山間の農家など、イノシシに畑等を荒されて困っている方は多いようです。畑・家の敷地内等を荒らす害獣はイノシシだけではありません。ですが『イノシシによる被害が全体の70%』と言われています。
イノシシはとても大きく、力もある動物です。イノシシ駆除をしたくても、怖くてできない場合がほとんでしょう。かと言って、イノシシに怯えていると、今以上にイノシシにやられてしまいます。
この記事では『イノシシ駆除の14の方法』をご紹介します。また『イノシシ駆除に関する法的な部分や補助金について』もお伝えします。
イノシシの個人での駆除は法律で禁止?
イノシシは鳥獣保護法で守られている動物です。勝手にイノシシ駆除をすることは法律で禁じられています。しかし『勝手に』が禁止されているだけで個人でイノシシ駆除することは可能です。ただしいくつか条件がありますので、先ずは自治体に問い合わせて見ましょう。
基本的に罠を仕掛けてイノシシ駆除をする時は『捕獲許可・許可捕獲・狩猟免許』が必要です。
■許可・狩猟免許がなくても良いケースもある
原則、罠でイノシシ駆除をする時は許可・狩猟免許が必要ですが例外もあります。例えば、庭の敷地に電気柵等を仕掛ける・超音波やライト等を設置する場合です。その他に囲い罠でイノシシ駆除をする時も許可・狩猟免許がなくても駆除できます。
しかしこれらは色々な条件付きです。狩猟期間内で狩猟して良いエリアである等、各自治体の指示に従いましょう。
イノシシ駆除は補助金が出る?
イノシシは害獣のため、イノシシ駆除をすれば補助金を出している地域もあります。金額設定は自治体によって様々です。市は伏せますが、イノシシ1匹を駆除すると、いくら補助金がもらえるのか? いくつかご紹介します。
・A市 6,000円
・B市 15,000円以内
・C市 5,000円
・D市 10,000円
・E市 成獣は8,000円以内 幼獣は1,000円以内
地域によって、イノシシ駆除の補助金は、バラつきがあることがわかったでしょう。さらに、県からの助成金・国からの助成金があると、駆除金額が増します。
また、イノシシ駆除をする時は、罠を使って駆除することが多いです。罠の金額も一部負担してくれる地域もあります。
■駆除したイノシシは有効活用する
一昔前までは、駆除したイノシシは処分していました。現在は、ジビエ料理にして、駆除したイノシシを美味しく頂くことができます。
また、ペットフードとして再利用する等、イノシシの命を無駄にしない活動をしている地域も多いです。
イノシシを駆除方法14個
イノシシは畑・農作物等を荒らすため、どうにかして駆除したい方も多いでしょう。簡単にイノシシ駆除ができる方法~罠を使った方法等をご紹介します。
■① トタン板でふさいでイノシシ対策
イノシシがエサを狙ってきそうな場所に『エサが見えなくなるように』トタン板を立てます。イノシシは食べ物が見えないと、エサがないと認識して近寄ろうとしません。トタン板でイノシシの視界をふさぐ方法は昔からあるため、駆除効果は実感できるでしょう。
■トタン板は1m以上・隙間に要注意
イノシシ駆除でトタン板を設置する時は、『1m以上の板を使う』ことです。イノシシは見かけによらず、約1m程度ジャンプすることができます。高さが低いトタン板だと意味がありません。
さらにもう一つ、『隙間を作らないように設置する』ことです。アニメなどに登場するイノシシはどっしり横幅も太くその印象が強く残りがちですが、実際のイノシシは前から見ると厚みは余りなく、20cmの隙間があれば潜って浸入します。
トタン板でイノシシ駆除をする時は、板の高さ・隙間に注意して設置することが重要です。
■② ワイヤーメッシュ柵でイノシシを入らせない
トタン板よりも楽にイノシシ駆除をしたい場合は、ワイヤーメッシュを使いましょう。イノシシの視界を遮らなくても駆除できます。
ですが、ワイヤーメッシュはイノシシ駆除専用グッズではありません。本来は、コンクリートを補強する時に使う資材です。ワイヤーメッシュは、電気柵・ネット柵よりも強度がある・イノシシに食いちぎられる心配もないため、イノシシ駆除に使われています。
■しっかり固定して草刈りをする
ワイヤーメッシュを設置する時は、イノシシに掘り起こされないように、『しっかり固定』しましょう。イノシシはジャンプしても無駄とわかれば、土を潜って侵入してきます。
ワイヤーメッシュ設置後の管理も必要です。イノシシは視界が良い場所が苦手なため、ワイヤーメッシュ周辺の草を刈ります。イノシシの駆除対策を持続させるなら、『常に視界が良い状態をキープする』ことが重要です。
■③ 電気柵でイノシシを入らせない
電気柵は様々な害獣駆除にも使われています。もちろん、イノシシ駆除にも効果的です。電気柵にイノシシが接触すると、身体に電流が流れます。電流が流れると、驚きと同時に不快感も味わうため、イノシシが近寄ってきません。
