キンモクセイは可愛らしい花や香りが魅力で、”キンモクセイの大ファン!”と答える方もいるでしょう。キンモクセイの花は葉っぱに生える色合いが素敵で、お手製のモイストポプリで芳香剤にしたり香水も作れる植物です。
可愛らしい花やいい香りを放つキンモクセイですが、あっという間に成長する一面もあります。キンモクセイは剪定しないと伸びたい放題になり、他にも色々な問題点が発生する植物です。キンモクセイの花を咲かせて見て楽しんだり、香りで癒されるためにも剪定は欠かせません。
キンモクセイの剪定は、『やり方や時期』『剪定のコツと注意点』がわかれば自分でもできます。今回はキンモクセイの剪定をチェックしましょう。
キンモクセイの特徴
あなたはキンモクセイの特徴を詳しく知っていますか?キンモクセイの剪方法をチェックする前に特徴を知りましょう。キンモクセイは常緑広葉樹で原産国は中国と言われており、日本でキンモクセイと言えば芳香剤が思い浮かべる方も少なくありません。
キンモクセイの植え付け時期は春で、秋には数ミリ単位の小さなオレンジ色の花が咲きとてもいい香りを放ちます。キンモクセイの花は2週間くらいで散るため香りを放つ期間は短く、花が散った後は再び葉を付けた樹木になるのが特徴です。
キンモクセイの高さは5m~8mほどで家の生け垣以外に公園などにもあります。キンモクセイが実をつけるには雌株と雄株が必要ですが日本に存在しているキンモクセイの多くは雄株だけで、実がなっている樹木を目にすることは滅多にありません。
キンモクセイの剪定時期
キンモクセイは成長が早く1年間で15㎝も伸びる樹木で、1年に1回は剪定する必要があります。常緑広葉樹の剪定時期は樹木の種類によっても変わりますが、基本的に春~梅雨のはじめにに行うのがベストです。
常緑広葉樹であるキンモクセイを剪定する場合は2月~3月に行い樹形を整えましょう。キンモクセイの剪定時期は2月~3月以外にも、花が咲き終わって間もない時期である11月頃に剪定することもできます。
11月頃のキンモクセイは樹木に栄養を蓄える時期です。11月頃にキンモクセイを刈り込み過ぎると成長に影響を与える原因となるため、軽く剪定する程度でかまいません。
キンモクセイを剪定するときの樹形
キンモクセイの樹形は、球体・楕円・円筒・円錐・四角形や長方形の5パターンがあります。ご紹介した5パターンのキンモクセイの樹形は和風や洋風の家に関わらず良く合う樹形です。
キンモクセイの樹形を整える時は外側から剪定するのではなく、内側や幹のあたりに生えている不要な枝を剪定してから透かし剪定を行いましょう。最後にキンモクセイの外側を刈り込んでいきます。
キンモクセイを生け垣にしている場合の樹形は四角形もおすすめです。生け垣は外壁のように家の中を見えにくくする役割があるため、キンモクセイを四角形や長方形になるよう平らに剪定しましょう。
キンモクセイの剪定に必要な道具
”キンモクセイの剪定に必要な道具と言えば剪定ばさみでしょ?”と思う方もいるでしょう。間違いではありませんが他の種類のはさみも必要です。キンモクセイの剪定に必要な道具を5つご紹介します。
【剪定ばさみ】
太い枝だけでなく内側の枝も剪定しやすいです。剪定ばさみの中にあるバネのおかげで、はさみの開閉がスムーズにできるため太い枝もラクに剪定できます。
【刈り込みばさみ】
外側の枝を剪定する時に使い、生け垣・球体・四角形などの樹形を整える時は便利です。他にも太さがある硬い枝や枝をまとめて剪定する時にも使います。
【植木ばさみ】
10㎝くらいまでの枝の剪定に向いていてバネは内蔵されていません。はさみの中にバネがないおかげで手が疲れにくく長時間の剪定もラクです。
【脚立】
キンモクセイの高さにもよりますが1m~3mほど高さがある脚立が向いています。
【軍手】
剪定中のケガを防いだり手の負担を軽くするために必要です。
キンモクセイの剪定方法6ステップ
自分でキンモクセイの剪定をするのは初めてで、剪定方法がわからない方もいるでしょう。キンモクセイの剪定は6つの流れでできますが、最初はとまどうこともあるかもしれません。
何事も経験です。自分でキンモクセイの剪定をすれば手順などがわかり、個人差はありますが少しづつスムーズにできるようになるでしょう。
■①高く伸びたキンモクセイは切り戻しをして樹形をキープ
キンモクセイの樹木が高く伸びていませんか?”伸びている”と答えた方は、キンモクセイの枝先から50cmくらいのところを剪定して樹形をキープしましょう。キンモクセイの枝先を剪定する方法のことを『切り戻し』と言います。
