冬場のオシャレに欠かせない保温性の高いアイテムたち。寒い日を快適に過ごすためには、品質や機能の高いアイテムを身につけて日々を過ごしたいものです。さて、そんな冬場のアイテムで活躍する高品質な素材のひとつにカシミヤがあります。
軽く、繊細でありながら驚くべき保温性を持つ機能性アイテムであり、無駄な重ね着をせずにすむ便利な素材です。
カシミヤで問題なのが、洗濯。自宅で洗濯したら縮んでしまった、という声も多数聞こえてきます。ここでは、カシミヤの正しい洗濯方法、そして縮んでしまった時の対処法についてもお伝えします。
カシミヤの洗濯で縮みが起きる場合の原因
カシミヤとは、カシミヤヤギと呼ばれるヤギの毛を使用した織物のことです。密度が高い上に軽く、保温性と美しい見た目から最高品質の繊維と称されています。そんなカシミヤですが、繊細だから故に洗濯によって縮んでしまうことがよくあります。その理由は、カシミヤ繊維の性質にあります。
カシミヤは保温性が高い上ながら吸水性が良く、汗をかいたとしてもすぐに吸水し発散してくれるため、快適なままで肌に触れさせておくことができる機能的な性質を持っています。しかし、撥水性はさほど強くないため、洗濯のようにたっぷり水分を含ませてしまうとシミ、縮んでしまうなど、トラブルが起きてしまいます。
繊細かつ高性能なところが魅力でありながら、それが場合によっては仇になってしまうのが、カシミヤという繊維なのです。
カシミヤの洗濯方法6ステップ
カシミヤは洗濯をすると縮んでしまう可能性がある、とお伝えしました。しかし、正しい方法で洗濯することができれば、キレイな状態のままで汚れだけを落とすことができます。ここからは、カシミヤの洗濯方法を紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
■①カシミヤかどうか洗濯表示を見る
カシミヤを洗濯する前に、必ずチェックしなければいけないのが、洗濯表示です。まず、カシミヤであるかどうかの洗濯表示をチェックし、そこから自宅で手洗いするか否かを判断します。
カシミヤの製品は基本的には洗濯が不可、というマークがついており、クリーニング店に出すのが一般的です。しかし、カシミヤの洗濯は割高で手が出ない、という方も少なくありません。「水洗いができない」とか「塩素系漂白剤による漂白はできない」など、こういった表示があるのですが、実は方法によっては手洗いなどで対応できると言われています。
もちろん、一般的な化学繊維と同様の洗い方をしてしまうと、完璧に縮んでしまうので注意しなければなりませんし、手洗いだから絶対に縮まない、とは言い切れません。まず、洗濯表示に注意して次のステップに進むようにしましょう。
■②カシミヤは手洗いが基本
高級素材であるカシミヤを洗濯するのであれば、基本は手洗いです。カシミヤは縮んでしまうので、手洗いでも難しいのでは?と、思われた方もいるでしょう。
しかし、カシミヤはウールにくらべて繊維表面が凸凹になっておらず、用法を守ることができれば縮みはおきないのです。カシミヤを洗う時は、優しく、手洗いをすること。これを念頭に、話を進めていきましょう。
■③カシミヤは30度以下の水温で洗う
カシミヤを洗う際、洗濯桶などを用意してください。洗面台で水が流れないように処置するのでもいいですが、何らかのミスで水が抜けていったり、温度が一気に下がってしまうことがあります。洗濯には、洗濯用のアイテムを使うが本来ベストでしょう。
洗濯桶にたっぷりのぬるま湯を張ります。ただし、ぬるま湯とは言え温度は30度以下が基本。あまりにも高い温度だと縮みやほつれの原因になりますし、低過ぎると洗剤が馴染んでくれず、ダマになったりカシミヤに洗剤が溶けずにくっついてしまいます。
あまり神経質にならなくても良いですが、できれば28〜30℃以下くらいを保つようにしておくと高い効果が得られるのではないでしょうか。
■④カシミヤは中性洗剤で洗う
さて、カシミヤの汚れを軽く落とすだけであれば、ぬるま湯でも問題ありませんが、滅多に洗う機会の無いカシミヤなので、多少は汚れがたまっているはずです。そのため、ほかの繊維同様に洗剤を使って洗濯するわけですが、カシミヤには中性洗剤を使うことを覚えておきましょう。