一般的には電気柵と呼ばれていますが、精神的苦痛を与えることから心理柵とも呼ばれています。
電気柵は、イノシシに不快な経験をさせることができる駆除道具です。電気柵によるイノシシ駆除は、肉体的・精神的にダメージを与えることができます。
■イノシシの鼻先が触れるように設置する
設置場所によっては電流が流れません。電流が流れない場所は、乾燥している地面・コンクリート・石畳等です。電流が流れない場所に電気柵を設置する時は、トタン板を地面に敷く等して電気を流します。
電気柵でイノシシ駆除をする時は、『イノシシの鼻先が触れるように設置する』ことです。電線は2本~3本使いますが、20cm間隔で設置しましょう。イノシシの身体はとても硬い毛に覆われているため、鼻先に電気柵が触れないと、駆除効果が薄れます。
また、電気柵で囲って、隙間がないように設置するのがポイントです。
■傾斜から約2m以上離して設置する
イノシシ駆除をするために、傾斜の近くに電気柵を設置することもあるでしょう。傾斜から近い場所に電気柵を設置すると、イノシシがジャンプして超える可能性があります。
傾斜の近くに電気柵を設置する場合は、『傾斜のある場所から約2m離れた場所』に、電気柵を設置することです。
電気柵を設置した後は、草刈りを定期的にしましょう。草が電気柵に触れると、漏電してイノシシの駆除効果が落ちます。
■④ イノシシ対策に人の髪の毛をまとめて吊るす
イノシシ駆除には、人の髪の毛を使うと良いです。イノシシは警戒心が強いため、人の髪の毛を吊るしていると寄ってきません。昔からある駆除方法のため、効果が期待できます。
人の髪の毛が手に入らない場合は、理髪店等にお願いして、要らない髪の毛を貰いましょう。
■⑤トウガラシやハーブのにおいで寄せ付けない
イノシシは嗅覚が鋭いです。犬と同じくらいニオイを察知する動物と言われています。
トウガラシ・ハーブ等の香りでイノシシ駆除をしましょう。他にも、石鹸・線香・コールタールも駆除効果があります。
■⑥ 狼など天敵の尿でイノシシ対策
イノシシは嗅覚に優れている動物のため、天敵の尿を駆除に使いましょう。特に、狼の尿がおすすめです。狼はイノシシの天敵のため、駆除効果があります。とは言っても、狼から尿を採取するのは難しいです。狼の尿でイノシシ駆除をする時は、ネット通販を利用しましょう。
使い方は簡単です。イノシシが侵入する場所に、狼の尿が入っている容器を設置しましょう。設置する時は、『イノシシの鼻の高さに合わせて設置する』ことです。大体、30㎝~60㎝の高さに設置すると良いでしょう。
効果は約1ヶ月で、狼の尿が蒸発したら継ぎ足せば、駆除効果が復活します。
■⑦ イノシシが来る畑や庭木を手入れする
畑・庭木の手入れをして、イノシシを駆除しましょう。
イノシシは、草木・竹が生い茂っている場所が好きです。つまり、草木等がない状況にして視界を良くすれば、イノシシ駆除につながります。
■⑧ 登山用の鈴やラジオで音を出す
"熊対策には鈴・ラジオ等の音が出る物が効果的"と、耳にしたことがありませんか? 実は、イノシシにも同じことが言えます。
イノシシは警戒心が強く、臆病な性格です。そのため、熊鈴・ラジオの音等を聞くと、イノシシは怖がって退散していきます。音はできるだけ大きい方が良いです。
例えば、畑の周りに民家がなければ、爆音でラジオをかけましょう。イノシシ駆除に効果があります。もしくは、畑の周りに設置した柵に、鈴をぶらさげるのも良いでしょう。
■⑨ 超音波でイノシシ駆除
超音波はイノシシを含む、様々な動物の駆除対策に使われています。イノシシの被害に遭っている方は、超音波で駆除するのもおすすめです。大掛かりな作業がないため、楽に設置できるのもメリットです。
しかし同じ周波数だとイノシシは徐々に慣れていきます。そのため、イノシシが慣れないように、様々な周波数が発生するよう工夫されている製品もあります。購入時は確認してみるのも良いでしょう。
イノシシにとって超音波の音は不快ですが、よっぽど聴力が良くない限り、人間に超音波の音は聞こえません。
■様々な機能が付いた超音波もある
超音波にはソーラータイプ・電池タイプがあります。電池式は天気に関係なく、安定してイノシシ駆除ができるのが特徴です。ただし、電池交換する手間があります。
ソーラータイプは、天気に左右されるのがデメリットです。悪天候が続いた時のために、電池対応可能なタイプ・充電機能付きを選びましょう。
また、超音波グッズの種類によっては、大きな音が出る・ライト機能付き等もあります。
■⑩ 夜はライトでイノシシ対策
イノシシは基本的に夜行性のため、夜間も気が抜けません。夜行性の動物は眩しい光が苦手ですが、イノシシは青い光り・赤い光りを嫌がります。