切り戻しとは『成長して伸びてしまった枝や茎を切り取る』ことを意味しており、キンモクセイの樹形をキープさせるためには欠かせません。キンモクセイの切り戻し作業のポイントは枝わかれしているところまで剪定することです。
■②キンモクセイの内側にある不要な枝を剪定する
キンモクセイの内側にある不要な枝は、『からみ枝(枝同士が絡んでいる状態)』や『交差枝(他の枝がクロスして絡んでいる状態)』などがあります。キンモクセイの内側に不要な枝を見つけたら、枝の根本から剪定しましょう。
不要な枝を剪定する理由は枝の量を少なくして、キンモクセイの内側に太陽光を差し込みやすくしたり風通しを良くするためです。不要な枝の呼び名は他にもあり、『不要枝(ふようし)』や『忌み枝(いみえだ)』とも言われています。
■③不要な枝を剪定した後にこみ合っている枝があれば透かし剪定をする
キンモクセイの内側の不要な枝を剪定した後は、枝がこみ合っているところはないか?確認しましょう。枝がこみ合っているところがあれば『透かし剪定』を行います。透かし剪定とはキンモクセイの『内側の枝の密集度を整えること』で、日当たりや風通しを良くする作業です。
透かし剪定には枝を深く剪定する強剪定があります。強剪定は何年かに1度のペースで行いキンモクセイの成長を促しましょう。
■④今年花が咲いた枝先を2、3節残して剪定する
今年キンモクセイの花が咲いた枝先を剪定します。キンモクセイの枝先を剪定するポイントは花が咲いた枝先から幹に向かって見た時、2、3節残したところを切ることです。今年花が咲いた枝先を見つけにくい場合は、3つにわかれている枝を探してもいいでしょう。
キンモクセイの花が咲いた枝先は熊手のような形状で、3つにわかれていることがほとんどです。3つの枝のうち中央の枝は根本から剪定し、残りの2つの枝は枝わかれしている部分から見て2、3節のところを切ります。
花が咲いた枝先を剪定する理由はキンモクセイが大きくなり過ぎないようにキープさせたり、枝を増やすためです。
■⑤キンモクセイの外側を刈り込んでいく
キンモクセイの内側を剪定したら外側を剪定します。キンモクセイの外側の剪定は刈り込み作業になるため刈り込みばさみを使いましょう。剪定ポイントは前の年に刈り込んだ場所を中心に切っていくことです。
■⑥剪定の仕上げに向けて刈り込み後半にバランスや形をチェックする
キンモクセイの外側を刈り込み剪定している最中は、仕上げに向けて時々遠くから見てバランスや形をチェックします。キンモクセイをチェックするタイミングは刈り込み剪定の後半でかまいません。キンモクセイの樹形が整ったら切った枝や葉っぱを取り払えば剪定は終わりです。
キンモクセイの剪定のコツと注意点10個
キンモクセイを栽培している方は剪定するコツや注意点を10個チェックしましょう。キンモクセイの剪定のコツや注意点がわかれば上手に栽培できて、たくさんの花を見たりいい香りに包まれます。キンモクセイを栽培している方は必見です。
■①外側の剪定は1年に1回・内側の剪定は3、4年に1回が基本
キンモクセイの剪定は外側が1年に1回で、内側の剪定は3、4年に1回が基本ですが、必ずしも当てはまるわけではありません。確かにキンモクセイを剪定する基本的なペースではありますが、一方でキンモクセイを剪定する1つの目安とも考えましょう。
例えば、前回の剪定から3、4年経たないうちに内側が不要な枝でこみ合い成長のジャマになるようなら剪定します。キンモクセイの剪定は見た目や成長具合などを確認して、必要であれば基本のペースに関係なく剪定しましょう。
■②最低でも1年に1回は剪定して見栄えを保ち花つきを良くする
キンモクセイの剪定は1年に1回は必ず行うことです。キンモクセイは剪定しないと枝や幹が伸び放題で大きくなり過ぎてしまい、樹形が崩れて見栄えが悪くなります。他にも古い枝があり続けることで花のつきが悪くなるなどいいことはありません。
■③3、4年に1回強剪定した場合はメリットとデメリットがある
キンモクセイの内側の剪定は3、4数年に1回のペースで行うのが基本ですが、いい点と悪い点があります。いい点はキンモクセイの内側を剪定することでイキイキした状態になるため、キンモクセイにとってはプラスです。
悪い点はキンモクセイの内側を剪定すると活力がみなぎり元気になりますが、剪定した次の年は花が咲かないと思いましょう。キンモクセイの病気などを考えるなら内側の剪定は悪いことではありません。
今後もキンモクセイの花を楽しむなら、次の年の花は諦めて翌々年の花を期待しましょう。
