蚊取り線香は昔からある殺虫グッズですが、現在でも人気があるアイテムです。特に、蚊が増える夏は、蚊取り線香を愛用している方も多いのではないでしょうか?何気なく使っている蚊取り線香ですが、煙の有害性を心配する方もいます。蚊取り線香は煙で蚊を殺すため、殺虫成分が含まれています。
蚊取り線香は、"体に害はないのか?"心配になるでしょう。また、妊婦さんやお子さん・高齢者の方は蚊取り線香の煙で害があったら大変です。
そこで、蚊取り線香の成分や、人やペットに有害かどうか調べてみました。
蚊取り線香の害になる成分3つ
蚊取り線香は殺虫剤のようにスプレーをして蚊を殺すわけではありませんが、両者に共通しているのは虫を殺せることです。最初に、蚊取り線香に含まれている成分や毒性について、3つのことをご紹介します。
■①ピレスロイドの有害性
蚊取り線香には蚊を殺すためにピレスロイドが含まれています。ピレスロイドは蚊を含む昆虫類や甲殻類、魚類、爬虫類、両性類には有害で、神経ガスのような作用がありますが、人間を含む哺乳類に害はありません。哺乳類がピレスロイドを体内に摂取しても害がない理由は、酵素で分解されて排出されるからです。
しかし、化学物質に反応しやすい体質の方や匂いに敏感な方は、蚊取り線香の匂いを嗅いだり煙を吸うと、頭痛を引き起こしたり気分が悪くなったり、目や喉に違和感が出る方もいます。
■②タールの有害性
蚊取り線香にもタールが含まれていますがタールと聞くと、タバコをイメージする方も多いのではないでしょうか?蚊取り線香のタールはタバコのタールと同じく有害で、蚊取り線香の場合、1巻が灰になる頃には、わずかに害があると言われています。
また、蚊取り線香を購入するとお皿が付いていますが、このお皿で蚊取りを線香を燃やした後にお皿の裏側を見てみましょう。
10巻の蚊取り線香を使った後は、お皿の裏はタールで真っ黒です。タールの毒性を少しでも減らすなら、締め切った部屋で蚊取り線香を燃やさないで定期的に換気をしながら使いましょう。
■③蚊取り線香アレルギー
あまり広く知られていませんが、蚊取り線香を燃やすとアレルギー症状が現れる方もいます。蚊取り線香を燃やすと、『くしゃみ』『鼻水』『目のかゆみ』『せき』などの『花粉症や風邪のような症状』が現れる方は、蚊取り線香アレルギーかもしれません。
蚊取り線香には昆虫を殺すために、様々な化学物質を配合して作られています。アレルギー症状が現れる原因は化学物質という方もいるでしょう。他にもアレルギー症状が現れる原因として、蚊取り線香に含まれているスギに反応する方もいます。
蚊取り線香アレルギーに困っている方は、防腐剤や化学物質を使っていない無添加の蚊取り線香や、スギを使っていない蚊取り線香を使ってみてはいかがでしょうか?
蚊取り線香は妊婦や胎児に害になる?
妊娠中の方の中には蚊取り線香の匂いが一時的に苦手になったり、煙を吸うと咳き込む方もいます。蚊取り線香の成分であるピレスロイドは人体に影響はありませんが、果たして、妊婦さんや胎児に害はないのでしょうか?
