夏は海のレジャーを満喫する人も多いのではないでしょうか?夏の海と言えば、クラゲに刺された痛い思い出がある人もいるでしょう。
海水浴・サーフィン・シュノーケリングなどで海に入っていると、知らない間にクラゲに刺されたという人もいます。また、興味本位でクラゲに触れて刺される人も少なくありません。
クラゲは10憶年前から存在している生物で、海中だけではなく沿岸にも出没します。人を刺して人体に影響を及ぼすクラゲは約70種類おり、刺されたら命を落とす可能性もゼロではありません。
クラゲに刺された時のことを踏まえて対処方法を覚えておくと安心です。今回は、クラゲに刺された時の応急処置や症状などについて見ていきましょう。
クラゲが増える時期・刺される確率
クラゲが増える時期や刺される確率はどうなのでしょうか?結論から言うと、クラゲが増える時期は6月頃~9月頃です。クラゲは冬~春が繁殖時期で、6月頃~9月頃は成長のピークを迎えるため梅雨頃~秋はクラゲが増えます。
また、クラゲの成長に欠かせないのがプランクトンです。6月頃~9月頃は海水温度の上昇などの理由によりプランクトンが増えて、クラゲの成長を促すことで数が増えます。
つまり、クラゲが増える時期に海に入れば刺される可能性は自ずと高くなります。ただ、6月頃は海に入る人が少ないためクラゲに刺される確率は低いと言えます。詳しい理由は以下の通りです。
・気温が低い日もある
・晴れの日が少ない
・夏休みではない
・海開きをしていない地域が多い
一方、夏休みは行楽シーズンで海のレジャーを楽しむ人が増えます。夏休みはクラゲが増える時期で、海水浴やサーフィンなどで海に入れば高確率でクラゲに刺されることになるでしょう。
クラゲに刺されたときの跡の画像や症状
クラゲに刺された時の症状はクラゲの種類によって様々で、毒性が弱いクラゲと毒性が強いクラゲでは刺された時の症状が違います。では、クラゲに刺された時の症状や刺された跡について見ていきましょう。
【毒性が弱いクラゲ】
症状は軽症で無症状の人もおり、重篤になるケースはほぼありません。
・チクチクするような痛み
・静電気が走るようなピリピリした痛み
・しびれ
・かゆみ
・腫れ
・赤み
【毒性が強いクラゲ】
毒性が強いクラゲは猛毒を持つ種類もおり、重症化する場合がほとんどです。場合によってはアナフィラキシーショックで死亡することもあります。主な症状は次の通りです。
・筋肉痛
・倦怠感
・頭痛
・吐き気
・呼吸困難
・意識障害
・悪心
・脱力感
・心臓がどきどきする
・流涙
・鼻水
・せき
・大量発汗
・胸痛
【クラゲに刺された跡】
基本的にクラゲに刺された跡が残るケースはほぼありません。ただし、掻きむしると色素沈着を起こし肌が茶色くなることがあります。
アンドンクラゲに刺された跡。赤くミミズ腫れが起こりとても痛そうです。
クラゲに刺されたときに応急処置は必要?放置は危険?