一般的な洗剤というと、ほとんどがアルカリ性のものが多いですが、カシミヤは傷みやすいなどの理由があるため、おしゃれ着洗いであっても中性のものを選ぶようにしてください。中性洗剤を入れ、ぬるま湯にしっかりと溶かした後、カシミヤ製品をその中に入れてください。
できれば、型くずれなどしないようにネットに入れておくことをおすすめします。
優しく手で押し洗いをして、素過ぎ残しないが無いようにぬるま湯を入れ替えて、しっかりとすすぎます。もちろん、吸水性が良く撥水性が弱い繊維ですので長時間のすすぎ、もみ洗いなどには注意。香りや見た感じで中性洗剤が落ちているようだったら、無理をしてすすぎ過ぎなくても大丈夫です。
■⑤カシミヤの乾燥方法
カシミヤをすすぎ終わり、脱水したら次は乾燥です。カシミヤは繊細な繊維ですので、乾燥方法によっては縮んだり、逆に伸びてしまったりするので注意。例えば、早く乾燥させたいからといって乾燥機に入れてしまうと、乾燥し上がった頃には完全に縮んでいます。
乾燥は、あまり日光が激しく当たらない日陰での部屋干しがおすすめです。まず、脱水し終わったカシミヤはカタチを整えて平干しをして乾かしましょう。
■⑥カシミヤの干し方
ハンガーにかけてしまうと吸水した水分の重みで伸びてしまうことになり、せかっくのカシミヤも台無しです。おすすめは、平干し用のネット、バスタオルを引いた上に広げて干す、または平干しできるハンガーなどを利用する、です。
水分を含んでいる状態で繊維を擦り合わせたり、カタチを整えずに干してしまうと変形したり、毛玉、縮みの原因となってしまいます。最後の最後まで丁寧に、繊細に扱うことがカシミヤ製品を手洗いする秘訣です。
カシミヤを洗濯する洗剤3つ
カシミヤを洗濯するためには中性洗剤を使ってほしい、ということを前述しました。しかし、その中性洗剤とはどんなものが良いのか悩んでしまう方も多いでしょう。ここからは、カシミヤを洗濯する際におすすめの洗濯洗剤を3つ紹介していきます。
■①ランドレス
ランドレスは、デリケートな高級繊維を洗うことを目的として製造された、ニューヨーク生まれのファブリックケアブランドです。デリケートな素材を傷めない成分で作られているため、クリーニング店要らず、と称されてる人気の洗剤のひとつです。
さまざまなアイテムが揃っていますが、ランドレスのウールカシミヤシャンプーを30℃以下のぬるま湯に15mlと溶かします。この時、残らないようにしっかりと手でかき混ぜるように溶かしてください。その後、カシミヤを30分程度浸け置きし、手洗いしていきます。
最後にしっかりとすすぎを行えばOK。手軽に、カシミヤを自宅で手洗いすることができます。
■②エマール
エマールは、花王が製造している有名な洗剤です。おしゃれ着洗いの定番アイテムであり、デリケートな繊維で作られている衣類の洗濯で使っている方は多いはずです。エマールには、おしゃれ着洗いように中性洗剤が多く用意されていますが、香り付を選ぶか否かは利用者次第。
使い方は、手洗いの工程でお伝えした通りで問題ありません。できるだけ、トップクオリティのエマールを使うようにしましょう。
■③シャンプーとリンス
カシミヤを洗う際、中性洗剤であれば良いということでシャンプーとリンスを使えば洗える、という報告もあります。中性のシャンプーを洗剤変わりにし、リンスを柔軟剤として使うことができるというものですが、これはリスクが多少あります。
できるだけ、ナチュラルなものを選び、尚かつすすぎなどにも注意を向けてください。
カシミヤを洗濯する頻度
冬場、ニットなどを頻繁に洗濯している方は少ないかもしれません。ただ、Tシャツやカットソー、ブラウスなどは放置していると菌が増殖して汚れや嫌なニオイを放つため、毎日洗濯している方は多いでしょう。もちろん、靴下や下着なども同様です。
カシミヤは前述したようにニット製品であるため、あまり頻繁に洗濯を行うという方は珍しいかもしれません。一般的に言われているのは、ワンシーズンで一回で問題無い、ということです。ただし、酷使している方の場合はワンシーズンに2〜3回程度洗濯しても問題ありません。