■蚊取り線香が大丈夫な理由
先程、ピレスロイドの有害性について説明しましたが、哺乳類は酵素で分解して排出します。よって、妊娠中に蚊取り線香を燃やしても妊婦さんに害はありません。
もし、害があるとすれば蚊取り線香を溶かした液体を大量に飲んだり、蚊取り線香をかじる等してたくさん食べれば悪影響を及ぼします。
普通に日常生活を送っていれば蚊取り線香を口にすることはないため、害はないと考えて良いでしょう。
一方、"蚊取り線香は胎児に害がないのか?"と、心配になる妊婦さんもいるはずです。蚊取り線香を開発している大手メーカーによると、胎児や新生児への影響も研究済みで安全であることがわかっています。
■蚊取り線香の煙とは別の危険性
妊婦さんが蚊取り線香を使う時は、思いっ切り煙を吸わないようにしましょう。体に害がないとは言え、蚊取り線香の煙を目の前で吸う等すれば、目や喉が痛くなります。
また、喘息持ちの妊婦さんや気管支が弱い妊婦さんは、蚊取り線香を燃やすと咳等が出やすくなるため、蚊取り線香ではなく煙が出ない蚊取りマット、液体蚊取り、ワンプッシュ型スプレー等を使うと良いでしょう。
これらの商品の成分はピレスロイドのため、妊婦さんでも安心して使えます。
一方、妊娠初期はつわりが酷く、蚊取り線香の匂いが気持ち悪いと感じる妊婦さんもいるでしょう。
蚊取り線香の匂いがツライ場合は、匂いがあまりしない蚊取り線香や、無煙無臭の蚊取りマット、液体蚊取り、ワンプッシュ型スプレーがおすすめです。
蚊取り線香は人体に害はありませんが、室内で蚊取り線香を燃やす場合は、締め切った部屋で燃やし続けると大量に煙がこもります。
蚊取り線香の煙を室外へ排出するために、定期的に換気をしながら燃やしましょう。
蚊取り線香は子どもや高齢者に害になる?
妊婦さんや胎児に蚊取り線香の煙は害になりませんが、"子どもや高齢者に害はないのか?"と、気になるところです。子供や高齢者は免疫力が低く、ちょっとしたことで体調不良になるため、心配な方もいるでしょう。
では、子供や高齢者への害についてご紹介します。
■蚊取り線香が大丈夫な理由
"蚊取り線香は妊婦さんや胎児への害はない"と説明しましたが、子どもや高齢者でも害はありません。
ピレスロイドは哺乳類には害がないため、子供や高齢者がいる部屋で蚊取り線香を燃やしても大丈夫です。
■蚊取り線香の煙とは別の危険性
子供や高齢者に蚊取り線香の害はありませんが、やけどや火事の危険性があります。子供は様々な物に興味を持つため、"燃えている蚊取り線香に触ってはいけない"と、しつこく注意している方もいるでしょう。
でも、子供はダメと言われると益々気になり、特に小さいお子さんは燃えている蚊取り線香を素手で触れてしまうかもしれません。
蚊取り線香に火を点けると先端部分がわずかに赤くなりますが、子供は指で燃えている部分を触れたり手で掴むこともあるでしょう。燃えている部分はわずかでも素手で触れれば当然やけどをします。
お子さんがいる家庭で蚊取り線香を使う場合は、子供が手を伸ばしても届かない場所に置いてやけど事故を未然に防ぎましょう。
■高齢者はチャッカマンがおすすめ
高齢者の方が蚊取り線香を扱う時は火事に注意しないといけません。蚊取り線香に火を点ける際、マッチやライターで火を点ける高齢者の方もいます。
普段からマッチやライターを使っており、慣れている方なら取り扱い方法も熟知している方が多いため、火事になるリスクは低いです。
一方、マッチやライターをあまり使わない方は、ふとした瞬間に何かに燃え移って火事になる恐れがあります。
マッチやライターは小さく、高齢者の中には扱いにくいと感じる方もいるでしょう。ですが、着火ライター(点火棒、商品ではチャッカマンが有名)なら持ち手が長く操作もしやすいため安心です。
着火ライターを持っていない高齢者がいる場合はプレゼントして、蚊取り線香に火を点ける時に使ってもらいましょう。
この状態では、蚊が飛ぶ音はしないと思われます。短時間でも線香を燃やせば、つけたまま寝る必要はありません。
就寝前に1時間ほど線香をつけ、蚊を殺虫し、線香を消して、新たな蚊が侵入しないよう、さっと換気してから寝るのが良いでしょう。
蚊取り線香は害?7つのペットの種類別アドバイス
私達人間に蚊取り線香は無害ですが、ペットへの影響を心配する飼い主さんもいるはずです。メジャーなペットは犬や猫ですが、飼い主さんによっては犬や猫以外を飼っている方もいます。
そこで、様々なペットへの有害性について調べてみました。
■①犬や猫には蚊取り線香は害?
