わたしたちが引越しをする際に行うあらゆる手続きの中で、住民票の異動手続きは最も重要な手続きと言うことができるでしょう。忙しい引越し作業の中でうっかり忘れてしまうと大変なことに…。実は、住民票の手続きをしっかりと踏んでおかないと、罰則を受けてしまう恐れがあるのです。住民票の異動手続きについて学び、引越しをする時には住民票も忘れずにお引越しさせておきましょう。
引越しに伴う住民票異動をしないと罰則が?
何かと忙しい引越し作業ですが、住民票の異動手続きはさっさと済ませておきましょう。面倒だからと放置してしまうと、罰則を受けることになりかねません。
■1.住民票とは
住民票とは、市区町村に住んでいる住民ひとりひとりの氏名、住所、生年月日、性別、世帯主との続柄、本籍などの情報が記載された公的な台帳のことです。みなさんが市区町村役場に住民票をもらいにいくと、この台帳を特殊な専用紙に写したものを受け取ることになります。賃貸借契約を行う際や就職する際など、様々な手続きを行う上で、「その人がそこに住んでいる」ということを証明する公的な書類として扱われています。
■2.住民票の異動は義務
引越しってすごく忙しいですよね。でも、住民票の異動のことを後回しにしてはいけません。住民票の異動は期限内に行うことが義務付けられているためです。
もしその忙しさを理由にあなたが住所票の異動を怠ってしまうと、なんと5万円以下の過料という罰則を受けてしまう恐れがあります。引越しはなにかとお金を使いますから、なんとしても避けたい罰則ですよね。
住民票は、新しい住所に引越しをした日から14日以内に異動をする必要があります。あれやこれやと忙しくしているうちにあっという間に過ぎてしまう日数です。引越しをしたらまず、住民票の異動手続きを済ませてしまいましょう。
■3.住民票の異動が必要ない場合
本来引越しをする際には必ず行うべきである住民票の異動ですが、一定の条件のもとでは、住民票の異動をする必要がありません。住民票の異動が必要ない場合と、住民票を異動しなかった場合に生じる問題についてみていきましょう。
3-1.住民票の異動が必要ない場合
① 新しい住所に住む期間が1年未満と決まっている場合(転勤の期間が予め1年未満とわかっている場合など)
② 生活の拠点が異動しない場合(通学のために実家から一旦出るが、卒業後には戻ると決めている場合など)
上記の場合、住民票をの異動をする必要はありませんが、住民票の異動をしないことによっていくつかの問題が生じるため、注意が必要です。
3-2.住民票を異動しないことによって生じる問題
住民票の異動が必要ない場合でも、その異動をしておかないと下記のような問題が生じます。
① 選挙権の行使に関する問題
選挙権は住民票が置いてある住所の地域でしか行使することができません。また、投票券についても住民票が置いてある住所に届くことになります。
② 運転免許証の更新に関する問題
運転免許証を更新したい時、住民票が置いてある住所の市区町村で行うことになります。住民票が遠方に置いてある場合はかなりの手間と時間がかかってしまうことになります。
ちなみに、運転免許証の住所書き換えは住民票の異動をしていなくても可能です。その際、引越し先の住所が確認できる書類が必要ですので事前に準備しておきましょう。(引越し先の住所が記載された健康保険証、本人宛の消印付郵便物、公共料金領収書など)
③公共施設や福祉サービスの利用に関する問題
引越し先住所の地域の公共施設(図書館やスポーツ施設など)や福祉サービスが利用できないことがあります。
④ 各種証明書類の発行に関する問題
住民票や印鑑証明書などの各種証明書類は、住民票が置かれている住所の市区町村役場でしか発行できません。
⑤ 確定申告に関する問題
確定申告に関しても、住民票が置いてある住所の管轄する税務署で行うことになります。
住民票の異動手続きはそんなに複雑なものではありませんから、これらの不都合な問題を考慮すると、済ませておいたほうが後々楽かもしれませんね。
住民票異動:引越し前の住所と同じ市区町村に引越す場合
まず、引越し前の住所と同じ市区町村に引越す場合の手続きの方法についてみていきましょう。
■1.住民票を異動をする方法
引越し前の住所と同じ市区町村に引越すの場合(つまり、同じ市区町村内での引越し)は、手続きはとてもシンプルです。市区町村役場へ「転居届」を提出するだけで手続きが完了します。新しい住所に引越しをしたら14日以内に手続きを行いましょう。転居届は、市区町村役場の窓口に用意されている「住民異動届」に異動事由として「転居届」を選択した上で必要事項を記入し、提出します。これが受理されると、住民票に新しい住所が記載されるようになります。