クラゲに刺された時、あなたならすぐに応急処置をしますか?クラゲに刺された時は自覚症状の有無や毒性の強弱に関係なく、放置せずに応急処置をしましょう。
毒性が弱いクラゲに刺された場合は症状がほとんどなく、応急処置をしない人もいますが放置するのは危険です。症状がない場合はみみず腫れを確認するといいかもしれません。なぜなら、クラゲの毒は触手にあり肌をなぞるように刺すため、線を書いたようなみみず腫れが現れる人もいるからです。
クラゲに刺されると約3分~4分で毒が体内に回り、応急処置をしないと命が危険にさらされることもあります。クラゲで死亡すると聞くと”毒性が強いクラゲに限ったこと”と思いがちですが、毒性が弱いクラゲに刺された時も油断はできません。
特に注意が必要なのは過去にクラゲに刺されたことがある人です。再びクラゲに刺されるとアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こして、死に至ることがあります。
クラゲに刺された時の対処法5ステップ
クラゲに刺された時は5つの流れで対処しましょう。クラゲに刺された時の対処法はやってはいけない方法もあります。正しい対処法と注意点をまとめました。
■すぐに海から出る
クラゲに刺された時はすぐに海から出ることです。痛みの強弱に関係なく、”クラゲに刺された!”と思ったらすぐに陸地へ上がりましょう。
【注意点】
クラゲに刺された後も海水にいると、アナフィラキシーショックで溺れたり溺死する可能性がありますので、すぐに海から出ることが大切です。
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■素手以外の方法でクラゲの触手を抜く
海から出てクラゲの触手が残っていたら触手を抜きます。触手が残っていると、再びクラゲに刺される危険性があるため必ず抜きましょう。
【注意点】
クラゲの触手は素手で絶対に触れてはいけません。クラゲの触手は毒があり触れると指を刺されるか可能性があります。手袋・ピンセット・タオル・ハンカチなどでクラゲの触手を除去しましょう。
また、クラゲの触手を砂で擦って落とす行為も危険です。砂で肌を擦ると手や指の圧で触手を押し込む原因になる他、砂でクラゲの触手を落とすことはできません。
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■クラゲに刺された部分を海水で洗い流す
クラゲに刺された部分は海水や食塩水で優しく洗い流して、刺胞(毒の袋)を刺激しないようにします。クラゲは刺胞がある種類もおり、触手を取り除いても肌に残っている場合もあるでしょう。
刺胞は刺激を察知すると絡み付いたり刺糸で刺すなどして、毒を対象物に浸透させるのが特徴です。クラゲに刺された部分を強くガシガシ擦るなどして洗い流すと、刺胞を刺激することになります。
【注意点】
真水ではなく海水や食塩水で洗い流しましょう。特に刺胞があるクラゲは要注意で、真水で洗い流すと浸透圧の関係で毒が回るリスクが高まります。
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■刺された部分を温めたり冷やす
クラゲに刺された部分を温めたり冷やすなどして痛みを軽減させましょう。クラゲの毒の主成分はタンパク質で熱に弱いのが特徴です。
アメリカの研究ではクラゲに刺された部分を40度で20分間温めると、痛みが軽減することがわかっています。できれば先にクラゲに刺された部分を温めて、痛みが少し落ち着いた後に冷やすといいでしょう。
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■症状によっては病院へ行く必要がある
基本的にクラゲの治療は対症療法で、病院では刺された部分にクリームなどを塗って触手を完全に除去します。
症状が軽い場合は無理に病院へ行く必要はありませんが、次の症状がある場合は病院へ行きましょう。
・刺された範囲が広い
・痛みが強くて引かない
・刺された部分が水ぶくれになっている
・皮膚がただれている
特に猛毒のクラゲに刺された時は命に関わる可能性があり、医師に処置をしてもらう必要があります。
【注意点】
的確に処置をするために、『どこで・何時頃・クラゲの種類』を医師に伝えましょう。クラゲの種類がわからない場合は、刺された場所と時間だけでもかまいません。
クラゲに刺された一週間後はどうなる?
クラゲの種類によっては酷く腫れたり激痛に襲われ、完治するまで不安を感じる人もいるでしょう。では、クラゲに刺された1週間後の患部はどのような状態になっているのでしょうか?
クラゲに刺された1週間後の状態は個人差があり、症状の有無・症状の度合い・患部の見た目などは様々です。1つ言えることは、症状が軽い人ほど回復が早くクラゲに刺された跡もほとんどありません。
症状が軽い人の例を挙げると、湿疹や腫れは残っているもののかゆみは落ち着き、虫に刺さされた跡のような見た目になります。回復が早い人はクラゲに刺されてから数日で良くなり、1週間後にはキレイに治っているでしょう。