犬や猫も哺乳類になるため蚊取り線香の煙は無害です。また、蚊取り線香と言えば人間用とペット用がありますが、『燃焼時間』や『煙の量』に差があります。
人間用の蚊取り線香は室内で使うことを前提にしており、多くのメーカーは7時間で燃え尽きる商品が多いです。蚊取り線香の煙もそこまで多く出ません(感じ方は個人差があります)。
一方、ペット用の蚊取り線香は室外で使うことを視野に入れているため、煙の量も多く13時間燃え続ける商品もあります。
つまり、犬や猫を室内飼いしている家庭では、人間用の蚊取り線香でも十分に効果を発揮するため、ペット用の蚊取り線香を使う必要はないでしょう。
しかも、人間用の蚊取り線香の方が煙の量が少ないため、ペットが煙たがる等の害も減らすこともできます。
■アロマ入りの蚊取り線香も害はない
一般的な蚊取り線香の煙が犬や猫に害がなくても『アロマ入りの蚊取り線香に害はないのか』が気になる飼い主さんもいるでしょう。
アロマ入りの蚊取り線香は人間用で見かけますが、犬や猫が煙を吸っても害はありません。ただし、誤って犬や猫が蚊取り線香を食べてしまうと、有害になる可能性もありますので注意しましょう。
蚊取り線香は犬や猫に害がないとわかっていても、"できるだけ刺激の少ないものを使ってあげたい"と考えている飼い主さんも多いです。
刺激が少ない蚊取り線香は、出る煙が少ない商品などがありますが、いずれも害はなく安心して使えます。
■犬や猫の近くに蚊取り線香は置かない
通常の蚊取り線香やアロマ入りの蚊取り線香でも犬や猫に害はありませんが、人間と同様に煙をたくさん吸うと、息苦しさを感じるため定期的に換気をしながら使いましょう。
また、犬や猫は人間よりも嗅覚が優れており、蚊取り線香の煙は激臭に感じる場合もあります。
蚊取り線香を燃やす時は、犬や猫が寝る場所やよくいる場所の近くには置かないで、離れたところに置きましょう。
■②ハムスターやモルモットには蚊取り線香は害?
ハムスターやモルモットに対しても蚊取り線香の煙は基本的には害はありません。ただし、蚊取り線香の使い方次第では、ハムスターやモルモットに害を与えてしまいます。
ハムスターやモルモットは体が小さく、大量の煙を吸うことは決して良いとは言えません。
また、人間よりも鼻が良いため、蚊取り線香の煙は臭いと感じます。いずれにしても蚊取り線香の煙は、ハムスターやモルモットにストレスを与えることになるため、取り扱いには注意しましょう。
■ケージから離れたところに蚊取り線香を置く
ハムスターやモルモットがいる部屋で蚊取り線香を燃やす時は、ケージから離れたところに置いて換気をしながら煙対策をすることです。
そして、ケージの隙間から手を伸ばして蚊取り線香を取ることもできないため、食べたりやけどをする事故も防ぐことができます。
使う蚊取り線香は、ハムスターやモルモットに煙を極力吸わせないために人間用を使いましょう。できれば、煙が少ないタイプや無臭タイプの蚊取り線香がおすすめです。
■③熱帯魚には蚊取り線香は害?