■2.手続きに必要なもの
それぞれの市区町村役場によって微妙に違いがありますが、転居届の手続きを行う際に必要なものは、下記の通りです。
① 申請者の本人確認書類の原本
② 転入する世帯全員分の通知カード
③ 印鑑
本人確認書類は、官公署が発行した顔写真付きのものであれば1枚でOKです。具体的には、パスポートや運転免許証、写真付き住民基本台帳カード、マイナンバーカードなどです。健康保険保険証や年金手帳などの顔写真がついていない本人確認書類に関しては2枚提出する必要があります。
印鑑に関しては、住民票の異動手続きを申請者本人が行う場合は必要がない市区町村もあります。また、転居届の手続きをする際の手数料は無料です。しかし、印鑑も手数料も、その他の手続きで必要となる場合があるため、用意しておいたほうが安心です。
■3.代理人が手続きを行う場合
もしも何らかの事情でどうしても自分自身で転居届の手続きが行えない場合は、代理人が手続きを行うこともできます。 代理人が転居届の手続きを行う場合、下記の3点が必要です。
① 委任状(申請者本人が書いた署名、もしくは押印がされているもの)
② 代理人の本人確認書類の原本
③ 代理人の印鑑
代理人が申請者と同一世帯の人であれば、委任状は不要です。
住民票異動:引越し前の住所とは異なる市区町村に引越す場合
次に、引越し前の住所とは異なる市区町村に引越す場合の手続き方法についてみていきましょう。
■1.住民票を異動する方法
引越し前の住所とは異なる市区町村へ引越す場合は、2つの手順を踏む必要があります。
① 転出届を提出する
まず、引越し前の住所の市区町村役場に「転出届」を提出します。転出届は、市区町村役場の窓口に用意されている「住民異動届」に、異動事由として「転出届」を選択した上で必要事項を記入し、提出します。転出届には、引越し先の住所を記入する欄がありますので、もし引越し先の住所がわかっている場合は住所のメモを準備しておきましょう。
転出届が受理されると、「転出証明書」を渡されます。転出証明書は、次の「転入届」の手続きを行う際に必要な大切な書類ですので、引越しの荷物に紛れて紛失してしまわないよう、大切に保管してください。なお、この手続きは引越しをする日の14日前から受け付けてもらえますので、引越し当日までに必ず済ませておきましょう。
② 転入届を提出する
引越しをした日から14日以内に、引越し先の住所の市区町村役場の窓口に用意されている「住民異動届」に、異動事由として「転入届」を選択した上で必要事項を記入し、提出します。これで、住民票の異動は無事に完了したことになります。
■2.手続きに必要なもの
こちらも各市区町村役場によって微妙な違いがありますが、転出届・転入届の手続きを行う際に必要なものは下記の通りです。
【転出届】
① 申請者の本人確認書類の原本
② 印鑑
【転入届】
① 申請者の本人確認書類の原本
② 転入する世帯全員分の通知カード
③ 印鑑
④ 転出証明書の原本
本人確認書類は、転居届と同じように官公庁が発行した顔写真付きのものをなるべく用意しておきましょう。双方ともに手続きの手数料は無料となりますが、その他の手続きに必要になることが多いため、同時に住民票を数枚発行しておいたほうが安心でしょう。その際、住民票の発行手数料が発生します。住民票の発行手数料は各市区町村役場によって異なりますが、200~400円が相場です。
■3.代理人が手続きを行う場合
転出届・転入届の手続きに関しても、申請者に代わって代理人が行うことができます。
まず、転出届の手続きを代理人が行う場合には、転居届の場合と同じで、下記3点が必要となります。
① 委任状(申請者本人が書いた署名、もしくは押印)
② 代理人の本人確認書類の原本
③ 代理人の印鑑
次に、転入届の手続きを代理人が行う場合に必要なものは、下記の通りです。
① 委任状(申請者本人が書いた署名、もしくは押印)
② 代理人の本人確認書類の原本
③ 代理人の印鑑
④ 転出証明書の原本
手続きを行う際は二度手間にならないよう、すべて揃えてから手続きに臨みましょう。
住民票異動に伴う、その他の手続き
住民票を異動するにあたって、下記の手続きも必要となりますので、まとめて手続きを済ませてしまいましょう!