一方、猛毒のクラゲに刺された場合は症状が酷く、激痛やしつこいかゆみ以外にも様々な症状があります。症状の程度は個人差があり何とも言えませんが、症状が落ち着くまで約2週間~3週間要するケースは珍しくありません。
クラゲに刺されない予防方法
クラゲに刺されない予防方法は4つあります。海のレジャーを楽しむためにクラゲの予防方法を参考にしましょう。
【クラゲ予防のクリームや日焼け止めを塗る】
クラゲ予防のクリームや日焼け止めは肌に膜を作り、クラゲに仲間であることを認識させる成分が含まれています(クラゲは仲間を刺さないため)。
海へ入る前にクラゲ予防のクリームや日焼け止めを塗って予防しましょう。
マグネシウムイオンとカルシウムイオンを独自の割合で配合することで、クラゲに触れてしまっても毒針が発射されるのを抑制。クラゲに刺されるビリビリ感を恐れず、潜ったり浮かんだりといったマリンレジャーを楽しめます。
【ウエットスーツやラッシュガードを着る】
肌の露出を控える方法もクラゲ対策には有効で、ウエットスーツやラッシュガードを着用するのもおすすめです。
【クラゲ対策をしている海に入る】
利用者がクラゲに刺されないために、海にネットを張りクラゲ対策をしている場所もあります。
何も対策をしていない海に比べるとクラゲに刺されるリスクは少ないため、クラゲ対策をしている海を選びましょう。
【クラゲに触れない】
クラゲは刺激を受けると刺すため触れてはいけません。
日本の海にいる危険なクラゲ4種類
毒性が強いクラゲは命を脅かす種類も存在しており、日本で特に危険なクラゲを4つ厳選しました。サイズは小さいですが毒性が強いクラゲや、見た目の美しさとは裏腹に猛毒なクラゲなどをご紹介します。
【アンドンクラゲ】
四角い傘(約2cm~3cm)を持つアンドンクラゲは、4つの隅から触手(約20cm)が伸びています。触手の色は薄い桃色ですが四角い傘の部分は無色透明です。
アンドンクラゲは全国の海に生息しており、遊泳スピードが速く視覚があるクラゲとして有名です。特にお盆時期に刺されることが多く、刺されたら激痛やみみず腫れに耐えないといけません。症状が悪化すると意識障害や呼吸困難を発症し、アナフィラキシーショックで死亡することもあります。
【ハブクラゲ】
ハブクラゲはアンドンクラゲの仲間で非常に強い毒があり、沖縄や奄美地方に出没するクラゲです。ハブクラゲも四角い傘(約8cm)で、4つの隅から触手が7本~8本伸びています。
また、ハブクラゲに刺された時の症状もアンドンクラゲに刺された時とソックリです。激しい痛みやみみず腫れに襲われ、最悪の場合はアナフィラキシーショックで死亡する可能性もあります。
【カギノテクラゲ】
クラゲの中でも小ぶりな傘(約1cm~2cm)を持つクラゲで、傘はお皿のような形状をしているのが特徴です。
触手の長さは短く傘のフチから約90本出ており、触手の先はカギのように折れ曲がっています。カギノテクラゲは日本全国の海に生息していますが、東北や北海道で出没するクラゲです。
毒性は強いですが刺された時の症状は酷くなく、約1時間~2時間後に症状が現れます。例えば、筋肉痛のような痛みやしびれなどの他に、インフルエンザのような風邪に似た症状が現れる人もいるでしょう。
【カツオノエボシ】
猛毒なクラゲで有名なカツオノエボシは袋のような傘(約10cm)が特徴です。
袋は一酸化炭素などが含まれているため浮遊することができますが、常に膨らんでいるわけではありません。状況に合わせて袋をしぼませて海に沈むこともできます。触手の長さは個体によってバラつきがあり(約10cm~50m)、全体的に藍色で透き通っている美しいクラゲです。
カツオノエボシは日本近海に出没するクラゲで、刺されたら一気に腫れて強い電気に触れたかのような痛みに襲われます。
また、激痛は長時間続き、刺されてから約15分後にアナフィラキシーショックを起こすかもしれません。アナフィラキシーショックの症状は個人差があります。例えば、全身にじんましんが出たり悪心や脱力感など様々です。最悪の場合は死に至ることもあります。
【アカクラゲ】
プックリとした傘(約9cm~15cm)で褐色のシマ模様が特徴的なクラゲです。触手は約40本~56本で長く(2m~)、別名『ハクションクラゲ』とも言われています。
ハクションクラゲの呼び名を持つ理由はくしゃみが出るからです。アカクラゲは刺糸があるクラゲで、刺糸が乾燥すると舞い上がり鼻の中に入ります。アカクラゲに刺された時の症状はくしゃみだけではなく、強烈な痛みに襲われ患部はパンパンに腫れるのが特徴です。
生息地域は北海道~沖縄ですが地域によって出没しやすい時期が違います。日本南部は冬から春に刺されることが多いですが、日本海は春から夏で北海道は夏がメインです。
まとめ
クラゲは猛毒を持つ種類も存在するため、刺された時は海から出て応急処置を行うことが命を守ることにつながります。
夏休みやお盆シーズンの海はライフセーバーがいることも多く、クラゲに刺された時はライフセーバーを頼るのも選択肢の1つです。ライフセーバーはクラゲに刺された時の対処法を知っており、的確な方法で応急処置をしてくれます。