哺乳類には蚊取り線香の煙は無害ですが、熱帯魚を飼っている方は魚への有害性が気になるでしょう。蚊取り線香は熱帯魚がいる部屋で燃やしても害はありません。
哺乳類には蚊取り線香の煙は無害ですが、熱帯魚や金魚など、魚類を飼っている方は魚への有害性が気になるでしょう。
蚊取り線香に含まれるピレスロイドは魚に対して毒性があり、有害のため、魚がいる部屋で燃やさないようにしましょう。換気をしていても、蚊取り線香の煙や匂いが入ってくるような場所に魚類を置くのはやめた方が無難です。
熱帯魚に蚊取り線香は無害でも、レッドシュリンプ等を含むエビ類は蚊取り線香の煙は有毒です。エビは薬品にはとても弱い生き物で、蚊取り線香の煙だけでも死んでしまうため、エビがいる部屋で蚊取り線香は使えません。
■④エビには蚊取り線香は害?
熱帯魚に蚊取り線香は無害でも、レッドシュリンプ等を含むエビ類は蚊取り線香の煙は有毒です。エビは薬品にはとても弱い生き物で、蚊取り線香の煙だけでも死んでしまうため、エビがいる部屋で蚊取り線香は使えません。
レッドシュリンプ等を含むエビ類にとっても、蚊取り線香の煙は有毒です。エビは薬品にはとても弱い生き物で、蚊取り線香の煙だけでも死んでしまうため、エビがいる部屋で蚊取り線香は使えません。
一方で、エビを飼っている方の中にはサランラップを水槽の上にかけて保護してから、蚊取り線香を使っている人もいます。
そして、蚊取り線香を燃やし終わった後、3時間~5時間程度経ってからサランラップを外すという方法をとっている方もいらっしゃるそうですが、この方法でもエビが死んでしまう可能性があり、オススメできません。
■⑤カエルやカメ、トカゲには蚊取り線香は大丈夫?
蚊取り線香に含まれているピレスロイドは、"両生類や爬虫類・昆虫に作用する"と説明しました。そのため、カエル等の両性類やカメやトカゲといった爬虫類にとって蚊取り線香の煙は有毒で何かしらの影響を与えます。
両生類や爬虫類がいる環境で蚊取り線香を使うことは、有毒な煙を撒き散らすのと同じことです。
特に、小さいカエルや小さいトカゲ等は、少量の煙でも毒性に耐えられず死んでしまったり、弱ってしまう可能性が高いです。
カエル・カメ・トカゲ等を飼育している部屋では、蚊取り線香を使わないようにしましょう。
■⑥カブトムシやクワガタ、蝶など昆虫には蚊取り線香は害?
蚊取り線香の有効成分であるピレスロイドは、ムカデやヤスデ・ゲジゲジ・アリ・ダンゴムシ・クモ・チャタテムシ・シミ・シバンムシ・ハチ・ハエ等を殺す殺虫剤にも含まれています。
ピレスロイドは虫を殺す効果が優れているため、昆虫全般に使える殺虫成分です。
つまり、カブトムシやクワガタ・蝶等にとって蚊取り線香の煙は有害で、煙がある環境で飼育すると最終的には死んでしまいます。
■⑦ミツバチには蚊取り線香は害?
ミツバチも昆虫ですので、蚊取り線香の煙は有害です。
ミツバチに関わらず蜂全般に言えることですが、蜂は煙が苦手で、蚊取り線香を燃やすと嫌がって近寄らなくなったり、弱ったり、死んでしまいます。
まとめ
蚊取り線香は昔からありますが、現在では、人間用やペット用、煙の少ない蚊取り線香等があり種類も豊富です。
人間を含む哺乳類に蚊取り線香の煙は無害ですが、換気をしないで使い続けると喉が痛くなったり息苦しくなるため、定期的に換気をしながら使う必要があります。
室内では短時間使用して、侵入した蚊を殺虫した後は、線香を消して換気してから締め切って冷房をつけるなどすればよく、長時間使い続ける必要はないでしょう。
ペットを飼っている家庭では、哺乳類・鳥類には無害、昆虫類・甲殻類・両生類・爬虫類・魚類には有害であることを知っておきましょう。
無害であれば人間の時と同様で、定期的に換気をしながら蚊取り線香を使いましょう。