ご自宅の庭の広い範囲にスギナが群生している場合、すでに土の中にスギナの地下茎が張り巡らされている可能性が高いです。また「少しだけどいつの間にか庭にスギナが生えてる」という方も要注意!
雑草の中でも生命力の強いスギナは一度根付くと地下茎をどんどん伸ばし、「この前草抜きしたのにまた生えてる!?」という悲しい状態になりかねません。
本記事ではスギナの駆除に関する以下の内容を徹底紹介!
- なぜほかの雑草と比べてもスギナの駆除はこんなにも大変なのか?
- 自分でできるスギナの駆除方法5選
- 薬品を使わないが「熱湯」や「塩」などでスギナを駆除しない方がいい理由
結論から言うと、スギナを根絶させるためには地下茎を残さずに抜くことが最重要!本記事を最後まで読めば「スギナを駆除するためにはどんな抜き方をしたら良いのか?」というところまで丸わかりです。
ぜひ最後まで記事を読んで必要以上にスギナの草抜きに時間をとられないお庭を手に入れてください!
駆除が厄介なスギナはどんな植物?
「少ししか生えていなかったスギナが庭一面を覆っている!」
「この前抜いたばかりなのにもう元通りに…」
庭や畑をしている人はこんな風にスギナに悩まされたことがあるかもしれません。
スギナはトクサ科で日本全国に生えている在来種の草。増殖のピークは春~夏ですが、冬でも土の中の「地下部」は枯れずに生き残っている「多年草」に分類されます。
「多年草」は花が咲いて枯れていく「一年草」や「二年草」とは違い、複数年にわたり生育する強い生命力が特徴。
一般的に雑草は生命力が強いものですが、特にスギナは別名「地獄草」と呼ばれるくらい駆除が厄介な雑草。
どうしてスギナだけ「抜いても抜いても減らない困った雑草」となるのでしょう?ほかの雑草に比べてスギナの駆除が厄介な理由を以下で見てみましょう。
スギナの駆除が大変な理由3つ
スギナの駆除が大変な理由その1
■①酸性土壌でも育つ生命力
一般的に植物は酸性の土壌では育ちにくいものですがスギナは「酸性土壌の指標」と言われているほど、酸性の土壌でも旺盛に育っていきます。
しかしこれはスギナが酸性の土壌を好むというわけではありません。ほかの雑草が生育できない酸性土壌という不良な条件でも育つことができる、スギナの強い生命力のためです。
こんなにも強い生命力を持つスギナなので、駆除に手を焼くのは当然といえば当然のことといえます。
スギナの駆除が大変な理由その2
■②スギナ増殖の本体は地下部
庭や畑にすぐ群生するスギナですが、増殖の本体は青々としている草の部分ではありません。スギナの生えている土の中には茎状に伸びた地下茎があり、地下茎の所々に栄養分を蓄える塊茎がコブ状についています。
地下茎は細くすぐにポキポキと折れるのですが、折れて残った部分は枯れることはありません。むしろ折れて残った地下茎から簡単に再生して再び繁殖を始めるのです。
「スギナを抜いても数日たつとまた生える」となるのは、地上に出ている草の部分や地下茎の一部だけを抜いているから。
繁殖の本体である地下茎と塊茎が地下部に残ったままだとスギナはどんどん発育を続けます。まだスギナが少ししか生えていないなら、丸1日程度時間をかけてスギナを地下茎まで駆除できるかもしれません。
スギナの駆除が大変な理由その3 ■③地上部もツクシで増殖する
春になると土手でふわふわと揺れる姿が可愛いツクシですが、ツクシの正体はスギナの「胞子茎」という部分。ツクシは可愛らしく揺れながらも繁殖のためにスギナの胞子をばら撒いています。
ツクシの先端の帽子のようになっている部分には、実はスギナの胞子がぎっしり!