ただし、注意しないといけないのが洗濯し過ぎです。型くずれしやすい、繊細な繊維であるが故に、洗濯をすればそれなりに変形はしてしまいます。
さらに、クリーニングに出す際もカシミヤは高額になることが多いため、経済的と言えるかは微妙。使用頻度によって、1〜3回程度を目安に覚えておけばよいでしょう。
縮んだカシミヤの戻し方
さて、ここまではカシミヤ製品の洗濯の仕方を紹介してきました。しかし、どんなに正しい方法を学んでみても、どうしてもキレイにできずに縮んでしまったという方もいるかもしれません。もちろん、これから洗濯に挑戦する方も縮んでしまうリスクは必ず承知の上で行わなければなりません。
そんな時、カシミヤは縮んでしまったら元に戻すことはできないのでしょうか。実は、縮んでしまったカシミヤを戻す方法はあるので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。
■①水洗い
まず、縮んでしまったカシミヤ製品を水洗いします。その時、雑に洗濯機に入れてしまうと、余計に縮んでしまうことになるので、前述したようにぬるま湯に入れて優しく扱ってください。全体が水分を吸水したOK。
洗濯をしているわけではないので、中性洗剤を入れたり、手洗いをする必要はありません。
■②戻したいカタチにする
次に、カシミヤをバスタオルの上などに置いて、戻したいカタチにある程度伸ばします。この時、傷まない程度に何か機械を使ったり、洗濯バサミなどを使ってもいいでしょう。とにかく、戻したい長さに整形させることができれば良いのです。
■③自然乾燥させる
戻したいカタチになったら、そのまま自然乾燥させてください。カシミヤのような繊維の性質上、自然乾燥させているとそのカタチに戻るのが特徴。下手に乾燥機にかけたり、ドライヤーの熱で温めたりするのではなく、あくまで自然乾燥を心掛けてください。
■④平干しする
前述した工程の中で注意したいのが、直射日光が当たらない日陰で平干しすることです。バスタオルなどでも良いのですが、平干しをしても問題ありません。この状態で自然乾燥させれば、元の長さに繊維が伸びているはずです。
ただし、カシミヤは何度も言うようですが繊細ですので、伸ばし過ぎに注意。
こんどは、びろんびろんになってしまい、縮ませなければならなくなります。あくまで繊細に扱うことだけは忘れないでください。
カシミヤをクリーニングに出した場合の料金
相場カシミヤの洗濯方法をいくつか紹介しましたが、やはりプロではない素人が伸び縮み無しにカシミヤを洗濯するのは難しく、失敗してしまうことも多々あります。高級素材であるカシミヤだけに、自分の失敗で使えなくなってしまうのは嫌だ、という方もいるでしょう。そんな時、プロであるクリーニング店に依頼する方法がおすすめです。
とはいえ、カシミヤは繊細な素材ですので、クリーニング店も一般的な繊維とは違った価格設定を行っています。そのため、まずクリーニング店でカシミヤの洗濯をした場合の価格相場を確認しておく必要があるでしょう。
カシミヤの場合、少し特殊でその製品に何%含まれているのか、によって価格が変わってきます。例えば、カシミヤが30%以上含まれていた場合の料金平均相場は2,000円前後です。中には、3,000円を超える店鋪もありますし、1,000円以下という場合もあります。
注意したいのが、カシミヤなどを何も言わずに普通にクリーニングしてしまうと、返ってきた時に縮んでしまうことがあることです。ちゃんとしたクリーニング店であれば、カシミヤということでそういった処置をしますが、お客の要望だけに応える、という店鋪の場合はそのまま洗濯されてしまうことがあります。
少々高いですが、大切なカシミヤを守るためです。ぜひ、参考にしてみてください。
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まとめ
ここでは、カシミヤの洗濯方法、縮んだ時の戻し方などを紹介してきました。カシミヤは高級繊維だからこそ、手をかけて手洗いしたり、信頼できるクリーニング店で洗濯してもらったりすることが重要です。
ぜひ、今回の記事を参考にして、大切なカシミヤを美しいままで使い続けられるようにしましょう。