■1.国民健康保険
もしあなたが国民健康保険に加入している場合は、国民健康保険も異動する必要があります。うっかり忘れてしまうと、国民健康保険料の支払通知が届かず滞納扱いとなってしまい、後々面倒なことになりかねません。
国民健康保険の異動方法は、引越し前の市区町村役場で国民健康保険の資格喪失手続きを行い、引越し先の市区町村役場で加入手続きを行います。転出届、転入届の手続きを行う際に済ませてしまいましょう。転居の場合には、住所変更手続きのみ行えばOKです。
■2.国民年金
国民年金に加入している方で、「第1号被保険者」に該当する方の住所が変更する場合は、新しい引越し先の市区町村役場で国民年金の住所変更手続きを行いましょう。なお、国民年金の住所変更手続きは、転出・転入、転居いずれの場合でも必要となります。「第3号被保険者」に該当する方は配偶者の勤務先にて手続きを行います。
国民年金は未納期間があると将来の年金受取の際にトラブルが発生する恐れがあります。必ず手続きを済ませておきましょう。
■3.印鑑登録
不動産取引や自動車登録などの実印が必要となる契約をする予定のある方は、印鑑登録の抹消・登録手続きもしておきましょう。
引越し前の住所とは異なる市区町村へ引越す場合は、引越す前の市区町村役場で印鑑登録の抹消手続きを済ませ、引越し先の市区町村役場で再度登録の手続きを行います。こちらも転出届、転入届の手続きを行う際に済ませておくと良いでしょう。転居の場合は特に手続きが必要ない場合が多いですが、市区町村によっては手続きが必要なこともありますので事前に確認しておきましょう。
■4.後期高齢者医療者証・乳幼児医療証・介護保険証など
後期高齢者医療者証・乳幼児医療証・介護保険証などの各種資格者証を持っている場合は、転居届、転出届の手続きを行う際に準備しておきましょう。
引越し前の住所と同じ市区町村へ引越しをする場合は、これらの各種資格者証の住所変更手続きを済ませる必要があります。また、引越し前の住所と異なる市区町村へ引越しをする場合は、これらの各種資格者証を返却しなければなりません。
これらの各資格者証は、各市区町村によって制度が異なります。もし転入先でこれらの制度に加入をする場合は、転入届の手続きを行う前に市区町村役場へ必要なものを確認し、転入届の手続きを行う日までに全て準備をしておけば、手続きを一気に済ませることができます。
■5.郵便局への転送届
郵便局へ転送届の手続きを行いましょう。この手続きをしておくと、1年間、引越し前の住所へ送られてきた郵便物を無料で引越し先の住所へ転送してくれます。
この手続きは全国のどの郵便局でも行ってくれます。手続きには本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)と印鑑が必要となりますので、予め準備をしておきましょう。また、転居ハガキ(郵便局に置いてあります)に必要事項を記入した上でポストへ投函しておく方法や、web上で必要な情報を入力して手続きを行う方法もありますので、状況に合わせて活用してみましょう。
まとめ
住民票の異動手続きは、期日までに必ず済ませておかなければいけません。その際に、同時に行うことができる手続きについてもまとめて済ませてしまいましょう。忙しい引越し作業ですから、何度も市区町村役場へ足を運ぶことは困難ですし、少しでも手間を省けるようにしておきたいものです。