スギナの胞子1つ1つには4本の「弾糸」と呼ばれる糸状の器官があり、乾燥した晴れた日に弾糸を広げることで風に乗りやすく様々な場所に胞子を飛ばすことができます。
1年中枯れることのない地下茎もやっかいですが、春先に出てくるツクシも可愛い姿をして色々な場所にスギナを増殖させている犯人なのです。
スギナの駆除方法5つ
- 除草剤を撒いて根まで枯らす:最も簡単でおすすめなスギナ駆除方法!
- 芝生のスギナには専用の駆除剤を:芝生を守りながらスギナを駆除。
- 防草シートで新たに生やさない:新たなスギナ予防にもおすすめ。
- ツクシを見つけたら静かに摘む:可愛らしいツクシだけれど実は厄介。
- スギナの地下茎や塊茎を抜き去る:かなりの重労働なことは覚悟を!
スギナの駆除に使える時間やお庭の広さを考えて、あなたに一番合った方法を選んでください。
スギナの駆除方法その1|専用の薬を使う ■①除草剤を撒いて根まで枯らす
結論から言うと、庭や畑のスギナ駆除に最も適しているのは根まで枯らせるタイプの除草剤を使う事です。
ご紹介したようにスギナは地下茎や塊茎を駆除しないと、抜いても抜いても芽が生えてきます。むやみに引き抜くと千切れた地下茎から芽が出て「スギナを抜く前よりも生えている面積が増えた気がする」という最悪の状態にも。
草の部分にかけるだけで根まで枯らせる除草剤を使えば、途中で地下茎が千切れてしまう心配もありません。除草剤の種類にもよりますが、何日間かに分けて除草剤を散布するとお手軽かつ確実にスギナが駆除できるでしょう。
スギナ駆除におすすめ除草剤その1 お手頃価格の除草剤ならコレ!
アイリスオーヤマ
速効除草剤 SJS-1L・SJS-2L・SJS-4L
アイリスオーヤマならスギナに効果バツグンの除草剤がお手頃価格で手に入ります。すぐに使えるストレートタイプが4Lで驚きの1,180円!
レビュー400件越えの超人気商品です!「有名な除草剤は高いんだよね…」と一歩踏み出せなかった方でも手に取りやすい価格ですよ。
スギナ駆除におすすめ除草剤その2 狭い範囲なら使いやすいタイプがグッド
アイリスオーヤマ
うすめて使う速効除草剤 200ml
「狭い範囲に使う分だけでいい」という方にはこちらのタイプがおすすめ。商品を容器やジョウロに入れて2Lになるように水を入れるだけで使えます。
希釈倍率をはかる必要がないので簡単です。ストックの場所も取らないのが嬉しいですよね。
スギナ駆除におすすめ除草剤その3 ラウンドアップマックスロードALシリーズ
日産化学
ラウンドアップマックスロードAL 4.5L
ラウンドアップは葉に散布するだけで根まで薬剤が届き雑草を枯らしてくれます。土に落ちた薬剤は微生物によって分解されるので、枯らしたいスギナだけに狙い打ちすることが可能。
「すぐにスギナを駆除したい」「一度駆除したらできるだけ手をかけたくない」こんな要望があるなら、バリエーション豊富なラウンドアップマックスロードALシリーズから選ぶがおすすめです。
スギナ駆除に薬を使うときのおすすめアイテム 広さのある庭なら「噴霧器」は持っておこう
アイリスオーヤマ
電池式噴霧器 ツインノズル ダークグレー IR-4000W
ある程度の広さがあるお庭の場合は、噴霧器で除草剤を散布する方が手や腰が痛くなりません。新しく噴霧器を買うなら、簡単に使える電池式がダンゼンおすすめ!
こちらの噴霧器はポンプを逆回転させて不要な薬品を排出してくれる洗浄モードつき。害虫やスギナの駆除だけでなく水やりにも使える多機能で、庭のお手入れに大活躍してくれること間違いないでしょう。
スギナ駆除に除草剤を使う前に 「登録除草剤」と「無登録除草剤」の違いは?