■④春~夏に剪定をすると花芽がなくなり花が咲かない
キンモクセイの花を見るなら春~夏に剪定するのは避けることです。キンモクセイは秋頃に花を咲かせる樹木ですが春~夏にかけて花の元となる花芽をつけるため、春~夏に剪定することは花芽を奪うことになります。
剪定により花芽を奪われたキンモクセイは花が咲かなくなったり、花が咲いたとしても大量に咲くことはないと思いましょう。ただ、キンモクセイの花を咲かせなくていいなら話は別です。
キンモクセイの花は年間通して剪定できる樹木で、花つきを気にしない方は春~夏に剪定してもかまいません。
■⑤冬の剪定は強剪定を避けて寒さに耐えられる状態にする
キンモクセイを冬に剪定する場合は弱剪定にして(枝先付近を切ること)、寒さに耐えられる状態にしましょう。キンモクセイはものすごく寒さに強い植物ではないため、冬にキンモクセイを強剪定(枝の根本付近をきること)すると寒さに耐えられません。
キンモクセイは冬の寒さに耐えられないと枝や幹などの成長に影響があり、”思った以上に成長しなかった”と残念な結果を招くことになります。
■⑥剪定する不要な枝を見極めて病気などから守る
キンモクセイは不要な枝を剪定して、太陽光の差し込みや風通しを良くすることは欠かせません。不要な枝の剪定は良好な健康状態をキープしたり病気から守るだけでなく、外見的にも良くなります。
キンモクセイの不要な枝は13種類あり(以下参照)、見つけたら枝の根本から切りましょう。
■懐(ふところ)枝
主幹から伸びている枝。
■徒長(とちょう)枝
主幹から生えた枝にさらに枝がついている状態で空に向かって伸びている。
■かんぬき枝
主幹を軸にして左右からそれぞれ枝が生えている。
■交差枝
主幹から生えた枝と枝がクロスしている。
■からみ枝
主幹から生えた枝と枝が絡んで曲がっている。
■下がり枝
主幹から生えている枝が地面に向かって真下に伸びている。
■胴吹き(どうぶき)枝
主幹の根本近くから生えている枝。別名は幹吹き(みきぶき)枝。
■ヤゴ・ひこばえ
樹木の根元から生えている枝。
■立ち枝
徒長枝に似ている。本来は横に向かって伸びるはずの枝が空に向かって真上に伸びている。
■車枝
主幹から生えている枝先から複数枝わかれしている。放射状に伸びているのが特徴。
■平行枝
主幹からいくつもの枝が平行に伸びている。
■腹切枝
太い枝が特徴。主幹から生えている太い枝が交差している。
■逆さ枝
主幹に向かって生えている枝。
■⑦不要な枝は根本で剪定するとキレイな切り口になる
キンモクセイの不要な枝は根本から剪定して病気などから守ると同時に、枝の根本から切ると切り口がキレイになります。キンモクセイの不要な枝を剪定して切り口をキレイにするなら、幹の根本のギリギリを切りましょう。
キンモクセイの不要な枝を剪定すると樹皮が切り口を覆い、日が経つにつれ少しづつ馴染んでいき切った場所がわかりにくくなります。
■⑧5年以上の主枝は剪定して新しい枝が生えてくるようにする
植物には主枝(しゅし)と呼ばれている部分があり、主枝は樹木の骨格になる枝です。主枝は主幹から枝わかれしているのが特徴で、キンモクセイの成長や健康状態に影響を与えます。
今後のキンモクセイのことを考えて、5年以上経った主枝は根本から剪定して新しい枝が生えてくるようにしましょう。
■⑨上枝・下枝・外側は刈り込み具合を変えてキレイな樹形を保つ
キンモクセイの樹形をキレイにするなら、上枝は深く剪定して下枝は刈り込み過ぎないようにすることです。キンモクセイは下よりも上にある部分の方が早く伸びるため、上枝と下枝の刈り込み具合を変えます。
他にも太陽光を浴びやすいキンモクセイの外側も成長が早いです。バランスのとれたキレイな樹形にするために、キンモクセイの外側は枝数を少なくして短く剪定しましょう。
■⑩剪定に失敗したら肥料を与えて新芽の成長を促す
キンモクセイの枝を切り過ぎて失敗しても焦る必要はなく、肥料を与えて新芽をできるだけ早く育てれば対処できます。もちろんキンモクセイに肥料を与えた方が新芽の育成は早くなりますが、肥料はなくてもかまいません。
剪定した場所は剪定する前よりも太陽光がよく差し込む状態になり、自然と新芽が生えてきます。大体3、4年くらい経てば新芽もしっかり成長している状態のため、キンモクセイの樹形も良くなっているはずです。
太い枝を残すと太い枝がどんどん成長して形がアンバランスになったりします。そのような木を都内では少なからず見かけます(笑)
キンモクセイは丸坊主にして大丈夫?