青い光り・赤い光りを放つライトを設置して、夜間もイノシシ駆除をしましょう。
イノシシの視界に入る場所・イノシシに侵入させたくない場所にライトを設置します。赤と青が交互に点滅するもの・点灯パターンが複数あるものが主流です。
■ライトは夜行性のイノシシのみ効果がある
原則、イノシシは夜行性です。ですが、全てのイノシシが夜行性とは限りません。イノシシによっては人間が怖くない・安全な場所と判断する個体もいます。恐怖を感じないイノシシは、昼間も行動するのが特徴です。
ライトを使ったイノシシ駆除ですが、『夜行性のイノシシだけに効果がある』ことがわかっています。昼間に行動しているイノシシは光りに慣れているため、赤い光り・青い光りで照らしても駆除効果はありません。
■⑪ 犬を飼ってイノシシを寄せ付けない
イノシシ駆除をするために、犬を飼うのも良いです。イノシシは犬の足跡・尿のニオイも苦手なため、犬がいるだけで怖がります。良く吠える犬なら、吠えてイノシシを撃退することもできるでしょう。
ただし、イノシシによっては、犬の鳴き声に興奮する個体もいるため注意しましょう。場合によっては、犬に向ってくることがあります。
■⑫ イノシシを箱罠(はこわな)で駆除する
イノシシの被害に遭って困っている場合は、箱罠(はこわな)で駆除しても良いでしょう。ただし、箱罠でイノシシ駆除を行う時は、『捕獲許可』を取らないといけません。
箱罠のメリットは、1つの箱罠で数頭まとめてイノシシを捕獲できることです。
また、箱罠でイノシシを捕獲した後は、イノシシに逃げられることは少ないでしょう。箱罠はとても頑丈です。イノシシは、鼻で約50kg~60kgなら持ち上げることができますが、箱罠の扉を鼻で開けることはできないでしょう。
■箱罠を設置する時のポイント
イノシシは警戒心が強い動物です。ただ箱罠を設置しても、イノシシ駆除に失敗する可能性があります。箱罠でイノシシ駆除をする時は、ポイントを抑えましょう。
箱罠を設置する場所は、『イノシシが通る場所に置く』ことです。イノシシの足跡・糞・食事をした痕跡等を探しましょう。痕跡を見つけたら、『平らな地面の上に設置』します。地面が不安定だと、箱罠の扉がスムーズに落ちてこない場合があるからです。
エサの置き方は、箱罠にイノシシが近づくように置きます。『箱罠から約10m離れた場所からエサを置いて、箱罠に向って置く』のがポイントです。箱罠の中にもエサを置きます。エサは米ぬか・米・サツマイモ・果物等が良いです。
■⑬ イノシシを、くくり罠で駆除する
イノシシを、くくり罠で駆除する方法もあります。くくり罠も箱罠と同じく、設置する場所がポイントです。イノシシの足跡・糞・食事をした痕跡等を探してから、くくり罠を置きます。
また、イノシシは身体に付着しているダニ等を落とすために、泥浴びをする動物です。イノシシが泥浴びをする場所には、周辺にある葉っぱ・木が泥で汚れていることがあります。
つまり、泥浴びをする場所もイノシシ駆除ができる場所です。イノシシが足をつけそうな場所へ、くくり罠を設置しましょう。
■⑭ イノシシを囲い罠で駆除する
囲い罠は箱罠と似ています。そのため、高確率でイノシシ駆除ができるでしょう。何より、囲い罠は3つの条件を満たしていれば、『捕獲許可がなくてもイノシシ駆除ができる』のがポイントです。3つの条件をご紹介します。
・イノシシ狩猟期間で狩猟して良いエリアである
・自身が所有している土地に設置する
・農業者・林業者がイノシシ被害を防ぐ目的である
囲い罠を設置する時は、12番の『イノシシを箱罠(はこわな)で駆除する』を参考にして下さい。
イノシシ駆除の業者料金相場
イノシシ駆除を業者に依頼した場合の料金相場はおよそ100,000円~240,000円です。業者によっては、イノシシの回収料金・運搬料金を別途で回収する場合もあります。
業者がイノシシ駆除を行う時は、箱罠を使うことが多いです。そのため、箱罠のタイプ(方扉・両扉)・箱罠の設置台数によっても料金が変わります。
箱罠を設置した後は、イノシシの捕獲確認をしないといけません。箱罠付近に監視カメラを設置して、イノシシが捕獲されたら依頼主にメールでお知らせします。その後は、捕獲したイノシシを業者が回収する仕組みです。
自分でイノシシ駆除ができない方は業者にお願いしましょう。業者なら、よほどの事がない限り確実にイノシシを仕留めてしてくれるでしょう。
まとめ
イノシシは身体も大きく力もあるため、簡単に駆除できないのが悩ましいところです。これ以上、イノシシに荒らされないためには、駆除するしかありません。
電気柵・イノシシが嫌がるニオイ・音・光り・超音波度を使って、イノシシ駆除をしましょう。もしくは、箱罠等を仕掛けるのも効果的です。イノシシを手っ取り早く駆除したい方は、専門業者に依頼しましょう!