業をしないようにしましょう。
イラガの駆除対策|その5 ■⑤割り箸で取る
最も原始的な方法ですが、物理的に幼虫を退治するのもそれなりの高い効果が期待できます。もちろん素手で触るわけにはいきませんから長い割り箸や火ばさみを使って退治しましょう。
捕まえたあとは、熱湯をかけたり袋に入れて殺虫剤を撒けば簡単に死滅します。
果実の周辺や子どもの目線の高さなど、殺虫剤や農薬を使えない場所にはこの方法が最も樹木に負担をかけずにイラガを駆除できます。
しかし道具越しとはいえ直接幼虫を触るのはかなり勇気が要る行為。どうしてもイヤ!という場合はくれぐれも無理をしないで下さいね。
イラガの駆除対策|その6 ■⑥繭を削って除去する
毒を持つイラガの幼虫を駆除するには、被害を受けないように気を付けながら作業を進める必要があります。しかし、もっと安全に駆除する方法があります。それは、冬の間に繭を削って退治してしまうことです。
木の幹や枝に白と茶色の丸っこい貝殻のようなものが張り付いていませんか?それがイラガの繭です。ガーデニング用のスコップやヘラで削り取って、殺虫剤を撒いたうえで廃棄しましょう。夏の間にイラガを発見した周辺で探してみるのがコツです。
繭ならば動き回ることもないので、安全に駆除できますね。冬の間に駆除してしまえば、夏に出てくるイラガをぐんと減らすことができます。ただし、イラガの種類によっては繭にも毒を持っているものがあります。動かないからといって油断せず、手袋等でガードしてから駆除するようにしましょう。
イラガに刺されたときの対処方法6つ
イラガは葉の裏にじっと潜んでいることがほとんどです。どんなに気を付けていても刺されてしまうのは、仕方のないことと言えるでしょう。そんなときも冷静に正しい処置をすることで、症状をより軽くすることが期待できます。
ここでは、刺された直後からの対処を6ステップにまとめました。自分や他の人が刺された時も、あせらず落ち着いて処置できるよう参考にしてくださいね。
イラガに刺されたときの対処法|その1 ■①イラガの毒棘に触らない
イラガは、刺激を受けると全身の棘から毒液を放射して攻撃してきます。刺された瞬間、つい手で払ってしまいそうになりますが、絶対に素手で払ってはいけません。その場所も毒棘に触れてしまい、より症状が重くなってしまいます。
刺された時は、まずその場を離れましょう。一匹に刺されたということは、その場に他のイラガもいる可能性が非常に高いです。周りの枝等には触れずに、速やかに退避することをおすすめします。
イラガに刺されたときの対処法|その2 ■②患部を水で洗ってイラガの毒棘を取り切る
イラガに刺されたら、すぐにその場を離れて毒棘と毒液を取り除く必要があります。最も効果的な対処は、たっぷりの流水で患部を洗い流してしまうことです。服の上から刺された場合は、毒液が触れないように服を脱いで患部を洗い流しましょう。
脱いだ服は、くれぐれも他の洗濯物と一緒にしないようにしましょう。別の容器で充分にすすいで毒液を落とします。可能であれば、煮沸消毒するのがベストです。
イラガに刺されたときの対処法|その3 ■③皮膚に粘着テープをつけてイラガの毒棘を取る
すぐに洗い流せない場合は、粘着テープを使って毒棘を取り除くのがおすすめです。患部に粘着テープをぺったりと貼りつけて、毒棘を絡めとってしまいましょう。一回では取り切れないことも多いので、何度か新しいテープに変えると良いでしょう。
しかし、患部に激しい痛みを感じている場合や粘着テープの成分でかぶれてしまう体質の場合は、より症状が重くなってしまうことも。水ぶくれができている時も、テープを使うのは避けたほうが良いでしょう。患部の状態に気を配りながら処置することをおすすめします。特に子どもや高齢者の場合は、周りの人が気をつけてあげてくださいね。
イラガに刺されたときの対処法|その4 ■④刺された直後は冷やす
イラガの毒棘と毒液を完全に取り除いたら、冷たい濡れタオル等で患部を冷やしましょう。刺された直後の患部は熱を持っているので、冷やすことで症状を緩和できます。しかし、冷やすのをやめるとかゆみがぶり返してくるので、早めに薬を塗るほうが良いでしょう。
ある程度の時間が経ったあとは、温めて血行を促進するのが効果的です。血行を促進することで毒素を排出できるので、お風呂等で積極的に温めると良いですね。
イラガに刺されたときの対処法|その5 ■⑤抗ヒスタミン剤を塗る
イラガの毒成分は完全に解明されていませんが、主な成分は酵素とヒスタミンだと考えられています。ヒスタミンはかゆみや炎症を引き起こす成分としてよく知られており、アレルギー症状の原因物質としても有名です。
イラガに刺された場合は、ステロイド入りの抗ヒスタミン剤を塗りましょう。虫刺され用の一般的な塗り薬があれば、代用も可能です。イラガの毒棘は痛痒さが長引くことが多いため、ステロイド入りの塗り薬を使うことで、症状が早くおさまることが多いようです。心配な方は、皮膚科に相談してみると良いでしょう。
イラガに刺されたときの対処法|その6 ■⑥アロエの汁を塗る
アロエの汁は、傷ややけど等に効くとして民間医療の分野で親しまれてきました。イラガの毒にも効果があるとされており、患部に乗せると腫れやかゆみが引くと言われています。また、アロエの果肉はゼリー状で、水分を多く蓄積しているので患部を冷やすのにも良いでしょう。
薬の手持ちがない場合や自然由来のもので症状を和らげたい場合は、試してみる価値はあると言えます。
しかし、敏感になっている患部に雑菌のついたアロエを塗ることは、より症状を重くしてしまうこともあります。必ず事前にきれいに洗って、清潔なものを用いるようにしましょう。また、どうしても症状がおさまらない場合は、無理をせずに医師の診察を受けることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?イラガを撲滅するには、そのシーズンだけでなく、年間を通じた対策もポイントになります。さっそく今日からイラガ対策をはじめて、すっきり安全なお庭を作りましょう!