除草剤には「登録除草剤」と「無登録除草剤」の2種類があります。使用する場所によって使える除草剤が違い、適切な除草剤を使わないと使用した人が罰せられることに。除草剤を使う前は「どの除草剤が使えるか?」を理解して使用するようにしてください。
【登録除草剤】
農薬取締法に基づく登録を受けている除草剤で、いわゆる「農薬」です。
登録除草剤の中でも「農耕地用除草剤」と「非農耕地用除草剤」に分類されます。
〈登録除草剤の農耕地用除草剤を使う場所〉
農耕地用除草剤を使う必要があるのは畑や田んぼ・果樹園などの食用の農作物がある場所です。さらに農耕地用除草剤であれば何でもいいわけではなく、その農作物に適用がある農耕地用除草剤を選ぶようにしてください。
〈登録除草剤の非農耕地用除草剤を使う場所〉
非農耕地用除草剤は公園や庭園・花だんなど有用な植物が近くにある場所で使用します。ご自宅の庭やだんではこのタイプを使うことが多くなるでしょう。
【無登録除草剤】
農薬取締法に基づく登録を受けていない除草剤のことで、植物の栽培・管理目的では使用できません。
〈無登録除草剤を使う場所〉
駐車場や運動場・道路や庭など、有用な植物が近くにない場所に生える雑草に使用できます。
スギナの駆除方法その2|芝生のスギナは注意 ■②芝生のスギナには専用の駆除剤を
芝生にスギナが生えてしまった場合、芝生専用の除草剤を使いましょう。一般的な除草剤を使ってしまうと、手入れしていた芝生まで枯らしてしまうことになりかねません。
芝生専用の除草剤を使えば芝生の状態はそのままに雑草だけを駆除することができますよ。
レインボー薬品
シバキープAL
シバキープALは日本芝(こうらいしば)とケンタッキーブルーグラスに対応。使い方も簡単で薄めずそのまま芝生の中に生えてしまったスギナに散布するだけです。
キレイな状態の芝生はキープしたまま厄介なスギナだけを根までしっかり駆除してくれます。
スギナの駆除方法その3|防草シートも使える ■③防草シートで新たに生やさない
スギナの駆除には防草シートも効果的です。スギナは土の中にある地下茎や塊茎からの栄養で成長しますが、ほかの雑草と同じように地上部の光合成でも成長します。
そこで防草シートを使い太陽の光を遮断して、光合成ができない環境にしてしまいましょう。防草シートはすでに紹介した「除草剤を使った駆除方法」で根までスギナを駆除してから使用するのがおすすめですよ。
アイリスオーヤマ
リアル防草人工芝 RP-30110
防草シートはそのままだと庭が殺風景な印象に。アイリスオーヤマの防草人工芝なら1枚で防草シートと人工芝の2役を担ってくれます。
スギナの駆除だけでなく、夏場のツラーい草むしりの手間もいらないお庭が完成しますよ。
スギナの駆除方法その4|除草剤以外の方法も ■④ツクシを見つけたら静かに摘む
春になるとスギナの胞子を飛ばす役目を持つツクシですが、実はツクシには除草剤が効きません。しかしツクシをそのままにしてしまうと、風に乗った胞子によって今ある場所とは別の場所にスギナが発生してしまうことに。
庭や畑にツクシを見つけたら、胞子が飛ばないようにできるだけそっと摘むようにしましょう。
ツクシが生えた場所やすでに胞子が定着してしまった場所からは5月頃からスギナが芽を出します。スギナの芽を見つけたら除草剤をかけて駆除しましょう。
スギナの駆除方法その5 ■⑤スギナの地下茎や塊茎を抜き去る
かなり大変な作業にはなりますが、スギナの地下茎や塊茎を抜き去るとスギナを駆除することができます。