”成長し過ぎたキンモクセイを丸坊主にしたい!”と思っている方はいませんか?確かにキンモクセイを丸坊主に剪定すればスッキリしますが、キンモクセイへの影響が気になるところです。キンモクセイを丸坊主に剪定すると花つきに影響を与えたり、下枝が増えにくくなると思いましょう。
キンモクセイを丸坊主に剪定すれば同時に花芽も一緒に切ることになり、花つきに影響を与えるのは確実です。もう1つ、キンモクセイは下枝を増やすのが難しい植物で、1度丸坊主に剪定すると下枝は生えにくくなります。結果的に樹木の下の方だけスカスカになりバランスが悪くなります。
キンモクセイを丸坊主にするなら花つきが気にならない方や、下枝の量を減らして車や人の通行をジャマしたくない方に向いている剪定方法です。
キンモクセイを枯れないようにする方法
キンモクセイの花や香りを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?キンモクセイは家庭でも栽培しやすい植物ですが、剪定方法などを間違えると枯れてしまいます。キンモクセイを枯らせない方法を4つチェックしましょう。
【枝を剪定しても葉は残す】
キンモクセイの葉を全く残さないで剪定すると枯れます。1つの枝に対し葉は残すように剪定して花を咲かせましょう。
【対生の葉は枝先部分を剪定する】
キンモクセイの葉は対生(2枚の葉が向かい合っている状態)です。対生の葉は枝先のところで剪定すると、キンモクセイの枝が枯れる心配がありません。
【不要な枝の剪定は根本から切る】
不要な枝の剪定は必ず根本から切りましょう。枝の根本ではなく枝の途中から剪定すると枯れる原因になります。
【強剪定は1度にやり過ぎない】
キンモクセイは強剪定することがありますが、1度の強剪定で刈り込み過ぎる行為は枯れる原因です。
キンモクセイの剪定を業者に依頼する場合の料金目安
キンモクセイの剪定を自分でするのが面倒な方や、キンモクセイが大きくて自分で剪定するのが不安な方などは業者に依頼しましょう。キンモクセイの剪定を業者に依頼するとなれば、料金が気になりませんか?キンモクセイの剪定を業者に依頼したい方のために料金の目安を調べました。
キンモクセイの剪定を業者に依頼した場合の料金は、『3,000円台~20,000円台』です(剪定するキンモクセイが1本の場合)。キンモクセイの剪定にかかる料金は、高さ・剪定するキンモクセイの本数・生け垣などで変わり業者によっても料金設定が違います。
他にもキンモクセイを剪定するまでに要する時間や、作業人数によっても料金が変動する業者もあり、コスト面を考えるなら何社か見積もり依頼した方が安心です。
プロに聞く!ハダニの見分け方・原因・解決方法
またハダニはクモの一種ですので葉に白い糸が付いいたりもします。解決方法は市販の殺虫剤を吹き付けて下さい。その場合に効果を最大限にするために剪定したあとをオススメします。
まとめ
キンモクセイを剪定する必要性がわかったのではないでしょうか?キンモクセイを定期的に剪定すれば害虫がつきにくくなるだけでなく健康状態も良くなります。キンモクセイの剪定を自分で行う場合は、ご紹介した剪定のコツや注意点を参考にしましょう。