スギナの地下茎や塊茎を抜いて駆除する場合は、毎日地下茎や塊茎を引っこ抜く時間と体力が必要です。スギナは成長速度がとてつもなく早く、特に生育のピークである夏などは朝作業をしても夕方には新しい芽が生えているということも珍しくありません。
すさまじい生命力を持つスギナではありますが、栄養分を蓄える地下茎や塊茎を毎日抜くことで成長することができず枯れていきます。
【スギナの地下茎や塊茎を抜いて駆除するポイント】
折れた地下茎を土の中に残さないこと。
スギナの地下茎は根深いわりに細いので、引き抜いたりシャベルやスコップで土を掘り返したときに折れることがよくあります。
生命力の強いスギナの地下茎は折れても枯れず、折れた部分から再び繁殖。折れてしまった地下茎も土の中に残さないようにしましょう。
無農薬でもスギナ駆除でしない方が良い方法4つ
無農薬だけどおすすめしないスギナの駆除方法1|熱湯 ■①熱湯でのスギナ駆除は無謀
植物に熱湯をかけるとタンパク質が変性して壊死します。理論上スギナを含む様々な雑草の駆除が可能ですが、スギナに関しては熱湯での駆除はおすすめしません。
スギナは地下深くの地下茎と塊茎を駆除しない限り繁殖し続ける植物です。この地下茎と塊茎を駆除するには大量の熱湯が必要になり、仮に熱湯を用意できたとしても土の中の地下茎と塊茎にしっかり熱湯がかかっているか判断がつきませんよね。
熱湯での駆除が効果的なのは根を深く張らない小ぶりな雑草で狭い範囲のみ。地中にビッシリと地下茎をめぐらすスギナには熱湯での駆除は向かない方法となります。
無農薬だけどおすすめしないスギナの駆除方法2|塩 ■②塩は全てを根絶する
塩を使ったスギナの駆除は絶対にやめておきましょう。
塩は水分を強く引き寄せます。そのためスギナを始めとする生命力の強い雑草でも、葉や根に塩がつくとどんどん水分を奪われ枯れていくのです。しかし塩は土の中で分解されず、塩が残った土では雑草だけでなく植物を育てることも不可能に。
また塩は建物の土台や配管を腐食する作用もあります。建物や配管から離れた場所に塩をまいたとしても、雨でどこに流れるか分かりませんよね。自宅だけでなく近所に思いもよらない迷惑をかける可能性が大いにあります。
塩でスギナを始めとする雑草を駆除するのは絶対にやめておきましょう。
無農薬だけどおすすめしないスギナの駆除方法3|石灰 ■③「石灰が効く」は勘違い!?
「スギナは酸性の土壌を好むため、石灰をまいてアルカリ性の土壌にすると駆除効果がある」と聞いたことがあるかもしれません。しかし「スギナの駆除が大変な理由3つ」でも紹介したようにスギナが酸性の土壌を好むというのは間違い。
ほかの雑草が生育できない酸性の土壌でもスギナは育つことができ、結果として酸性の土壌にスギナだけが生えているという光景が目立ったため「スギナは酸性の土壌を好む」という勘違いにつながったのです。
石灰をまいて土壌をアルカリ性に改善するとスギナを駆除できるという研究結果はなく、重い石灰を用意して大変な思いをしながら撒くのは無駄になってしまうでしょう。
無農薬だけどおすすめしないスギナの駆除方法4|肥料 ■④「肥料で駆除」はほかの雑草が増えるかも
「肥料をまくとスギナが駆除できる」という噂も「スギナは酸性土壌を好む」という勘違いの延長線にあります。
ほかの雑草が育ちにくい条件の土でもスギナが旺盛に繁殖している姿が目立ち「スギナは肥えた土が苦手」という勘違いが広まったものです。
むやみに肥料をまくとスギナの駆除どころかほかの雑草の生育も助けてしまうことになりかねません。肥料は駆除に使うのではなく「必要な植物をしっかり育てる」という本来の目的で使用しましょう。